キャベツの栄養素
キャベツは92.7%が水分ですが、犬の健康維持に嬉しいさまざまな栄養素が少量ずつバランスよく含まれています。
■キャベツの主な栄養素 / 生(※1)
カロリー:21kcal / 100g
- 食物繊維
…100g中:1.8g
腸内環境の改善や排便をスムーズにする働きがある。不溶性食物繊維は有害物質を吸着させて、便と一緒に体の外に排出する働きもある(※2)
- β-カロテン
…100g中:50μg
体内で必要な量だけビタミンAとなる。体内でほかの栄養素の働きを促進するほか、抗酸化作用で体内の活性酸素を除去する働きなど(※3)
- カリウム
…100g中:200mg
ナトリウム(塩分)の排出を促す。細胞の浸透圧維持、神経刺激の伝達、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など重要な働きをする(※4)
- ビタミンC
…100g中:41mg
毛細血管、歯、軟骨などを正常に保つ。抗酸化作用で体内の活性酸素を除去する働きも。(※5)犬は体内で合成できるが、合成が追いつかないこともあり摂取するのが望ましい
- ビタミンU(別名:キャベジン)
…100g中:350μg
胃酸の分泌を抑え、胃腸の粘膜を健康に保つ働き。胃腸粘膜の新陳代謝を活発することが期待されている(※6)
- ビタミンK
…100g中:78μg
血液凝固に大きく関与。丈夫な骨づくりにも不可欠(※7)
犬に与えていい野菜一覧!野菜の健康効果は?注意点やダメな野菜も【獣医師監修】
犬がキャベツを食べるメリットとデメリット
では、犬がキャベツを食べるメリットやデメリットはどんなことがあるのでしょう。
ここでは、生で食べる場合と加熱して食べる場合のメリットとデメリットをそれぞれご紹介します。
犬が生でキャベツを食べるメリット
■生でキャベツを食べるメリット
・水溶性の栄養素を摂り入れられる
・熱に弱い栄養素を摂り入れられる
・ダイエット中の犬の食事のかさ増しができる
■生でキャベツを食べるデメリット
・加熱したものに比べて消化に負担がかかる
犬がキャベツを生で食べるメリットは、キャベツの栄養素をしっかりと摂り入れることができることでしょう。
しかし、カットしたキャベツを水にさらしすぎると切り口から水溶性の栄養素が溶け出してしまうため、葉のままで洗ってからカットすることをおすすめします。
犬が加熱したキャベツを食べるメリットとデメリット
■加熱したキャベツを食べるメリット
・消化の負担が軽減される
・脂溶性の栄養素を吸収しやすい
・油と一緒に摂取するとβ-カロテンやビタミンKといった脂溶性の栄養素の吸収率が上がる
・たっぷりのお湯で茹でるとシュウ酸を減らすことができる
■加熱したキャベツを食べるデメリット
・茹でるとカリウムなどの水溶性の栄養素が水に溶けだす
・ビタミンUやビタミンCは熱に弱く栄養が失われやすい
犬が加熱したキャベツを食べるメリットは、柔らかくなって食べやすくなることはもちろん、β-カロテンやビタミンKといった脂溶性の栄養素を吸収しやすくなるということでしょう。
また、加熱するとかさが減るため、少食な犬では食べる量を増やせるというメリットがありますが、たくさん食べたい犬では物足りなく感じてしまうかもしれません。
犬が1日に食べてもいいキャベツの量
キャベツは犬の健康維持に役立つ栄養素が豊富に含まれていますが、与え過ぎは栄養バランスの偏りや体調不良の原因にもなりかねないため、おやつやトッピングでキャベツを与える際は犬が1日に必要なカロリーの10%以内にしましょう。
とは言え、キャベツのカロリーは低く、計算上では体重5kgの犬で約160gとかなりの量になってしまいます。
キャベツは約93%が水分のため、食べ過ぎは体が冷えて下痢などを引き起こす原因となってしまうことから、以下を目安にしてください。
■犬に与えていいキャベツの量の目安 / 日
体の大きさ |
目安量 |
目安 |
超小型犬(体重4kg未満) |
約38g |
葉3/4枚 |
小型犬(体重4~10kg未満) |
約50g |
葉1枚 |
中型犬(体重10~25kg未満) |
約100g |
葉2枚 |
大型犬(体重25kg以上) |
約150g |
葉3枚 |
もちろん、体質に合う合わないもあるため、犬の体調や便の状態などを見ながら調整しましょう。
犬にキャベツを与えるときの注意点
キャベツは犬にとってメリットのある食べ物ですが、与えるときには注意してあげなければいけないこともあります。
食物アレルギーに注意
初めて犬にキャベツを食べさせる場合は、食物アレルギーを起こす可能性もあるため、少量から与えましょう。
キャベツに食物アレルギーがある場合は、食べてから30分~48時間以内に以下のような症状が見られます。
■犬の食物アレルギーの主な症状
・皮膚の赤みや痒み
・目の周りや口の周り、耳を痒がる
・足先を執拗に舐めたりかじっている
・下痢や軟便
・嘔吐
愛犬にキャベツを食べさせてから48時間は異変がないか観察し、上記のような症状が見られた場合は獣医師に相談してください。
犬の食物アレルギーについては、以下の記事で詳しく解説しています。
犬のアレルギー(食物・アトピー・ノミ)原因・対策を徹底解説【皮膚科医取材】
喉に詰まらせないように切り方にも配慮する
生でも加熱したキャベツでも、芯の部分は喉に詰まらせてしまうと窒息を引き起こして危険なため、塊ではなく細かく刻んであげましょう。
また、葉の部分も大きいままではちゃんと噛み切れずに飲み込んで、消化に負担がかかってしまうため、粗みじん切りにするなど食べやすくしてあげることをおすすめします。
子犬やシニア犬では加熱する
キャベツの栄養を余すことなく摂り入れられるのは生で食べることですが、生のキャベツは加熱したものに比べると消化に負担がかかるため、子犬やシニア犬では茹でたり蒸したりするなど加熱して与えましょう。
キャベツには水に溶けだす栄養素もあるため、茹でた場合は茹で汁も一緒に与えるといいでしょう。とは言え、シュウ酸をあまり摂取させたくない場合は、茹で汁は与えないようにしましょう。
また、加熱した際は火傷しないよう、ひと肌程度に冷ましてあげてくださいね。
持病がある犬は事前に獣医師に確認する
適量であれば、犬がキャベツを食べても問題はありませんが、飲んでいる薬(甲状腺機能低下症の薬)によっては薬の吸収が邪魔されてしまう可能性もあるため、持病がある犬や薬を飲んでいる犬では事前に獣医師に確認しましょう。
犬に食べさせるキャベツの簡単レシピ
ここでは、犬に食べさせるキャベツの簡単レシピを2つご紹介します。
蒸しキャベツ
キャベツの栄養を逃しにくく、消化の負担も軽減できる超簡単レシピです。
キャベツ2枚の場合は水は大さじ1となります。
■作り方
- キャベツを愛犬が食べやすい大きさに切り、耐熱皿に入れて水を全体にかけふんわりとラップをする
- 電子レンジで1~1分半、しんなりとするまで加熱する
電子レンジでの調理は、実際に蒸すよりもビタミンCの残量が多いということも報告されており(※8)、加熱に弱い栄養素をできる限り残したまま食べてもらえるでしょう。
野菜ハンバーグ
私がよく愛犬に作っている簡単なキャベツを使用したレシピをご紹介します。
■材料
・鶏むねミンチ…200~300g
・卵…1個
・牛乳…小さじ1
・塩…微量
・キャベツ…40g
・人参…20g
・その他あまりもの野菜…20g(なくても)
※ピーマン、大根、ブロッコリーなど(ネギ類は絶対にNG)
・オリーブオイル…適量
作りやすい分量が上記となりますが、だいたい直径3ⅽmのハンバーグ6~8個くらいになります。(1食2個 / 体重4kg弱)
■作り方
- キャベツ、ニンジン、その他野菜をみじん切りにして耐熱皿に入れ、少量の水をふってラップをかけ、レンジで1分ほど加熱しておく
- 粗熱が取れた①と鶏むねミンチ、卵、牛乳、塩をボウルで混ぜ合わせる
- 愛犬が食べやすいサイズにまとめ、中心部を軽く押さえる
- フライパンにオリーブオイルを薄くひいて、中までしっかり火が通るように両面を焼く
今は愛犬が鶏むね肉がマイブームのため鶏むね肉のミンチを使用していますが、合いびき肉、豚ミンチ、ささみミンチ、鶏ももミンチ、馬肉ミンチなどでも作れますよ!
愛犬は高齢で食欲が落ちているのでハンバーグだけをあげていますが、ほかの2匹の愛犬たちは1個を半分にしてドライフードのトッピングとして使用しています。
ハンバーグと言うと面倒なイメージが強いですが、簡単にササッと作れて、あまった分は冷凍しておけるので、作ってみてはいかがでしょうか。
ただし、総合栄養食ではないため、1日1食のみやトッピングでの利用をおすすめします。
【獣医師監修】犬が食べていいもの一覧!野菜・果物・肉類など与えるメリットと注意点
まとめ
キャベツは犬の健康維持に役立つさまざまな栄養素が含まれています。
とは言え、与え過ぎは栄養バランスの偏りや体調不調の原因となってしまうため、小型犬では1日葉1枚を目安にしましょう。
キャベツを上手に活用して、愛犬に美味しくキャベツを食べてもらいましょう。
執筆者
- ペットライター
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たかだ なつき
- JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー