公開 2022.07.26 更新 2022.07.26
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犬のしゃっくりは動物病院に連れていくべき?原因や止め方を獣医師が解説【動画付き】

犬のしゃっくりは動物病院に連れていくべき?原因や止め方を獣医師が解説【動画付き】

犬も人間と同様しゃっくりをすることがあります。

突然、愛犬が「ピクッ」と震え出すと少し心配になりますよね。

犬のしゃっくりは多くの場合、様子を見ていれば数分でおさまることが多いですが、中にはしゃっくりと間違えやすい病気や症状(逆くしゃみ)があるため注意が必要です。

この記事では、愛犬のしゃっくりの原因と自宅でできる対処法を獣医師がわかりやすく解説します。

「愛犬のしゃっくりは様子を見ても大丈夫?」
「愛犬のしゃっくりの止め方を知りたい!」

と悩んでいる飼い主さんはぜひ参考にしてください。

獣医師 入江 悠

執筆者

獣医師
入江 悠
獣医師国家資格

宮崎大学農学部獣医学科卒業。関西の動物病院に勤務。大学では、循環器内科を専攻し現在の勤務先でも循環器を得意分野として診察を行う。実家では、愛犬である柴犬「たま」を飼っている。柴犬好きな獣医師です。獣医師として、飼い主さんの悩みに寄り添い、信頼できる正確な情報を多くの人にお届けできたらと思いライター活動を行なってます。保有資格:獣医師国家資格

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犬のしゃっくりの原因は、横隔膜の痙攣によるもの!

犬は頻度は少ないですが、人間と同様にしゃっくりをすることがあります。

しゃっくりの原因は、体の胸部と腹部を隔てる横隔膜の震えや痙攣によるものであると考えられています。横隔膜が痙攣を起こす理由は医学的には明らかになっていませんが、横隔膜の神経系や呼吸中枢が刺激されることが引き金になっていると考えられます。

ほとんどのしゃっくりは、食事や不安感、呼吸の乱れなどによるものであり、時間が経つと治ることが多いので心配しなくても大丈夫です。

しかし、何度も繰り返す場合は横隔膜の痙攣ではなく消化器疾患や呼吸器疾患、神経疾患の可能性がありますので注意してみるようにしましょう。 

犬がしゃっくりする時には、以下の動画のように「ピクッ」とお腹または体全体が震えます。

 
 
 
 
 
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次章では、どんな子がしゃっくりを起こしやすいのか解説していきます。

愛犬がしゃっくりを起こしやすい子に当てはまっているかどうかチェックしてみましょう!

特に子犬や短頭種はしゃっくりを起こしやすい! 

チワワ

ここからは、しゃっくりを起こしやすい子とその原因について紹介していきます。 

愛犬が以下に当てはまる場合は、一緒に生活していく上でしゃっくりが出やすいかもしれません。

■しゃっくりを起こしやすい犬

  • 短頭種(パグ、フレンチ・ブルドッグ、チワワ、シーズーなど)
    …鼻呼吸が苦手で呼吸器系の疾患になりやすい犬種
     特にパグやフレンチ・ブルドッグは口が大きいため、食事の際に空気を取り込みやすい
     呼吸の乱れからしゃっくりを起こしやすい
  • 子犬や成長期
    …食欲旺盛な時期であり体の機能もまだ完全には出来上がっていない子が多い
     ご飯を一気に食べることによる急激な胃拡張や不安感、ストレスなどからしゃっくりを起こしやすい
  • 大型犬
    口呼吸をすることが多いため、胃に空気を溜め込みやすい
    胃拡張によるしゃっくりを起こしやすい

愛犬がしゃっくりを起こしやすい犬の特徴に当てはまっていたでしょうか?

犬のしゃっくりは、自然におさまってくれることがほとんどです。

しかし、短頭種はしゃっくりから呼吸状態が悪化したり、大型犬のしゃっくりが胃捻転になったりする可能性もゼロではありません。

次章では、愛犬のしゃっくりをいつまで様子見していいのかについて解説しています。

ぜひ動物病院に連れていくかどうか迷っている飼い主さんは参考にしてください!

様子を見て大丈夫? 動物病院を受診すべきしゃっくりをチェック!

犬 病院

愛犬のしゃっくりは様子を見ていていいのでしょうか?

動物病院を受診すべきしゃっくりのチェックリストを以下にまとめています。

■受診すべきしゃっくりのチェックリスト

  1. しゃっくりの長さ
    通常のしゃっくりは数分で止まる
     1時間以上しゃっくりが続いている場合は、呼吸状態の悪化につながるので注意
  2. しゃっくりの頻度
    毎日や毎食後にしゃっくりが出る場合は、何か疾患が隠れている可能性
  3. 最近しゃっくりの頻度が増えた
    今までなかったのに、ここ最近しゃっくりの頻度が増えている場合は注意
     特に高齢の場合、病気の可能性もあるので病院へ
  4. 他の症状がないかどうか
    呼吸が荒い、食欲不振、熱がある、吐き気、嘔吐があるなど他に症状がある場合は緊急性があり

以上のチェックリストを参考にしてみて当てはまる場合は動物病院に連れていくことをオススメします。

特に他の症状がある場合は、肺炎、胃捻転、熱中症など緊急性がある場合がありますのですぐに連れていきましょう。

犬のしゃっくりと間違えやすい逆くしゃみを動画で比較 

チワワ

犬のしゃっくりと間違えやすい症状に逆くしゃみがあります。

しゃっくりと逆くしゃみの大きな違いは、発生する時の呼吸のタイミングと音です。

 呼吸のタイミング発生する音
しゃっくり呼吸とは無関係ヒクッ
逆くしゃみ息を吸う時に発生ズーズー

しゃっくりは呼吸と関係なく発生するのに対して、逆くしゃみは息を吸う時に発生します。

また、しゃっくりは横隔膜の痙攣により声帯が締まり、「ヒクッ」という音がでますが、逆くしゃみは息を吸うことによる「ズーズー」といった音が発生します。

愛犬のしゃっくりが実は逆くしゃみである可能性もあるので動画で違いチェックしてみましょう。 

しゃっくりの動画は以下の通りです。

 
 
 
 
 
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体が呼吸とは無関係に「ピクッ」と震えていますが、本人はケロッとしています。

こちらが逆くしゃみの動画です。

 
 
 
 
 
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柴犬 ぶんやん (Shibainu Bunyan)(@bunstagramdesu)がシェアした投稿

逆くしゃみは、この動画のように息を吸う時に「ズーズー」という音が出ているのが特徴です。

息を吸う時に発する音以外にも、首を前後に動かしたりするので、しゃっくり以外にもえづきや咳、過呼吸などとも間違えやすい症状ですね。

逆くしゃみは、何らかの原因で鼻粘膜が刺激されたり興奮した状況にある時に発生しやすいです。

しゃっくりと同様に数分したら止まることが多く、重い病気である可能性は少ない生理的な現象ですので、他の症状がない場合は様子を見てあげて良いでしょう。

もし、愛犬の症状が分かりづらい場合は動画をとって一度動物病院を受診すると安心です。

犬がしゃっくりするときに考えられる病気 

犬がしゃっくりをするときに考えられる病気はどのようなものがあるのでしょうか?

しゃっくりのみが認められる時は、大丈夫な場合が多いですが、しゃっくりと併発して他の症状がある場合は以下のような病気の可能性もあるので注意が必要です。

■犬がしゃっくりをするときに考えられる病気

  • 食道炎、胃炎、胃捻転などの消化器疾患
  • 肺炎、喘息、胸膜炎などの呼吸器疾患
  • てんかんや脳炎などの神経疾患

それぞれの疾患について、詳しく解説していきます。

食道炎、胃炎、胃捻転などの消化器疾患

食道や胃など横隔膜に近い部分の消化器疾患はしゃっくりの原因となることがあります。

食道炎、胃炎、胃捻転ではしゃっくり以外に以下の症状が認められることがあります。

■食道炎、胃炎、胃捻転で認められるしゃっくり以外の症状

  • 嘔吐
  • 発熱
  • ぐったりしている
  • えづき、お腹が膨れている(胃捻転の場合)

特に気をつけなければならない緊急性が高い病気は胃捻転です。

胃捻転は、胃が拡張してねじれてしまうことにより起こります。胸が深い大型犬に多く、早めに処置をしないと命に関わる病気です。

胃捻転は、吐きたいけど吐けないといったえづきと胃ガスによるお腹の膨らみが特徴的です。

しゃっくりに加えて、これらの症状がある場合は早めに動物病院を受診するようにしましょう。

肺炎、喘息、胸膜炎などの呼吸器疾患

肺炎や喘息、胸膜炎などの呼吸器疾患の炎症がしゃっくりの原因である可能性もあります。

また、愛犬の症状がしゃっくりか咳か判断できない場合もあります。

以下がしゃっくり以外に呼吸器疾患で認められる症状です。

■肺炎、喘息、胸膜炎で認められるしゃっくり以外の症状

  • 発熱
  • えづき
  • チアノーゼ(舌が真っ青になる)
  • なかなか横になれない(ずっと立ったままorおすわりの姿勢のまま)

こういった呼吸器疾患の特徴は、咳が認められるという点です。

特に肺炎は、一気に調子を崩して命を落としてしまうことが多い病気の一つです。

しゃっくり以外にも咳が認められたり、咳かしゃっくりか見分けがつかない場合は、病院を受診するようにしましょう。

てんかんや脳炎などの神経疾患

てんかんや脳炎などの神経疾患によるひきつけや痙攣の症状がしゃっくりと判断つかないことも多いです。

以下がしゃっくり以外に神経疾患で認められる症状です。

てんかんや脳炎などで認められるしゃっくり以外の症状

  • 痙攣発作
  • 斜頸、旋回運動
  • 意識障害
  • 起立困難、歩行障害

神経疾患の場合、てんかんや痙攣発作や斜頸、意識障害、歩行障害などの症状が出てきます。

また、しゃっくりのような「ピクッ」といった震えが実は神経疾患の前兆だったということもあり得ます。

こういった震えがなかなか治らないまたは、頻度が多い場合は一度動物病院に連れて行ってみましょう。

犬のしゃっくりの原因3つと原因別の対処法

ここからは、犬がしゃっくりを起こしやすい原因3つとそれぞれの対策を解説していきます。

しゃっくりの原因は、食事や不安やストレスが多いですが、なかなかはっきりしないことが多いです。

愛犬がぜひ下記の行動を行っていないかどうかをチェックしてみて、対策していきましょう。

 ①早食いが原因!少量頻回でご飯をあげよう

ご飯の早食いはしゃっくりの原因になります。

早食いで胃の中に急激にご飯や空気が入ってくることにより、胃拡張を引き起こします。

その結果、横隔膜を刺激し、しゃっくりが発生すると言われています。

愛犬がご飯を早食いしている場合は、以下の対処法を試してみましょう。

対処法

  • ご飯の総量は変えず、少量ずつ頻回にご飯をあげる
  • 早食い防止のお皿を試してみる

1日に与えるご飯の総量を変更せず、少量ずつ頻回に与えることで急激な胃拡張を防ぐことができます。

また、犬の早食い防止用に底に凹凸があるお皿などを試すと良いでしょう。

早食いによるしゃっくりが疑われる場合はぜひ上記の対処法を試してみることをおすすめします。

②ご飯が合っていない!ご飯を変更してみよう

柴犬の食事

体に合っていないフードを食べると消化の際に多量のガスが発生することがあり、胃拡張やしゃっくりの原因になります。

ご飯が体に合っていない場合は、嘔吐や下痢、顔まわりの赤み、体中の痒み、目の充血が起こることが多いです。

愛犬のご飯が合っていなさそうと感じている方は、ぜひ以下の対処法を試してみてください。

対処法

  • フードを消化に優しいフードに変更する(ウェットフードや低脂肪のフード)
  • 低アレルゲンフードに変更する
  • ご飯の粒の大きさや硬さを変更する

ウェットフードや低脂肪のフードは消化管への負担が少ないフードとして知られています。よく下痢や嘔吐をする場合は、消化に優しいフードに変更しましょう。

また、皮膚の痒みや目、顔まわりに赤みがある場合は食物アレルギーが疑われるので、フードを低アレルゲンフードに変更すると改善することがあります。

さらに、粒の大きさや硬さも重要です。あまりに大きい粒のサイズをあげたり、硬い粒をあげていると胃腸での消化に負担がかかる原因になります.

愛犬に合ったフードを試しながら見つけていきましょう!

③不安や興奮でストレスを感じているかも!ストレス解消させてあげよう

犬 遊び

犬が不安や興奮、ストレスを感じている場合は、交感神経が優位になり、呼吸が乱れることによりしゃっくりが起こりやすくなる可能性があります。

犬のしゃっくりの原因が不安や興奮、ストレスが考えられる場合、以下の対処法を試してみましょう。

対処法

  • 散歩やおやつでストレスを解消させる
  • 犬のみぞおちの部分をマッサージしたり、体全体を撫でてあげる
  • 水を飲ませてあげる

散歩などで適度な運動でストレスを解消させたり、体全体や特に胃が位置するみぞおちの部分を撫でてあげたりすることで呼吸や神経の乱れを落ち着けることができます。

また、人間と同様犬でも水を飲ませてあげることも副交感神経を刺激してしゃっくりを和らげる効果があります。

ぜひ、犬のしゃっくりの原因でストレスなどが考えられるときには、以上の対処法を試してみましょう。

 犬のしゃっくりでよくあるQ&A 

犬 病院

ここからは、犬のしゃっくりに関するよくある質問について回答していきます。

愛犬のしゃっくりにお悩みの飼い主さんは、ぜひ参考にしてみてください。

犬のしゃっくりでよくあるQ&A

    愛犬が寝ている時にしゃっくりするけど大丈夫?

    A.寝ている時にしゃっくりしている場合も、呼吸が荒くなっていない限りは大丈夫です。

     

    また、寝ている時に「ピクッ」と動いている場合には、しゃっくりではなく筋肉の痙攣が無意識的に起こっている可能性がありますが、これも病気の可能性は低いです。

    しかし、睡眠中に激しい動きをしたり何度も繰り返している場合は、てんかんなどの脳の疾患の可能性も考えられますので、動物病院を受診しましょう。

    犬がしゃっくり中に嘔吐をする場合はどういったことが考えられる?

    犬 病気

    A.犬がしゃっくり中に嘔吐する場合は、食道や胃の疾患の場合も考えられますので動物病院を受診しましょう。

     

    食べ過ぎや早食いの可能性もありますが、巨大食道症、胃捻転、胃炎など消化器の病気が考えられます。また、しゃっくりではなく気持ち悪さからえづいている可能性もあります。

    判断が難しい場合もあると思われますので、動画を撮って動物病院を受診するようにしましょう。

    まとめ

    スパニッシュ・ウォーター・ドッグ (1)

    この記事では、犬のしゃっくりの原因や対処法、考えられる病気、間違えやすい逆くしゃみなどについて紹介しました。

    しゃっくりは、基本的に様子を見ても大丈夫ですが、中には病気の可能性もあるため動物病院に連れてきてほしい場合もあります。

    そんなしゃっくりを見逃さないように今回紹介した受診すべきしゃっくりのチェックリストをおさらいしておきましょう!

    受診すべきしゃっくりのチェックリスト

    1. しゃっくりの長さ
      1時間以上しゃっくりが続いている場合は、呼吸状態の悪化につながるので注意
    2. しゃっくりの頻度
      毎日や毎食後にしゃっくりが出る場合は、何か疾患が隠れている可能性
    3. 最近しゃっくりの頻度が増えた
      今までなかったのに、ここ最近しゃっくりの頻度が増えている場合は注意
    4. 他の症状がないかどうか
      呼吸が荒い、食欲不振、熱がある、吐き気、嘔吐があるなど他に症状がある場合は緊急性があり

    犬のしゃっくりの多くの場合はすぐに治りることが多いですが、治りが悪い場合や以上のチェックリストに当てはまる場合は動物病院を受診するようにしましょう。

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    獣医師 入江 悠

    執筆者

    獣医師
    入江 悠
    獣医師国家資格

    宮崎大学農学部獣医学科卒業。関西の動物病院に勤務。大学では、循環器内科を専攻し現在の勤務先でも循環器を得意分野として診察を行う。実家では、愛犬である柴犬「たま」を飼っている。柴犬好きな獣医師です。獣医師として、飼い主さんの悩みに寄り添い、信頼できる正確な情報を多くの人にお届けできたらと思いライター活動を行なってます。保有資格:獣医師国家資格

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