日本はペットに対してどんな国?
■現・元飼い主さんが感じる日本の現状について
・どちらともいえない…45.1%
・ペット後進国だと思う…36.2%
・ペット先進国だと思う…18.7%
ペットに対して日本の現状は「どちらともいえない」45.1%が最も多い回答でした。
ペット先進国や後進国の定義があいまいなことや、ほかの国のペット事情があまり周知されていないため、日本の置かれている位置がわかりにくいということかもしれません。
■ペット先進国とは
わんちゃんはペットというよりも家族の一員や、生活の中にいて当たり前の存在という考えで、動物愛護や動物福祉に力を入れている国を指します。
販売されているフードは、使用される原材料から製造過程に至るまで人間同様の厳しい規制があり、わんちゃんに対する法律も細かく定められています。
また、室内飼育や一緒に出掛けるのが当たり前といった認識で、ペット同伴で利用できる施設やサービスも充実しているのが特徴です。
日本はペット先進国になりつつあると思う?
■ペット先進国になりつつあるかについて
・全然まだまだと感じる…56.5%
・なりつつあると感じる…43.5%
ペット先進国になりつつあるかについては「全然まだまだと感じる」56.5%が最も多い回答でした。
分析してみると、日本はペットに対してどんな国かの質問で「どちらともいえない」と回答した飼い主さんがほぼ二分化するという面白い結果に。
しかし、これは改めて日本のペットに対する現状について、あやふやな状態ではっきりしたことがわからないという問題が浮き彫りになったのではないでしょうか。
■詳しい内訳
・全然まだまだと感じる
…どちらとも言えない25.1% / 後進国だと思う30.6% / 先進国だと思う0.8%
・なりつつあると感じる
…どちらとも言えない20.0% / 後進国だと思う5.6% / 先進国だと思う17.9%
近年では、日本でも高品質なフードを製造したり、原材料の表記を明確にするなどドッグフードの安全性も確立されてきましたが、それ以外の面ではまだまだ不十分だと感じている飼い主さんが5割以上いる結果となったのかもしれません。
海外のペット先進国の税金や規則についてどう思う?
■税金や規則による罰則や罰金について
・税金は必要ないが、規則による罰則や罰金はあってもいいと思う…59.5%
・日本も見習うべき…23.8%
・税金も罰則や罰金も必要ないと思う…10.7%
・税金はあっていいが、規則による罰則や罰金は必要ないと思う…6.0%
税金や規則による罰則・罰金については「税金は必要ないが、規則による罰則や罰金はあってもいいと思う」59.5%が最も多い回答でした。
税金についてはさておき、「日本も見習うべき」と回答した飼い主さんが23.8%いることから、8割以上の飼い主さんが規則による罰則や罰金があってもいいと思っていることがわかりますね。
この結果は、わんちゃんを責任を持って飼育するべきだと考えている飼い主さんが多いということではないでしょうか。
海外のペット先進国では税金や規則による罰金・罰則は当たり前?!
海外のペット先進国では、頭数に合わせて年に1度の犬税を納めることを義務付ている国もあります。
■犬税がある国の例
・オーストリア
・オランダ
・スイス
・チェコ
・ドイツ
・フィンランド
集められた税金は、わんちゃんのうんちを始末するためのエチケット袋が街中に用意されたり、排泄物で汚れてしまった街の清掃費用などにあてられます。
また、わんちゃんを尊重した法律や規則も細かく定められ、違反が続くとわんちゃんの強制保護や、場合によっては懲役刑や高額な罰金を請求されることもあるんです!
■規則・罰則・罰金の例
・アメリカ…犬を故意に傷つけた場合、2,000ドルの罰金または6ヶ月以下の懲役
・イタリア・トリノ…1日3回以上の散歩をさせなかった場合、500ユーロの罰金
・カナダ…車の中に犬を残してその場を離れた場合は逮捕される
・ドイツ…ひとりぼっちで長時間の留守番をさせた場合、指導もしくは犬の強制保護
・スウェーデン…6時間以上の留守番をさせてはいけない
海外のペット先進国をご紹介!
World Animal Protectionは、動物福祉先進国のランキングを公表※1しています。しかし、動物福祉とペット先進国では少し意味合いが違うため、海外のペット先進国をまとめてみました。
■ペット先進国※あいうえお順
・アメリカ
・イギリス
・イタリア
・オランダ
・オーストラリア
・オーストリア
・カナダ
・ギリシャ
・スイス
・スウェーデン
・デンマーク
・ドイツ
・ニュージーランド
これらの国では、わんちゃんを人道的に扱い、わんちゃんを尊重した生活を送ることが法律で事細かに決められているだけでなく、国民全体のわんちゃんに対する意識が高いようです。
公共交通機関の利用や、多くのレストラン、スーパーなどに同伴ができるほか、街中にエチケット袋や排泄物用ゴミ箱の設置など、日本では考えられないことが日常となっているのは羨ましいですね。
また、ペット先進国は高品質なドッグフードの原産国でもあることも多く、INUNAVI編集部では 「ドッグフードの原産国で一番安全な国はどこ?法律と習慣を徹底調査!」もご紹介しているので、気になる飼い主さんはチェックしてみてくださいね!
※1参考:World Animal Protection
ペットショップやブリーダーでの生態販売をどう思う?
■犬の生態販売について
・規制を厳しくすれば販売してもいいと思う…39.3%
・ブリーダーの登録を限定的にして生態販売を行うべきだと思う…23.6%
・そもそも犬の命を金銭で売買してほしくない…14.7%
・ペットショップでの生態販売は禁止すべきだと思う…11.5%
・今まで通りでいいと思う…10.9%
ペットショップやブリーダーの生態販売については「規制を厳しくすれば販売してもいいと思う」39.3%が最も多い回答でした。
規制を厳しく…というのはもうずいぶん前から言われ続けてきていますが、実際に今も昔もそこまで変わっていないのが現状ではないでしょうか。
しかし、「そもそも犬の命を金銭で売買してほしくない」や「ペットショップでの生態販売は禁止すべきだと思う」といった回答が2割以上あったのは、飼い主さんの意識が徐々に変わってきていると言えるのかもしれません。
ペットショップで生態販売をしている国は少ない?!
日本では、ペットショップのショーケースに子犬が入れられて販売されていますが、そもそもペット先進国である海外諸国では、ペットショップでの生態販売は法律で禁止されていることが多いです。
ペット先進国では生態販売が禁止されていなくても、道徳観や倫理観からショーケースに入れて販売する、ということをしているペットショップは極めて稀!
これは、わんちゃんを人道的に扱うというペット先進国ならではのことなのかもしれません。
そのため、わんちゃんを家族として迎え入れたいと思ったら、ブリーダーや保護施設(シェルター)、友人・知人などから迎え入れるのが一般的です。
犬の殺処分の現状をどのくらい知っている?
■犬の殺処分の現状について
・何かしら(テレビや街のポスターなど)を見たり聞いたりして知っている…62.8%
・ネットで調べたことがある…22.7%
・募金や署名などの行動をしたことがある…11.1%
・そもそもあまり知らない…3.4%
わんちゃんの殺処分の現状は「何かしら(テレビや街のポスターなど)を見たり聞いたりして知っている」62.8%が最も多い回答でした。
殺処分についてメディアなどで取り上げる動きがあったり、街中での募金活動などを目にする機会も増えているからの結果なのかもしれません。
犬の殺処分問題をどう思う?
■犬の殺処分問題について
・殺処分がなくなればいいと思う…93.1%
・殺処分はなくなることがないと思うのであまり気にしていない…4.6%
・殺処分はあってもいいと思う…2.3%
わんちゃんの殺処分問題は「殺処分がなくなればいいと思う」93.1%が最も多い回答でした。
実際、ここ数年で殺処分をゼロにする運動も活発になり、2004年度の犬の殺処分数は155,870頭(86.0%)だったのに対し、2019年度の殺処分数は5,635頭 / 幼齢個体1051頭含む(17.3%)※2と68.7%減少しています。
しかし、それでも日本のペット殺処分数が世界各国と比べても多い、ということはあまり知られていないかもしれません。
ドイツではそもそも殺処分を法律で禁止※3していたり、ほかのペット先進国でやむをえず殺処分を行う場合は、痛みのない薬による安楽死に限られています。
日本では、いまだに多くの自治体で二酸化炭素ガスによる窒息処分が行われており、5,000頭以上のわんちゃんたちが苦しみながら命を終えている事実から目をそらしてはいけませんね。
※2参考:環境省・統計資料
※3参考:ドイツ「動物福祉法」
愛犬と一緒に利用したい施設・サービスはある?施設・サービスランキングTOP10!
1位:ホテル・旅館などの宿泊施設…142票
2位:温泉…73票
3位:レストラン…64票
4位:カフェ…53票
5位:バス・電車・飛行機などの公共交通機関…43票
6位:スーパーやコンビニなどの日常的な買い物先…41票
7位:プール…38票
8位:ショッピングモール…17票
8位:観光施設…17票
8位:あらゆる施設…17票
10位:遊園地やテーマパーク…13票
10位:スポーツジム…13票
※複数回答
【ランキング外の一緒に利用したい施設・サービス】※多い順に記載
公園 / 美容室 / キャンプ場やグランピング施設 / レジャー施設 / 災害時の避難所 / 一緒に遊べる広い場所 / レンタカー / 写真館 / スパ施設 / 海 / サービスエリアや道の駅 / 老人介護施設 / 足湯 / マッサージ店 / 普通の喫茶店 / タクシー / 一般の病院 / ホームセンター / ゴルフ場 / シャワー施設 / アスレチック施設 / 人間の葬儀場 / エステサロン / 図書館 / 映画館 / 漫画喫茶 / 居酒屋やBER / 神社や寺 / 職場 / ツアー参加 / スポーツ観戦施設 / 銀行 / 区役所などの公的機関 / 動物園 / 水族館 / カラオケ / レンタルルーム / マリンスポーツやウインタースポーツへの同伴 / 登山 / ゲームセンター / お揃いの服が買える洋服店 / 人間の保育園 / ペットの種類別マンション / 本屋
愛犬と一緒に利用したい施設・サービスの1位は「ホテル・旅館などの宿泊施設」142票でした。
多くの飼い主さんが「ペット可ホテルはあってもまだまだ少ない」と感じているようで、どんな宿泊施設でも同室できることを望んでいることがわかりました。
また、「スーパーやコンビニ」「公共交通機関」「スポーツジム」「美容室」といった、日常的に利用する施設やサービスに愛犬を同伴させたいと思っている飼い主さんも多いようです。
愛犬のために増やして欲しい施設・サービスの声も!
愛犬と一緒に利用したい施設・サービスのほかに、愛犬のために増やして欲しい施設・サービスの声も多かったので、ご紹介します!
■犬のために増やして欲しい施設・サービスTOP8!
1位:ドッグラン…32票
2位:ドッグカフェ…12票
3位:ドッグランに併設する施設の充実…9票
4位:買い物施設での一時預かり…7票
5位:犬の保育園や託児所…5票
6位:犬専用プール…4票
6位:ドッグラン・専用庭付きホテル…4票
6位:飼い主のためのセミナー…4票
8位:24時間対応の動物病院…3票
8位:買い物時に犬を繋いでおける場所やケージ…3票
8位:トリミングサロンにカフェの併設…3票
※複数回答
【ランキング外の施設・サービス】※多い順に記載
犬のデイサービス / ペットホテル / 動物病院での預かり / お散歩代行 / 保護犬が入れる保険 / マンションにドッグラン / 犬単独で乗れるタクシー / 駅や空港にペット預かりの施設 / ほかの犬との交流会 / 動物病院のアプリの充実 / 排泄物用ゴミ箱 / 犬税を取って殺処分をなくす施設やサービスの充実 / 高齢者でも安心してペットが飼えるようなサポート
愛犬のために増やして欲しい施設・サービスの1位は「ドッグラン」32票でした。
更には「ドッグランに併設する施設の充実」を望む飼い主さんもおり、わんちゃんと飼い主さんが利用しやすいドッグランを望んでいることがうかがえますね。
ドッグランやドッグカフェはまだまだ少なく、地域によってはそういった施設がまったくないところもあるので、もっと気軽に利用したいということなのかもしれません。
愛犬と一緒に利用したい施設について現・元飼い主さんのコメント紹介!
愛犬と一緒に泊まれる(同じ部屋で、愛犬は出入口のみ、など)宿が増えてほしい。愛犬と宿泊できる!とうたっていたのに、実際は、愛犬だけ屋外のみすぼらしいケージというホテルがあったので
飛行機を愛犬と一緒に乗りたいと思っています。どうしても飛行機の貨物室に乗せることに抵抗があるため同じ様に客室で旅行したいです
あるにはありますが、犬も家族なので外食できる施設や、宿泊施設をもっと増やした方がいいと思うのと、ペットの税金をとって殺処分をされない施設をなるべく自然豊かな土地で作ってほしい
公共交通機関をもっと自由に利用出来るといいなと思います。持ち込みケージのサイズが決まっており、そもそもそれよりも大きな個体の場合には利用すら出来ません。ペット用カートについても私鉄各社で対応が違っているので、もっと自由度が上がればいいなと思います
衛生的にほとんどあり得ないけれど、飲食店や買い物に一緒に行きたい…お留守番が心配等の理由で…一部のお店では一緒に入れる所もあるけど今の世の中は少ない…
近所の神社は、犬が境内に立ち入るのは禁止なので、一緒に参拝できたらと思う。野球場など屋外でのスポーツ観戦施設で、行儀よく一緒に観戦したい
いずれ、病院(一般)にもペットを連れて行けたらいいなと思う。動物は癒しであり、患者の不安な気持ちも少し紛れたりする可能性もあるんじゃないかなと
日本だと犬を連れてお店には入れないし、そもそもがまだペットや動物を人間より下等だと思っている人がほとんどなので、嫌がられない国になったらどこでも一緒に利用したいと思います
コメントでは、どの施設やサービスも「もっと気軽に利用できたら…」「一緒に旅行に行きたいのに…」という声が多く寄せられていました。
今の日本では、わんちゃんとのお出かけはなかなか大変。長時間お留守番させることに抵抗を感じる飼い主さんも多く、愛犬と同伴できないなら行かないという選択をしているようです。
アンケート内容について
【アンケート調査概要】
・アンケート内容:犬を取り巻く環境や問題について
・調査方法:インターネット調査
・アンケート対象:10代~60代の全国の犬の現・元飼い主さん男女1000名(男性304名 / 女性696名)
・アンケート実施日:2021年4月9日~4月12日
【アンケート項目】
Q1:わんちゃんを飼っている状況を教えてください
Q2:日本はペットに対してどんな国だと思いますか?
Q3:日本はペット先進国になりつつあると感じますか?
Q4:海外のペット先進国では犬を飼うと年に1度「犬税」を納めることや、飼育する上での規則があり、守らなければ罰則・罰金が課せられますが、それらをどう思いますか?
Q5:ペットショップやブリーダーでの生態販売をどう思いますか?
Q6:犬の殺処分の現状を調べたことはありますか?
Q7:犬の殺処分問題をどう思いますか?
Q8:愛犬と一緒に利用できたら良いなと思う施設・サービスがあれば教えてください
まとめ
・36.2%の飼い主さんがペット後進国だと感じている
・ペットショップやブリーダーの生態販売を疑問視する飼い主さんも増えてきた
・殺処分がなくなってほしいと思う飼い主さんがほとんど
いくら日本が先進国でも、ペットに関してはまだまだ発展途上国。
海外では、わんちゃんは「人間と同じ感覚のある存在」として尊重され、わんちゃんを飼っていない人からも認められています。
もちろん、しつけや飼い主さんのマナーも徹底しているから、レストランやスーパーを普通に利用できたり、公共交通機関を利用できるのですが…。
日本のわんちゃんに対する考え方が、ペット先進国に大幅に遅れを取っていることを飼い主さん自身が自覚するだけでなく、日本全体で意識を変えていかない限りわんちゃんにとって優しい国となるには難しいのかもしれません。
すべてのわんちゃん、すべての動物たちが安心して幸せに暮らせる国になってほしいものですね。
執筆者
- ペットライター
-
たかだ なつき
- JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー