AAFCO(アフコ)とは?ペットフードの栄養やラベルの基準を設定している団体
AAFCO(アフコ)は、ペットフードの栄養やラベルの基準を設定している団体です。
正式名称は「Association of American Feed Control Officials(アソシエーション・オブ・アメリカン・フィード・コントロール・オフィシャルズ)」で、読み方は「アフコ」と読みます。
AAFCOは、アメリカとカナダの飼料管理官・規制当局が協力している組織です。ペットフードや動物飼料の安全性と品質を確保するために重要な役割を果たしており、業界全体に対して信頼性のある基準を提供しています。
ただ、AAFCO自体には法律を制定する権限はないため、AAFCOの基準をもとに、アメリカやカナダの各州(地域)や連邦政府がペットフードに関する法律やルールを作り、実施しています。
また、AAFCOが1993年に公表したドッグフードとキャットフードの推奨栄養成分をもとに、ライフステージ別(子犬期(成長期用)・成犬期(維持期))に必要な栄養基準が設定され、多くのドッグフードメーカーが参考にするようになりました。
この基準は定期的に見直されており、2016年には栄養成分基準(※参考:ペット栄養学会誌 第20巻 第1号 2017.4 (jst.go.jp))、2023年7月にはラベル表示に関する内容(※参考:AAFCO Membership Approves New Model Pet Food and Specialty Pet Food Regulations | AAFCO)が改定されています。
AAFCOはペットフードの認定や承認を行う検査機関ではない
AAFCOはペットフードの認定や承認を行う検査機関ではありません。そのため、AAFCO認証などの表記は誤りであり、もしそのような表示のフードがあれば、飼い主に誤解を与える可能性があります。
また、AAFCOは原材料の品質を評価する機関ではないため、AAFCOの基準に基づいているからといって、必ずしも安心できるわけではありません。
AAFCOの役割を理解することは、ペットフードを選ぶ際にとても重要です。購入前にAAFCOの基準に適合しているかどうかを確認するとともに、原材料の品質や製造過程についても注意を払いましょう。
AAFCOのガイドラインとは?栄養基準一覧とラベル表示基準を解説
AAFCO(アフコ)は、ペットフードの栄養基準やラベル表示基準を設定している団体です。ここでは、AAFCOのガイドラインについて詳しく解説します。
AAFCOの栄養基準は総合栄養食と表示するために必要
AAFCOは、犬や猫の健康を維持するために必要な栄養素(タンパク質、脂肪などの最低値、ビタミン、アミノ酸、ミネラルなど)の下限値や、危険性のある原材料の上限値を設定しています。
これにより、ペットフードが栄養バランスの取れた食事を提供できるようになっているため、AAFCOの栄養基準はペットフードが「総合栄養食」と表示されるために必要です。
ライフステージ別に必要な栄養素(乾燥物質基準の一覧)
AAFCOの栄養基準は、「乾物量(DM値)」=水分を含まない数値、で定められています。水分を除いた状態での栄養成分が評価されるので、より正確な栄養価が示されます。
パッケージに表記されている成分は乾物値ではないため、そのままAAFCOの基準と照らし合わすことができません。
ドライフードの場合はそこまで大きく数値が変わりませんが、ウェットフードの場合は水分を多く含むため、そのままの数値を読まないように注意しましょう。
以下は、AAFCOの栄養基準2016年版です。フードの想定カロリーは4000kcal ME/kgです。(体が実際に使うことができるエネルギーがフード1kgあたりに4000カロリー入っている)
栄養素 |
単位 |
犬 |
子犬 |
成犬 |
タンパク質 |
% |
22.5以上 |
18.0以上 |
アルギニン |
% |
1.00以上 |
0.51以上 |
ヒスチジン |
% |
0.44以上 |
0.19以上 |
イソロイシン |
% |
0.71以上 |
0.38以上 |
ロイシン |
% |
1.29以上 |
0.68以上 |
リジン |
% |
0.90以上 |
0.63以上 |
メチオニン |
% |
0.35以上 |
0.33以上 |
メチオニン+シスチン |
% |
0.70以上 |
0.65以上 |
フェニルアラニン |
% |
0.83以上 |
0.45以上 |
フェニルアラニン+チロシン |
% |
1.30以上 |
0.74以上 |
トレオニン |
% |
1.04以上 |
0.48以上 |
トリプトファン |
% |
0.20以上 |
0.16以上 |
バリン |
% |
0.68以上 |
0.49以上 |
脂肪 |
% |
8.5以上 |
5.5以上 |
リノール酸 |
% |
1.3以上 |
1.1以上 |
αリノレン酸 |
% |
0.08以上 |
– |
アラキドン酸 |
% |
– |
– |
EPA+DHA |
% |
0.05以上 |
– |
リノール酸+アラキドン酸︰αリノレン酸+EPA+DHA |
|
30:1 |
30:1 |
カルシウム |
% |
1.2〜1.8 |
0.5〜1.8 |
リン |
% |
1.0〜1.6 |
0.4〜1.6 |
カルシウム︰リン |
|
1:1〜2:1 |
1:1〜2:1 |
カリウム |
% |
0.6以上 |
0.6以上 |
ナトリウム |
% |
0.3以上 |
0.08以上 |
塩素 |
% |
0.45以上 |
0.12以上 |
マグネシウム |
% |
0.06以上 |
0.06以上 |
鉄 |
mg/kg |
88以上 |
40以上 |
銅 |
mg/kg |
12.4以上 |
7.3以上 |
銅(ウェット) |
mg/kg |
– |
– |
マンガン |
mg/kg |
7.2以上 |
5.0以上 |
亜鉛 |
mg/kg |
100以上 |
80以上 |
ヨウ素 |
mg/kg |
1.0〜11 |
1.0〜11 |
セレン |
mg/kg |
0.35〜2 |
0.35〜2 |
ビタミンA |
IU/kg |
5000〜250000 |
5000〜250000 |
ビタミンD |
IU/kg |
500〜3000 |
500〜3000 |
ビタミンE |
IU/kg |
50以上 |
50以上 |
ビタミンK |
mg/kg |
– |
– |
ビタミンB1(チアミン) |
mg/kg |
2.25以上 |
2.25以上 |
ビタミンB2(リボフラビン) |
mg/kg |
5.2以上 |
5.2以上 |
パントテン酸 |
mg/kg |
12.0以上 |
12.0以上 |
ナイアシン |
mg/kg |
13.6以上 |
13.6以上 |
ビタミンB6 |
mg/kg |
1.5以上 |
1.5以上 |
葉酸 |
mg/kg |
0.216以上 |
0.216以上 |
ビオチン |
mg/kg |
– |
– |
ビタミンB12 |
mg/kg |
0.028以上 |
0.028以上 |
コリン |
mg/kg |
1360以上 |
1360以上 |
タウリン(ドライ) |
% |
– |
– |
タウリン(ウェット) |
% |
– |
– |
栄養成分の表記
AAFCOの基準に基づいて、ペットフードの栄養成分は表形式で記載されます。これにより、飼い主はどの成分がどれだけ含まれているかを一目で確認できます。
AAFCOのラベル表示基準はペットフードの透明性を高めるためのもの
AAFCOのラベル表示基準は、ペットフードの透明性を高め、飼い主が適切な選択をできるようにするためのものです。
AAFCOは、ペットフードのラベル表示に関するガイドラインを提供し、飼い主が製品の内容を正確に理解できるようにしています。
例えば、総合栄養食、おやつ、サプリメント、療法食、一般食などの使用目的と対応するライフステージを明確に表示することが推奨されています。
ラベル表示の具体例
AAFCOでは、原材料やフードの品質に関する認証は行っていませんが、飼い主にわかりやすく表示するために、原材料の表記についても一部定めています。以下に具体例を示します。
- 肉や肉副産物と表記する場合
牛、豚、羊、山羊、またはそれらの組み合わせを含むことができます。
- 家禽類や家禽ミールと表記する場合
鶏、七面鳥、アヒル、ガチョウ、ホロホロ鳥、走鳥類、ヒメウズラ類、またはそれらの組み合わせを含むことができます。
- 魚や魚粉や魚の副産物の場合
原料名には魚の種類を指定せずに「魚」と含めることができます(例:オーシャンホワイトフィッシュなど)。
- 砂糖と表記する場合
サトウキビ由来のショ糖またはテンサイであることが示されています。
日本にはペットフードの表記を統一する決まりはありませんが、AAFCOのラベル表示基準に則っているメーカーが多いです。
しかし、ラベル表示の基準に沿っているからといって、必ずしも安心できる食材を使用しているわけではありません。あくまで誤解を与えないようにするための表記であり、飼い主が正しい情報を基に選択することが重要です。
「AAFCO」と「FEDIAF」の主な違いは?アメリカとヨーロッパのドッグフード事情
AAFCO(アフコ)はアメリカで、FEDIAF(フェディアフ)はヨーロッパで、それぞれペットフードの栄養基準やラベル表示基準を設定している重要な団体です。ここでは、両者の違いやそれぞれの特徴について詳しく解説します。
FEDIAFはヨーロッパのペットフードを代表する団体
AAFCOと同様に、FEDIAFもペットフード業界において重要な役割を果たしている団体です。以下に、FEDIAFの概要を紹介します。
FEDIAFの概要
FEDIAF(The European Pet Food Industry Federation)は、ヨーロッパ全域のペットフード業界を代表する団体です。正式名称は「The European Pet Food Industry Federation」で、「フェディアフ」と読みます。
FEDIAFの役割
FEDIAFは、ペットフードの栄養基準やラベル表示に関するガイドラインを提供し、ペットフードの安全性と品質を確保するために重要な役割を果たしています。また、ペットフードに関する情報を提供し、業界および消費者の教育にも力を入れています。
原材料表記の規定など主な違い
AAFCOとFEDIAFには、いくつかの点で違いがあります。特に、原材料表記の規定に関しては以下のような違いがあります。
どちらもドッグフードの品質を保つための基準となっている
AAFCOとFEDIAFのどちらの基準も、ドッグフードの品質を保つために重要です。日本では、ペットフード公正取引協議会の基準がAAFCOに基づいているため、AAFCOの方が知名度が高いですが、FEDIAFを基準としたドッグフードにも良質なものがたくさんあります。
どちらの基準が優れているということはなく、フードを選ぶ際は愛犬の好みや体質に合うものを選ぶと良いでしょう。
AAFCO(アフコ)のまとめ
AAFCOの基準をクリアしたペットフードは、犬や猫が健康を維持するために必要な栄養素がバランス良く含まれています。この基準には、タンパク質、脂肪、ビタミン、アミノ酸、ミネラルなどの最低限の必要量が含まれており、これらを満たすことで「総合栄養食」として認められます。
AAFCOの基準に基づくフードは、水とそのフードだけでペットが必要な全ての栄養を摂取できるように設計されています。さらに、ラベルには栄養成分や使用目的が明確に表示されているため、飼い主が適切なフードを選びやすくなっています。
ただし、AAFCOの基準をクリアしていることは最低限の安全性と栄養バランスを保証するものであり、全てのフードが最高品質であるわけではありません。フードを選ぶ際には、原材料の品質や製造過程にも注意し、愛犬や愛猫の好みや体質に合ったものを選ぶことが重要です。AAFCOの基準は信頼性の高い指標ですが、最終的には飼い主の判断が必要です。