公開 2021.11.29 更新 2022.02.01
わんちゃんの療法食の品薄や高額転売問題に迫る!実際に手に入らず困っている飼い主さんはいる?【飼い主156人アンケート】

わんちゃんの療法食の品薄や高額転売問題に迫る!実際に手に入らず困っている飼い主さんはいる?【飼い主156人アンケート】

近年、飼い主さんの愛犬に対する健康意識も高まり、高品質なドッグフードが販売されたり、さまざまな種類の療法食が販売されるようになりました。

しかしこの1年、わんちゃんの療法食に異変が起こっていることをご存知ですか?

療法食が高額で転売されて、購入できずにいる飼い主さんがたくさんいるのです。そればかりか療法食が手に入らず、命の危機にさらされているわんちゃんも。

一方で、病気の診断を受けた、血液検査で数値が悪かったなど、獣医師の指示なく療法食を購入して愛犬に与えている飼い主さんもおり、それがますます品薄状態や高額転売に拍車をかけることとなっています。

そこで今回INUNAVIでは、全国のわんちゃんの飼い主さん156人を対象に「療法食・療養食に関するアンケート」を実施して、療法食に対する飼い主さんの意識調査を行いました。

そもそも療法食の品薄状態や高額で転売されていることを知っているのか、またそのことについてどう思うかなど、飼い主さんの療法食に対する認識についてご紹介します。


※この記事で使用される百分率(%)は各項目の数値が割り切れない場合、その総数が99.9%〜100.1%の間で変動致します。

調査結果まとめ

①犬の療法食の品薄状態が続いていることを知っている飼い主は15.4%と少なく、「実際に療法食が手に入りづらくて困っている」という飼い主も0.6%いた。

②犬の療法食が高額で転売されていることを「知らない」飼い主は87.8%いたが、この現状を知って「飼い主の弱みにつけ込んでいて悪質」「許せない」といったコメントが多数見られた。

③実際に愛犬に療法食を与えている飼い主は30人だが、23人の飼い主は知らなかったことから療法食の種類によっては影響がなかったことがわかった。

④ここ1年の間で療法食が手に入りにくくなり「一般食と混ぜて与えるように獣医師に指示された」という飼い主や「値段にびっくりして購入しなかった」という飼い主もいた。

わんちゃんの療法食が品薄状態になっていることを知っている飼い主さんは15.4%と少ない

わんちゃんの療法食の品薄状態が続いてることを知ってる?

■わんちゃんの療法食の品薄状態が続いていることを知ってる?
・知らない:84.0%(131人)
・知っている:15.4%(24人)
・実際に療法食が手に入りづらくて困っている:0.6%(1人)

わんちゃんの療法食が品薄状態であることを「知っている」と回答した飼い主さんは15.4%でした。

「実際に療法食が手に入りづらくて困っている」と回答した飼い主さんも0.6%おり、本当に療法食を必要としているわんちゃんの飼い主さんにとっては死活問題と言えるでしょう。

わんちゃんの療法食が品薄になった背景には、

・新型コロナウィルスの感染拡大で原材料の調達の遅れや輸送の遅れ
・おうち時間が増えたことによる世界的なペットブーム
・わんちゃんの健康に気を配る飼い主さんが増えた
・療法食の品薄につけ込んだ転売ヤーによる買占め

といったことがあります。わんちゃんの療法食は海外ブランドのものが多く、新型コロナウィルスの感染拡大はわんちゃんの療法食にも影響をもたらしたようです。

大手メーカーでは、原材料の調達が回復できても、今度は生産が追い付かずに販売を一時休止する(※1)ということまで起こっています。

品薄状態であることを「知らない」と回答した飼い主さんは84.0%と多く、このことはアンケートに協力してくれた飼い主さんだけでなく、多くの飼い主さんが知らないことが想定できます。

多くの飼い主さんが療法食の正しい使用目的を知らず「健康のために」「病気の予防に」と、もし与える必要のない愛犬に療法食を与えていたら、品薄状態はなかなか回復されないでしょう。

(※1)参考:日本ヒルズ・コルゲート株式会社「ヒルズ サイエンス・ダイエット缶詰製品の生産遅延について」

■実際にこんなことも!

実際にわんちゃんの療法食の使用について調査した結果では、療法食を愛犬に与えている飼い主さんの約2人に1人が誤った使用目的をしていることがわかりました。

療法食(メーカーによっては療養食としている)は特定の病気や健康状態によって食事療法が必要なわんちゃんに、獣医師が飼い主さんの自宅での診療行為の一環として使用する目的のフードです。

わんちゃんの療法食が目的とは異なることに使用されることは、2013年にも日本獣医師会が問題提起(※2)をしています。

(※2)参考:日本獣医師会小動物臨床部会療法食の在り方検討委員会「療法食の適正使用に向けた課題と対応」

犬の療法食の正しい使用目的を知ってる?「病気の予防」「体に良さそう」で使用する飼い主さんも!【飼い主156人アンケート】
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わんちゃんの療法食が高額で転売されていることを知っている飼い主さんは12.2%と少ない現状

わんちゃんの療法食が高額で転売されていることを知ってる?

■わんちゃんの療法食が高額で転売されていることを知ってる?
・知らない:87.8%(137人)
・知っている:12.2%(19人)

わんちゃんの療法食が高額で転売されていることを「知っている」と回答した飼い主さんは12.2%でした。

「知らない」と回答した飼い主さんは87.8%おり、公に問題視されていないことがこの結果となったのではないでしょうか。

わんちゃんの療法食は動物病院だけでなく、種類によってはネット通販やホームセンターなどでも普通に購入することができます。

しかし、愛犬に必要がなければ療法食の現状を知る由もないため知らなくても不思議はありませんが、この結果は現在愛犬に与えているフードも関係しているのでしょうか。

■高額転売の認識と与えているフードを分析してみた

高額転売との認識と与えているフードを分析

【高額転売の認識と与えているフードの詳しい内訳】
■知っている:19人
・普通のフードを与えている:8人
・療法食・療養食を与えている:7人
・普通のフードを与えているが療法食・療養食を検討している:4人

■知らない:137人
・普通のフードを与えている:90人
・療法食・療養食を与えている:23人
・普通のフードを与えているが療法食・療養食を検討している:15人
・手作りごはんを与えている:9人

現在与えているフードが関係あるのか分析してみたところ、「知らない」と回答した飼い主さんの中には現在療法食を愛犬に与えている人も23人おり、療法食の種類によってはあまり影響を受けなかったことがうかがえます。

わんちゃんの療法食が高額で転売されていることを知った飼い主さんたちは、この問題をどう感じているのでしょうか。実際のコメントをご紹介します。

高額で転売されていることを知って「許せない」「悪質」「悲しい」と言う声も!

■「知らない」実際のコメント

「大変残念な事です。愛犬は、元気で長く生きてほしいとみなさん思います。そこに付け込んだ悪徳商法だと思います。私たちはきちんとした情報が欲しいです」(男性 / 50代)

「本当に困っている人に高額での転売なんて不愉快」(女性 / 50代)

「わんちゃんの療法食、人間で言うところの治療食が利益のためにやりとりされていることは許し難い」(女性 / 20代)

「転売によって品薄に繋がると思うので、制限が必要だと思います」(女性 / 40代)

「人の弱みに付け込んで商売をするとはなさけない」(男性 / 40代)

まだまだほかにも!飼い主さんの怒りの声が多数

「転売そのものがイメージが悪く嫌悪感があるのに、命に関わってくる療法食が転売されるのは腹立たしい以外ない」(女性 / 30代)

「悲しいが、大切な子の為なら購入してしまう気がする」(女性 / 30代)

「どの分野にも転売屋がいるんだとある意味感心してしまいます。ですが、ペットも家族の一員と考えているので転売屋の撲滅を望みます。自分たちの利益のために大切な家族の命を危険にさらすような行為はしてほしくないです」(女性 / 30代)

「売る方も悪いが買う人がいるから転売が無くならないと思う」(女性 / 30代)

「まず療法食が高額で転売されていることを知らなかったし、転売されている療法食を買ってしまうと、様々な悪循環があることを知って驚きました」(女性 / 20代)

「ひどいと思います。犬ではなくて猫の話ですが、このコロナ禍で猫を病気で失いました。その間療養食(ヒルズのa/d缶やz/d缶)がどんどん品薄になり、値が上がっていき、次第に入荷しなくなったのも見届けました(値上がり前のとても安いときに購入していたので信じられないことでした)。猫が亡くなった時にまだかなり残っていたので「メルカリで売れば」と子供に言われましたが(本当に困っている方に赤字でもいいので届けたいと思ったので少しは考えましたが)、もっと困っているであろう動物保護団体にすべて寄付しました。今この記事を読んで、メルカリで手放さなくて本当に良かったと思いました」(女性 / 40代)

今回のアンケートでは、療法食が品薄で高額で転売されている記事(※3)を読んでもらいました。そのため、ほとんどの飼い主さんが怒りや悲しみのコメントをしてくれました。

これらのコメントが転売目的に購入している人の目に触れるかはわかりませんが、届いてほしいと願うばかりです。

(※3)参考:Sippo「ペット療法食の高額転売 危険性を指摘する獣医師に聞いた、飼い主に知ってほしいこと」

■「知っている」実際のコメント

「持病があるワンちゃんを飼っている知人が、買えないと悩んでいます。命に関わる物の転売は本当にやめて頂きたい」(男性 / 40代)

「人間用の医療品もそうですが、必要としている人がいると知っていてそういう商売をするのは人間として最低だし、もっと厳しく取り締まるべきではないかと思う」(女性 / 20代)

「わんちゃんの治療に必死な飼い主に対して失礼だと思う」(女性 / 50代)

「必要ないのに療法食を愛犬にあげる飼い主さんがいて、品薄になってしまうことで高額になり、本当に必要としているわんちゃんが食べられないというのはもっと周知すべき」(女性 / 40代)

「有り得ません。品切れ時だったらたいていの飼い主は転売でどんなに高くても購入すると思います。そんな飼い主の気持ちを逆手にとって儲けるなんて酷すぎます。すぐに止めて欲しいです」(女性 / 50代)

まだまだほかにも!療法食の高額転売に法整備を!

「療養食は代えがきかないものもあると思うので本当にやめてほしい」(女性 / 30代)

「わんちゃんのお食事を利用してお金儲けする考え方に遺憾を覚えます」(女性 / 20代)

「本当に必要としているところに行かないのは腹立たしい。コロナ禍でマスクが高額で取引された時のように法的に規制してほしい」(男性 / 40代)

「命に関わる物を転売するなと思うし、そもそも高額転売が嫌い」(女性 / 30代)

「本当に必要な人(ペット)が適正価格でフードを購入できないのはもってのほか。オンライン署名をしました。命に関わることなので法整備をしてほしい」(女性 / 50代)

わんちゃんの療法食が高額で転売されていることを「知っている」飼い主さんも怒りのコメントが多く、法整備を求める声もありました

現在、1人の獣医師の働きかけによって(※4)フリマアプリやオークションサイトなどでは、療法食の高額転売を一時的に規制する動きになり、ネット通販サイトでも通常の値段に戻ってきています。

また、このことにより多くのメーカーが療法食の転売を防ぐ取り組み(動物病院にしか卸さない)を自主的に始めました。しかし、いまだにネット通販サイトで販売しているメーカーもあり、療法食の欠品や品薄状態が続き再び高額転売が起こることが危惧されています(※5)

(※4)参考:Change.org「【STOP!療法食の高額転売!】 犬猫の療法食の高額転売の禁止を ネット通販、フリマアプリ、 インターネットオークションサイト 運営者に求めます!」
(※5)参考:Change.org「【No More!品薄による高額転売!】犬猫療法食の転売対策を日本ヒルズ・コルゲート株式会社に求めます!」

実際に品薄や高額で転売されることで「購入に躊躇した」「一般食と混ぜた」という飼い主さんも!

■コメントまとめ

・実際に品薄で一般食と混ぜるように獣医師に指示された
・値段を見てびっくりして購入しなかった
・もうすぐなくなり手に入らないため代わりを探さないといけない
・動物病院でも入手しにくい
・療法食を探し回っている飼い主さんがいる
・療法食が手に入らず獣医師の指示で手作りごはんで対処している飼い主さんがいる

療法食が品薄や高額で転売されるようになったのはここ1年くらいの間ですが、その1年で飼い主さん自身や、周りの飼い主さんで困っていることを教えてもらいました。

実際のコメントをご紹介します。

■実際のコメント

「獣医師のもとにも療法食が品薄になっている(理由は不明)ので、一般食と混ぜて使うよう指示されたことがあった」(男性 / 60代)

「こちらのこのアンケートで、この件を知り有り難く思っています。今、フードの名前を調べるためにお店のサイトを開いたら、品薄になっていました。買えなくなれば困ります」(女性 / 50代)

「実際には購入してませんが、療法食を探そうとしてとても高くてびっくりしたことはあります。疑いの目を持てたので購入には至りませんでした」(女性 / 20代)

「ヒルズプリスクリプションダイエットのU/D缶が手に入らなくなってしまった。もう少しで自宅にあるものを使いきってしまうため、代わりのものを探さなくてはならない」(女性 / 30代)

「とにかく高額なので家計が大変だという話はよく聞く」(女性 / 40代)

まだまだほかにも!

「z/d缶やa/d缶がまたネットで買えるようになっていますが(一時期は全く表示されませんでしたが)、今見たら以前の2倍以上の3倍近い値段で驚いています。近所のお店でも高値になっていっていて不思議でしたが、これではいざという時とても困ります」(女性 / 40代)

「動物病院の受付で、コロナにより流通が滞っており、入手しにくいと貼ってあった」(女性 / 50代)

「持病を持つワンちゃんを飼っている知人がおりますが、療養食が入手困難なので獣医師と相談しながら手作り療養食を与えているそうです」(男性 / 40代)

「周りのシニア犬の飼い主が消化器サポートの缶詰を与えているがなかなか手に入らなくて探し回っていた」(女性 / 30代)

「腎不全のわんちゃんが腎臓ケアの缶詰めが手に入らなくて困っていた知人がいて、あちこちに声をかけたり探して歩いていた」(女性 / 40代)

「年末に切らしてしまい困ったことがあり、以降余剰を持つことにしたので特に困った経験がありません」(女性 / 50代)

「保護施設などで療養食が不足しているとSNSを介して知りました。早くこの問題が解消されることを願います」(女性 / 40代)

「手に入りにくい」「値段にびっくりした」といったコメントがあり、愛犬に療法食を与えている飼い主さんにとって現在の状況は不安でしかないでしょう。

病気の治療の一環としての療法食ですが、動物病院でも品薄というのは治療にも影響を及ぼしかねず問題ですね。

まとめ

・療法食の品薄状態を「知らない」飼い主さんは84.0%
・療法食が高額で転売されていることを「知らない」飼い主さんは87.8%
・療法食が高額で転売されていることを知り「許せない」「悪質」といったコメントが多数
・実際に療法食が手にはいりにくく困っている飼い主さんは0.6%いる

今回は、わんちゃんの食事療法に必要な療法食の現状についてご紹介しました。

現在、愛犬に療法食を与えていない飼い主さんや、愛犬に療法食を与えていても愛犬の食事療法に関係のない療法食が欠品や品薄状態であることや、高額で転売されていることを知らないということは何の不思議もなく、当然と言えば当然のことでしょう。

しかし、もし愛犬が重篤な病気となり、療法食が絶対に必要でも手に入らなかったら…?そう考えると、とても恐ろしいことですね。

実際に手に入らず困っている飼い主さんはたくさんおり、つい先日も動物病院で聞いてみましたが、種類によってはまったく入荷のメドが経っていないと動物病院ですら困っていました

いつまで療法食の品薄状態が続くかはわかりませんが、需要と供給が追い付いていない今、改めて療法食の与え方や販売方法を見直す必要があるのではないでしょうか。

今回のアンケートについて

【アンケート調査概要】
アンケート内容:わんちゃんの療法食・療養食に関するアンケート
調査方法:インターネット調査
対象者:全国の10代~60代の犬の飼い主さん156人(男性43人 / 女性113人)
アンケート実施期間:2021年11月9日~11月15日

【アンケート項目】
・愛犬の健康状態を教えてください
・現在わんちゃんの療法食の品薄状態が続いていることを知っていますか?
・現在、愛犬に療法食・療養食を与えていますか?
・療法食を与えている・検討している理由を教えてください
・療法食の主な購入場所を教えてください。また、与えるとしたらどこで購入しますか?
・もし、愛犬に与えている療法食と同じものが動物病院よりも安くネットで購入できるとしたらどうしますか?
・わんちゃんの療法食が高額で転売されていることを知っていますか?
・獣医師の指示がないわんちゃんに療法食を与えることをどう思いますか?
・ここ1年くらいの間で療法食や療養食で困ったことがあれば教えてください。また周りの飼い主さんで困っている人がいればそのエピソードを教えてください

ペットライター たかだ なつき

執筆者

ペットライター
たかだ なつき
JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー

18歳のチワックスと1歳のチワックス、ポメチワ、0歳のチワックスの4匹と暮らしています。これまで愛犬チワワと2匹のミニチュアダックスたちの闘病・介護生活の経験から、犬の健康や介護について学びを深めペットにまつわる様々な資格を取得し、老犬のトータルケアサロン開業に向けて準備中です。

【保有資格:ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー / JKC愛犬飼育管理士 / YMAA薬機法・医療法適法広告取扱個人認証規格

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