愛犬にドッグフードを与えるときに、匂いの変化や粒のベタつきを感じたことがあるなら、もしかするとそのフードは「酸化」しているのかもしれません。
ドッグフードは開封すると徐々に酸化していくため、保存管理に気をつけないと、犬の体に良くないご飯になってしまいます。
この記事では、ペットフード安全管理者の資格を持つ私が、
- ドッグフードが酸化する理由
- 酸化したしたフードが犬に及ぼす影響
- 酸化しづらくする保存方法とおすすめの保存容器
などを紹介します。愛犬の健康維持のためにぜひ参考にしてみてください。
愛犬にドッグフードを与えるときに、匂いの変化や粒のベタつきを感じたことがあるなら、もしかするとそのフードは「酸化」しているのかもしれません。
ドッグフードは開封すると徐々に酸化していくため、保存管理に気をつけないと、犬の体に良くないご飯になってしまいます。
この記事では、ペットフード安全管理者の資格を持つ私が、
などを紹介します。愛犬の健康維持のためにぜひ参考にしてみてください。
※本記事は2024年10月までの情報を参考に作成しています。※本記事はINUNAVIが独自に制作しています。メーカー等から商品の提供や広告を受けることもありますが、コンテンツの内容やランキングの決定には一切関与していません。※本記事で紹介した商品を購入するとECサイトやメーカー等のアフィリエイト広告によって売上の一部がINUINAVIに還元されます。
目次
ドッグフードの酸化とは、ドッグフードに含まれている油脂が空気中の酸素と反応して起こる変化のことです。鮮度が落ち、品質や味が変わってしまった状態を指します。
美味しさが損なわれている他、体に良い栄養バランスではなくなってきている状態なので、酸化したフードを与え続けると体に良くない上に、喜んで食べない犬も出てきます。
しかし油脂類は、犬のエネルギー源になるほか、皮膚・被毛の健康維持や体温の維持、臓器の保護など様々な働きをする重要な栄養素であり、食いつきの良さにも関係するため、主食となるほぼ全てのドッグフードに含まれています。
避けては通れない成分なので、開封後は必ずフードの形状(ドライやウェット)に合わせた正しい方法で密封保存し、できるだけ酸化を防がなければなりません。
ドッグフードが酸化してしまうのは、「油の質」「保存管理」の2つが主な理由です。それぞれ詳しく解説します。
ドッグフードに配合される油脂の品質の良し悪しは、フードによって大きく異なります。
良質な油脂でも酸化はするものですが、低品質な油脂(すでに劣化しているものなど)を使用している場合は、よりドッグフードが酸化しやすくなるため注意が必要です。
特に、値段が安いドッグフードは、「動物性脂肪」のような、由来が不明確で品質を判断しにくい脂でドッグフードの粒をコーティングしていることがあります。
そうすることでフードの嗜好性が上がりますが、良質な油を使用したものより酸化が進みやすいので、粒を触るとベタつきを感じたり、きつい匂いがしたりするのです。
オイルコーティングという製造法自体は悪いものではありませんが、油脂の品質には気をつけましょう。
ドライフードの保存には、温度・湿度・酸素が関わってくるため、冷暗所で密封保存することが原則です。ドライフードの保存場所や保存方法には適さない管理の仕方をしていると、酸化しやすくなってしまいます。
これは未開封の場合でも当てはまるため、高温で湿度の高い場所や強い光(太陽や蛍光灯)の当たる場所に置かれていたドッグフードは、開封したてでも傷んだり酸化が進んでいたりします。
もちろん、開封後は食事のたびにパッケージを開け閉めするため、徐々に空気に触れて酸化が進みます。
特に自然由来の保存料を使用したフードや、オメガ3のような酸化しやすい脂肪を多く含むフードは、保存管理に注意しなければなりません。
酸化したドッグフードを食べ続けると、下痢や嘔吐、腹痛の原因になります。
また、ドッグフードの酸化が進むにつれてさらに毒性が強くなるため、肝臓や腎臓にダメージを受けたり、老化が進む、動脈硬化が起きる※参考こともあります。
酸化したドッグフードは、愛犬に必要な量のフードを与えていても栄養が不足したり偏ってしまう可能性があるため、健康維持ができない・体に悪い食事になってしまうのです。
一生懸命選んだドッグフードが体に悪影響を及ぼす原因とならないように、ドッグフードができるだけ酸化しないような対策を取り、酸化してきているなと感じたときは、新しいフードへ変更しましょう。
※参考:市販ドッグフードの脂質に対するα-トコフェロールの抗酸化効果
ドッグフードが酸化している可能性があるか、以下の5つのポイントを参考にチェックしてみてください。
■ドッグフード酸化を見分ける目安
上記に当てはまる時は、ドッグフードが酸化している可能性があります。特に、お得だからと大袋を購入している方は注意が必要です。
また、ウェットフードはドライフードよりも水分が多く含まれているため傷むのが早いです。
酸化したときの変化に気がつきやすいので、飼い主さんが異変を感じたら与えないようにしましょう。
なお、ドッグフードの賞味期限は商品ごとに設定されていますが、それはあくまで「未開封」の賞味期限です。開封後は人用の食品と同じように考え、早めに消費するよう心がけてください。
ドッグフードの酸化を防ぎやすくするポイントは、「密封」「冷暗所」「食べ切れる量」の3つです。
今の保存管理が正しいかどうか、ぜひ確認してみてくださいね。
ドライフードの多くはパッケージにチャックがついていますが、中には切込みがあるだけのパッケージや、別容器に入れ替えなければならないもの、つまみを左右に動かして袋の口を閉めるタイプなど、様々なものがあります。
■チャック付きのパッケージの場合
…空気を抜きながらしっかりとチャックを閉め、袋ごとタッパーやフードストッカーなどの密封容器で保存がおすすめ
■その他のパッケージ
…1日分や1週間分程度に小分けにして、ジップロックなどに保存する
…真空容器やフードストッカーに入れ替える
どのタイプでもできるだけ空気に触れないようにすることが重要なので、パッケージのタイプに合わせて保存しましよう。
ドッグフードの保管場所は、風通しがよく湿気が少ない場所で、直射日光や蛍光灯の明かりも当たらないところが良いでしょう。
夏場は高温多湿になりやすいので、エアコンで温度調節できる室内であることも大切です。
また、ドライフードは冷蔵庫保存はできないことを合わせて覚えておいてください。
冷蔵庫は冷蔵庫内と外の気温差が大きいので、ドッグフードを出し入れしているうちに結露が生じ、カビの原因となります。
どんなに保存管理に気をつけていても、開封したドッグフードを絶対に空気に触れさせないようにはできません。
そのため、ドッグフードを購入する際は、少々割高でも鮮度を保ちやすい小容量サイズがおすすめです。
ドライフードであれば、できれば2週間以内、遅くとも1ヶ月以内には使い切れる量を選ぶようにしましょう。
大袋はお得ではありますが、愛犬が1袋を食べきるまでに3ヶ月以上かかるものは、ドッグフードの酸化によって健康被害が出る可能性があります。
愛犬の体への負担や体調不良時にかかる治療費のことを考えれば、日頃から早めに消費できるサイズを購入するほうがメリットが多いと言えます。
ウェットフードは水分が多く痛みやすいため、開封後は必ず冷蔵庫に保管し、2日以内に与えきるようにしましょう。
難しい場合は、あらかじめ小分けにして冷凍保存しておくと便利です。
冷凍保存できる期間は2週間程度で、与える際は自然解凍や電子レンジで人肌程度に温めて解凍します。
しかし、冷凍するとフードの風味が落ちて食べない犬もいるので、ウェットフードもドライフードと同様に、早めに食べ切れるサイズでの購入がおすすめです。
ここでは、ドライフードを密封保存する際に役立つINUNAVIおすすめの保存容器を2つ紹介します。
なお、保存容器を使用する際は定期的に洗浄し、フードの継ぎ足しはせずに空になってから新しいフードを入れるようにしましょう。
こちらの保存容器は、フタの内側にパッキンがついていてきちんと密閉してくれるので、空気と触れる時間が短くなりドッグフードが酸化しづらくなります。
また、半透明になっているので残りのドッグフード量が分かりやすく、複雑な構造になっていないため洗いやすいのも、飼い主さんにとっては嬉しい点です。
1000円という価格設定から見ても、コスパ的に素晴らしい保存容器です。保存量は1kgなので、小型犬を飼っている飼い主さんにはぴったりです。
Amazon参考価格 | 1,080円(税込) |
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保存量 | 1kg |
ボタンひとつで簡単に真空状態にできる便利な保存容器です。やや高価ですが、しっかりと密封できるため、袋から出したての美味しい状態のフードを維持しやすいでしょう。
内容量が多いので、多頭飼いや中〜大型犬の飼い主さんに特におすすめです。
Amazon参考価格 | 9,800円(税込) |
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保存量 | 10.4リットル |
多くのドッグフードには、製造後の酸化を防ぐために酸化防止剤が配合されています。
いわゆるナチュラルフードと言われるタイプのドッグフードにも、天然由来の酸化防止剤が使われていることが多いため、酸化防止剤が無添加のドッグフードはほとんどありません。
愛犬に美味しく安全なフードを与えるためには、酸化防止剤は必要なものなのです。
ここでは、「合成の酸化防止剤」と「天然の酸化防止剤」の違いを解説していきます。酸化防止剤は誤解されやすい成分でもあるので、ぜひチェックしてみてください。
ドッグフードに配合される合成の酸化防止剤には、以下のようなものがあります。
■合成の酸化防止剤の例
上記の成分は、発がん性などが懸念される危険な酸化防止剤として取り上げられることがありますが、ドッグフードには犬の体に問題がないと臨床試験で証明されている量しか配合されていないので、深く心配する必要はありません。
しかし、INUNAVIが100種類以上のドッグフードを調査した結果によると、合成の酸化防止剤を配合したフードよりも、天然由来成分で酸化防止をしているフードの方が、食材の品質や栄養バランスへのこだわりが感じられました。
無理に合成の酸化防止剤を避ける必要はありませんが、おすすめしやすいフードとは言えないでしょう。
天然酸化防止剤には、主に以下のようなものがあります。
■天然の酸化防止剤の例
上記の成分は、人工的に作られたものではなく天然の由来の成分を抽出して使用しているため、発がん性などの危険がなく安心して与えられます。
しかし、合成の酸化防止剤と比較すると効果は薄く、ドッグフードの保存管理により注意しなければなりません。
この記事では、ドッグフードの酸化について、理由や体への影響、見極め方、正しい保存管理の仕方などを解説しました。
ドッグフードにはたくさんの油脂が含まれているため、酸化したドッグフードを愛犬が食べてしまうと、下痢や嘔吐などの症状が出ることがあります。
ひどくなると肝機能低下や老化、動脈硬化になるリスクもあり、酸化防止対策は健康維持に関わる重要なポイントです。
ドッグフードは開封したら冷暗所で密封保存し、できるだけ2週間以内に与えきれる量を購入するようにしましょう。
また、ドッグフードの保存容器を変えるだけでも酸化のスピードを遅らせることができるので、一度保存容器を見直してみてください。
※記事で紹介されている商品を購入すると、売上の一部がINUNAVIに還元されることがあります。メーカー等の依頼による広告にはPRを表記します。
※掲載されている情報は、INUNAVIが独自にリサーチした時点の情報を掲載しています。掲載価格に変動がある場合や、登録ミス等の理由により情報が異なる場合がありますので、最新の価格や商品の詳細等については、各ECサイト・販売店・メーカーよりご確認ください。
執筆者
ペットフードメーカーに6年勤務後、現在はINUNAVIライターとしてドッグフードを中心とした記事を数多く執筆。相棒はキャバリアのジタン(10歳)。犬が好き&犬が好きな人が好きです。好きな人たちの生活がより豊かになるような、経験を生かした正しい情報、一歩踏み込んだ内容の記事をお届けします。保有資格:ペットフード安全管理者・犬の管理栄養士・ペット災害危機管理士3級