公開 2021.02.12 更新 2021.04.02
愛犬のあくびが多い理由はストレス?病気?声をだす理由など解説!

愛犬のあくびが多い理由はストレス?病気?声をだす理由など解説!

人間と同じく、犬も眠気を感じるとあくびをする動物です。その姿はとても可愛らしく、癒されますよね。

しかし、たまに「えっ、今!?」というシチュエーションであくびをすることはありませんか?

例えば一緒に散歩をしているときや、イタズラをして𠮟っているとき、他の犬と遊んでいるときなど…

実は犬のあくびには「眠い」以外にもさまざまな気持ちが隠されているんです。

カーミングシグナルとして自分の思いを周囲に伝えるあくびや、病気のサインとしてのあくびなど、獣医師監修のもと様々なあくびの原因や理由について紹介します。

あくびをする犬の気持ちや意味は?シチュエーション別でご紹介

一言にあくびといっても、あくびの回数やそのときのシチュエーションによって、犬の気持ちや意味が大きく異なります。

ここでは犬の気持ちやシチュエーションとともに、あくびの回数が少ない順から4種類のあくびをご紹介します。①~③は頻繁にあらわれるあくびではありませんが、愛犬のあくびが④に当てはまる場合は動物病院で診てもらうことをオススメします。

①眠い

人間と同じく、犬も眠いときに無意識にあくびが出ます。そのあくびは生理現象によるものなので、病気のサインではありません。例えば、主に下記のようなシチュエーションのときに多くみられます。

■あくびのシチュエーション①眠い

  • 日当たりが良く、陽気がぽかぽかしているとき
  • お家のなかで、リラックスしているとき
  • 運動や散歩をしたあとで、疲れているとき

このとき犬は「眠い」「休みたい」「疲れた」という気持ちなので、ゆっくり休ませてあげましょう。

②自分の気分をリラックスさせたい

犬はストレスを感じたときにもあくびをします。あくびをすることで自分の気分をリラックスさせ、不安感や不快感を取り除こうとしています。

このあくびは病気のサインではありませんが、ストレスを感じている犬からの危険信号ともいえます。愛犬の気持ちを理解し、ストレスを感じさせない環境作りをすることが大切です。

■あくびのシチュエーション②自分をリラックスさせたい

  • 飼い主さんに叱られているとき
  • 飼い主さんがケンカしているとき
  • 飼い主さんとのコミュニケーション不足を感じたとき
  • 散歩や引っ越しなどで、見慣れない場所を訪れたとき
  • 留守番しているとき
  • 掃除機や車のクラクション、雷など大きな音を聞いたとき
  • 他の犬や人に初めて会ったとき

その他にも、

  • 体を震わせる
  • しきりに首を掻く
  • しきりに地面や床のニオイを嗅ぐ

などの仕草がみられる場合は、強くストレスを感じている恐れがあります。

③相手の気分を落ち着かせたい

他の犬とのケンカ中にもあくびをすることがあります。

このあくびも病気のサインではありませんが、ストレスを感じていることは間違いありません

これはあくびをすることで自分の気分をリラックスさせるためだけでなく、相手に「私はケンカしたくないよ」「そんなに興奮しないで」という意思を伝えています。

さらに飼い主さんに叱られているときに、「そんなに怒らないで」「もう許して」という気持ちを伝えています。

また相手を落ち着かせる以外にも、相手に自分の不快感を伝えることもあります。

飼い主さん以外の人に対して苦手意識を持つ子にとっては、頭や体を撫でられることに強くストレスを感じます。このときにあくびをする場合は、「もう触られたくない」という気持ちが込められています。

■あくびのシチュエーション③相手の気持ちを落ち着かせたい

  • 他の犬がケンカを仕掛けてきたとき
  • 飼い主さんに叱られているとき

あくびをする以外にも、

  • 目をそらす
  • ゆっくり歩く
  • 目の前に座る
  • 頭を低くする

などのカーミングシグナルを示した場合は、大きなストレスを感じています。

犬同士のケンカ中にこのような仕草がみられた場合は、ケンカがヒートアップする前にその場から立ち去りましょう。「怖かったね」「頑張ったね」と優しく声をかけ、撫でてあげると落ち着きます。

④体調が悪い

犬 病気これまでご紹介した通り、犬のあくびにはさまざまな気持ちが隠されています。

しかし、明らかにあくびの回数が多い場合は、病気を発症している恐れがあります。

■あくびのシチュエーション④体調が悪い

  • 何もしていないのにずっとあくびをしている
  • あくびの回数が急に増えた

あくびの回数が増えたことに加え、愛犬の体調にもさまざまな変化があらわれます。

次の項目で詳しくご紹介します。

犬にとっての危険なあくびの見分け方とは?

眠いときや軽度のストレスを感じたときなどのカーミングシグナルは、自分の気持ちを伝えようとしているので危険なあくびではありません。

以前と比べて明らかにあくびの回数が増えた見るたびにあくびをしているなどの変化があらわれた場合は、注意が必要です。

見分け方が難しい場合は、口臭の有無や歩き方、食欲や元気の有無、オシッコやウンチの状態などもチェックしてみましょう。

以下のような場合は、なんらかの病気の兆候である恐れがあります。

■危険なあくびのチェックシート

  • 口の中の状態はどうか?
    …口臭の有無
  • オシッコやウンチの状態はどうか?
    …回数や色、量など
  • 食欲はあるか?
    …ご飯を残すようになったなど
  • 歩き方に変化はないか?
    …足を引きずる、ふらつく、運動をしたがらない  など

あくびの回数が多い場合に考えられるのは「傾眠(ケイミン)」や「嗜眠(シミン)」と言われる状態で、軽い刺激ではっと目覚めますが注意力散漫、ぼーっとしている、うつらうつらして反応が鈍いなどの様子が見られます。

これは神経や内分泌の機能異常の可能性があるため、この状態がずっと続いたり、だんだんとひどくなるといった気になる仕草がみられたら、すぐに獣医さんに相談してみましょう。

犬のあくびにまつわるQ&A

ここでは、犬のあくびについてのウワサや疑問を解決していきます。

Q1.飼い主のあくびがうつるって本当?

A:メカニズムははっきりと解明されていませんが、飼い主さんのあくびは犬にうつります!

犬は人間の行動や気持ちを理解することに長けている動物なので、脳が反射的に真似をするのではないかと考えられています。

研究によると、自分と身近な存在であればあるほどうつりやすいそうで、飼い主さんのことが大好きで厚い信頼を持っている子は「真似したい!」と思っているのかもしれませんね。

Q2.声を出すあくびと声を出さないあくびの違いは?

A:声を出すあくびは「飼い主さんに伝えたいとき」、声を出さないあくびは「自分を落ち着かせるとき」

声を出すあくびは、自分の気持ちを早く飼い主さんに伝えたいときにあらわれます。

例えば、一人遊びに飽きて退屈なときに声出しながらあくびをした場合、「飼い主さんと遊びたいなあ」「構ってほしいなあ」と伝えています。また、ご飯の時間なのに飼い主さんがなかなか用意してくれないときは、声を出すことで「ご飯が食べたいなあ」と催促しています。

また、愛犬が声を出してあくびをした姿が可愛くて、つい普段よりも話しかけたりオヤツをあげてしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか?飼い主さんに構ってもらえたことが嬉しかったのを覚えていて、わざと声を出してあくびをすることもあるようです。

声を出さないあくびは「あくびをする犬の気持ちや意味は?」の章でご紹介した通り、シチュエーションによって変わります。

普段から愛犬の様子を観察して愛犬の苦手ものを把握し、異変にすぐ気付くことが重要となります。

Q3.散歩中によくあくびをするのは散歩がつまらないから?

A:散歩中のあくびは様々な意味がありますが、多くはつまらないからではなく「自分の興奮を抑えるため」です。

散歩中によくあくびをしていても、「散歩がつまらないのかな…」「散歩はストレスなのかな…」と心配する必要はありません。犬にとって散歩は、生きていくうえで重要なイベントの一つあり、外の空気に触れ、土や草花のニオイを嗅ぎ、他の犬や人と交流することは犬にとって重要な経験となり日々の楽しみになります。

とはいえ、散歩中あくびをするのは、自分の興奮を抑えるためと考えられます。

例えば、散歩中に苦手な犬や人が近づいてきたときや、見慣れない散歩コースを歩いているときなど。このようなときは不安感や緊張感をもっているため、自分を落ち着かせるためのあくびと考えられます。

愛犬にとって苦手なもの(他の犬や人、車、自転車など)が近づいてきた場合は、オヤツやオモチャなどでこちらに気を引かせ、愛犬にその存在を気付かせないようにします。通り過ぎたあとに散歩を再開しましょう。

また、散歩コースの急な変更は犬にとって大きなストレスを感じます。散歩コースを変更する場合は週に1回から始め、週に2回、3回と徐々に変更することをオススメします。

まとめ

飼い主とパグ人間と違い、あくび一つでたくさんの気持ちを表現するなんて驚きますよね。その姿も愛らしく、思わず写真や動画を撮る飼い主さんも多いでしょう。

しかし、回数が多い場合は病気が潜んでいることもあります。愛犬が出すカーミングシグナルに気付き、気持ちを理解することがとても大切になります。

あくびをするシチュエーションが多くて見逃してしまいがちですが、愛犬があくびをしたら「今どんな気持ちなのかな?」と少し考えるだけでも、愛犬との距離が縮まるでしょう。

 

ライター 古川 菜々

執筆者

ライター
古川 菜々
愛玩動物飼養管理士2級 / ペットセラピスト / ペット看護士 / 愛犬飼育スペシャリスト

過去にポメラニアン、ダルメシアン、イングリッシュ・コッカー・スパニエルを飼っていました。犬についてもっと知りたいと思い、帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士、愛犬飼育スペシャリストの資格を保有。文章を通してわんちゃんの魅力を発信できること、また多くの飼い主さんの悩みや不安を解決できることに魅力を感じ、動物ライターという仕事を選びました。「飼い主さんのお力添えに。わんちゃんの幸せの一助に。」をモットーに、私が書いた記事が飼い主さんとわんちゃんの幸せのお手伝いになれば嬉しいです。

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