愛犬に毎年ワクチン接種はしている?
■毎年のワクチン接種を受けている割合
・している・いた…80.9%(385人)
・その時によって打ったり打たなかったり…13.0%(62人)
・していない・いなかった…6.1%(29人)
愛犬に毎年ワクチン接種を「している・いた」と回答した飼い主さんは80.9%という結果になりました。
わんちゃんの状態や病気によってはワクチン接種を受けなくていいこともありますが、8割以上の飼い主さんは毎年愛犬にワクチン接種をしているようです。
みんなワクチンは何種を打っている?
■接種したワクチンの種類
・狂犬病ワクチンだけ…37.8%(180人)
・2種混合…8.2%(39人)
・3種混合…9.7%(46人)
・4種混合…2.5%(12人)
・5種混合…7.4%(35人)
・6種混合…3.8%(18人)
・7種混合…2.1%(10人)
・8種混合…5.0%(24人)
・9種混合…1.7%(8人)
・10種混合…1.7%(8人)
・11種混合…0.6%(3人)
・覚えていない…17.0%(81人)
・ワクチン接種はしていない…2.5%(12人)
接種したワクチンの種類で最も多い回答は「狂犬病ワクチンだけ」37.8%でした。
接種が義務付けられているのは狂犬病ワクチンだけですが、わんちゃんすべてに打ったほうが良いとされるコアワクチンは3種類※3です。日本では一般的に5種混合以上のワクチンに含まれています。
今回の飼い主さんが愛犬に接種したワクチンの種類を見ると、2種混合から11種混合までバラつきが見られ、飼い主さん自身がワクチンの種類や内容がわかっているのかは疑問が残る結果となりました。
■コアワクチンとノンコアワクチンについて
・コアワクチン…すべてのわんちゃんに接種が勧告されているワクチンで、ジステンパーウイルス・パルボウイルス・アデノウイルスの3種類
・ノンコアワクチン…わんちゃんのライフスタイルや状況に合わせて接種が勧告されているさまざまなワクチン
※3参考:WSAVA(世界小動物獣医師会)
ワクチン接種の金額はどれくらい?
■ワクチン接種にかかった金額
・0円…3.6%(17人)
・3,000円前後(狂犬病ワクチン)…38.0%(181人)
・3,000円・4,000円台…14.1%(67人)
・5,000円・6,000円台…19.5%(93人)
・7,000円・8,000円台…12.6%(60人)
・9,000円・10,000円台…6.1%(29人)
・11,000円・12,000円台…2.9%(14人)
・13,000円・14,000円台…1.5%(7人)
・15,000円以上…1.7%(8人)
ワクチン接種にかかった金額で最も多い回答は「3,000円前後(狂犬病ワクチン)」38.0%でした。
これは接種したワクチンの種類で最も多かったのが「狂犬病ワクチン」だったからの結果ですが、次いで多い回答は「5,000円・6,000円台」19.5%となりました。
狂犬病ワクチンの金額はおおよそ決まっていますが、混合ワクチンについては動物病院によって金額はバラバラ。
同じ3種混合ワクチンであっても3,000円~6,000円と幅があるため、「15,000円以上」と回答した飼い主さんがいても不思議ではないでしょう。
飼い主が愛犬にワクチン接種をする理由は?
■ワクチン接種をする一番の理由
・わんちゃんの病気の予防のため…75.4%(359人)
・義務だから…19.1%(91人)
・意味はわからないが獣医師から勧められるから…2.9%(14人)
・打っていないとサービス(トリミングサロンやドッグランなど)を利用できないから…2.5%(12人)
ワクチン接種をする理由で最も多い回答は「わんちゃんの病気の予防のため」75.4%でした。
ワクチン接種で病気を予防することで、大切な愛犬にはいつまでも健康で元気に過ごして欲しいといった、わんちゃんの健康に対する意識が高いことがうかがえる結果となりました。
みんなは毎年のワクチン接種をどう思っている?
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■ワクチン接種に対する飼い主さんの意識
・毎年必要だと思う…62.1%(621人)
・抗体検査をすれば毎年は必要ないと思う…27.5%(275人)
・2~3年に1回でいいと思う…7.4%(74人)
・必要性を考えたことはない…3.0%(30人)
※アンケート「犬を取り巻く環境や問題について」から(対象:犬の現・元飼い主1000人)
毎年のワクチン接種の必要性について最も多い回答は「毎年必要だと思う」62.1%でした。
このアンケートは、「犬を取り巻く環境や問題について」でわんちゃんの飼い主さん1000人を対象に行ったものですが、6割以上の飼い主さんがワクチン接種は毎年必要だと感じているようです。
以下の記事ではわんちゃんを取り巻く日本の現状をご紹介していますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
日本は犬に優しい国?殺処分をどう思う?犬の現状について考える!【犬の現・元飼い主さん1000人アンケート】
ワクチン接種で病気の発症や死亡するわんちゃんがいることを知っている?
■副作用の認知について
・知らない…71.0%(338人)
・知っている…29.0%(138人)
病気の発症や死亡といった副作用について最も多い回答は「知らない」71.0%でした。
動物病院でワクチン接種を受けると、アレルギー反応やアナフィラキシーショックの簡単な説明をされますが、死亡や病気になるといった副作用については知らない飼い主さんが多いようです。
しかし実際に、狂犬病ワクチンでは0.0007%の割合でわんちゃんが死亡※4、混合ワクチンでは0.6%の割合で何らかの副作用反応及び死亡※5することが確認されています。
また、海外のペット先進国ではワクチン接種によるわんちゃんの病気の発症※6や、さまざまな影響を受けることを指摘した論文※7も存在するため、限りなく可能性は低いと言えど、ワクチン接種は慎重に行うべきと言えるでしょう。
※4参考:日本獣医公衆衛生学会「狂犬病ワクチンの副作用の発生状況調査」
※5参考:麻布獣医学会「犬混合ワクチン接種後副反応に関する疫学調査」
※6参考:NaturalRearing.com
※7参考:Journal of Veterinary Internal Medicine
実際にワクチン接種で副作用が出たことはある?
■ワクチン接種の副作用
・なかった…92.2%(439人)
・あったかもしれないが正確にはわからない…5.3%(25人)
・あった…2.5%(12人)
ワクチン接種後の副作用について最も多い回答は「なかった」92.2%でした。
しかし、「あったかもしれないが正確にはわからない」5.3%や、「あった」と回答した飼い主さんも2.5%いることから、このアンケートでは公表されているワクチン副反応発現率の0.6%よりも実際にはもっとありそうだと感じます。
そういった意味でも、わんちゃんのワクチン接種を行う際は獣医師の説明をよく聞き、必要のないワクチンの種類は打たないなど、しっかり相談して決めることが大切です。
■副作用が「あった」「あったかもしれないが正確にはわからない」の内訳
・あった…混合ワクチン10人 / 覚えていない2人
・あったかもしれないがわからない…狂犬病ワクチン5人 / 混合ワクチン12人 / 覚えていない5人 / ワクチン接種はしていない3人
副作用にどんな症状が出た?「正確にはわからない」と回答した飼い主さんのコメント
接種した後、軽く散歩させたら少し小走りしてしまい、しばらくして歩行がゆっくりになり、その後歩けなくなった。救急病院に連れて行ったが、その時には回復していて、原因がわからないままになってしまった
こちらで多いコメントは、
・だるそうにしていた
・食欲が落ちた
・元気がなくなった
でした。
はっきりとした症状が現れたわけではないため、「あったかもしれないが…」という回答だったようです。
副作用にどんな症状が出た?「あった」と回答した飼い主さんのコメント
5種混合を打ったその日の夜、スリムな顔のミニチュアダックスでしたが、顔がまん丸に膨れ上がりました。夜だったので診てもらえる病院を探し処置してもらいました。それ以降は5種混合前に抗アレルギー薬を接種してもらっていました
いつもトイレできちんとおしっこするのに、接種後待合室でお漏らししてしまい顔がひどくむくんだ
トイプードルが一度だけ混合ワクチンで嘔吐し、薬を処方してもらったことがあります
こちらで多いコメントは、
・重度のアナフィラキシーショック
・嘔吐
・顔が腫れた
・ぐったりしてしまった
といったコメントが多く、明らかにわんちゃんに異変が現れていることがわかります。
重度のアナフィラキシーショックを起こしてしまうと、そのまま命を落としてしまうわんちゃんも少なくありません。
ワクチンによる副作用の多くは24時間以内に症状が現れますが、3日や3ヶ月と時間が経ってから現れることもあるため、わんちゃんの体調の変化を見逃さないようにしましょう。
ワクチン接種で不安に思うことや改善してほしいと思うことは?
ワクチン接種が必要なことはわかっていても、不安に思う飼い主さんは多いです。実際、どんなことを不安に思ったり、改善してほしいと思っているのでしょうか。
一年に一度は打ちすぎだと思う。外国では3年に1度というのを聞いたことがあるので、日本のやりかたを不安に思う
動物は言葉を話さないので、少しの違和感や体のちょっとした不調に気づきにくいから、接種による後遺症などに早期に気づけない気がして怖い
副作用のデータの更新と公表、抗体検査の充実やそれによるワクチン内容の見直し
健康な人間でも副作用があるワクチンもあるので、小さい犬だと尚更副作用とかはどうなんだろうと思ってはいたが、亡くなっているわんちゃんがいると知って驚いた。もっと明確に副作用の危険性などを前もって説明するべき
狂犬病は義務だがワクチンに決まりはないので何種を打つのがいいのかわからない
アナフィラキシーになってしまう可能性があると言われ様子をみて下さいと言われるが、万が一そうなってしまっても病院がしまってしまうので対応をどうすれば良いのか困る。家の近くに救急病院があるから良かったのですが
接種の際に,副作用についての説明や,副反応があった際の対応について説明をしっかりと受けた記憶がないように思う。飼い主自身が勉強することが第一だが,獣医師さんからも説明をしてもらえたらより意識が高まったと思う
ワクチン接種に関して否定的な意見が多いことが気になる。混合ワクチンに関しては、飼い主の義務ではないため接種はどちらでも良いと思うが、狂犬病ワクチンは法律で義務付けられており、かつ人に感染する致死的な病気であって、ワクチンに否定的な記事を読んだ飼い主が狂犬病ワクチンを打たず、接種率が下がることが不安である。ワクチンの副作用について書かれた記事は多く見かけるが、メリットについて書かれた記事は見かけない。ワクチンによるアナフィラキシーについては承知しているが、人医療と比べれば有害事象は少ないので、ワクチン接種をもっと奨励してほしい
アンケート結果によると、「獣医師から副作用についてもっときちんと説明してほしい」というコメントが圧倒的に多かったですが、ほかにも
・接種後は病院で待機させてほしい
・義務ではなく任意にするべき
・病気の予防と言ってたくさんの種類のワクチンをされるが、その犬に合わせて必要なものだけにしてほしい
・値段を統一してほしい
・副作用のないワクチンを開発してほしい
・抗体検査をもっと周知させるべき
など、さまざまなコメントがありました。
狂犬病ワクチンも混合ワクチンも、飼い主さんにしてみればすべてわんちゃんの健康を思ってのこと。
そのワクチンで思わぬ副作用があるかもしれないということは、獣医師からもきちんと説明があれば納得して安心して接種させることができるのかもしれません。
海外のワクチン事情は?日本と海外の違い
海外の先進国(アメリカやイギリスなど)では、狂犬病ワクチンやコアワクチンの接種はガイドライン※8に乗っ取り、3年に1度行っている国がほとんどです。
ノンコアワクチンは種類によって1年に1度必要となることもありますが、できるだけ抗体検査をしてワクチンの過剰摂取とならないように注意喚起をしています。
また、狂犬病ワクチンを日本のように義務付けている国は少なく、オーストラリアでは逆に狂犬病の発生があってもわからないという理由から、国内で狂犬病ワクチンを利用することができません。※9
海外の先進国では、水際対策をしっかり行うことで狂犬病の侵入を阻止することができると考えられているようです。
日本ではわんちゃんの狂犬病は1956年以降確認されておらず※10、オーストラリアと同様に数少ない狂犬病清浄国の1つですが、他国からの侵入リスクを考えて義務化しています。
※8参考:WSAVA(世界小動物獣医師会)「犬と猫のワクチネーションガイドライン」
※9参考:オーストラリア農業省(予防接種・22ページ)
※10参考:農林水産省「狂犬病について」
今回のアンケート内容について
【アンケート調査概要】
・アンケート内容:「動物病院」に関してのアンケート
・調査方法:インターネット調査
・調査対象:10代~60代の全国の犬の現・元飼い主さん476名(男性127名 / 女性349名)
・アンケート実施期間:2021年5月12日~ 5月13日
【「犬を取り巻く環境・問題」についてのアンケート】
・対象者:10代~60代の全国の犬の現・元飼い主さん1000名(男性304名 / 女性696名)
・アンケート実施期間:2021年4月9日~4月12日
・アンケート項目:「わんちゃんの毎年のワクチン接種をどう思いますか?」
【アンケート項目】
Q1:毎年ワクチン接種はしている・していましたか?
Q2:ワクチン接種は何種を打ちましたか?
Q3:ワクチン接種にかかった金額を教えてください
Q4:ワクチン接種のあとに副作用はありましたか?
Q5:わんちゃんにワクチン接種を受けさせる一番の理由は何ですか?
Q6:ワクチン接種の副作用で亡くなるわんちゃんや病気になるわんちゃんがいることを知っていますか?
Q7:ワクチン接種で不安に思うことや改善してほしいことがあれば教えてください
まとめ
・毎年わんちゃんにワクチン接種をしている飼い主さんは8割以上
・ワクチンによる副作用(副反応)のあったわんちゃんは2.5%
・現在のワクチン接種のあり方を疑問に思う声も!
今回は、わんちゃんのワクチン接種に注目してご紹介しました。ワクチン接種には、デメリットもあればメリットもあります。
わんちゃんの病気を予防するためにも接種をしたほうがいいものではありますが、わんちゃんによって適切な種類や間隔も異なります。
また、すべてのワクチンを1年に1度接種することは、過剰摂取となることや副反応のリスクが高まり、逆にわんちゃんの体に負担となることも。
狂犬病予防法ができたのは、昭和25年(1950年)の日本で狂犬病が流行していたさなかのことです。
狂犬病予防法を今一度見直してもらい、それぞれのわんちゃんに合わせたワクチン接種ができるようになるといいですね。
執筆者
- ペットライター
-
たかだ なつき
- JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー