調査トピック
・新型コロナに感染したときの愛犬のお世話について考えている飼い主さんは66.6%と多く、感染したら「家族に頼む」が62.2%で最多
・感染した飼い主さんでは「家族に頼んだ」が30.0%と実際にはなかなか難しい現状
・知人で感染した犬の飼い主さんでは「自宅療養で自分でお世話していた」人が多く、後に状況の変化で家族や友人、ペットホテルなどに預けていた
・新型コロナに感染しても、愛犬のお世話をする人がいないと「届け出をしないと思う」という飼い主さんも約2割
・コロナ禍での愛犬との生活で困ったことは「動物病院の利用制限」「ドッグランの閉鎖・休業」「散歩の回数が減った」など新型コロナはわんちゃんの生活にも影響
実際に新型コロナウイルスに感染した飼い主さんは2.0%!
■新型コロナウイルス感染の経験は?
・感染したことはない:94.4%(472人)
・感染したかもしれないが検査はしていない:3.6%(18人)
・実際に感染したことがある:2.0%(10人)
新型コロナウイルス感染の経験で最も多い回答は「感染したことはない」94.4%でした。
新型コロナウイルスは感染しても無症状の場合もあり、日本では積極的なPCR検査が行われないため、正確に感染していたかどうかはわかりませんが、9割以上の飼い主さんは「感染したことはない」と思っているようです。
一方で、「実際に感染したことがある」と回答した飼い主さんが2.0%おり、これは、日本の人口1憶2530万人(※2)に対し、これまでの新型コロナウイルスの累計感染者数が170万7,064人(※3)で1.4%ということを考えれば、決して少なくない数字と言えるでしょう。
(※2)参考:総務省統計局「人口推計ー2021年(令和3年)8月報ー」
(※3)参考:厚生労働省「国内の発生状況(令和3年10月12日0:00現在)」
新型コロナに感染した場合の愛犬のお世話について考えている飼い主さんは66.6%!
■感染した場合に愛犬のお世話をどうするか考えてる?
・考えている:66.6%(333人)
・考えていない:33.4%(167人)
感染した場合に愛犬のお世話をどうするか考えているかについて「考えている」と回答した飼い主さんは66.6%でした。
一方で「考えていない」と回答した飼い主さんが33.4%おり、連日新型コロナウイルスのニュースが流れ、1年以上もコロナ禍にあることを考えると、「考えていない」飼い主さんが多いように感じられます。
これは、新型コロナウイルス感染予防の問題点として度々挙げられている「自分は関係ない」「自分は大丈夫」といった、新型コロナウイルスを他人ごとに思っている人が実際に多く存在していることが浮き彫りになったのではないでしょうか。
わんちゃんの飼い主さんは、わんちゃんの命を預かっているという責任があり、自分がもし感染して入院などになったら愛犬のお世話をどうするかは考えておく必要があるでしょう。
アンケート回答者の属性
【アンケート回答者の属性】
■超小型犬の飼い主さん:12%(60人)
・1頭:56人
・2頭:3人
・3頭:1人
■小型犬の飼い主さん:62.4%(312人)
・1頭:269人
・2頭:35人
・3頭:7人
・4頭以上:1人
■中型犬の飼い主さん:21.2%(106人)
・1頭:95人
・2頭:8人
・3頭:2人
・4頭以上:1人
■大型犬の飼い主さん:4.4%(22人)
・1頭:17人
・2頭:4人
・3頭:1人
新型コロナに感染した場合は「家族に頼む」が62.2%と最多!
こちらでは、新型コロナウイルスの感染経験がない490人の飼い主さんが、感染した場合は愛犬のお世話をどうしようと考えているかを見ていきましょう。
■感染した場合の愛犬のお世話は?
・家族に頼む:62.2%(305人)
・自宅療養にして自分でお世話をする:10.2%(50人)
・ペットホテルに預ける:8.4%(41人)
・知人や友人に頼む:6.5%(32人)
・動物病院に預ける:6.3%(31人)
・考えていない:6.3%(31人)
※新型コロナウイルスの感染経験がない490人
感染した場合の愛犬のお世話について最も多い回答は「家族に頼む」62.2%でした。
ほかの回答に比べて圧倒的に多い結果となりましたが、これは愛犬のお世話を誰かに頼むということは、相手の迷惑を考えるだけでなく、きちんとお世話をしてくれるかの心配もあるということなのかもしれません。
家族であれば、頼みやすいといったことや、安心できるといったことが背景にあると推測できます。
また、前章で「考えていない」と回答していた飼い主さんも、この質問を機に愛犬のお世話をどうするか考えてくれたようで、「考えていない」と回答した飼い主さんはグッと減って6.3%となりました。
■年齢や性別によって傾向があるか分析してみた
■年代や性別による傾向まとめ
・20代女性はペットホテルに預ける
・30代、40代、50代の女性は自宅療養にして自分でお世話をする
・20代、30代、40代の男性は知人や友人に頼む
愛犬のお世話を誰に頼むのか、年齢や性別によって傾向があるか分析してみたところ、多くの飼い主さんは「家族に頼む」ですが、家族以外にお願いする場合は傾向があるようです。
30~50代の女性では「自宅療養にして自分でお世話をする」という回答が多く、普段から家族のお世話や愛犬のお世話をしているため、「自分がお世話をしないと」と思っていることが推測できます。
また、20~40代の男性では「知人や友人に頼む」という回答が多く見られ、女性と男性、ある一定の年代で異なるというのは、年代や性別による生活スタイルが関係していると考えられます。
年齢や性別による傾向の詳しい内訳
【年齢や性別による傾向の詳しい内訳】※対象490人
■女性:344人
【10代:3人】
家族に頼む:3人
【20代:114人】
家族に頼む:72人 / ペットホテルに預ける:13人 / 考えてない:11人 / 自宅療養にして自分でお世話をする:8人 / 知人や友人に頼む:5人 / 動物病院に預ける:5人
【30代:106人】
家族に頼む:75人 / 自宅療養にして自分でお世話をする:9人 / ペットホテルに預ける:7人 / 考えていない:7人 / 動物病院に預ける:5人 / 知人や友人に頼む:3人
【40代:78人】
家族に頼む:44人 / 自宅療養にして自分でお世話をする:15人 / 動物病院に預ける:9人 / 知人や友人に頼む:5人 / ペットホテルに預ける:4人
【50代:34人】
家族に頼む:19人 / 自宅療養にして自分でお世話をする:6人 / ペットホテルに預ける:3人 / 動物病院に預ける:3人 / 考えていない:2人 / 知人や友人に頼む:1人
【60代:9人】
家族に頼む:5人 / 動物病院に預ける:2人 / 自宅療養にして自分でお世話をする:1人 / 考えていない:1人
■男性:146人
【10代:2人】
家族に頼む:1人 / ペットホテルに預ける:1人
【20代:31人】
家族に頼む:20人 / 知人や友人に頼む:3人 / ペットホテルに預ける:3人 / 自宅療養にして自分でお世話をする:2人 / 考えていない:2人 / 動物病院に預ける:1人
【30代:45人】
家族に頼む:23人 / 知人や友人に頼む:6人 / 自宅療養にして自分でお世話をする:5人 /ペットホテルに預ける:5人 / 考えていない:4人 / 動物病院に預ける:2人
【40代:46人】
家族に頼む:27人 / 知人や友人に頼む:7人 / 動物病院に預ける:4人 / 自宅療養にして自分でお世話をする:3人 / ペットホテルに預ける:3人 / 考えていない:2人
【50代:15人】
家族に頼む:10人 / 知人や友人に頼む:2人 / 自宅療養にして自分でお世話をする:1人/ペットホテルに預ける:1人 / 考えていない:1人
【60代:7人】
家族に頼む:5人 / ペットホテルに預ける:1人 / 考えていない:1人
実際に感染した飼い主さんでは「自分でお世話をした」20.0%という回答も
実際に新型コロナウイルスに感染した10人の飼い主さんは、感染している間の愛犬のお世話をどうしていたのでしょうか。
■実際に感染した飼い主さんの愛犬のお世話の状況は?
・家族に頼んだ:30.0%(3人)
・自宅療養にして自分でお世話をした:20.0%(2人)
・知人や友人に頼んだ:20.0%(2人)
・動物病院に預けた:20.0%(2人)
・ペットホテルに預けた:10.0%(1人)
※実際に新型コロナウイルスに感染経験のある10人
実際に感染した飼い主さんのお世話の状況で最も多かったのは「家族に頼んだ」30.0%でした。
感染した飼い主さんの数が10人と少ないとはいえ、感染経験のない飼い主さんと比べてみると、家族に頼んだ飼い主さんの割合はそう多くないのではないでしょうか。
これは、家族と一緒に暮らしている場合では、家族も感染して入院や宿泊施設療養となったり、家族と別々に暮らしている場合では、自分が感染したことによってお願いしに行けないといったこともあるからだと推測できます。
また、「自分でお世話をした」と回答した飼い主さんが20.0%おり、感染しても無症状や軽症で自宅療養になったり、誰にもお願いできずに自宅療養を選択したといったことが考えられます。
■犬種や頭数によって傾向があるか分析してみた
犬種や頭数によって傾向があるか分析してみたところ、3頭以上のわんちゃんと暮らす飼い主さんでは「動物病院に預けた」と回答していることがわかります。
わんちゃんのお世話は簡単なものではなく、3頭以上にもなると預かってくれる人の住んでいる住居や生活面を考えると、例え親しい友人や知人であってもお世話をお願いすることが難しいことがうかがえます。
動物病院であればわんちゃんが体調を崩してもすぐに対処することができたり、きちんと散歩に連れて行ってくれるなど、わんちゃんの生態をわかっているだけに確かで安心と言えるでしょう。
犬種や頭数による傾向の詳しい内訳
【犬種や頭数による傾向の詳しい内訳】※対象10人
■1頭飼いの飼い主さん:6人
【超小型犬】
・知人や友人に頼んだ:1人
【小型犬】
・家族に頼んだ:2人
・自宅療養にして自分でお世話をした:1人
【中型犬】
・自宅療養にして自分でお世話をした:1人
・ペットホテルに預けた:1人
■2頭飼いの飼い主さん:2人
【超小型犬】
・家族に頼んだ:1人
【小型犬】
・知人や友人に頼んだ:1人
■3頭飼いの飼い主さん:1人
【小型犬】
・動物病院に預けた:1人
■4頭以上飼いの飼い主さん:1人
【中型犬】
・動物病院に預けた:1人
周りで新型コロナに感染した飼い主さんは「家から一歩も出ないで愛犬のお世話をしてた」という人も!
■周りのわんちゃんを飼っている人が感染したことはある?
・ない:93.4%(467人)
・ある:6.6%(33人)
周りのわんちゃんを飼っている人が感染したことは「ない」と回答した飼い主さんは93.4%でした。
しかし、「ある」と回答した飼い主さんが6.6%もおり、日本の人口と累計感染者数の割合が約1.4%であることを考えると、新型コロナウイルスは身近なものであると改めて感じられます。
実際に新型コロナウイルスに感染した周りのわんちゃんと暮らす人は、愛犬のお世話をどのようにしていたのでしょうか。
■周りのわんちゃんを飼っている人が感染したときのお世話は「自分」が最多!
■お世話の状況まとめ※多い順に記載
・自分でお世話していた
・家族に頼んでいた
・友人に預けていた
・ペットホテルに預けていた
・自分でお世話をしていたのち実家の家族
・自分でお世話をしていたのちペットホテル
・自分でお世話をしていたのち実家、更に友人
・ボランティア団体に散歩を依頼
・一緒に療養できる宿泊施設を探していた
周りのわんちゃんを飼っている人が感染したときの愛犬のお世話は「自分でお世話をしていた」が最も多いようです。
中には、「一緒に療養できる宿泊施設を探していた」という人もいるように、東京都ではペット同伴者用の宿泊療養施設を用意しています。(※4)
とは言え、その数は少ないことや、ほかの道府県では愛犬と一緒に宿泊療養できる施設はないため、愛犬のお世話を誰にお願いするかは考えておかなければいけませんね。
動物愛護団体によっては新型コロナウイルスに感染してしまった際に、ボランティアによる一時預かりや、お散歩の依頼をすることもできるため、わんちゃんの飼い主さんはそういった選択肢があることも知っておきましょう。
また、アニコムでは、ペット保険を契約している飼い主さんを対象にコロナ感染時の無償預かりも行っています。(※5)
(※4)参考:東京都福祉保健局「ペット同伴者用宿泊療養施設」
(※5)参考:アニコムホールディングス株式会社
■周りのわんちゃんを飼っている人が感染したときのお世話について実際のコメント
「ほぼ無症状に近い軽症で自宅療養のため、自分で世話をしたそうです。散歩だけでも近居のお子さんに頼もうか迷われたそうですが、リードなどを通して感染させたらいけないと思い、犬も一緒に部屋にこもったそうです」(女性 / 40代)
「散歩に行けないのが続くので、最初はわんちゃんと一緒に自宅待機していたが4日目くらいから感染した本人の親戚がわんちゃんだけわんちゃんホテルに連れてっていました」(男性 / 10代)
「自宅療養を保健所に頼んだとのことです」(女性 / 30代)
「家族全員で感染したため入院しないで済んだ家族がご飯と水を与え散歩には連れていけなくなって犬もろとも家から出ていませんでした」(女性 / 30代)
「本人は入院し犬は家族が世話していました」(男性 / 30代)
「実家に預けていたが、実家の家族も感染し大変困っていたので、我が家で預かりました。私も万が一実家もダメならその友人に預けるつもりです」(女性 / 20代)
「犬の世話に慣れている友人に頼んでいた」(女性 / 20代)
最初は自分でお世話をしていても、状況が変わって家族、更にほかの場所ということも少なくないようです。
現在は新型コロナウイルスのワクチン接種も進み、感染しても発症や重症化するリスクが少なくなるため、自宅療養となる人が増えることが想定できます。
しかし、それでも万が一、ということは常に考えておかなければいけませんね。
愛犬のお世話を考えると新型コロナに感染しても「届け出ないと思う」飼い主さんが19.0%!
■愛犬のお世話を考えた上で感染したときは保健所に届け出る?
・届け出ると思う:79.4%(397人)
・届け出ないと思う:19.0%(95人)
・実際に届け出てない:1.0%(5人)
・実際に届け出た:0.6%(3人)
愛犬のお世話を考えた上で感染したときの届け出で最も多い回答は「届け出ると思う」79.4%でした。
最近では民間の検査で新型コロナウイルスの陽性や陰性を知ることもできますが、陽性であっても民間の検査機関が医療機関と提携していなければ、自分で保健所に陽性反応があったことを連絡して指示を仰がなければいけません。
8割近い飼い主さんは「届け出ると思う」と回答しており、周りの人に感染を拡大させてはいけないと意識しているようです。
しかし、感染の有無に関わらず「実際に届け出た」と回答した飼い主さんは0.6%と少ないことがわかります。
これは、届け出をすると隔離されて入院や宿泊施設療養になってしまうというイメージが強いため、愛犬のお世話ができなくなるといったことも届け出を躊躇させてしまう要因の1つなのかもしれません。
みなさんの実際のコメントをご紹介します。
■「義務」「他人に迷惑をかける」から「届け出ると思う」
「万一感染した場合、適切な対応を取り早期回復することが出来れば愛犬に長期間寂しい思いをさせずに済むと思うので」(女性 / 30代 / 超小型犬飼い主)
「確かに愛犬も大事ですが、会社で働いている以上適切な処置をしなければ会社を始め自分に関わる関係各所に迷惑をかけるから」(男性 / 40代 / 小型犬飼い主)
「愛犬の事は心配だけれども、届け出を出さずに自己判断で家にいると、回りの人に迷惑をかけてしまうと思うので、感染したら連絡して指示を仰ぎたいと思います」(女性 / 30代 / 大型犬飼い主)
「基礎疾患があるので重症化する場合がある。もし、誰にも知られず命を落としたら、愛犬にまで悲しい思いをさせるから」(女性 / 40代 / 小型犬飼い主)
「愛犬は家族が面倒見てくれるし、やはり他の人への感染を考えると届け出ると思います。実際濃厚接触者になったときは届け出て、PCR陰性でしたが自粛対応しました」(男性 / 40代 / 小型犬飼い主)
多くの飼い主さんは、「周りに迷惑をかけないように届け出を行う」とコメントしていました。
「自分が倒れては愛犬に迷惑がかかるからちゃんと治療をしたい」といったコメントもあり、愛犬のためにも届け出をして保健所の指示に従うと思っているようです。
■「お世話する人がいない」「周りの目が怖い」から「届け出ないと思う」
「重症にならない限り、自分で愛犬の世話などはしたいので」(女性 / 20代 / 超小型犬飼い主)
「愛犬を巻き込みたくないので、届けでずに、家で引きこもります」(女性 / 20代 / 中型犬飼い主)
「他の人に感染させないようにするためにも届け出るべきだと思うが、老犬で失神を起こしたまに心臓が止まってしまうから心臓マッサージが必要で、動物病院ならともかく、他の人にできるとは思えないし、他にもお世話がたくさんあるから任せられない」(女性 / 40代 / 小型犬飼い主)
「生活が困窮してしまう可能性があり、ペットホテルの利用が厳しくなるため」(男性 / 20代 / 小型犬飼い主)
「老犬でペットホテルでは預かってくれないし、家族も頼りにならないので、無症状なら届け出ないかもしれないです」(女性 / 40代 / 小型犬飼い主)
「届け出ない」という飼い主さんの半数以上が「愛犬のお世話をする人がいない」とコメントしていました。
しかし、愛犬とは関係なく、「治療薬もないしただ療養するだけだから報告する意味がない」「必要性を感じない」「世間体が気になる」といったコメントも多く見られ、単純に届け出をすると大事になって面倒だと思っている飼い主さんもいるようです。
また、
「ただの風邪でいちいち報告する必要性が感じられないため」(男性 / 20代 / 中型犬飼い主)
といったコメントもあり、度々指摘される新型コロナウイルスに対する危機感の薄さも関係しているのかもしれません。
■実際に感染した飼い主さんのコメントも!
「実家の両親も猫を飼っている為、お互いにコロナにかかった際にはペットの世話を代わりにする約束をしていたので、保健所に迷わず電話をしました」(女性 / 20代 / 小型犬飼い主 / 届け出た)
「もし自分が入院まで重症化したなら身内などに頼ろうと思っていたので自分が感染したことは申告する義務があると思ったから」(女性 / 20代 / 中型犬飼い主 / 届け出た)
「自分が入院などになってしまったら愛犬のお世話をする人がいなくなってしまうから」(男性 / 50代 / 小型犬飼い主 / 届け出ないと思う)
実際に感染した飼い主さんでは、家族に頼れる状況であった場合は届け出をためらうことはなかったようです。
しかし、1度感染した飼い主さんであっても、再び感染したら「届け出ないと思う」という回答もあり、療養生活が不便であったことがうかがえます。
周りでわんちゃんが新型コロナに感染したと聞いたことがある飼い主さんは3.8%!
■周りでわんちゃんが感染したと聞いたことがある?
・聞いたことはない:96.2%(481人)
・聞いたことがある:3.8%(19人)
周りでわんちゃんが新型コロナに感染したと「聞いたことはない」と回答した飼い主さんは96.2%でした。
日本ではあまりわんちゃんが感染したというニュースは取り上げられていませんが、「聞いたことがある」と回答した飼い主さんが3.8%いるように、わんちゃんにも新型コロナウイルスの影響は少なからず出ているようです。
オランダの研究では、飼い主さんが感染した場合にわんちゃんにうつしてしまうことが確認されており、その陽性率は約2割(※6)、カナダの研究ではわんちゃんの陽性率が約4割(※7)という結果も。
また、実際に日本でもわんちゃんの新型コロナの陽性反応が確認されていることから、わんちゃんが感染しても何ら不思議はありません。
アニコムグループでは、2020年4月10日より新型コロナウイルスに感染した方の飼育するペットをお預かりするプロジェクト『#StayAnicom』を実施し、コロナウイルスの感染予防に配慮したお預かりを行うため、ペットに対するPCR検査を行ってまいりましたが、今般お預かりした2世帯の犬2頭において、「陽性」の結果が確認されましたので、公表いたします。
引用:アニコム ホールディングス株式会社
今のところ、わんちゃんが新型コロナに感染しても目立った症状はなく、人間にうつすこともありませんが、人間からうつしてしまうことがあるため十分に注意してあげましょう。
(※6)参考:BBC NEWS
(※7)参考:Infectious Disease
愛犬が新型コロナに「感染したかもしれない」と思う飼い主さんは2.0%!
■愛犬が感染したと思う?
・愛犬が感染したと思わない:97.6%(488人)
・愛犬が感染したかもしれない:2.0%(10人)
・愛犬に感染したと思う:0.4%(2人)
愛犬の新型コロナ感染について最も多い回答は「愛犬が感染したと思わない」97.6%でした。
わんちゃんは一人で自由に外を歩き回るといったことはないため、飼い主さんやわんちゃんに接触する人が感染していなければわんちゃんにうつるリスクは低いです。
しかし、「愛犬が感染したかもしれない」や「愛犬に感染したと思う」と回答した飼い主さんも2.4%おり、どうしてそう思ったのでしょうか。
実際のコメントをご紹介します。
「犬に感染した事例を知らない」「検査するかも」といったコメントも!
■実際のコメント
「(感染したと思わない)至って愛犬は元気だったから」(女性 / 20代 / 中型犬飼い主 / 感染経験あり)
「(感染したと思わない)事例がないし、もし感染事例があったら感染がもっと広がっててもおかしくないから」(男性 / 30代 / 小型犬飼い主 / 感染経験なし)
「(感染したと思わない)濃厚接触者に指定された時点で愛犬とは接触しておらず、周囲への感染も広がっていなかったから」(女性 / 20代 / 小型犬飼い主 / 感染経験あり)
「(感染したかもしれない)正直わからないため検査するかもしれない」(男性 / 20代 / 小型犬飼い主 / 感染経験なし)
「(感染したかもしれない)絶対に感染していないという確かな検査結果などの証拠がないので」(女性 / 40代 / 小型犬飼い主 / 感染経験なし)
多くの飼い主さんが、「わんちゃんが新型コロナに感染したという事例がないから愛犬は感染していない」とコメントしていました。
「感染したと思う」と回答した飼い主さんでは、「最悪のことを考えて」といった万が一の想定で回答しており、わんちゃんに何か症状があったとかではありませんでした。
わんちゃんが感染しても無症状であることも多く、人間にうつす恐れがないことからPCR検査などをすることもありませんが、基礎疾患があるわんちゃんや免疫力の落ちたわんちゃんでは重症化する可能性もあるため、愛犬の健康変化には注意しましょう。
新型コロナで愛犬との生活に困ったことは「愛犬との行動の制限」
■コメントまとめ
・動物病院を気軽に利用できなくなった
・動物病院の利用制限による不便がある
・ドッグランやドッグカフェが利用しづらくなった
・ドッグランやドッグカフェの閉鎖や閉店、休業
・犬のオフ会やイベントが開催されなくなった
・散歩コースや時間帯の変更を余儀なくされた
・散歩の回数やお出かけ回数が減ってしまった
・散歩中の他の人や犬とのコミュニケーションがなくなった
・散歩中に愛犬にウイルスが付着したのではないかと不安
・犬の行動に制限がかかってストレスになっている
・在宅時間が増えたことによる愛犬の負担
・トリミングサロンを利用しづらくなった
・犬の新型コロナ感染に関する情報が少ない
わんちゃんの飼い主さんがコロナ禍で困ったことに挙げていたのは、動物病院を受診しづらくなったことや、愛犬の行動制限によるストレスの心配でした。
また、わんちゃんの新型コロナウイルス感染の情報が少なく、感染したらどうなるのか、予防はどうするのかといったコメントも見られました。
コロナ禍における愛犬との生活で困ったことの実際のコメントをご紹介します。
■困ったことの実際のコメント
「在宅する機会が増えて、子どもが家にいる時間が増えたので週末などは犬が疲れているように感じます」(男性 / 30代 / 超小型犬飼い主)
「ドッグランが大好きな我が家の愛犬達ですが、今は入れず心なしか元気がないようです」(女性 / 20代 / 小型犬飼い主)
「愛犬の病院にかかるのにも、色々と制約があったりと気軽に受診できなくなった。ドッグランに行っても、先客がいたら利用しづらいくなった」(女性 / 40代 / 小型犬飼い主)
「これまで行っていたドッグラン、ドッグカフェが閉鎖若しくは短縮営業され行けなくなった事」(男性 / 40代 / 小型犬飼い主)
「犬も感染すると聞いたことがあるが、あまりその情報がない」(女性 / 40代 / 中型犬飼い主)
「大型犬のオフ会に参加していたのに、コロナの関係で集まれなくなっている」(女性 / 30代 / 大型犬飼い主)
「飼い犬がほかの犬大好きで、散歩中によく触れ合ったりしていたのですが、今はそれができないことを理解できず、すぐに寄って行ってしまってほかの飼い主さんに迷惑をかけてしまう」(女性 / 20代 / 超小型犬飼い主)
他にもこんな困ったことが!
「在宅ワークや外出自粛などで家にいることが多く、一緒に過ごす時間が増えたことで、分離不安になり、留守番させるのが大変になってしまった」(女性 / 50代 / 小型犬飼い主)
「子犬のうちにパピーパーティーに連れて行ったり、他の人にあったりして社会化を身につけたかったが、開催がなくなってしまったり人が家にくることができなくなってしまい社会化がうまくできなかった」(女性 / 30代 / 小型犬飼い主)
「月に一度トリミングをしてもらっているのですが、コロナで1日の予約件数を減らされていたので、なかなか予約が取れなかったです。コロナは動物にも移ると聞いていたので、トリミングだけでも連れて行くのは少し抵抗がありました」(女性 / 30代 / 超小型犬飼い主)
「困ったまではいきませんが、かかりつけの動物病院の先生の1人がコロナに感染し、担当の先生が濃厚接触者に認定されて休むことになり、決まっていた通院日にいなくて他の先生に診てもらったけど、カルテはあっても愛犬のことをわかっているわけではないので、いつもしている検査内容や薬の相談ができず、結局担当の先生が戻ってきたらまた来てくださいと言われて、二度手間になってしまった」(女性 / 40代 / 小型犬飼い主)
「私が困っているのは愛犬との散歩です。散歩であまり人に近づかないようにするため、愛犬のリードを強めにコントロールすることが多くなりました。愛犬に申し訳ないと思うのですが、今の時期仕方がないとあきらめています。以前のように愛犬の自由意志に任せた散歩をさせてあげたいです」(男性 / 40代 / 小型犬飼い主)
「周りの人々が犬に対しても殺伐とした態度になっていると思います」(男性 / 20代 / 中型犬飼い主)
「収入が減ったのでペットにかけるお金も節約しなくてはいけないこと」(男性 / 30代 / 小型犬飼い主)
わんちゃんの飼い主さんが困ったことの多くは、コロナ禍前のようなわんちゃんとの生活が送れないことのようです。
新型コロナウイルスの影響は人間だけでなく、わんちゃんの生活にもさまざまな影響を及ぼしていることがよくわかりますね。
まとめ
・自分が感染したら愛犬のお世話を「家族に頼む」と回答した飼い主さんが62.2%
・実際に感染した飼い主さんの中には「自分でお世話をした」という人が2割いた
・「愛犬のお世話をする人がいない」といった理由で感染しても「届け出さないと思う」という飼い主さんも2割
・コロナ禍で愛犬との生活で困ったことは「動物病院」や「ドッグラン」の利用のしづらさ
新型コロナウイルスの感染者数が減少し、緊急事態宣言も解除されている今、少しづつコロナ禍前の日常に戻りつつあります。
しかし、すでに予想されているのが第6波の感染拡大。
いくら自分がワクチン接種をしていても、感染すれば愛犬や他の誰かにうつしてしまう可能性があるだけでなく、自分自身が発症して重症化しないとは限りません。
今回のアンケートに協力してくれた飼い主さんの中には、
「今回初めて考えました。ペットホテルなども、コロナを出したら預かってくれなさそうな気がします」(女性 / 50代 / 小型犬飼い主)
とコメントしてくれているように、治療法も確実な予防法もない今の状況では、誰にいつ何が起こっても不思議ではなく、改めて愛犬のお世話について考えておく必要があるのではないでしょうか。
今回のアンケート内容
【アンケート調査概要】
・アンケート内容:新型コロナウイルスに感染したときの愛犬のお世話に関するアンケート
・調査方法:インターネット調査
・調査対象:10代~60代のわんちゃんと一緒に暮らす飼い主さん500人【男性150人 / 女性350人】
・アンケート実施期間:2021年10月4日~10月6日
【アンケート項目】
Q1:飼っている犬種を教えてください
Q2:飼っているわんちゃんの頭数を教えてください
Q3:新型コロナウイルスに感染の経験はありますか?
Q4:新型コロナウイルスに感染して入院や宿泊施設療養になったら、愛犬のお世話をどうするか考えていますか?
Q5:新型コロナウイルスに感染したら愛犬のお世話はどうしますか?感染した経験のある人はどうしましたか?
Q6:周りのわんちゃんを飼っている人が新型コロナウイルスに感染したことはありますか?
Q7:その人はわんちゃんのお世話をどうしていましたか?
Q8:現在は民間でも検査することができますが、愛犬のお世話を考えた上で感染したときは保健所に届け出ますか?
Q9:愛犬が新型コロナウイルスに感染したと思いますか?
Q10:周りでわんちゃんが感染したと聞いたことはありますか?
Q11:新型コロナウイルスが蔓延している現在、愛犬との生活で困ったことは何ですか?
執筆者
- ペットライター
-
たかだ なつき
- JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー