公開 2022.12.27 更新 2023.03.27
犠牲やリスクを知った上で愛犬のクローンを作りたい飼い主さんは0.6%!命の軽視と危惧する声も【現・元飼い主180人アンケート】

犠牲やリスクを知った上で愛犬のクローンを作りたい飼い主さんは0.6%!命の軽視と危惧する声も【現・元飼い主180人アンケート】

海外のペットビジネスでは、愛犬のクローンを作るという分野にまで伸びてきていることをご存じですか?

そもそもクローンとは「生物体の細胞から無性生殖的に増殖し、それと全く等しい形質と遺伝子組成を受け継ぐ別の個体(※)」とされており、簡単に言ってしまえば基本的な外観は同じですが性格や体格は異なる別の存在ということです。

日本でも愛犬の遺伝子を保存するビジネスまで生まれ、クローン犬ビジネスは身近なものとなってきました。

すでに中国や韓国、アメリカなどの富裕層の中には、亡くなった愛犬のクローンを作り生活を共にしている人もいます。

しかし、日本を含め多くの国で人間のクローンが法律で禁止されているように、クローンを作るべきではない大きな問題があるのです。

今回INUNAVIでは、全国の犬の飼い主さん180人を対象に、愛犬のクローンについてアンケートを実施。クローン犬をどう考えているか、愛犬のクローンを作りたいかなど、リアルな声をご紹介します。

(※)引用:Oxford Languages「クローン」

調査結果まとめ

・愛犬のクローンが作れることを「知らなかった」飼い主は81.7%いたが、作れると知っても「作りたい」と回答した飼い主は5.6%にとどまる。作りたくない理由には「愛犬は唯一無二だから」「金額的、技術面で不安」といったコメントが見られた。

・クローン犬を作る費用を「高いと思う」と回答した飼い主は49.4%と最多だが、「妥当だと思う」「安いと思う」飼い主のほうが5割強と上回る結果となった。

・愛犬とクローン犬は別の犬だということを「知っている」飼い主は60.0%いたが、まったく同じ犬ができると思っている飼い主が40.0%もいた。

・クローン犬を作るのに多くのわんちゃんの犠牲があることを知らなかった飼い主は多く、「人間のエゴ」「虐待」「命への冒涜」といったコメントが多く見られた。

・飼い主が考えるクローン犬のリスクは「命の尊さを理解できない人が増える」「生き物を物として扱う人が増える」と、現在でも犬の命が軽視されていることがうかがえるコメントが多かった。

・クローン犬に規制がないことについて知らなかった飼い主が多く、「商売として確立出来る状態は好ましくない」など分野ごとのルールを求める声が多く寄せられた。

・最後に再び愛犬のクローンを作りたいかの質問をすると「作りたくない」と回答した飼い主は初回の78.9%を2割近く上回る96.1%と言う結果になった。理由は「犠牲になる犬がいる」「最期まで懸命に生きた愛犬に対する冒涜に値する行為だと感じる」といったコメントがほとんどを占めた。

愛犬のクローンが作れることを知ってますか?「知らなかった」飼い主さんは81.7%!

■愛犬のクローンを作ることができると知ってる?

■愛犬のクローンを作ることができると知ってる?
・知らなかった:81.7%(147人)
・知っている:18.3%(33人)

愛犬のクローンを作ることができることを「知らなかった」と回答した飼い主さんは81.7%でした。

ペットのクローンが初めて作られたのは2001年のことですが、本格的にクローンビジネスが行われるようになったのは2008年と14年前です。にもかかわらず、8割以上の飼い主さんが知らないということは、そもそもクローンは倫理的観点やリスクの大きさから反対意見も多く、あまり注目されてこなかったということが背景にあると考えられます。

しかし、コロナを機に再びペットブームが訪れたことでクローンビジネスにも焦点が当たり、ここ数年はメディアで取り上げられたり、DNA保存をビジネスとする日本の企業も増えてきてました。

では、愛犬のクローンが作れるということを知った飼い主さんは、作りたいと思うのでしょうか。

愛犬のクローンを「作りたい」飼い主さんは5.6%にとどまる

■愛犬のクローンを作ってみたい?

■愛犬のクローンを作ってみたい?
・作りたくない:78.9%(142人)
・わからない:15.6%(28人)
・作りたい:5.6%(10人)

愛犬のクローンを「作りたい」と回答した飼い主さんは5.6%でした。

この結果は、現在わんちゃんと暮らす飼い主さんと過去に暮らしていた飼い主さんで違いがあるのか傾向を分析してみましたが、違いは特に見られず、あまり関係はないようです。

また、最も多い回答は「作りたくない」の78.9%で、コメントでは自然の摂理に反していることや倫理的に問題があることもあげられていました。

みなさんの実際のコメントをご覧ください。

「倫理的に問題がある」「愛犬は唯一無二」だから作りたくない!実際のコメント紹介

■「作りたい」

「今3匹犬を飼っているが、1番上の子が11歳になり、別れを考えるとすごく寂しくなる。ずっと一緒に居たい気持ちが強い」(男性 / 20代)

「家族であるペットが戻ってくる気がするから」(女性 / 50代)

「愛犬が大好きだからです」(女性 / 30代)

「愛犬が亡くなったらとても寂しいのですごく気になりました」(女性 / 40代)

「実際に犬を飼うというのは命を実感するいい機会だったり、唯一無二の友としてかけがえのない存在になりえます。しかし、犬は犬で人は人です。寿命が大幅に違うため多くの場合、愛犬が先に旅立ってしまうのは明白。なのでなるべく長く愛犬と一緒に暮らしたいと考えたときクローン技術を利用したいと思いました」(男性 / 20代)

「作りたい」と回答した飼い主さんは、「愛犬と少しでも長く一緒にいたい」といったコメントが多く見られました。確かに、愛犬に長生きしてほしいということはすべての飼い主さんの願いであり、こうしたコメントが見られるのは不思議ではありませんね。

■「わからない」

「今はちょっと怖いかなって思うけどもし愛犬が亡くなってしまったらと考えたら、その時は作りたくなるのかなと思いました」(女性 / 20代)

「ペットロスを経験しているので、また同じ経験に耐えられるか分からないから」(男性 / 50代)

「また会えることは嬉しいが真っ新な気持ちで迎えることは難しそうだと考えるから」(女性 / 20代)

「クローンとして生まれてきた子の気持ちを考えると複雑だから」(女性 / 30代)

「作りたい気持ちと作りたくない気持ちが半々なので分からないにしました。愛犬にも個性があります。人間と同じでクローンは作るべきではないのかなという気持ちがあります」(女性 / 30代)

「わからない」と回答した飼い主さんは、「その時になってみないとわからない」といったコメントが多く見られました

確かに、現在愛犬が若く元気であればクローンを作るか聞かれても実感もなくわからないというのが正直なところでしょう。

■「作りたくない」

「愛犬の死をなかったことにするような行為に思えて悲しい」(女性 / 30代)

「全く同じ子はこの世に存在しない。唯一無二の存在であって、だから尊いし、たまらなく愛おしい。いくら遺伝子をコピーしようとも、その子と過ごした時間がその子を形成するのであって、クローンとして生み出された子は全く別の個体。重ねてしまうのもかわいそう」(女性 / 30代)

「亡くなっても愛犬は心の中で生き続けているので、同じ犬を作れば良いという話ではないから」(女性 / 20代)

「命を自由に作ることは、人間のエゴです。倫理に反します」(女性 / 40代)

「クローンは物理的なクローンでしかない。魂までは複製できない。今の犬は一匹だけです」(女性 / 40代)

まだまだ他にも…

「第一印象で気持ち悪いと思いました。今まで出会った子すべてがお別れの時とても辛かったけど、それが命との向き合い方だと受け入れて来ました。もし亡くなってしまった子と同じ見た目の子と再会したら、再会できた喜びよりも一度お別れしてしまった後悔や自己嫌悪を強く抱くような気がします」(女性 / 30代)

「会いたい気持ちはめちゃくちゃ分かるが、動物を利用したビジネスはやめてほしいから」(女性 / 20代)

「愛犬がいずれ居なくなるのは寂しいけれど、クローンを作ってまで一緒に居たいわけではないから」(女性 / 30代)

「ずっと一緒に過ごしてきた愛犬の最期を考えると辛く、クローンを作るという選択肢があるなら作りたいが、永遠に一緒にいられないからこそ一緒に過ごす時間を大切に出来るのだとも思うため」(女性 / 20代)

「愛犬との想い出をクローンで上書きしたくないから」(女性 / 20代)

「不気味です」(女性 / 30代)

「作りたくない」と回答した飼い主さんの中には当然、単純に金額面や技術面で不安があり今は作りたくないという飼い主さんも見られましたが、多くの飼い主さんが愛犬は唯一無二の存在であることをコメントしていました

また、

「姿は同じでも心や記憶まではその子にないので亡くなった元ペットの身代わりとして誕生させられるのは酷だと感じました」(女性 / 40代)

といった、作られるクローン犬のことも考えたコメントも見られ、根本的なクローンに対する認識を考えさせられるのではないでしょうか。

クローン犬を作る費用は5万ドル~10万ドル!「高いと思う」飼い主さんが約5割

■クローン犬を作るのにかかる費用をどう思う?

■クローン犬を作るのにかかる費用をどう思う?
・高いと思う:49.4%(89人)
・妥当だと思う:35.0%(63人)
・安いと思う:15.6%(28人)

クローン犬を作るのにかかる費用で最も多い回答は、「高いと思う」49.4%でした。

現在主にペットのクローンビジネスを行っているのは中国、韓国、アメリカですが、その費用はクローン犬で5万ドル(約685万円)~10万ドル(約1,370万円)と、単純に金額だけを見れば高額です。

しかし、「高いと思う」と回答した飼い主さんが5割弱にとどまり、逆に「妥当だと思う」35.0%「安いと思う」15.6%と回答した飼い主さんが合わせて5割強というのは、クローン技術にコストがかかるのは致し方がないことと理解しているのかもしれません。

また、

「クローンであっても、もう一度愛犬に会えるのなら妥当な価格だと思った」(男性 / 20代)

といったコメントもあり、愛犬に再び会えるなら…という飼い主さんも少なくないようです。

しかし、金額は妥当・安いと思っても「お金儲けのビジネスとなっていることが問題」という声も多く、飼い主心情を利用した高額な金額設定に憤りを感じる飼い主さんが多い結果となりました。

愛犬のクローンでも別の命!愛犬とクローン犬は別と「知っている」飼い主さんは60.0%

■愛犬とクローン犬は見た目は似ていても別の犬なの知ってる?

■愛犬とクローン犬は見た目は似ていても別の犬なのを知ってる?
・知っている:60.0%(108人)
・知らなかった:40.0%(72人)

愛犬とクローン犬は見た目は似ていても別の犬だということを「知っている」と回答した飼い主さんは60.0%でした。

これはもちろん、クローン犬の参考に記事を読んでもらった(※2)ことによって理解が深まったことも関係していると考えられますが、近年はクローンを題材とした『レプリカズ』『オブリビアン』『アイランド』など有名人気俳優が出演する映画作品も多いことから、クローンは別の個体であるということを認識しやすいのかもしれません。

しかし、「知らなかった」という飼い主さんも40.0%おり、何もかもがまったく同じで愛犬がもう1頭できるというイメージを持っていた飼い主さんも少なくないようです。

現在クローンペットの作成は高額なため一部の富裕層の間でしか行われていませんが、今後、庶民の手が届く金額になったとき「愛犬と違う」と手放したり飼育放棄をする飼い主さんが出てきても不思議ではないため、クローンビジネスを行う側はクローン犬は愛犬とは違うということをしっかりわかってもらう必要があるのではないでしょうか。

(※2)参考:西日本新聞「ペットのクローン販売、中国で拡大 犬580万円、猫380万円依頼続々」

1匹のクローン犬を作るために多くのわんちゃんの犠牲が!「人間のエゴでしかない 」

 

1匹のクローン犬を作るためには、愛犬の体細胞のほかに、複数の卵子を提供するドナー犬と代理母犬、流産や死産してしまう命など多くのわんちゃんの犠牲が必要になります(※3)

クローン犬の成功率は企業の発表では3~5割としていますが、実際は哺乳動物の体細胞クローンの成功率はどの動物種でもどんな方法でも2~10%程度と低く、改善策も原因もわかっていないことから、クローン技術はクローン動物を作るよりも再生医療に利用する研究が行われているのが現状です。(※4)

成功率が低いということは、成功するまでに多くのわんちゃんに無用の苦痛を与えたり、場合によっては命を落とすこともありますが、そういった現状を知った飼い主さんたちは何を思ったのでしょうか。実際のコメントをご紹介します。

(※3)参考:The American Anti-Vivisection Society「Published Domestic Dog and Cat Cloning Experiments and Outcomes」
(※4)参考:J-STAGE「哺乳動物の体細胞クローン」

■コメントまとめ
・人間のエゴでしかない
・犠牲を伴ってまでクローン犬を再生することに意味があるのか
・虐待でしかない
・命への冒涜
・容姿が違うだけで弾かれてしまう命が惨すぎる
・お金儲けとしか考えられない
・クローン犬を作る人は犬と暮らす資格はない

■実際のコメント

「クローンの作成は人間のエゴであり、犬は望んでいないし、犠牲になる犬の命を考えられないような人に犬を飼って欲しくない」(女性 / 30代)

「とんでもないことです。絶対にやってはならない許せないことです。命への冒涜です」(女性 / 40代)

「失われた命のために、今ある命を粗末にする行為でとても抵抗があります」(女性 / 40代)

「高額でも申し込む人のエゴを満たすための道楽に利用されているようにも思え、また、ペットロスなど誰かの心に響くようなある種の耳ざわりの良い言葉で誤魔化されもしている気がしてきて、成功するまでの犠牲を考えると不快になりました」(女性 / 30代)

「自然の摂理を壊してまで、また他のワンちゃんの犠牲を伴ってまで、クローンを再生する必要があるのか疑問に思います」(男性 / 50代)

まだまだ他にも…

「人間のエゴ。虐待以外の何物でもないと思う」(女性 / 50代)

「ペットのクローンに関しては、完全にお金儲けとしか思えません。ただし絶滅危惧種の保護など有用なこともあるかも知れないとは思います」(女性 / 50代)

「亡きペットの身代わりのために産まされる事には反対です。容姿が違うだけで弾かれてしまう命が惨すぎる」(女性 / 40代)

「何かが良くなるにはどこかで犠牲が出ていることだと理解はしているが、人間の心のために犬の命を犠牲にするのには全く理解出来ない」(女性 / 20代)

「このようなことに犠牲を出す意味があるのか。とても痛ましいと感じる」(男性 / 30代)

クローン犬を作ることにほかのわんちゃんの犠牲があることを知らなかったという飼い主さんが多く見られ、ショックを受けていました。

確かに、映画などでは大きな水槽の中でクローンが作られているシーンをよく見かけますが、現実は違うということは普段あまり考えないことで、知り得なくても当然でしょう。

しかし、ペットクローンビジネスを行っている企業の多くが、都合の良い理由といい部分だけを見せていることは大きな問題であり、どんなことをわんちゃんたちに行っているのか、どれだけの犠牲があるのかは明確にすべきなのではないでしょうか。

動物愛護団体や動物専門家たちも危惧!飼い主さんが考えるクローンのリスクは「命の軽視 」「命の定義、価値が揺らぐ 」

ペットのクローンについては、世界中の動物愛護団体や動物の専門家たちの多くが危惧しており、その理由は、

・ほかに救いを求めている命がある
・保護犬猫が行き場を失う可能性
・飼い主が望む通りのクローンではなかった場合のその命の行方
・クローンが生涯にわたって健康に問題を抱える可能性と飼育放棄
・ドナー犬や代理母犬の無用な苦痛と体への負担
・捨てられて野生化したときの生態系への影響
・病気になった、年を取ったから「新しいのをまた作ればいい」という命の軽視
・倫理的観点

など多岐に渡ります。

では、飼い主さんたちが考えるリスクとはどのようなものがあるのでしょうか。

■コメントまとめ
・命の尊さを理解できない人が増える
・生き物を物として扱う人が増える
・生き物全てが必要なものと気に入ったものだけに淘汰される
・命の定義、価値が揺らぐ
・すべてにおいて不幸になる犬が増える
・一期一会の大切さを忘れてしまう

■実際のコメント

「命が軽くなるのは怖いです。ちょっと気に入らないとこがあればリセットすればいいみたいな感じになるのが怖いと思います」(男性 / 40代)

「現在でもペットをよく考えずに飼うことが問題視されているが、飼っていたペットの『代わり』が作られることでペットの命を軽視する人がさらに増えると思う」(女性 / 20代)

「クローン再生が一般的になると、生き物全てが、必要なもの、気に入ったものだけに淘汰されてしまい、自然という世界が消滅してしまうと思います」(男性 / 50代)

「物みたいに壊れたら作ればいいと同じ感覚に感じる」(女性 / 50代)

「死んでもまた作ればいい。前の子と性格が違うからやり直したい。人間のエゴが爆発すると思う」(女性 / 30代)

まだまだ他にも…

「一期一会の大切さを忘れてしまう」(男性 / 50代)

「同じ犬を作ればペットロスがなくなるなんていう安易な思いでクローンを作っても、全く同じ犬を作れるわけではないので永遠にクローンを作り続けることになるのではと思っている」(女性 / 20代)

「命の定義、価値が揺らぐとても大きな事件になると思います」(男性 / 30代)

「子犬の時は特に可愛いので、子犬の再現の為にクローンを利用する人がいるかもしれないと思うとリスクしかない」(女性 / 50代)

「代わりが作れるからという理由で命を乱雑に扱う人が出てきそう!」(男性 / 30代)

「犬をロボットのような錯覚になり、リセット=殺戮、再生=クローン作成となるリスクがあると思います。命の尊さを理解できない人が増えてしまいそうです」(女性 / 30代)

「命あるものは、限りがあるから大切にしようと思うもの。不良品ならまた作ればいい、など富裕層の倫理違反の温床になるのではないかと思う」(女性 / 30代)

「クローンで作れると思うのは人の心を死に向き合わなくさせるのではないかと危惧します」(女性 / 50代)

「愛犬のクローンは手に入れることができる。という認識が広がることによって、高齢の犬がきちんと介護されることなく、死んで言ってしまうのは悲しいリスクだと思う。最後の最後まで愛されて欲しい」(女性 / 20代)

みなさん本当に愛犬家の方々だと感じるコメントばかりで、すべてをご紹介できないのが残念なくらいです。

現在でも日本ではわんちゃんの命が物のように扱われ軽んじられている傾向にありますが、命を軽視する人や命の尊さを理解できない人が増えるということは、考えるだけでも恐ろしいことですね。

しかし、中国のクローンを作る企業には日本からの注文もある(※5)そうで、すでに恐ろしい時代は始まっているのかもしれません。

(※5)参考:関西テレビ放送 報道RUNNER「“死んだ愛犬の細胞”から作られた、そっくりな犬…「クローンペット」が中国で増加。優秀な犬のクローンは”500万円”以上にも」

人間のクローンは禁止でもわんちゃんは規制がない!「同じ命なのにルールがないのはおかしい 」

 

現在多くの国が人間のクローンを法律で禁止しており、日本でも「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」が存在します。しかし、クローン動物に対しての規制はなく、国際的なルールの必要性が指摘されているも、規制作りは進んでいません

この現状を飼い主さんたちはどう考えるのでしょうか。実際のコメントをご紹介します。

■コメントまとめ
・ルールは必要
・そもそも動物に対する法律が甘いことが問題
・結局はお金儲け
・商売として確立出来る状態は好ましくない
・「アニマルウェルフェア」に逆行している

■実際のコメント

「ルールが無くても倫理的な問題だとは思いますが、法律上ペットは物として扱われています。すべての命に対する法律を変えていくべきだとも思います。犬は実験道具ではないですし物でもないというルールが必要です」(女性 / 20代)

「とても危険だと思います。動物実験のような形で軽視されていると感じます。愛犬に健康上の問題が起きた時にクローンから臓器移植をすると言った恐ろしい事案が出てくると可能性があります」(女性 / 20代)

「クローンを作るためにたくさんの犠牲が必要ならすぐに禁止すべきです。最近、『アニマルウェルフェア』という価値観が広まってます。犬のクローン作りは時代の流れに逆行していると思います」(男性 / 40代)

「クローン犬へのルールがないということは知りませんでした。ルールは必要です。犬が受ける身体的な影響や安全面を全く考慮にいれていないクローン技術の開発なら、国際的な動物愛護法によって罰するべき基準を設けるべきだと考えます」(女性 / 40代)

「決して良い事ではない。クローンを作れるという事はある意味では種の保存などには手段の一つとなりえるかもしれないけれど、商売として確立出来る状態は好ましくないし個人の意思でクローンを作れてしまうのは絶対に良くないと思うので、一定のルールは作るべきだと思います」(女性 / 30代)

まだまだ他にも…

「結局は、クローン作りは誰かのお金儲けのためだと思います。誰かがお金を得たいがために動物の命/生活/犬生を簡単に犠牲にすることは一切許すべきではないと思います」(男性 / 40代)

「技術の進歩を考えると、人間以外の生き物でクローンを作る事自体はアリだと思います。しかし、動物内で線引きをするのは難しいけど考えねばならないとは思います」(女性 / 30)

「これを禁止すれば、この分野の発展は見込めないでしょう。しかし、倫理要綱ぐらいはしっかりしたものを希望します」(男性 / 30代)

「将来的には人間と同じようにこのケースはOKでこれはダメなど利用する分野別で細かなルールを作るべきだと思います」(男性 / 30代)

「判断しているのが人間なので、人間以外に対して残酷になれるのは当然という気がします。人間が善性だという考えがありません」(女性 / 40代)

「 今の法律では動物虐待や殺しても『器物損壊』扱いですし、クローンについても先に法律改正をしていかないといけなかったのでは?と法律の甘さを感じます」(女性 / 40代)

「非常に残念な事だと思う。現在までに品種改良を重ねて来た犬たちも、その所為で命が短くなったり自然にある法則を無視した構造にすることで体に不具合を期待している種もいるので、わざわざ自然の摂理を捻じ曲げてまで人間のエゴでクローンを生み出すことは人道的に反する行為だと思うし、きちんとルールを人と同じように設けるべき。犬だからといって価値を軽視しがちなのは納得いかない」(女性 / 30代)

多くの飼い主さんがクローン動物にルールがないことに驚いていました

さまざまな目的でクローン動物が作られているにしても、ペットとしてのクローンやビジネスになってしまうクローンは問題とし、各分野ごとに細かいルールを定めるべきだと考えているようです。

また、

「人間は一番存在する価値のない生き物だという事実を痛感します」(女性 / 30代)

といったコメントも複数見られ、人間は残酷だと感じた飼い主さんも少なくありませんでした。

■アニマルウェルフェアとは
動物の福祉。動物が生まれてから死ぬまで快適な環境下でできるだけストレスを少なく、行動欲求も満たされる生活を送らせてあげること。特に畜産の現場での改善が求められている。

様々なリスク・犠牲を知って愛犬のクローンを「作りたくない」飼い主さんは96.1%と初回質問から17.2%増

■これまでのリスクや犠牲を知った上で本当に愛犬のクローンを作りたい?

■これまでのリスクや犠牲を知った上で本当に愛犬のクローンを作りたい?
・作りたくない:96.1%(173人)
・わからない:3.3%(6人)初回から12.2%減(-22人)
・作りたい:0.6%(1人)初回から5.0%減(-9人)

最後に再び本当に愛犬のクローンを作りたいか質問したところ、最も多い回答は「作りたくない」96.1%でした。

「わからない」3.3%「作りたい」0.6%と回答した飼い主さんは、最初に質問した時から大幅に減り、さまざまなリスクや犠牲を知って17.2%の飼い主さんの気持ちに変化があったようです。

実際のコメントをご紹介します。

■実際のコメント

【作りたい】

「自分の愛犬が1番なので、いつまでも一緒にいれる環境であれば嬉しい」(男性 / 20代)

【わからない】

「基本的には反対だが実際に亡くなった場合、そういった考えが浮かんでしまうのではないかと思った」(男性 / 20代)

「作りたい気持ちはあるが、やはり倫理的に抵抗を感じる」(男性 / 30代)

「作りたいけれど、それは本人ではないし自然の摂理に反しているからです」(女性 / 30代)

【作りたくない】

「クローンが作れるという事実を知りませんでした。今回その事実を知って衝撃を受け、悲しい気持ちになりました。動物でも心はあります。失った寂しさから、またその犬と同じ犬に会いたい気持ちも共感出来ますが、犠牲になる犬を増やしたくないです。見た目は同じでも心が違うのであれば、どうか、クローンではなく、既に誕生している他の犬と、また新しい思い出を作って頂きたいです」(女性 / 40代)

「最期まで懸命に生きた愛犬に対する冒涜に値する行為だと感じるので決して作りたいとは思いません」(女性 / 30代)

「最初は姿形が同じだけの違う犬でも生まれる事で心が満たされるなら個人の自由だと思った。しかし人間のエゴで犬達が犠牲になり、命を軽く考える人たちが増えるというリスクから、やはりクローンは作らない方が良いと思う」(女性 / 30代)

「心まではどんな技術を使ってもクローンはできないので見た目にこだわり犠牲になる犬が出ない事を祈ります」(女性 / 40代)

「命は限りがあるからこそ、大切に思えるのです。だからクローンなんて作ってはいけないのです」(女性 / 40代)

まだまだ他にも…

「人間が自然の摂理や倫理を無視し、エゴイズムに科学を操れば、地球の未来は失われると思います」(女性 / 60代)

「賛成する理由がない。倫理的・道徳的価値観からも、個人の考えとしても受け入れられないと思う。逆に、技術の発展はそこまで来てしまったのか…と思わずにいられない。安易に手を出してはいけないと思う分野」(女性 / 20代)

「クローンを作っても同じわんちゃんが帰ってきてくれるわけじゃないし、正直気持ち悪いので嫌だ」(女性 / 30代)

「画像で見ても、自分の犬に照らし合わせても、最初から全く違和感しかなかったです。人間に置き換えてみても恐ろしいことなのに、犬ならば良いのだから、命を金持ちがおもちゃのようにしているだけだと思います」(女性 / 40代)

「お出迎えするペットとは『縁』だと思っています。自分の満足感を満たすために、犠牲になっている母体を苦しめるくらいなら 大きく言えば『その子を家族』に迎えたいです。進行形ですが『やれることを全力で、短い時間の中でも生きてて良かったと思ってほしい』とワンコには全力で愛情を注いでいます。クローンを作ることは、飼っているワンコに1番失礼な行為だと思っています。『まだ愛情を注げる体力あったの?』と怒られそうなので、クローンを作るお金があるなら立派なお墓や供養に使ってあげたいと思っています」(女性 / 40代)

最初に質問したときは、金額面や技術面での不安から作りたくないという飼い主さんもちらほら見られましたが、最後の質問ではほとんどの飼い主さんが「犠牲を払ってまで作るべきではない」といったことをコメントしていました。

日本ではまだクローン犬作成を大々的にアピールする企業はなく、どんなリスクや犠牲があるのかあまり知られていませんでしたが、今回のアンケートでさまざまなことを考えるきっかけとなり、コメントにも変化が見られたようです。

まとめ

 

・クローン犬はあくまでも別の個体であり、犠牲を払ってまで作るべきではないという飼い主さんが9割以上となった
・クローン犬に対する規制や、動物愛護法の改正を求める声が多く見られた
・クローン犬が別の目的で使用されることを危惧する飼い主さんもいた

わんちゃんの平均寿命は14.65歳(※6)と年々延びています。しかし、人間の寿命に比べれば遥かに短く、年老いていく愛犬の姿に失う怖さを感じることもあるでしょう。

だからこそ、1日1日、1分1秒を大切に過ごし、誕生日を迎えられたときには1年を無事に過ごせたことを感謝するのではないでしょうか。

1匹のクローン犬を作るために多くのわんちゃんの犠牲があり、生まれてきたクローンわんちゃんにもリスクがあることを考えると、ペットのクローンビジネスは果たして何のためにあるのか考えさせられます。

この記事をきっかけに今一度、わんちゃんの命のあり方や最期のときまで愛情を注ぎ寿命を全うしてもらう大切さを考えて頂けたら幸いです。

(※6)参考:一般社団法人ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査~主要指標サマリー~」

アンケート調査概要

アンケート内容:愛犬のクローンについて
調査方法:インターネット調査
対象者:全国の現・元犬の飼い主さん180人(女性133人 / 男性47人)
実施期間:2022年12月12日~12月14日

回答者の属性はこちら

■回答者の属性

【女性:133人】
・20代:28人
・30代:54人
・40代:34人
・50代:13人
・60代:2人
・70代以上:2人

【男性:47人】
・20代:7人
・30代:14人
・40代:14人
・50代:9人
・60代:3人

【現・元飼い主さんの数】
・現在わんちゃんと暮らしている:137人

・過去にわんちゃんと暮らしていた:43人

ペットライター たかだ なつき

執筆者

ペットライター
たかだ なつき
JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー

17歳のチワックスと1歳のチワックス、1歳のポメチワと暮らしています。これまで愛犬チワワと2匹のミニチュアダックスたちの闘病・介護生活の経験から、犬の健康や介護について学びを深めペットにまつわる様々な資格を取得し、老犬のトータルケアサロン開業に向けて準備中です。

【保有資格:ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー / JKC愛犬飼育管理士

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