愛犬とのお散歩は、犬と暮らすにあたって最も楽しみなイベントのひとつです。しかし、突然歩かなくなってしまったり、匂いを嗅いで全然進めなかったりすることも少なくありません。
悩みを抱える飼い主さんのために、散歩中に犬が歩かない原因とその解決方法を解説します。「トイプードルで歩かないのは珍しい?」「チワワは抱っこしてしまえばいい?」など、細かい疑問も解決できますよ。リード・ハーネスを選ぶポイントや子犬の初めての散歩の仕方も紹介するので、ぜひ参考にしてください!
愛犬とのお散歩は、犬と暮らすにあたって最も楽しみなイベントのひとつです。しかし、突然歩かなくなってしまったり、匂いを嗅いで全然進めなかったりすることも少なくありません。
悩みを抱える飼い主さんのために、散歩中に犬が歩かない原因とその解決方法を解説します。「トイプードルで歩かないのは珍しい?」「チワワは抱っこしてしまえばいい?」など、細かい疑問も解決できますよ。リード・ハーネスを選ぶポイントや子犬の初めての散歩の仕方も紹介するので、ぜひ参考にしてください!
犬が歩かない原因はさまざまですが、大きく分けると
①嫌なものがある・わがままなど気持ちが原因のパターン
②体調不良・ケガ・加齢など体の原因のパターン
があります。まずはこのフローチャートで、可能性が高い原因をチェックしましょう。
病気やケガよりも、何か嫌なもの・怖いものがある場合や要求があって歩かなくなるケースのほうが多く見られます。この場合は、その原因を細かいところまで見極めることが大事です。
ポイントを押さえれば必ず原因は見つかるので、焦らずに愛犬と向き合って理由を探りましょう。
特に散歩デビューしたばかりの子犬や保護犬の場合、何かに恐怖を感じて動かないことが多くあります。恐怖が原因の際に大事なのは、それが慣れるべき恐怖なのか避けるべき恐怖なのかを飼い主が判断することです。社会化のために慣れる必要があれば、おやつを使ってトレーニングを行います。
①慣れるべき恐怖の例
大きなトラック→この先も出会うことが多く、慣れるべき恐怖なのでむやみに抱っこしたり逃げたりしない
②避けるべき恐怖の例
噛み付いてくる大型犬→交流する必要がなく危険で、避けるべき恐怖なので抱っこして逃げてよい
どんな様子?
解決方法(①慣れるべき恐怖の場合)
解決方法(②避けるべき恐怖の場合)
①の場合、おやつを食べられないほど怖がっているときは無理にトレーニングを続けずにその場を離れましょう。また、どちらの場合も無理やり引っ張るのは余計に恐怖を与えてしまうためNGです。
リードやハーネスを嫌がって動かなくなることもあります。散歩デビューして間もない犬のほか、リードやハーネスを新調したときも起こりやすいので注意しましょう。下記の解決方法を参考に、犬が嫌がりにくい商品を選んでください。
どんな様子?
解決方法
以下をポイントにリードとハーネスを選ぶ
■リード選びのポイント
■ハーネス選びのポイント
散歩の時間を使って、さまざまなトレーニングを行っている飼い主さんもいるでしょう。しかし、散歩中に難易度の高いトレーニングをやりすぎてしまうと、散歩自体が嫌いになる可能性が。
犬にとって大きな楽しみである散歩の時間を、最初から最後までしつけにあてるとストレスが溜まってしまいます。好きに動いていい時間(場所)と、トレーニングをする時間の両方を設けてください。できないときに怒ってしまうのも原因なので、トレーニングの仕方も見直しましょう。
どんな様子?
解決方法
匂いを嗅ぐのは犬の本能で、さまざまな情報を得るために必要なことです。しかし、そればかりしていると十分に運動ができない、他の犬や人と全く交流できないなど別の問題が発生してしまいます。
嗅いでいいときとだめなときを、人の指示でコントロールできるようにするのがしつけです。散歩中に匂い以外のものにもたくさん触れられるよう、トレーニングしましょう。
どんな様子?
しきりに地面を嗅いで進まない
解決方法
怖いものを避けようとしているのではなく、好きなものがある別の道に行きたがって動かないケースもあります。この場合「なぜ別の道に行きたいのか」を分析して、そこから対策を考えてください。
「他の犬と遊びたい」「おやつをもらえる人の家の前を通りたい」「匂いを嗅ぎたい」「公園で思いっきり運動したい」など、理由はさまざまです。理由を明確にすることで、効果のある解決方法が見つかります。
どんな様子?
解決方法
散歩が大好きな子は、公園から折り返したときや家が近づいたときに動かなくなることもあるでしょう。別の道に行きたい場合と同じく、帰りたがらない理由を突き止めてください。そのうえで「家に帰るといいことがある」と覚えさせることが効果的です。
どんな様子?
解決方法
散歩中はほかのものに意識が行くので、飼い主に注目してほしくて立ち止まるのは稀なケースです。しかし、普段のコミュニケーションが不十分だと気を引くために歩かなくなる可能性はあります。
犬は自分が拒否したときにどのようになったかを学習するので、有益な結果が得られればどんどん拒否します。しっかりとコミュニケーションを取って早めに解決しましょう。
どんな様子?
解決方法
気持ちの問題ではなく、体調不良やケガのせいで歩けないこともあります。加齢や肥満でも歩かなくなることがあるので、日頃から愛犬の様子をよく観察しておきましょう。
息が上がっている、歩き方がおかしいなど異変がある場合は、まず病気やケガを疑いましょう。小型犬に多いパテラや、一部の大型犬によく見られる股関節の疾患などにも注意してください。散歩中は常に愛犬の様子をよく見て、普段どんな様子であるか覚えておくことが大切です。
どんな様子?
解決方法
病院で受診する
季節や地域などによっては、暑さや寒さのせいで歩かないケースもあります。さまざまなグッズを使って対策するほか、愛犬が暑さや寒さにどれくらい弱い犬種であるかを把握しておくこともポイントです。
■特に暑さに弱い犬種
パグ、フレンチ・ブルドッグ、ボストン・テリア、サモエド、グレート・ピレニーズ、ボルゾイ など
■特に寒さに弱い犬種
チワワ、トイ・プードル、パグ、フレンチ・ブルドッグ、ボストン・テリア、ミニチュア・ピンシャー、イタリアン・グレーハウンド など
どんな様子?
解決方法
シニア犬は体力が落ち、足腰も弱くなるので思うように運動できなくなります。大型犬は6歳ごろから老化が始まることもあるので、シニア期は意外に早く来るものと認識しておきましょう。
グッズを使いながら、体に負担がかからない範囲で運動して気分転換させてあげてください。
どんな様子?
解決方法
太りすぎている場合も運動がつらく、立ち止まる原因になります。食欲旺盛な子や、普段あまり運動していない子の場合は要注意。動物病院での健診も受けながら、適切な体重を保ってください。
どんな様子?
解決方法
子犬の時期に散歩に慣れず社会化不足になると、吠えや噛みつきなどの問題行動が多い犬に育ってしまいます。アメリカでは、問題行動を原因として年間約200万頭が殺処分されているのが現状。散歩デビューの成功はとても大事なことです。
最初に「散歩=楽しいもの」と認識してもらうことが大事なので、しっかりと準備しましょう。
初めて散歩する犬は、当然ハーネスやリードに慣れていません。怖がったり違和感を覚えたりしてうまく歩けないケースがあるので、デビュー前に家の中で着ける練習や着けた状態で歩く練習をしておきましょう。
まずは近くに置くだけにして、見慣れさせるのもおすすめです。
子犬の散歩デビューは、ワクチンを3回接種してからが一般的。しかし、地面に降ろさなければ2回の接種でも外に出ることが可能です。早い時期からスリングに入れ抱っこして一緒に歩くことで、社会化がしやすくなります。
前述のとおり、問題行動があると最悪の場合は殺処分になってしまいます。早く外に出すことで多少のリスクがあったとしても、社会化不足で殺処分されるリスクよりは少ないでしょう。ただし、かかりつけの獣医への相談は必要なので、きちんと判断を仰いてください。
ワクチン3回接種後であれば、他の犬との交流も可能です。しかし、交流していいのは愛犬も相手の犬も落ち着いた状態のときのみです。
社会化が大事だからといって興奮した犬に近づくと、吠えられたり噛まれたりしてトラウマになってしまいます。はじめは散歩中の犬が多い時間を避けるのがよいでしょう。
犬だけでなく人の多さにも注意してください。特に学校の周辺や通学路など、子供が多い場所を登下校の時間に通るのは避けましょう。子犬は子供に囲まれやすく、これもトラウマの原因のひとつになってしまいます。
散歩中は、いろいろなところで好きなおやつやフードをあげましょう。怖がったり吠えたりした場合でも、おやつを使ってその場から離れることで徐々に慣れていきます。
おやつがあれば半ば強制的に楽しい思い出にできるので、とても効果的なアイテムです。
散歩に関する「こんなときはどうしたらいい?」「これは正しい?」という質問に回答します。
場合によります。何かが怖いわけではなく、ただ甘えて抱っこを求めている場合はよくありません。
恐怖を感じている場合も、慣れるべきものを怖がっているのであれば安易に抱っこするのはNGです。「怖いものがある・あった」の解決方法を参考に、少しずつ慣れさせてください。
アイコンタクトを取って、静止した状態を保てたら褒めるというトレーニングを繰り返します。
道が狭くて難しい場合は、最初からおやつをあげて気を逸らすのが安全です。いきなり実践するのは難しいうえに危険なので、最初は知り合いに通行人役を頼んでトレーニングするのがいいでしょう。
恐怖を感じている場合は、まずその対象から離れられるルートを取ってください。怖くて固まってしまったらおやつをあげて誘導しましょう。
「違う道に行きたい」「帰りたくない」などの理由で動かない場合は、おやつで誘導して正しいところまで進めたときにあげるようにします。
小型犬は怖がりなので、何かに恐怖を感じて歩かなくなりやすい傾向があります。
そのほか、暑さが苦手なパグ・フレンチブルドッグなどの短頭種、寒さが苦手なミニチュアピンシャー・イタリアングレーハウンド・チワワなども環境によっては歩かなくなる可能性が高いでしょう。
愛犬が散歩で歩かないときは、焦らずに原因をしっかり見極めることが大事です。何か怖いもの・嫌なものがあることもあれば要求があることもあり、原因は多岐にわたります。特に恐怖を感じているときは、それが慣れるべき恐怖なのか避けるべき恐怖なのかを判断したうえで、適切な対応をしてください。
病気やケガが隠れていることもあるので、普段から散歩中の様子をよく見て異変に気づけるようにしましょう。
散歩デビューは、事前にハーネス・リードに慣れさせておくことや、早めにスリングで外に連れていくことがポイントです。性格や環境によってはなかなかうまく歩いてくれないこともありますが、諦めて散歩をやめるのはNGです。散歩に行かずに、生活に必要な社会性を維持できることはほとんどありません。
散歩で歩かなくなることは多くの飼い主が直面する悩みです。「この子だけ?」と不安になったりイライラしたりせず、大事なコミュニケーションの時間だと考えてゆっくり向き合っていきましょう。