公開 2024.07.31 更新 2024.08.04
ドッグフードでよく見るAAFCOとは?栄養基準やガイドラインになる理由、FEDIAFとの違いも解説!【ペットフード安全管理者執筆】

ドッグフードでよく見るAAFCOとは?栄養基準やガイドラインになる理由、FEDIAFとの違いも解説!【ペットフード安全管理者執筆】

ドッグフードのパッケージに「AAFCOの成長期栄養基準を満たしています」という文字を目にしたことのある人は多いでしょう。

「AAFCO」は「アフコ」と読み、米国飼料検査官協会のことを指しています。世界的に活用されているペットフードのガイドラインを定めている団体であり、日本では総合栄養食と表示するためにはAAFCOの栄養基準をクリアしなければなりません。

この記事では、AAFCOの栄養やラベル表示の基準をわかりやすく紹介し、ヨーロッパのペットフード団体「FEDIAF」との違いも解説します。

AAFCOの基準を満たしたドッグフードは、そうではないフードと比較して何が違うのかがわかるようになっていますので、ぜひ参考にしてください。

AAFCO(アフコ)とは?ペットフードの栄養やラベルの基準を設定している団体

AAFCO(アフコ)のロゴ

AAFCO(アフコ)は、ペットフードの栄養やラベルの基準を設定している団体です。

正式名称は「Association of American Feed Control Officials(アソシエーション・オブ・アメリカン・フィード・コントロール・オフィシャルズ)」で、読み方は「アフコ」と読みます。

AAFCOは、アメリカとカナダの飼料管理官・規制当局が協力している組織です。ペットフードや動物飼料の安全性と品質を確保するために重要な役割を果たしており、業界全体に対して信頼性のある基準を提供しています。

ただ、AAFCO自体には法律を制定する権限はないため、AAFCOの基準をもとに、アメリカやカナダの各州(地域)や連邦政府がペットフードに関する法律やルールを作り、実施しています。

また、AAFCOが1993年に公表したドッグフードとキャットフードの推奨栄養成分をもとに、ライフステージ別(子犬期(成長期用)・成犬期(維持期))に必要な栄養基準が設定され、多くのドッグフードメーカーが参考にするようになりました。

この基準は定期的に見直されており、2016年には栄養成分基準(※参考:ペット栄養学会誌 第20巻 第1号 2017.4 (jst.go.jp)、2023年7月にはラベル表示に関する内容(※参考:AAFCO Membership Approves New Model Pet Food and Specialty Pet Food Regulations | AAFCOが改定されています。

AAFCOはペットフードの認定や承認を行う検査機関ではない

AAFCOはペットフードの認定や承認を行う検査機関ではない

AAFCOはペットフードの認定や承認を行う検査機関ではありません。そのため、AAFCO認証などの表記は誤りであり、もしそのような表示のフードがあれば、飼い主に誤解を与える可能性があります。

また、AAFCOは原材料の品質を評価する機関ではないため、AAFCOの基準に基づいているからといって、必ずしも安心できるわけではありません。

ペットフード安全管理者高橋 由紀那
ペットフード安全管理者
高橋 由紀那
AAFCOの役割を理解することは、ペットフードを選ぶ際にとても重要です。購入前にAAFCOの基準に適合しているかどうかを確認するとともに、原材料の品質や製造過程についても注意を払いましょう。

AAFCOのガイドラインとは?栄養基準一覧とラベル表示基準を解説

ドッグフードを選んでいる女性

AAFCO(アフコ)は、ペットフードの栄養基準やラベル表示基準を設定している団体です。ここでは、AAFCOのガイドラインについて詳しく解説します。

AAFCOの栄養基準は総合栄養食と表示するために必要

AAFCOは、犬や猫の健康を維持するために必要な栄養素(タンパク質、脂肪などの最低値、ビタミン、アミノ酸、ミネラルなど)の下限値や、危険性のある原材料の上限値を設定しています。

これにより、ペットフードが栄養バランスの取れた食事を提供できるようになっているため、AAFCOの栄養基準はペットフードが「総合栄養食」と表示されるために必要です。

ライフステージ別に必要な栄養素(乾燥物質基準の一覧

AAFCOの栄養基準は、「乾物量(DM値)」=水分を含まない数値、で定められています。水分を除いた状態での栄養成分が評価されるので、より正確な栄養価が示されます。

パッケージに表記されている成分は乾物値ではないため、そのままAAFCOの基準と照らし合わすことができません

ドライフードの場合はそこまで大きく数値が変わりませんが、ウェットフードの場合は水分を多く含むため、そのままの数値を読まないように注意しましょう。

以下は、AAFCOの栄養基準2016年版です。フードの想定カロリーは4000kcal ME/kgです。(体が実際に使うことができるエネルギーがフード1kgあたりに4000カロリー入っている)

栄養素 単位
子犬 成犬
タンパク質 % 22.5以上 18.0以上
アルギニン % 1.00以上 0.51以上
ヒスチジン % 0.44以上 0.19以上
イソロイシン % 0.71以上 0.38以上
ロイシン % 1.29以上 0.68以上
リジン % 0.90以上 0.63以上
メチオニン % 0.35以上 0.33以上
メチオニン+シスチン % 0.70以上 0.65以上
フェニルアラニン % 0.83以上 0.45以上
フェニルアラニン+チロシン % 1.30以上 0.74以上
トレオニン % 1.04以上 0.48以上
トリプトファン % 0.20以上 0.16以上
バリン % 0.68以上 0.49以上
脂肪 % 8.5以上 5.5以上
リノール酸 % 1.3以上 1.1以上
αリノレン酸 % 0.08以上
アラキドン酸 %
EPA+DHA % 0.05以上
リノール酸+アラキドン酸︰αリノレン酸+EPA+DHA   30:1 30:1
カルシウム % 1.2〜1.8 0.5〜1.8
リン % 1.0〜1.6 0.4〜1.6
カルシウム︰リン   1:1〜2:1 1:1〜2:1
カリウム % 0.6以上 0.6以上
ナトリウム % 0.3以上 0.08以上
塩素 % 0.45以上 0.12以上
マグネシウム % 0.06以上 0.06以上
mg/kg 88以上 40以上
mg/kg 12.4以上 7.3以上
銅(ウェット) mg/kg
マンガン mg/kg 7.2以上 5.0以上
亜鉛 mg/kg 100以上 80以上
ヨウ素 mg/kg 1.0〜11 1.0〜11
セレン mg/kg 0.35〜2 0.35〜2
ビタミンA IU/kg 5000〜250000 5000〜250000
ビタミンD IU/kg 500〜3000 500〜3000
ビタミンE IU/kg 50以上 50以上
ビタミンK mg/kg
ビタミンB1(チアミン) mg/kg 2.25以上 2.25以上
ビタミンB2(リボフラビン) mg/kg 5.2以上 5.2以上
パントテン酸 mg/kg 12.0以上 12.0以上
ナイアシン mg/kg 13.6以上 13.6以上
ビタミンB6 mg/kg 1.5以上 1.5以上
葉酸 mg/kg 0.216以上 0.216以上
ビオチン mg/kg
ビタミンB12 mg/kg 0.028以上 0.028以上
コリン mg/kg 1360以上 1360以上
タウリン(ドライ) %
タウリン(ウェット) %

 

栄養成分の表記

アボダーム シニア 成分

AAFCOの基準に基づいて、ペットフードの栄養成分は表形式で記載されます。これにより、飼い主はどの成分がどれだけ含まれているかを一目で確認できます。

AAFCOのラベル表示基準はペットフードの透明性を高めるためのもの

AAFCOのラベル表示基準は、ペットフードの透明性を高め、飼い主が適切な選択をできるようにするためのものです。


AAFCOは、ペットフードのラベル表示に関するガイドラインを提供し、飼い主が製品の内容を正確に理解できるようにしています

例えば、総合栄養食、おやつ、サプリメント、療法食、一般食などの使用目的と対応するライフステージを明確に表示することが推奨されています。

ラベル表示の具体例

ベストバランスの原材料

AAFCOでは、原材料やフードの品質に関する認証は行っていませんが、飼い主にわかりやすく表示するために、原材料の表記についても一部定めています。以下に具体例を示します。

  • 肉や肉副産物と表記する場合
    牛、豚、羊、山羊、またはそれらの組み合わせを含むことができます。
  • 家禽類や家禽ミールと表記する場合
    鶏、七面鳥、アヒル、ガチョウ、ホロホロ鳥、走鳥類、ヒメウズラ類、またはそれらの組み合わせを含むことができます。
  • 魚や魚粉や魚の副産物の場合
    原料名には魚の種類を指定せずに「魚」と含めることができます(例:オーシャンホワイトフィッシュなど)。
  • 砂糖と表記する場合
    サトウキビ由来のショ糖またはテンサイであることが示されています。
ペットフード安全管理者高橋 由紀那
ペットフード安全管理者
高橋 由紀那
日本にはペットフードの表記を統一する決まりはありませんが、AAFCOのラベル表示基準に則っているメーカーが多いです。

しかし、ラベル表示の基準に沿っているからといって、必ずしも安心できる食材を使用しているわけではありません。あくまで誤解を与えないようにするための表記であり、飼い主が正しい情報を基に選択することが重要です。

「AAFCO」と「FEDIAF」の主な違いは?アメリカとヨーロッパのドッグフード事情

「AAFCO」と「FEDIAF」の主な違いは?アメリカとヨーロッパのドッグフード事情

AAFCO(アフコ)はアメリカで、FEDIAF(フェディアフ)はヨーロッパで、それぞれペットフードの栄養基準やラベル表示基準を設定している重要な団体です。ここでは、両者の違いやそれぞれの特徴について詳しく解説します。

FEDIAFはヨーロッパのペットフードを代表する団体

AAFCOと同様に、FEDIAFもペットフード業界において重要な役割を果たしている団体です。以下に、FEDIAFの概要を紹介します。

FEDIAFの概要

FEDIAF(The European Pet Food Industry Federation)は、ヨーロッパ全域のペットフード業界を代表する団体です。正式名称は「The European Pet Food Industry Federation」で、「フェディアフ」と読みます。

FEDIAFの役割

FEDIAFは、ペットフードの栄養基準やラベル表示に関するガイドラインを提供し、ペットフードの安全性と品質を確保するために重要な役割を果たしています。また、ペットフードに関する情報を提供し、業界および消費者の教育にも力を入れています。

原材料表記の規定など主な違い

AAFCOとFEDIAFには、いくつかの点で違いがあります。特に、原材料表記の規定に関しては以下のような違いがあります。

項目 AAFCO FEDIAF
肉の表記 肉や肉副産物(牛、豚、羊、山羊など) チキンミールをチキンとしては不可
家禽類 家禽類や家禽ミール(鶏、七面鳥など) 家禽の種類を明示
魚の表記 魚や魚粉(魚の種類指定せず「魚」) 魚の種類を明示
砂糖の表記 サトウキビ由来のショ糖またはテンサイ 砂糖の種類を明示

どちらもドッグフードの品質を保つための基準となっている

AAFCOとFEDIAFのどちらの基準も、ドッグフードの品質を保つために重要です。日本では、ペットフード公正取引協議会の基準がAAFCOに基づいているため、AAFCOの方が知名度が高いですが、FEDIAFを基準としたドッグフードにも良質なものがたくさんあります。

どちらの基準が優れているということはなく、フードを選ぶ際は愛犬の好みや体質に合うものを選ぶと良いでしょう。

AAFCO(アフコ)のまとめ

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AAFCOの基準をクリアしたペットフードは、犬や猫が健康を維持するために必要な栄養素がバランス良く含まれています。この基準には、タンパク質、脂肪、ビタミン、アミノ酸、ミネラルなどの最低限の必要量が含まれており、これらを満たすことで「総合栄養食」として認められます。

AAFCOの基準に基づくフードは、水とそのフードだけでペットが必要な全ての栄養を摂取できるように設計されています。さらに、ラベルには栄養成分や使用目的が明確に表示されているため、飼い主が適切なフードを選びやすくなっています。

ただし、AAFCOの基準をクリアしていることは最低限の安全性と栄養バランスを保証するものであり、全てのフードが最高品質であるわけではありません。フードを選ぶ際には、原材料の品質や製造過程にも注意し、愛犬や愛猫の好みや体質に合ったものを選ぶことが重要です。AAFCOの基準は信頼性の高い指標ですが、最終的には飼い主の判断が必要です。

ペットライター 高橋 由紀那

執筆者

ペットライター
高橋 由紀那
犬の管理栄養士 / ペットフード安全管理者

ペットフードメーカーに6年勤務後、現在はINUNAVIライターとしてドッグフードを中心とした記事を数多く執筆。相棒はキャバリアのジタン(10歳)。犬が好き&犬が好きな人が好きです。好きな人たちの生活がより豊かになるような、経験を生かした正しい情報、一歩踏み込んだ内容の記事をお届けします。保有資格:ペットフード安全管理者犬の管理栄養士ペット災害危機管理士3級

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