【獣医師監修】老犬がご飯を食べない原因と対策|少しでも食べさせたい…最善の対処法は?
基礎知識
2020.12.02

【獣医師監修】老犬がご飯を食べない原因と対策|少しでも食べさせたい…最善の対処法は?

わんちゃんは歳をとると徐々に食欲が落ちてくるものですが、愛犬が痩せていく姿を見ていると心配でたまりませんよね。

「少しでも栄養補給できる方法があるならとにかく試したい」という飼い主さんは多いでしょう。

そこでこの記事では、

・老犬が食べないときの5つの原因と対策法
・シニア犬の飼い主120人のおすすめ食材

などを紹介します。

また、無理にでも食べさせるべき?必ず給餌量を食べきらなきゃいけない?など、老犬についてのよくあるお悩みに関しても獣医師監修のもと回答しています。

わんちゃんが少しでも食べてくれるように色々な対策法を紹介していますので、ぜひ参考してください。

この記事の監修者

藤井ちひろ
獣医師 / 監修
北海道帯広畜産大学畜産学部獣医学科卒業。首都圏の中堅動物病院、大学病院を経て「健康寿命を延ばしてめざせ20歳!」「治らない病気に最期まで向きあう」動物病院、ローズローズアニマルクリニック院長。 ペットの食と栄養のお悩みに一生応えるための食育セミナーやシニアペットセミナーを定期的に開催中。(所属学会:ペット食育協会獣医麻酔外科学会獣医神経病学会など)

老犬がご飯を食べない5つの原因と対策法

老犬がご飯を食べない時に考えられる原因とその対策法は次の5つです。

一般的には7歳頃から中高齢期(シニア期)に入り、寿命の3分の2を過ぎると後期高齢期(ハイシニア期)になるといわれていますが、老化のスピードには個体差があるため一概に年齢では分けられません。

そこでINUNAVI編集部では、以下のような特徴で老犬期をステージ分けしました。

シニアステージ 特徴
ステージ1 白髪が出始める、鼻の色が退色してくるなど少しずつ見た目の変化が現れ始める。
ステージ2 瞳が白濁してくる、疲れやすい、睡眠時間が増えたなど、老犬らしさが顕著になる。
ステージ3 痩せてきた、トイレを失敗するようになった、自力で食事をすることができない、寝たきりなど介護が必要になる。

飼い主さんの中には食べない老犬のためにすでに色々な対策を試したという方もいると思いますが、同じ対策でもシニアステージによってポイントが異なることもあるので最後までチェックしてみてくださいね。

それでは原因と対策法①から順に解説していきます。

①消化機能や代謝の低下が原因!給餌量や回数を変更しよう

老犬になると代謝の低下から食欲が落ちることがあります。できるだけ内臓に負担をかけないよう、適正な給餌量を与える、1回の食事量を減らして回数を増やすなどの対策を行いましょう。

以下はシニアステージごとのおすすめの対策です。

■ステージ1:給餌量の見直し
…愛犬の適正な給餌量を計算し変更する

■ステージ2:少量に分けて与える
…適正な給餌量を食べ残すようであれば、1回分を減らし、食事の回数を1日3回にしてみる。

■ステージ3:食べられる分だけ少量ずつ与える
…食べられるぶんだけでいいので、1日3回以上に分けて与える。与えるときはゆっくりと行い、適正量を食べられなくても無理はさせない。

※「【獣医師監修】ドッグフードの正しい与え方!パッケージの推奨量はあくまで目安」の計算式を参照してください。

給餌量に関しては「Q1.必ず給餌量を食べきらなきゃいけない?」も合わせて確認してみてくださいね。

②嗅覚や味覚の低下が原因!ふやかしやウェットフードで対応しよう

ドッグフードの缶老犬になり嗅覚や視覚が衰えてくると、目の前に出されたご飯が美味しい食べ物なのか分からず、食い付きが悪くなることがあります。

わんちゃんの味の好みや食いつきは匂いで決まるため、香りが強いものを与えましょう。

以下はシニアステージごとのおすすめの対策です。

■ステージ1:ドライフードをふやかす
…ふやかし具合によっても食いつきが変わるため、好みを探りながら試してみる。

■ステージ2:ウェットフードも与える
…はじめはふやかしたドライフードへのトッピングとして使い、トッピングしか食べない場合は総合栄養食のウェットのみでもOK。

■ステージ3:固形物がなく水分の多いものを与える
…ペーストタイプのウェットフード、柔らかさを調節できる粉末タイプのフード、愛犬が好きな食材を使い流動食を作り与える。

また、ふやかしたフードやウェットフードは水分が摂れるため、腸のぜん動運動の低下が原因で便秘になりやすい老犬には消化がしやすく最適です。

食い付きのいい総合栄養食のウェットフードは「愛犬が喜ぶ!食いつきがいいドッグフードおすすめ16選【缶・レトルト・ウェット41商品検証】」で紹介しているのでぜひ参考にしてくださいね。

③口内トラブルが原因!愛犬が食べやすいものを手作りしてみよう

老犬になると、歯茎が縮む・歯周病になる・歯が抜け落ちる・唾液が減り口の中が乾燥するなどの口内トラブルが起きやすくなります。

固いものを食べると痛みを感じたり、口が乾いて喉を通りにくくなったりするため、手作り食のような柔らかく水分が多い食事がおすすめです。

嗅覚や味覚の低下が原因!ふやかしやウェットフードで対応しよう」で紹介したものでも対応できますが、手作りであれば愛犬がより食べやすいように工夫ができます

手作り食に関するシニアステージごとのおすすめポイントは以下の通りです。

■ステージ1・2:柔らかく消化にいいご飯を作る
…わんちゃんにとって最も感じやすい味覚である「甘さ」が強いサツマイモやカボチャ、マヌカハニーなどを使ってみる。脂肪分を控えめにする。食材を細かくし、柔らかく煮込む。

■ステージ3:飲み込みやすいピューレ状にする

…ステージ1・2のポイントを抑えつつ、フードプロセッサーやすり鉢で食材をより細かくする。飲み込みやすいようやわらかい団子状にしてみる。

また、シニア犬の手作り食に摂り入れたい食材には以下のようなものがあります。

・わかめや昆布
・きのこ類
発芽玄米
・納豆
・根菜類
・亜麻仁油

など

タンパク質である肉や魚はできるだけ脂身が少なく良質なものが消化に良くおすすめです。

④ストレスが原因!体を満足させて気持ちを和らげよう

老犬になると心身すべてにおいて許容範囲が狭くなり、五感の衰え同様気持ちのコントロールもしづらくなっていきます。

そのためもともとナイーブな子(シャイ、精神的に不安定になりやすいなど)は年をとるとその傾向が強まり、ストレスからご飯を食べなくなることも…。

このとき、心配だからと必要以上に愛犬を構うとかえって不安を感じてしまったり、お留守番が辛くなってしまうことがあるため、普段通りを意識しながら少しずつ一緒にいる時間を増やしましょう。

以下はシニアステージごとのおすすめの対策になります。

■ステージ1:散歩や遊ぶ時間をつくる
…のんびり散歩したり、好きなおもちゃで一緒に遊ぶなど、ほどよい刺激を与える。

■ステージ2:マッサージでリラックスさせる
…愛犬が触られて心地よいと思う場所をやさしくさするように撫でてあげる。まずは全身を触って嫌がる箇所がないか確認し、顔や背中から触れていくのがおすすめ。

■ステージ3:極力ひとりにしない
…できる限り側にいて、必要に応じて家族や知人、ペットシッターなどを利用する。

外気に触れてリフレッシュしたり、飼い主さんとスキンシップをとることはストレスの軽減につながります。愛犬と一緒にゆったりと過ごせる時間をつくりましょう。

マッサージのやり方など詳しくは「愛犬がリラックスできるマッサージ方法|資格や気持ちいいツボも紹介!」を参考にしてください。

⑤筋力や飲み込む力の低下が原因!食事台やシリンジを活用しよう

⑤筋力や飲み込む力の低下が原因!食事台やシリンジを活用しよう床にお皿を置いて食べさせている場合、食事中の体勢を辛く感じて食欲が低下することがあります。

またシニアステージが進むと食べ物を飲み込む力も低下してくるため、愛犬の食事をサポートするアイテムを利用しましょう。

以下はシニアステージごとのおすすめの対策法とアイテムです。

■ステージ1:食事台を使う
…愛犬が食べやすい高さの食事台を用意する。食べる姿勢は前足に重心がかかるため、足元が滑りにくいようにマットを敷くなどの対策も効果的。

■ステージ2:斜めに固定できるフードボウルを使う
…奥まで食べやすいように、角度のついたフードボウルに変更する。

■ステージ3:食事の補助をする
…持ち手付きのフードボウルや介護用スプーン、シリンジなどを使い、飼い主さんが食べさせてあげる。

ちなみに、口の中にシリンジが入ってくる感覚はわんちゃんにとってあまり好まれる感覚ではないため、とても大人しい性格の子が噛みついてくるようなことも珍しくありません。

そのため強制給餌は愛犬の嫌がることをしなければならず、辛いと感じてしまう飼い主さんが多いです。また無理に延命を強いているようで人間のエゴではないかと考える方もいます。

考え方はそれぞれですが、うまく使えない舌や口の動きを手助けしてあげることができれば、お腹が空いているのに食べられないといったストレスを和らげてあげることにつながります。

シニアケアの本や獣医師から正しい食事介助を学び、できるだけ食事の補助をしてあげてください。

強制給餌用にはシリンジの他にも

・ペーストのフードを上顎にぬる
・キャップ付き液体容器で与える
・フードをふやかし喉に詰まらない大きさのお団子にして舌の奥に乗せる

などの方法があるので、愛犬に合った方法を探してみましょう。

また老犬の介護に便利なグッズは「老犬の介護グッズおすすめ8選」で紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。

飼い主さんオリジナル!老犬が食べない時におすすめの食材&与え方

ここからはINUNAVI編集部が独自に行ったアンケート調査・聞き込み調査・SNS調査から分かった、老犬の飼い主さん120人が実際に与えているおすすめの食材や与え方を紹介します。

食事量が減ってくる老犬には水分が多く栄養バランスのいいものが適していますが、なかなか食べてくれず、「何でもいいから少しでも口にして欲しい」という時もありますよね。

わんちゃんによっては合わないこともあるかもしれませんが、参考にしてみてください。

※老犬の飼い主100人への食事に関するアンケート

■老犬に人気の食材(多い順)

1位 ささみ(28票) 
2位 キャベツ(12票)
3位 ちゅーる(9票)
4位 さつまいも(7票)
5位 チーズ(6票)

その他
甘酒(米麹のもの)、ヤギミルク、野菜類(かぼちゃ、ブロッコリー、椎茸)肉類(ひき肉、豚レバー、サーロインステーキ、ローストビーフ)魚類(イワシ、マグロ、トロ)、パン類(蒸しパン、ツナパン、ハムパン、菓子パン)果物(すりおろしリンゴ、バナナ)カスタード、プリン、バニラアイス、ヤクルト、ノニピューレ、おかゆ など

■実践している与え方(多い順)

1位 温める・煮込むなど食材を柔らかくする(22票)
2位 ミキサーにかける・刻むなど食材を細かくする(13票)
3位 スプーンや手であげるなど食べるサポートをする(8票)
4位 4~9食にするなど少量に分けて与える(5票) 

5位 側にいる・少しでも食べたら褒めるなど愛情を示す(4票)

その他
食事内容を日替わりにする、少量ずつ起き餌にして食べたら足す、好きな食べ物の後ろに隠す、ゼリーに入れ込む、ごま油をかける など

食べない老犬に関するQ&A

ここからは、老犬が食べないときに飼い主さんが迷いがちなよくあるギモンについて、獣医師監修のもとお応えします。

Q1.必ず給餌量を食べきらなきゃいけない?

ドッグフード

A.必ず食べきらなくてはいけないということはありませんが、体重の減少が見られる場合は食べきってもらえるような工夫を行いましょう。

体重が減ったと感じる感覚はわんちゃんの体の大きさで多少異なりますが、小型犬なら100g減っただけでもそれなりの減少です。

数百グラム減れば見た目や触れたときに痩せたと感じることもあります。

わんちゃんがご飯を食べ残すようになってきたら、できるだけまめに自宅や動物病院で体重を測ると健康状態も把握しやすいです。

難しい場合はボディラインに触れて肉のつき方をチェックしてみてください。またお腹が空いたら食べるだろうと放っておいたりせず、食べる手助けをしてあげましょう。

Q2.全く食べない時は無理やりでも与えるべき?

A.わんちゃんの状態や飼い主さんの考え方によります。ですが全く食べることができない時は、無理やり与えようとしても食べられないでしょう。

本当に何も口に出来なくなってしまう時が来たら、もしかするとお別れの時期が近づいているのかもしれません。

余命はわんちゃんによって異なり、翌日の子もいれば、3日後、1週間後ということもあります。

場合によってはご飯の形状や与え方を変えたり、点滴を行い脱水を改善することで食欲が少し回復することもあるので、迷ったときはかかりつけの獣医師に意見を求めましょう。

もし何も手立てがないというときには、そっと側に寄り添ってあげてください。わんちゃんはきっと安心するはずですよ。

まとめ

愛犬が歳を取り、ご飯を食べなくなっていくのを見ているのは辛いですよね。編集部でもシニアのわんちゃんと飼い主さんたちの事を思い、涙ながらにこの記事を執筆しました。

飼い主さんはシニア期に入った愛犬への愛情がより増す一方で、心配事や不安になることも多いと思います。

でも、毎日精一杯生き、側にいてくれる愛犬のために前向きでいましょう!

最後に老犬が食べない5つの原因と対策をおさらいします。

この記事が少しでもお役に立てれば幸いです!

ABOUT ME

高橋 由紀那
犬の管理栄養士 / ペットフード安全管理者
【保有資格:犬の管理栄養士・ペットフード安全管理者・ペット災害危機管理士3級】ペットフードメーカーに6年勤務後、現在はINUNAVIライターとしてドッグフードを中心とした記事を数多く執筆。相棒はキャバリアのジタン(10歳)。犬が好き&犬が好きな人が好きです。好きな人たちの生活がより豊かになるような、経験を生かした正しい情報、一歩踏み込んだ内容の記事をお届けします。