公開 2022.06.27 更新 2023.12.18
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犬はみかんを食べても大丈夫?与え方と柑橘類の注意点を解説【獣医師監修】

犬はみかんを食べても大丈夫?与え方と柑橘類の注意点を解説【獣医師監修】

みかんを食べているときに愛犬が物欲しそうに見つめてきたら、可愛さのあまり分けてあげたくなりますよね。そんなとき初めて犬を飼う人は、犬にみかんを食べさせても大丈夫なのかと心配になるかもしれません。

みかんは犬が食べても大丈夫な果物すが、ワンちゃんの健康状態によっては食べさせない方がいい場合もあります。そこで今回は、みかんや柑橘類を与える時の注意点や与え方などを詳しく解説していきます!

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みかんは外皮以外なら犬が食べても害はない

みかんの皮

みかんなどの柑橘類は基本的に犬が食べても害がないため、安心して与えられる果物です。
※薬を服用しているワンちゃんには食べられる柑橘類に制限があります。

みかんはワンちゃんにとっても栄養価が高くて美味しいので、おやつにぴったりですよ。私の愛犬もみかんを剥いていると必ず走ってくるほどみかんが好きです。

しかし、害がないといっても丸ごとあげていいわけではありません。人間がみかんの皮を剥いて食べるのと同じように、犬にとっても外皮は食べられない部分だという認識を持ちましょう。

みかんの外皮がNGな理由

  • 農薬やワックスが付いている可能性がある
  • 外皮は消化しづらい

犬が農薬を食べてしまうと中毒を起こしてしまいます。農薬は腎臓に負担がかかり、病気になるリスクも高まるので、みかんを外皮ごと与えるのは危険です。

また、無農薬みかんの外皮でも、犬にとっては消化しづらく、胃腸に負担がかかってしまうため、与えないようにしましょう。

※参考:花田道子先生監修「【獣医師監】犬がみかんを食べても大丈夫?缶詰やゼリー、アイスは?外皮、薄皮、下痢に注意!」,hotto,(閲覧日:22/06/14)

みかんの薄皮・種は消化不良の原因になる

外皮だけでなく、薄皮や種も犬にとっては消化しづらい部分です。

人間は外皮だけを剥いて薄皮ごと食べてしまいますが、犬に与える時はスジや薄皮も綺麗に取り除いて房の中身だけを食べさせる方が安全です。

みかんを房ごと食べさせたときに、薄皮や種は消化できずそのまま便で出てくることがありますが、それは腸に負担がかかっている証拠。小型犬であれば便がゆるくなったり下痢の原因となることもあります。

ワンちゃんが誤って丸ごと食べてしまっても、みかん自体に中毒性はないので慌てる必要はありませんが、あえて過剰に与えないようにしましょう。

みかんは大丈夫【ほかの柑橘類は注意して!】

果物

もしもワンちゃんが病気やけがの治療中で薬を飲んでいる場合、柑橘類に含まれる成分が薬に影響してしまう可能性あります。ですから、「みかんが大丈夫ならば、他の柑橘類も犬が食べられる」と思っている場合は要注意!

みかんをはじめとした柑橘類にはグレープフルーツやデコポンなどたくさんの種類がありますが、薬との関係性において柑橘類はおおまかに3つのグループに分けることができます。柑橘類が与える薬への影響や、柑橘類のグループ分けについて詳しく解説していきましょう。

柑橘類に含まれる成分が薬に影響し副作用を起こす

柑橘類には「フラノクマリン」という成分が含まれています。フラノクマリンは体内で一部の薬の濃度を上げてしまう作用があり、それによって薬の効果が強まりすぎてしまったり、強い副作用が出たりすることがあります。

フラノクマリンは、人間のてんかんの薬・免疫抑制剤・抗がん剤などの薬と相互作用することが確認されています。

しかし、犬に用いる全ての薬について、フラノクマリンがどのように相互作用するかについては解明されていません。そのため、何かしらの薬を飲んでいるわんちゃんにはフラノクマリンを含む柑橘類は与えない方がいいでしょう。

どうしてもフラノクマリンを含む柑橘類を与えたい場合は、飲んでいる薬と相互作用する可能性の有無をかかりつけの獣医師に質問しましょう。

※参考:「グレープフルーツと薬物の相互作用について」,国立健康・栄養研究所,(閲覧日:22/06/14)

薬との飲み合わせに注意!フラクノマリンを含む柑橘類一覧

薬との飲み合わせに注意!フラクのマリンを含む柑橘類一覧

フラノクマリンを含む柑橘類は多く含むものと、少量含むものの2つにグループ分けができますが、薬の種類と柑橘類の種類の組み合わせでも相互作用の度合いは変わるため、少量だから安全とは言い切れません。

ワンちゃんが薬を服用中である場合は、フラノクマリンを含む柑橘類は全て与えないようにしましょう。

✕多く含む
✕少量含む 〇含まない
ライム
甘夏みかん
グレープフルーツ
スウィーティー
ダイダイ
ブンタン
はっさく
ポンカン
いよかん
すだち・かぼす
きんかん
レモン
日向夏
ネーブルオレンジ
みかん
温州ミカン
デコポン

柑橘類は次々と新品種も生まれるため、全ての品種のフラノクマリンの量を検査することは困難です。そのため、薬を飲んでいるワンちゃんにはあまりメジャーではない品種の柑橘類は与えない方がいいですよ。

みかんやデコポンはフラノクマリンを含まない柑橘類なので、薬を飲んでいるワンちゃんでも安心して食べることができます。与える時は薄皮や種を取り除いて与えましょう。

※参考:大阪国際がんセンター「「グレープフルーツ以外にも注意したい食材」,大阪国際がんセンター病院サイト,(閲覧日:22/06/14)
※参考:兵庫県立病院薬剤部「お薬とグレープフルーツの相互作用」(閲覧日:22/06/14)

犬に食べさせてもいいみかんの量は?

犬とみかん

犬に食べさせて良いみかんの量は、体格や1日の許容摂取カロリーによってどのくらい与えてもいいのかが決まります。

一般的な犬の体格と与えてもいいみかんの量の目安を表にまとめました。

体格(体重) 1日の許容量 みかんのカロリー
超小型犬(4kg未満) 4房程度 13.6Kcal
小型犬(10kg未満) 6房程度 20.4Kcal
中型犬(25kg未満) 10房程度 34Kcal
大型犬(25kg以上) 20房程度 68Kcal

※みかん1個(10房)=75g/34Kcalとして

上記の表はあくまで目安ですので、ダイエットが必要なワンちゃんはみかんでカロリーオーバーにならないように注意が必要かもしれません。また、標準体型のワンちゃんであっても、みかんには糖分もありますので食べさせ過ぎないように気を付けましょう。

ワンちゃんの中にはみかんを美味しいと思ってしまうと、ドッグフードを食べ無くなってしまったり、水を飲まなくなってしまう可能性もあるため、好物であっても与えすぎは厳禁です。

※参考:獣医師佐野先生監修「【獣医師監修】犬にみかんを与えても大丈夫。みかんを食べるメリットと与え方を解説」,いぬのきもち,(閲覧日:22/06/15)

みかんを安全に食べさせるための注意点【与えすぎや加工品に注意!】

犬と蜜柑

ここではみかんを安全に食べさせるための3つの注意点について紹介します。参考にしてください。

①子犬と老犬は消化する力が弱いので注意!

みかんは食物繊維を多く含む果物です。食物繊維は消化器官や咀嚼する力が弱い子犬や老犬にとっては消化しづらく、下痢を引き起こす原因にもなります。子犬や老犬に与える際は、以下に注意して与えましょう。

■子犬・老犬のみかんの与え方

  • 薄皮やスジ・種は必ず取る
  • ジュースにして与える
  • ごく少量にする

みかんの薄皮・種は消化不良の原因になる」で紹介した通り、みかんの薄皮は消化不良の原因になるため、みかんを絞って無添加のジュースにして与える方が、子犬や老犬にとっては食べやすいです。

また、老犬は飲み込む力が弱く、薄皮やスジが付いたまま与えてしまうと喉を詰まらせてしまう可能性があります。必ず薄皮や種を取り除きましょう。

②絞って与えるのは◎!ただし缶詰や加工品はNG

薄皮を剥くのは面倒だからといって、缶詰の皮剥きみかんやみかんゼリーといった加工品を与えたい飼い主さんもいると思いますが、結論から言うとおすすめできません。

缶詰や加工品のほとんどが砂糖やシロップを多く使用しているため、糖分を多く摂取することになり、肥満や偏食の原因になってしまいます。愛犬の健康維持のためにも、人間用に甘く加工されているものは極力与えないようにしましょう。

※参考:花田道子先生監修「【獣医師監】犬がみかんを食べても大丈夫?缶詰やゼリー、アイスは?外皮、薄皮、下痢に注意!」,hotto,(閲覧日:22/06/14)

③少量にする!みかんの食べすぎは下痢になるので注意

みかんは絞るとかさが減るため、少量のつもりでもカロリーや糖分の過剰摂取になる恐れがあります。犬がみかんを食べすぎた結果、糖分やカロリーを摂りすぎて肥満や病気を引き起こすきっかけになることがあります。

■食べすぎによる健康被害の一例

  • 虫歯になりやすくなる
  • 肥満になる
  • 肥満による関節炎や糖尿病のリスクが高まる

また、健康な成犬であっても、みかんを与える時は必ず薄皮や種を取り除きましょう。成犬も子犬や老犬と同じようにジュースにしてあげる方がより消化しやすいので安心ですよ。

ただし、成長ステージに関わらず、みかんは与えすぎないように気を付けましょう。

あくまで、みかんは犬にとっては嗜好品です。水を飲まない場合の応急処置として絞ったみかんジュースを与える分にはいいのですが、水分補給のメインにすることは避けましょう。

犬にとってみかんはあまり食べる必要のない嗜好品だと認識しておきましょう。

※参考:獣医師|平松先生監修「愛犬が虫歯になりやすくなる4つの習慣」,わんちゃんほんぽ,(閲覧日:22/06/15)

※参考:「肥満とは」,コトブキ獣医医院,(閲覧日:22/06/15)

【獣医師に聞いてみた!】みかんの栄養は犬にもいいの?

ハバニーズと動物病院の獣医

みかんは犬の健康の必ず必要なものではないことがわかりましたが、食べることでどのようなメリットがあるのでしょうか

そこで、みかんの栄養は犬にもいいのか、獣医師の藤井先生に聞いてみました!

藤井ちひろ

獣医師

藤井ちひろ

北海道帯広畜産大学畜産学部獣医学科卒業。首都圏の中堅動物病院、大学病院を経て「健康寿命を延ばしてめざせ20歳!」「治らない病気に最期まで向きあう」動物病院、ローズローズアニマルクリニック院長。ペットの食と栄養のお悩みに一生応えるための食育セミナーやシニアペットセミナーを定期的に開催中。(所属学会:ペット食育協会獣医麻酔外科学会 ・獣医神経病学会など)

みかんの栄養は犬にもいいの?Q&A

    犬がみかんを食べるメリットとは?

    獣医師藤井ちひろ
    獣医師
    藤井ちひろ

    みかんに含まれる栄養素は犬にとっても食べるメリットがあります。みかんに含まれる栄養素とその働きは以下の通りです。

    • ビタミン
      C免疫機能を保つ・皮膚や細胞の生成に必要不可欠なビタミン
    • ビタミンA(βカロテン)
      皮膚や粘膜を健やかに保つ・視力の健康維持が期待できる
    • カリウム
      体内の浸透圧を調整・血圧を下げる働きがあり、疲労回復にも欠かせない栄養素

    これらの栄養素は体にいい成分ですが、みかんは糖分も高いので与えすぎないように注意しましょう。

    ※参考:「みかん」,わかさの秘密,(閲覧日:22/06/15)

    犬はビタミンCを摂取しなくてもいいのでは?

    獣医師藤井ちひろ
    獣医師
    藤井ちひろ

    これまで、犬は体内でビタミンCを作れるので摂取の必要はないとされてきました。しかし近年では、ビタミンCを犬にも摂取させた方がいいという意見も出ています

    全ての犬種において、ビタミンCを摂取する必要があるのかは明確な研究結果が出ていませんが、ビタミンCは抗酸化作用があり、アンチエイジング効果があるので犬にとっても摂取するメリットがありますよ

    ちなみに、ビタミンCは水溶性ビタミンなので、たくさん摂取してしまっても余分な分は尿となって排泄されます。みかんにはビタミンCが多く含まれますが、過剰摂取にはならないので安心してくださいね。

    ※参考:ペット栄養学誌「柴犬における血漿中ビタミンC濃 度」,ja,(閲覧日:22/06/14)

    成長ステージごとの食べるメリットは?

    子犬:水を飲むのが下手な子には水分補給の手助けになる

    成犬:ビタミンCが免疫を高めて病気になりにくい体を作る

    老犬:ビタミンAによる老化防止効果が期待される

    獣医師藤井ちひろ
    獣医師
    藤井ちひろ

    みかんは水分・食物繊維が多く、たくさん食べすぎると下痢になりますが、上手に食べさせると水分補給の手助けになります。

    また、みかんは老化防止や免疫力を高める効果も期待されるため、どの成長段階の犬にとってもメリットがありますよ。

    ※参考:「みかん」,わかさの秘密,(閲覧日:22/06/15)

    犬にカリウムを含む果物はよくないのでは?

    獣医師藤井ちひろ
    獣医師
    藤井ちひろ

    犬にカリウムを多く含む果物を与えない方がいい理由は、カリウムを過剰に摂取し過ぎると腎臓に負担をかけてしまうからです。とくに腎臓に疾患がある犬や高齢の犬はカリウムをうまくろ過することができず、四肢のしびれなどの症状が出る「高カリウム血症」になる恐れがあります。

    しかし、適度なカリウムは犬にとって害ではなく、むしろ健康に欠かせない栄養素で、不足すると運動能力の低下などを招く「低カリウム血症」を引き起こします。

    とは言うものの、きちんとドッグフードを与えていればカリウムが不足することはまずないため、あえてみかんで摂取する必要はありません。あくまでみかんはワンちゃんにとっては嗜好品であり、みかんはカリウムの量も多いため、与えすぎないように注意しましょう。

    ※参考:由田克士「カリウム」,厚生労働省,(閲覧日:22/06/15)
    ※参考:「犬の腎不全」,亀山動物病院,(閲覧日:22/06/15)

    まとめ

    いかがでしたか?みかんは犬にとって害はないものの、健康状態によってはあまり食べさせない方がいいということが分かりましたね。今回の内容を今一度まとめておきましょう。

    この記事のまとめ

    • みかんは犬が食べても安全
    • ほかの柑橘類の中には薬に影響するものがある
    • 犬の体重や健康状態で食べさせて良い量が決まる
    • 子犬や老犬は消化不良を起こしやすいのでジュースにするといい
    • みかんは免疫力アップや老化防止に効果的

    みかんは犬にとって嗜好品ではありますが、食べる量に気を付ければ健康にいい成分がたっぷりあることが分かりましたね!
    おやつの時間に愛犬と仲良くみかんを分け合って、スキンシップをとってみてはいかがでしょうか?

    今回の記事が大切な愛犬と少しでも長い時間を過ごせるヒントにしてもらえたら嬉しいです。

     

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    ペットライター 福多あおい

    執筆者

    ペットライター
    福多あおい
    学芸員(生物系)

    INUNAVIライター。犬が大好き&動物全般好きです。愛犬はミックス(チワワ×シェルティー)の杏(アン)14歳。杏の病気を早期発見して治療できた経験を活かして、「愛犬に長生きして欲しい!」という飼い主さんの気持ちに応える執筆を心がけています。学歴/資格:東京農業大学畜産学科卒業。動物栄養学や動物行動学を学び、学芸員資格(生物系)を取得。

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