気づいたら愛犬がティッシュを食べていて、焦ってしまったことはありませんか?
特に子犬のころは好奇心旺盛でティッシュを食べてしまうことも珍しくありません。
犬が少しティッシュを食べただけでは問題にならないケースも多いですが、大量に食べてしまった場合は腸閉塞を起こす危険性も。
この記事では、犬がティッシュを食べた時の対処法や食べる理由について獣医師が解説します。
気づいたら愛犬がティッシュを食べていて、焦ってしまったことはありませんか?
特に子犬のころは好奇心旺盛でティッシュを食べてしまうことも珍しくありません。
犬が少しティッシュを食べただけでは問題にならないケースも多いですが、大量に食べてしまった場合は腸閉塞を起こす危険性も。
この記事では、犬がティッシュを食べた時の対処法や食べる理由について獣医師が解説します。
目次
ティッシュ自体は有害な成分を含んでいないため犬が食べても問題なく、通常翌日から2日後には便として排泄されます。
ただし、ティッシュは不溶性の繊維でできているため、水に溶けず犬の体内で消化もされません。
少量食べた程度であればそのまま便と出るだけですが、食べた量によっては消化不良や腸閉塞 腸管(喉から肛門までの消化器官)が、遺物や炎症などによって塞がれてしまう状態 を起こす恐れがあります。
腸閉塞が疑われる症状は、嘔吐する、食欲がない、元気がないなどで、そのまま放置すると命に関わるので動物病院での治療が必要です。
【犬がティッシュを食べた後に気を付けるべき症状】
たとえティッシュを食べた量が多くなくても上記のような症状が見られる場合は、動物病院を受診するようにしてください。
犬がティッシュを食べた時の対処法は、ティッシュ1~2枚程度であれば様子を見て、大量のティッシュを食べた場合は動物病院に行くようにしましょう。
また、無理に吐かせたり慌てて取り上げたりしないようにすることも大切です。
【犬がティッシュを食べた時の対処法】
ここでは、それぞれの対処法について詳しく解説していきます。
犬がティッシュ1~2枚ほど食べたくらいでは、ほとんどの場合問題となることはありません。
犬の様子が普段と変わらないようであれば様子を見て、翌日以降に便として排泄されるのを待ちましょう。
ただし、消化機能が未熟な子犬や消化機能が低下している老犬がティッシュを食べた場合などは、消化器トラブルにつながる可能性もあるため、愛犬の様子をよく観察することが大切です。
また、1~2枚分であっても硬く丸めたティッシュを飲み込んだ場合は、危険になることもあるので獣医師に相談するようにしてください。
犬が大量にティッシュを食べた場合は、腸閉塞を引き起こす恐れがあるため、早急に受診するようにしてください。
ティッシュを食べてから1~3時間程度であれば動物病院にて催吐(さいと)処置 吐き出せること ができるので、自己判断で様子を見ないことが大切です。
【動物病院を受診した際に伝えるべきこと】
どれくらいティッシュを食べたか分からないときや食べてから時間がたってしまっている場合も、獣医師に相談して指示に従いましょう。
犬がティッシュを食べてしまっても、自己判断で吐かせようとするのはやめましょう。
無理に吐かせると、吐いたものを誤嚥(ごえん) 咽頭と気管に食物が誤って入ってしまうこと したり、胃や食道の粘膜を傷つけたりする可能性があるためです。
ティッシュをたくさん食べている場合は必ず動物病院に相談して、適切な対処法について確認するようにしましょう。
犬は口にくわえているものを取られそうになると、急いで飲み込んでしまうことがあるため、慌てて取り上げようとしないことが大切です。
ティッシュを口にくわえているのを見つけたら、好きなおやつやおもちゃを見せて気をそらしているうちに、そっと口から取り出します。
また、飼い主さんが大きな声を出したり大げさに反応したりすると、犬が遊んでもらっていると勘違いしてしまうので注意しましょう。
記事の後半で説明しますが、普段から口にくわえたものを出すトレーニングをしておくと、このようなときに役立ちます。
犬がティッシュを食べる理由はさまざまですが、主に遊びや空腹、退屈、病気などが考えられます。
ここでは、それぞれの理由について詳しく解説していきます。
ティッシュはふわふわと柔らかく、箱から引っ張ってもまた出てくるという特徴から犬にとっての遊び・おもちゃになってしまうことがあります。
初めは食べるつもりがなくても、遊び感覚で楽しく噛んでいるうちに、そのまま食べてしまうこともあるでしょう。
特に子犬の場合は、好奇心旺盛でなんでも口に入れてしまう傾向があるため、ティッシュの置き場には注意が必要です。
ティッシュが遊びになってしまっている場合は、ティッシュを見えないところに置き、ティッシュの代わりに口を使うおもちゃを与えることが有効なので、ぜひ試してみてください。
食事量が足りていない場合やダイエット中の場合は、犬が空腹感を感じてティッシュを食べてしまうことがあります。
成長期の子犬は特にお腹が空きやすく、お腹を満たそうとしてティッシュを食べてしまうのです。
また、ティッシュは配合されている成分によってほんのり甘味を感じるものもあり、食べ物だと勘違いしてしまう可能性もあるでしょう。
このような場合は、現在与えている食事量が適切か確認し、足りない場合は補い、回数を分けて食事を与えるなど空腹感を減らす工夫をしましょう。
退屈だったり、暇を持て余したりするときにティッシュを食べてしまうことがあります。
初めはイタズラでティッシュを散らかしていても、エスカレートしてティッシュを食べてしまうのです。
このようなときに、飼い主さんが慌てて反応すると、かまってもらったと勘違いしてしまうため、大きな声を出さずに冷静に対応することが大切です。
ティッシュでイタズラしてしまう場合は、お散歩や遊びの時間を増やす、おもちゃを与えるなど退屈な時間を減らす対策をしていきましょう。
ティッシュを含めて食べ物でないものを頻繁に食べてしまう場合は異食症と呼ばれ、なんらかの異常や病気にかかっている場合があります。
異食症は栄養不足やストレス、運動不足、好奇心などが関係していると考えられますが、はっきりとした原因は分かっていません。
いずれにしても、愛犬に合った解決策を見つけるために獣医師に相談することをおすすめします。
また、異常な食欲が見られる場合は、食欲が増進するような消化器・ホルモン疾患にかかっていないか、動物病院でチェックしてもらいましょう。
犬がティッシュを食べないようにする予防としつけは、以下のような方法があります。
【犬がティッシュを食べないようにする予防方法としつけ】
ティッシュを食べることがクセになってしまうと何度も誤食を繰り返す原因になるので、しっかり予防対策していきましょう。
ここでは、それぞれの方法について詳しく解説します。
ティッシュが見えてしまうと食べてしまう原因になるので、犬が見えない場所(届かない場所)にティッシュを置くことが大切です。
床やローテーブルの上など低い位置に置いてあると犬が届いてしまうため、棚の上や引き出しの中など見えないところに置きましょう。
犬が開けられないように蓋つきのティッシュボックスなどを利用するのもおすすめです。
ゴミ箱の蓋がないタイプだと、中身を漁ってティッシュを食べてしまうことがあるため、しっかりと蓋が閉められるゴミ箱を設置しましょう。
また、ゴミ箱を倒したり蓋を開けてしまったりする場合は、ゴミ箱の置き場所に犬が入れないようにしてください。
飼い主さんがティッシュを使用した後はすぐに片付けるようにして、使用済みティッシュを犬に食べさせないように注意が必要です。
留守番をしているときに、室内を自由に歩き回れるようにしているとティッシュを食べられてしまうリスクがあります。
ティッシュを食べてしまう犬を飼っている場合は、ケージ内で留守番させるか、ティッシュを完全に隠しておきましょう。
留守番中も犬が楽しく遊べるように、おやつが出てくるような知育オモチャを与えておくこともおすすめです。
誤飲を防ぐために、犬がくわえたものを口から出す練習を普段から行っておきましょう。
飼い主さんが「出せ」や「ちょうだい」と指示したときに、犬が口にくわえたものを自ら出すようにトレーニングしておくのです。
犬の好物やおやつを利用しながら、うまく口から出せたらご褒美をあげてたくさん褒めてあげてください。
この訓練は、ティッシュに限らずその他の犬が食べてはいけないものを口にくわえた時にも役立ちます。
ここからは、犬がティッシュを食べたときによくある質問についてお答えしていきます。
ウェットティッシュは厚みがあり繊維も多いため、通常のティッシュに比較して腸閉塞の危険性が高いです。
また、アルコール入りのウェットティッシュを大量に食べた場合は中毒を起こす恐れもあるため、必ず動物病院を受診するようにしてください。
食べてから時間がたっていなければ催吐処置が可能ですが、時間がたっている場合は獣医師の指示に従いましょう。
お散歩で拾い食いをする場合は、飼い主さんの前を歩かせないようにする、物が落ちているところを歩かせない(そのかわり広場など安全なところで思い切り遊ばせる)ようにするなど、お散歩の仕方を改善する必要があるでしょう。
お散歩のときにリードを長くしてゆるく持ち自由に犬を歩かせていると、拾い食いにつながりやすいためリードを短くもつことも大切です。
一度拾い食いを経験すると何度も繰り返すようになってしまうので、クセにさせないように注意しましょう。
ティッシュ自体は、有害な成分を含んでいないため、犬が食べてしまっても大丈夫です。
1~2枚程度のティッシュであればほとんど問題となることはありませんが、大量に食べると消化不良や腸閉塞を起こす恐れがあります。
嘔吐や食欲不振等の症状が見られる場合や大量にティッシュを食べたときは、自己判断で様子見せず動物病院を受診することが大切です。
日頃からできる予防として、犬が見えない場所にティッシュを置き、ゴミ箱の蓋をしめるようにして、口にくわえたものを出すトレーニングをしておきましょう。