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そもそも犬が熱中症になる気温は?犬は人間より暑さに弱い

犬は人間よりも暑さに弱いため、熱中症の予防のための暑さ対策はとても重要です。なぜ暑さに弱いかは、こちらで詳しく解説しています。
犬が暑いと感じる気温は個体差によって異なるほか、熱中症になる気温の確信的なデータはありません。ネット上では、犬が熱中症になる目安は「気温22度以上」や「湿度60%以上」という情報もありますが、こちらについても確信的なデータはありませんでした。(※1)
しかし、人間では平均で24度以上になると熱中症による救急搬送が増えるというデータや、21度以上から注意が必要という論文があり(※2、3)、人間よりも暑さや多湿に弱い犬ではもっと低い温度でも熱中症になる可能性があるため注意が必要です。
もし、扇風機だけで犬の暑さ対策をしている飼い主さんがいれば、それは愛犬にとっては何の意味もないことをしているのかもしれません。
次章では、なぜ犬に扇風機が意味がないのか詳しく解説します。
また、ペット保険のアニコム損害保険では、獣医師と気象予報士が気温や湿度だけでなく犬の代謝も考慮した犬の熱中症週間予報を毎年4月後半~9月末までSNSで配信している(※4)ので、参考にしてください。
■犬の熱中症週間予報
犬が扇風機を涼しくないと言われる理由は「犬が汗をかかないから」

犬に扇風機は意味がない、犬は扇風機を涼しくないと言われる理由は、犬が汗をかくことがないためです。
なぜ、犬は汗をかかないのか?また、汗をかかないとなぜ扇風機が涼しくないのか…?その疑問にお答えします。
犬が汗をかけるのは鼻の頭周辺と足裏だけ

犬が汗をかける汗腺「エクリン腺」は、肉球と鼻の頭周辺にしかありません。
人間は進化の過程で汗をかく機能が必要となり発達しましたが、犬は汗をかく汗腺がわずかしかないのです。
そのため、体温調整が苦手なので暑さには十分に注意してあげなければいけません。
また、ヘアレスタイプの犬種
体に被毛がない、もしくは一部のみに被毛がある犬種。チャイニーズ・クレステッド・ドッグ、アメリカン・ヘアレス・テリア、ヘアレス・カーラ(ボリビアン・ヘアレス・ドッグ)、ショロイツクインツレ(メキシカン・ヘアレス・ドッグ)、ペルービアン・ヘアレス・ドッグ、アルゼンティニアン・ヘアレス・ドッグ、 ペルービアン・インカ・オーキッド では、ほぼ全身にエクリン腺があり、人間のように汗をかくことができるため、体温調整のパンティングは見られません。
体に汗をかかないから人間のように気化熱が働かない

人間が扇風機を涼しいと感じるのは、皮膚の上で汗が蒸発する際に熱を急速に奪ってくれるからです。
■気化熱とは
液体が気体になるときに必要な熱で、液体が接している面から吸収する
もともと汗が蒸発するときは、この気化熱の働きにより体の熱を奪って体温を下げてくれます。そこに扇風機が空気を送って蒸発を促進してくれるため、涼しく感じることができます。
ところが、犬は体に汗をかくことができない(※ヘアレス犬種を除く)ので当然気化熱の効果はなく、扇風機の風にあたっても人間のように涼しいと感じることはないのです。
通常、犬が気化熱を利用できるのは舌や口の中です。犬が暑いときに口を開けてハァハァとパンティングするのは、口の中の唾液を蒸発させて体温を下げているためで、全身で気化熱を利用できる人間とはその効果も大きく異なります。
犬が扇風機の前にいるのはなぜ?好きだけじゃなく警戒している場合も

飼い主さんを押しのけて扇風機の前を陣取ったり、扇風機の前から動かない犬もいますが、なぜ扇風機の前にいるのでしょうか。
扇風機が好き

犬が扇風機の前にいるのは、単純に扇風機から出る風が好きなのかもしれません。また、扇風機の音や羽根の動きなどに興味があり、好奇心で見ているということもあります。
扇風機の前にいることで、何か飼い主さんが反応したりおやつをもらったりした場合では、扇風機の前にいれば良いことがあるかも?と思っていると考えられます。
また、扇風機は室内の空気を押し出してくれるため、嗅覚の優れた犬にしてみれば、さまざまな匂いを嗅げて楽しいということもありますよ!
扇風機の前で吠えるときは怖がっている

扇風機が好きな犬がいる一方で、扇風機が嫌いな犬もいます。犬にしてみれば扇風機は得体の知れない物体で、音がしたり動いたり、風が出てきたりと警戒するのは十分な存在です。
扇風機の前で吠える場合は怖がっているため、犬から少し離した場所で使用しましょう。徐々に慣らしてあげることで怖がることはなくなりますが、無理に近づけることのないようにしてください。
犬に扇風機を使った効果的な暑さ対策3つ!

扇風機だけの使用では、犬の暑さ対策にあまり効果はありません。しかし、扇風機を利用した効果的な暑さ対策はあります。
ここでは、犬に扇風機を使った効果的な暑さ対策3つをご紹介します。
エアコンと扇風機を併用する

扇風機とエアコンを一緒に使用しましょう。冷房と併用することで、効率的に部屋の温度を下げることができます。
また、冷たい空気は重く、下にたまるという特徴があります。低い位置で生活している犬では冷えすぎてしまうこともあるため、扇風機やサーキュレーターを使用して空気の循環をしてあげましょう。
■扇風機とサーキュレーターの違い
|
扇風機 |
サーキュレーター |
特徴 |
広範囲に風を送り出す |
直接的に風を送り出す |
風が届く範囲 |
そこまで遠くない |
かなり遠くまで |
本来の用途 |
人に風を送る |
空気の循環 |
本来扇風機は人に風を送る目的のもののため、大きな羽根で広範囲に風を送り出してくれます。
サーキュレーターのように空気を循環させるために作られたものではないので、エアコンと併用するときは置く場所や向きがポイントとなります。
扇風機を置く場所や向き

扇風機を使用する場合は、エアコンの風下に置き、頭を天井方向にした状態でエアコンに向けてください。
こうすることで、エアコンから出てくる冷たい空気が床に下がる前に循環させることができます。
サーキュレーターを置く場所や向き

サーキュレーターを使用する場合は、エアコンに背を向けてサーキュレーターを置いてください。
床にたまった冷たい空気を循環することができます。
霧吹きで犬の体に水をかける

扇風機だけでは暑さ対策になりませんが、扇風機を使用しながら霧吹きで犬の体に水をかけてあげると気化熱が発生して、犬でも扇風機の風を涼しく感じることができます。
ただし、エアコンの効いた部屋の中で行うと犬の体を冷やし過ぎてしまうため、エアコンまではいらないけどちょっと暑い気がするといったときや、屋外などの暑さ対策で行ってあげましょう。
また、クールマットや水で濡らして使用する冷感ウェアやなども霧吹きと同じような働きをしてくれます。
保冷剤などを扇風機の背面に取り付ける

扇風機の背面に保冷剤などを取り付けることで、冷たい風を送り出してくれるようになります。
扇風機用の保冷剤も販売されており、エアコンを使用していないときなどでは重宝してくれるでしょう。
ただし、保冷剤の効果は短時間なので、長時間の使用には向いていません。
扇風機用保冷グッズ2選
※価格は税込み
愛犬の熱中症を予防!暑さ対策が必要なのは夏だけじゃない?症状や対処法、おすすめ対策グッズも
犬に扇風機を使用するときの注意点

扇風機は使い方によっては犬の暑さ対策になりますが、扇風機を使用するときは注意しなければいけないこともあります。
犬だけのときの使用は注意

留守番中の愛犬の暑さ対策にと、扇風機をつけたまま家を空ける飼い主さんもいるでしょう。
しかし、留守中に犬が扇風機の羽根を触ろうとして隙間から前足を入れてしまえば、巻き込まれるなどしてケガをしてしまう恐れがあります。
また、前足を入れなくても、しっぽの毛が巻き込まれるなどケガのリスクはゼロではありません。
留守中に扇風機を使用したい場合は、犬が触ることのできない場所に設置したり、羽根がないタイプの扇風機にするなど配慮が必要です。
転倒に注意

扇風機は比較的大きなものが一般的ですが、超小型犬や小型犬では扇風機が転倒したときにケガをしてしまう恐れがあります。
ぶつかったりしても倒れないように、壁や柱などにしっかりと固定しましょう。
扇風機のコードにも配慮が必要

子犬やイタズラ好きな犬では、コードをかじってしまうことがあります。
通電しているコードをかじれば犬が感電してしまったり、発火して火事になる恐れもあるため、コードにカバーを付けたり、コードに近寄れないようにしてください。
扇風機が大好きな犬たちをご紹介!

犬は特定の条件がなければ(※冷房と併用、体が濡れている、クールマットなど)扇風機に涼しさを感じることはありませんが、風が大好きな犬たちもたくさんいます。
思わず笑みがこぼれてしまうわんちゃんたちに、しばし癒されてください。
■真夜中に暑いと言ってきた大型犬に扇風機を与えてみた結果がこちら。もはや野生には戻れません。【ゴールデンレトリバーとミニチュアダックス】
■今年初めての扇風機に犬たちが興味津々でした!
■🐶はじめて扇風機と出会った犬の反応が可愛すぎた。【トイプードルのグリィ】【dog】【toy poodle】
どのわんちゃんも、扇風機がお気に入りのようですね。
犬は扇風機の風で涼を取ることはできませんが、扇風機によって押し出された空気が皮膚と被毛の間に入り、蒸れすぎることを防いでくれる効果は期待できます。
今回ご紹介したわんちゃんたちも、風の感触や空気の匂いが好きなのかもしれません。
まとめ

愛犬の熱中症の予防のためにも暑さ対策は重要ですが、犬は扇風機だけでは人間のように涼しいと感じることはありません。
人間が暑ければ、それ以上に犬は暑いと感じているため、扇風機だけでなくエアコンも併用して暑さ対策を行いましょう。
<参考文献>
(※1)参考:レンファレンス共同データベース
(※2)参考:CiNii「救急搬送データによる熱中症の発生と気温」
(※3)参考:CiNii「熱中症の発生実態と環境温度」
(※4)参考:アニコム損害保険株式会社「STOP熱中症プロジェクト」
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執筆者
- ペットライター
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たかだ なつき
- JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー / ペットフード安全管理者