愛犬が吐いてしまったときは、吐いたものや体調を観察して、動物病院へ行くべき状態か検討しましょう。
この記事では、嘔吐物の色や吐いたもの別に、考えられる原因や対処法を獣医師の解説付きで紹介しています。
犬は体の構造上、吐きやすい動物ではありますが、吐いた後は飼い主さんの適切なサポートや治療が必要です。
愛犬の回復を手助けしてあげましょう!
■病院を受診するときのポイント
- 嘔吐物の写真を撮る
- 吐いた回数や頻度をメモする
- できれば嘔吐物を持参する
- 嘔吐以外の症状の有無を確認する
愛犬が吐いてしまったときは、吐いたものや体調を観察して、動物病院へ行くべき状態か検討しましょう。
この記事では、嘔吐物の色や吐いたもの別に、考えられる原因や対処法を獣医師の解説付きで紹介しています。
犬は体の構造上、吐きやすい動物ではありますが、吐いた後は飼い主さんの適切なサポートや治療が必要です。
愛犬の回復を手助けしてあげましょう!
■病院を受診するときのポイント
目次
犬の嘔吐とは、お腹が波打つように動き胃が収縮して、口から食べ物を下向きに吐き出す事を言います。
嘔吐は苦しいもので、できれば吐きたくないというのが私達人間の感覚だと思いますが、実は犬は比較的楽に嘔吐することができる動物です。
四足歩行という体の構造上、口・食道・胃までが地面に対して平行であり重力に逆らわずに食べ物を吐き出すことができることが関係しています。
そのため、愛犬が吐いているのは病気ではなく早食いや水の飲みすぎなどによる生理現象という場合も少なくありません。
また、犬には嘔吐のほかに「吐出(としゅつ)」というものがあります。吐出は、胃に入る前または入ってすぐの未消化の食べ物を吐き出すことを言い、多くは下向きに吐き出す嘔吐と違って前に飛ばすような吐き方をします。
このように、犬は人よりも吐きやすい動物であること、嘔吐と吐出は異なることなどを理解しておくと、愛犬が突然吐いてしまったときにも落ち着いて対処ができるようになります。
愛犬が黄色い液体を吐く主な原因は、長時間の空腹による胆汁の逆流(胆汁嘔吐症候群)や、食べ過ぎや胃腸が弱っていることによる消化不良です。
また、透明な液体を吐く主な原因は、同じく長時間の空腹による胃液の逆流や、よだれ、水の飲みすぎなどです。
黄色と透明のどちらの場合も、元気があるようなら自宅で様子を見て良いでしょう。対処法は、食事の量や内容、回数の見直しです。
愛犬に適正な給餌量を与えているか確認し、少なければ変更する、1回の食事量を減らして食事回数を増やす、腹持ちが良く消化にも優れたフードに変更する、などを行いましょう。
愛犬に必要な給餌量は以下のフォームで算出できます。
※小数第2位以下は切り捨てられます
結果はこちら↓
■愛犬の1日あたりのドッグフードの量
2回に分けて与える場合
…
g
3回に分けて与える場合
…
g
■愛犬の1日あたりに必要なカロリー
また、フードの腹持ちの良さは繊維質の高さを参考にしましょう。成分表の粗繊維が4%〜5%程度あれば、比較的繊維質が高めだと言えます。
ただし、高繊維すぎるフードは体質に合わないと消化器に負担をかけることもあるので注意してください。
フードの消化の良さは体質との相性が大きい為一概には言えませんが、良質な食材を使用したものや乳酸菌類を配合したものなどから試してみると良いでしょう。
そのほか、一度に水をたくさん飲みすぎることがないよう、運動のあとは少しずつ水を与えるようにすることも大切です。
上記の対処法を試しても変わらず吐くようであれば、一度動物病院を受診することをおすすめします。
できれば嘔吐物の写真を撮っていただくのが治療の参考になります。
愛犬が白い泡を吐く主な原因は、乗り物酔いや緊張、ストレスなどの病気ではない場合と、緊急性の高い病気である場合があります。
病気ではない場合は、愛犬が落ち着ける環境で休ませてあげると良くなることが多いです。
しかし、白い泡を吐く他に震えや発作が見られたり、繰り返し吐く、吐きたくても吐けないでいるようであれば、すぐに動物病院を受診する必要があります。
てんかんで白い泡を吐く、胃捻転で常に口の中に白い泡が見られ、吐きたくても吐けないでいる、飲み込んだ異物を吐き出せず唾液を吐いているという可能性もあるため、早急に動物病院での処置が必要です。
愛犬がドロドロとした状態の未消化のドッグフードを吐く原因は、フードの消化が上手くいっていないと考えられます。
ドッグフードの原材料や栄養バランスが体質に合わない、老犬になり消化機能が低下した、子犬期の咀嚼不足などは消化不良を引き起こします。
吐いたのが1度きりであり、その後も元気や食欲があるのであれば、緊急性は低いと考えられるので自宅で様子を見ても良いでしょう。
次に食事を与える時は、できるだけ消化がしやすいようにフードをぬるま湯でふやかしてから与えると安心です。
また、愛犬がより消化のしやすいフードを探して変更してみるのもおすすめです。
愛犬の嘔吐物におもちゃの一部や愛犬自身の毛、寄生虫などの食べ物ではない異物が見られたときは、誤飲・誤食や寄生虫感染が原因で吐いている可能性があります。
嘔吐の他にも食欲不振や下痢、ぐったりしていて元気がないなどの症状が現れることもあり、放っておくと命に関わるためできるだけ早めに動物病院へ行くようにしてください。
もし他に気になる症状がなく愛犬が元気だったとしても、異物の場合は1度動物病院を受診することをおすすめします。
また、病院へ行く際は嘔吐物と一緒に出てきた異物を持っていくか写真を撮って見せるようにしましょう。
愛犬の嘔吐物が赤やピンク、茶色や黒になる原因は、消化器(口・食道・胃・腸など)からの出血と考えられます。
赤やピンクなどの鮮血は、口内や食道の傷・炎症・腫瘍による出血の可能性が高いです。
また、茶色い嘔吐物は急性胃炎や胃潰瘍などにより胃で出血した血液が酸化して茶色く見えている可能性があります。
ドッグフードを吐いたときも茶色に見えますが、出血している場合は嘔吐物がサラサラとした液状であることが多いです。
吐いたものが黒い場合は、腸閉塞や十二指腸潰瘍などにより小腸や大腸から出血した血液が酸化して黒くなったものである可能性があります。
色が濃くなるほど出血から時間が経過しているため緊急性が高くなりますが、どの色も正常な状態とは言えないため早急に動物病院の受診が必要です。
嘔吐のほかにも以下のような症状がひとつでも見られたら、すぐに動物病院へいきましょう。特に子犬や老犬は体力を消耗しやすいため注意が必要です。
■病院へ行くべき体調チェックリスト
上記以外の症状でも、愛犬の様子がいつもと違うと感じたら早めに動物病院へ行き、獣医師に伝えましょう。
嘔吐は様々な病気の症状として現れるため、嘔吐以外の症状や吐く時の様子などは診断のための大切な情報です。しっかり確認しましょう。
犬が嘔吐する原因として考えられる主な病気には、消化器の病気や感染症など様々なものがあります。
愛犬の嘔吐から飼い主さんが病気を判断することは難しいですが、病気の知識をつけておけば予防や回復のサポートに役立ちます。
よくあることと軽く考えず、獣医師の指示をしっかりと守ってくださいね。
嘔吐を伴う胃の病気には、胃炎・胃潰瘍・胃捻転、異物や胃の幽門部における通過障害などがあります。
特に胃捻転は早急に動物病院で処置をしないと命の危険がある恐ろしい病気ですが、発症原因は食事を勢いよく食べすぎたことや食後すぐの激しい運動など日常的に起こりうるものです。
大型犬に多くみられる病気ですが、小型犬でも発症することがあるため、全ての愛犬が気をつける必要があります。
嘔吐を伴う小腸の病気には、寄生虫感染・腸炎・腸捻転・腸閉塞・食物アレルギーなどがあります。
腸の病気では下痢の症状が同時に出ることも珍しくありません。原因の多くは傷んだ食品や犬が食べられない人の食品を口にした、体質に合わないものやおもちゃの一部を食べたことなどで起こります。
飼い主さんが愛犬の口に入るものや与え方をしっかりと管理していれば防ぎやすい病気も多いです。
嘔吐を伴う腹腔内の病気には、腹膜炎・腫瘍・膵炎などがあります。
膵炎は比較的多い病気ですが、激しい痛みや下痢を伴い、重症化すると命の危険があります。
はっきりとした発症原因はわかっておらず、脂肪分の高い食事や肥満の犬、ホルモンの病気を患っている犬などは発症リスクが高いとされているため、日頃の食事管理が重要です。
食道の病気には、食道狭窄・食道拡張症・腫瘍・食道炎・食道内異物などがあり、嘔吐よりも吐出がよく見られます。
先天性の異常により発症するものもありますが、焼き鳥の串や鶏の骨、おもちゃ破片などの異物が食道に刺さる・詰まるなどのトラブルから発症することもあるため、飼い主さんが愛犬の口に入るものを管理することで防ぎやすくなります。
嘔吐を伴う感染症には、犬パルボウイルス・犬コロナウイルス・犬ジステンバーなどのウイルスによる感染症があります。
感染力や致死率が高い病気も多く、多くの犬が集まる繁殖施設やペットショップでは特に注意が必要です。
家庭では定期的なワクチン摂取で防ぐことができますが、まだワクチンプログラムの完了していない子犬に嘔吐が見られたときは、早めに動物病院を受診すると良いでしょう。
犬が吐く理由は、早食いや水の飲みすぎなどの生理現象から胃捻転や腸閉塞などの命の危険を伴う重篤な病気まで様々です。
愛犬に嘔吐以外の症状(食欲不振や元気消失、下痢など)がないかどうかや、嘔吐物の色・内容物を確認し、適切に対処してあげましょう。
■犬の嘔吐のまとめ
犬の嘔吐は心配がないことも多いですが、大きな病気である可能性もあります。判断に迷ったときは、1度動物病院を受診しておきましょう。
執筆者
ペットフードメーカーに6年勤務後、現在はINUNAVIライターとしてドッグフードを中心とした記事を数多く執筆。相棒はキャバリアのジタン(10歳)。犬が好き&犬が好きな人が好きです。好きな人たちの生活がより豊かになるような、経験を生かした正しい情報、一歩踏み込んだ内容の記事をお届けします。保有資格:ペットフード安全管理者・犬の管理栄養士・ペット災害危機管理士3級