2023.08.09 
2024.04.19 
長い眉毛・まつ毛や口ひげがチャームポイントのミニチュアシュナウザー。大変かわいらしい見た目で、お迎えしたいと考えている人は多いはずです。ホワイト（白）・ブラック（黒）などの珍しい毛色の子犬を探している人や、保護犬を探している人もいるでしょう。
しかし、「かなり吠える」「しつけが大変」という気になる声もあって、どのような性格の犬種であるかは事前に知っておきたいもの。
この記事ではドッグトレーナー監修のもと、ミニチュアシュナウザーの特徴・性格・飼い方・子犬の値段などを詳しく紹介します。ぜひ参考にしてくださいね。
監修者
麻布大学大学院獣医学研究科卒業。犬と人のコミュニケーションについて研究を行い博士号を取得。現在は相模原市にある犬のしつけ方教室スタディ・ドッグ・スクール のドッグトレーナーとして活動。動物系専門学校の講師や行政主催のしつけ方教室講師を務める他、後進ドッグトレーナーの育成や、神奈川県動物愛護センターにおいて飼育・トレーニング・問題行動アドバイザーを務め技術指導を行っている。
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目次
ミニチュアシュナウザーはドイツ原産の狩猟犬で、特徴的な硬い被毛を持つ小型犬です。どのような歴史や見た目の犬種であるのかを詳しく紹介します。
ミニチュアシュナウザーはドイツで生まれた小型犬で、その名の通り小さなシュナウザーです。「Schnäuzer（シュナウツァー）」はドイツ語で「口ひげ」を意味します。
シュナウザーにはほかにも「スタンダード・シュナウザー」と「ジャイアント・シュナウザー」がいます。スタンダードシュナウザーとアーフェン・ピンシャーやトイ・プードルなどをかけ合わせて作られたのがミニチュアシュナウザーです。
ミニチュアシュナウザーは日本の団体では「使役犬」に分類され、狩猟犬として農場でネズミを捕る仕事をしていた歴史があります。テリア犬種の血は引いていませんが、獲物を追いかける活発な習性や警戒心の強さなど、テリアに似た特徴を持っており、団体によってはテリアのグループに分類されます。
ミニチュアシュナウザーの体重は一般的に6〜7kgほどで、体高は30〜35cmほどです。小型犬のなかではやや大きい部類と言えるでしょう。小型犬ですが体つきはがっちりとしていて、体高と体長にあまり差がないスクエア型の体型です。
被毛は、表面が硬く針金状のワイヤーコートです。抜け毛は少なめですが、毎日のブラッシングやカットなどこまめな手入れが欠かせません。
日本で純粋犬種の犬籍登録と血統証明書を管理している団体において公式に認められているミニチュアシュナウザーの毛色は、以下の4種類です。
■ミニチュアシュナウザーの公式な毛色
ソルト＆ペッパー
ブラック＆シルバー
ホワイト（白）
ブラック（黒）
ホワイト・ブラックは頭数が少ない毛色で、「ブリーダーナビ」の調査によるとホワイトは4色うちの9.9%、ブラックは7.8％とそれぞれ10％を下回っていました。
そのほか、薄いベージュのような「ウィートン」や赤みがかった黒の「レバー」という珍しいカラーもありますが、団体に認められた毛色ではありません。
ネズミを捕る狩猟犬であったミニチュアシュナウザーはとても活発で、攻撃性や興奮性、追いかける本能が強い犬種です。初心者には扱いが難しい面があるものの、信頼した飼い主に大きな愛情を向けることも特徴のひとつ。
ミニチュアシュナウザーの性格について詳しく紹介します。
また「興奮性」も高く、散歩の前や来客の呼び鈴などをきっかけにして興奮し、吠えてしまうことも多いでしょう。「無駄吠え」のスコアも高いので、後述するしつけのポイントを参考にしっかりとトレーニングする必要があります。
運動欲求を満たし、外出先で危険がないよう十分なトレーニングも必要なので、年配の方や初めて犬を飼う方には扱う難易度が高い性格と言えます。
獲物を見つけた瞬間に本能のスイッチが入るので、制御しようとしてもなかなか飼い主の声が耳に届かないことがあります。
攻撃性や狩猟本能が目立つことがある一方で、「愛着行動」のスコアが高いというギャップもあります。愛着行動とは、飼い主に注目してほしいという気持ちが強い傾向のことです。
常に後を追ってついてくるというような行動が多く、構ってもらえないとストレスになりやすい犬種と言えるでしょう。
ペットショップポータルサイトの「petmi（ペットミー）」によると、2023年6月のミニチュアシュナウザーの平均価格は約282,170円でした。大手ペットショップの値段の違いや、毛色による値段の違いをご紹介します。
大手ペットショップ4社におけるミニチュアシュナウザーの平均価格を調査したところ、以下のような結果になりました。他の3社が約23万円であるのに対して、ペッツファーストは約37万円と高価です。
しかし、販売価格には保証・アフターサービスなどが含まれている場合がほとんどで、子犬・親犬の健康状態や育った環境なども加味されています。表面的な数字だけで高いor安いと思わず、なぜその価格であるのかを確認したうえで判断しましょう。
取り扱い頭数にも差があり、全国に200以上の店舗があるCoo&RIKUは201頭ヒットしましたが、他の3社は全店舗合わせて50頭を下回っていました。事前にネットで確認してから店舗に向かったり、後述するブリーダーも候補に入れたりするのがおすすめです。
■ミニチュアシュナウザーの子犬の平均価格
ペットショップ | 平均価格 | 取り扱い頭数 |
373,185円 | 27頭 | |
232,882円 | 51頭 | |
234,859円 | 47頭 | |
237,615円 | 201頭 |
※2023年7月20日時点
petmiで毛色別の頭数と平均価格を調べたところ、以下の結果になりました。ホワイト・ブラックは他の2色に比べてかなり頭数が少ない毛色ですが、平均価格が特別に高いわけではありません。
ホワイトに関しては最も頭数が多いソルト＆ペッパーの価格を下回っていたので、月齢・親犬の状態など、毛色以外の要素が大きく影響すると考えられます。なお、ウィートン・レバーに分類されている子犬は見つかりませんでした。
■ミニチュアシュナウザーの毛色別の平均価格
| 毛色 | 平均価格 | 頭数 |
| ソルト＆ペッパー | 約285,167円 | 384頭 |
| ブラック＆シルバー | 約273,488円 | 202頭 |
| ホワイト | 約284,938円 | 22頭 |
| ブラック | 約301,595円 | 18頭 |
生まれてから何ヶ月も経っている子犬でも、月齢が低い子犬より安いとは限りません。「安いから売れ残りがいい」と考えていても、希望の子犬が見つからない場合があるでしょう。
子犬選びは安さを優先してしまうと、病気になる、思っていた性格と違うなど、その後一緒に暮らすにあたって支障になる大きな問題が出てくる可能性が高まります。病気になるとかなりの治療費がかかるので、そもそも「安い子犬がいい」「安い子犬なら飼える」と安易に考えるのはよくありません。
ある2つの里親サイトで、ミニチュアシュナウザーの保護犬（里親募集中）を探したところ、それぞれ8頭・6頭でした。
ご縁があって迎えた犬がたまたまミニチュアシュナウザーだったという場合は問題ありませんが、頭数が少ないので「ミニチュアシュナウザーを飼いたい」と考えている人が保護犬で迎えようとするのは難しいと言えます。
愛犬をペットショップとブリーダーのどちらから迎えるか迷っている人は多いのではないでしょうか。ペットショップは、アクセスがしやすい・保証が充実している傾向がある・グッズもあわせて購入できるなどがメリットとして挙げられます。
一方で、ブリーダーは親犬や兄弟犬の様子を見られる、仲介料がない分価格が安い傾向があるなど、ペットショップとは異なるメリットがあります。どちらがいいとは一概に言えないので、手軽なペットショップだけではなく、ブリーダーも候補に入れるとよいでしょう。以下ではミニチュアダックスのブリーダーの一例を紹介しています。
■ミニチュアシュナウザーを扱うブリーダーの例
ブリーダー | 所在地 | 事前の価格提示 | 見学 | 見学の予約方法 |
静岡県菊川市倉沢150-1 | あり | 可 | 問い合わせフォーム・電話 | |
大阪市鶴見区今津南1-6-23 | 35～45万円として提示 | 可 | 仮・仮予約した人でないと見学はできない | |
東京都世田谷区桜3-21-3 デュエット世田谷1F | なし | 可 | 直接来店 | |
福岡県那珂川市今光2丁目18-101 | なし | 可 | 直接来店・電話・メールでの問い合わせ | |
大分県大分市仲西町2丁目7-28 | なし | 可 | メール・電話・LINE |
どこから迎えるにしても、生まれたあとに子犬がどこのような環境で過ごしたのかを知ることが大切です。その後の成長に大きく関わる点なので、きちんと質問に答えてくれたり相談に乗ってくれたりするショップ・ブリーダーを選びましょう。
アニコム損害保険株式会社の調査（※1）によると、ミニチュアシュナウザーの平均寿命は13.6歳です。同じ小型犬だとトイ・プードルが15.4歳、ミニチュア・ダックスフンドが14.8歳というデータがあるので、それらの犬種と比べるとそこまで長寿とは言えません。
チワワ、ポメラニアン、シーズーはそれぞれ13.8歳で、ミニチュアシュナウザーと平均寿命が近い犬種に挙げられます。
■小型犬の平均寿命
| 犬種 | 平均寿命 |
| トイ・プードル | 15.4歳 |
| ミニチュア・ダックスフンド | 14.8歳 |
| チワワ | 13.8歳 |
| ポメラニアン | 13.8歳 |
| シー・ズー | 13.8歳 |
| ミニチュア・シュナウザー | 13.6歳 |
アニコム損害保険株式会社の調査（※2）によると、ミニチュアシュナウザーは他の犬種に比べて高脂血症になりやすいというデータが出ています。次いで膀胱結石、皮下膿瘍（皮膚の下に膿が溜まること）になりやすく、注意すべき病気は多数あります。
食べさせるものに気をつけたり、皮膚や被毛の手入れをきちんと行ったりすることがポイントです。なお、年間治療費は約80,651円（※3）というデータがあり、全体平均の70,683円と比較してそれほど高くはありません。
以下の記事では、ミニチュアシュナウザーにおすすめのドッグフードを紹介しています。毎日食べるごはんは健康のためにとても重要なので、ぜひチェックしてください。
ミニチュアシュナウザーは活発で吠えやすい一面があり、皮膚や被毛のケアにも手間がかかる上級者向けの犬種です。お迎えを考えている場合は、飼い方・しつけのポイントを事前に確認しておきましょう。
手のかかる犬種でしっかりと社会化トレーニングをしていかないと攻撃性や吠え、興奮がコントロールできないなどの問題に発展します。動きが速く神経質な一面もあるので、ご年配の方や飼育経験のない人には難しい犬種であると思います。
運動欲求が強いミニチュアシュナウザーは、毎日の散歩が欠かせません。季節や体調にもよりますが、1日2回、1回30分ほどを目安に散歩に連れていきましょう。
また、獲物を追いかけたいという欲求が強いので、散歩だけでなく家の中でおもちゃを使って遊ぶことも大切です。
攻撃性や興奮性が高いミニチュアシュナウザーは、小さな頃からいかに色々なものに慣れるかが大事です。環境に慣れやすい子犬の時期からできるだけ色々なものに触れ、「社会化」を行いましょう。
外に出て多くの人や犬に出会う、車に乗って出かける、家の中でもテレビ・掃除機などの色々な音を聞くといった経験がその後の成長に大きく関わります。
すでに吠え癖がついてしまっている場合の対処法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
＜他の犬を怖がって吠える場合＞
＜他の犬が好きで遊びたくて吠える場合＞
また、他の犬が好きな場合は、時には挨拶をさせないこともポイントです。「必ず遊べるわけではない」と理解させることも吠えや興奮をコントロールするうえで大切です。
＜来客を警戒して吠える場合＞
＜来客が好きで吠える場合＞
＜共通の対応＞
また、家の中に人が入ってくることが好きでも嫌いでも、来客時はクレートやサークルに入れ、おやつを詰めた知育玩具やガムなど食べるのに時間がかかるものを与えるのがおすすめです。「来客がいる間はおいしいものを食べられる楽しい時間である」と、犬の考え方を変えてあげることが効果的です。
前述のとおりミニチュアシュナウザーは「愛着行動」のスコアが高い犬種なので、飼い主の姿が見えるとくっつきたがる子が多いでしょう。一方で、留守番の際に大きなストレスを感じやすい「分離不安」のスコアは飛び抜けて高いわけではありません。
あくまで飼い主が側にいるときに甘えるだけであって、留守番がとても苦手な犬種ではないと考えることができます。
とはいえ、いきなり一人で家に残すとストレスが溜まり問題行動につながってしまうので、徐々に練習していきましょう。はじめはケージに入れるなどして家の中で飼い主に近づけない時間を作り、慣れたら5分程度から実際に留守番を始めてください。
ミニチュアシュナウザーの被毛はダブルコートと呼ばれる二重構造で、硬い毛の下に柔らかい毛が生えています。ダブルコートは一般的に抜け毛が多いものですが、ミニチュアシュナウザーの抜け毛は換毛期であっても少なめです。しかし、だからといって手入れが不要というわけではなく、被毛が絡まりやすく皮膚も弱いのでケアが非常に大切です。
毎日ブラッシングして、皮膚を清潔に保つためにシャンプーもこまめにしましょう。また、定期的にカットしないと毛玉やもつれができやすく皮膚のトラブルも起こりやすいので、トリミングの手間と費用もかかります。
以前は毛を引き抜いて間引く「プラッキング」というトリミング方法がよく行われていましたが、現在ではあまり見られません。毛を抜く際に痛みがあるうえ、プラッキングの技術を持ったトリマーさんも減っているので、必ずしも行うべきものではないでしょう。
以下の記事では、ミニチュアシュナウザーにおすすめのカットを画像つきでたっぷり紹介しています。
なお、スクールにはこれまで60頭ほどのミニチュア・シュナウザーに通っていただきましたが、プラッキングされている子は1頭のみでした。犬は痛みを感じる痛点が人間と比べ少ないと言われていますが、全く痛みを感じていないわけではありません。また、一般的に動物は弱っていることを悟られないよう痛みを隠そうとするので、慎重な判断が必要です。
ミニチュアシュナウザーはドイツ原産で、狩猟犬として活躍した活発な小型犬です。ソルト＆ペッパー・ブラック＆シルバー・ホワイト・ブラックという公式の4種類のカラーに加え、ウィートン・レバーという毛色もあります。
とてもエネルギッシュな性格であり、獲物を追いかけたり攻撃したりする本能が強いケースがよく見られます。子犬の頃からのトレーニングが不十分だと吠えが問題になりやすく、比較的上級者に向いた犬種です。一方で、飼い主に向ける愛情が大きいという特徴もあります。一緒にいるときはぴったりとくっついて甘えてくる子が多いでしょう。
トレーニングや運動のほか、皮膚や被毛のケアも重要です。ブラッシングは毎日行い、定期的なカットをして体を清潔に保ってください。ミニチュアシュナウザーは他の犬種に比べて高脂血症や膀胱結石になりやすいので、食事の管理も重要です。
犬を初めて飼う人にはやや扱いが難しいものの、唯一無二の見た目で、活発で甘えん坊な性格にも魅力が詰まったミニチュアシュナウザー。シュナ好きでぜひ家族にしたいと思っている方は、この記事を参考にしてお迎えの準備をしてくださいね。
＜参考＞
（※1）アニコム損害保険株式会社「アニコム家庭どうぶつ白書2022」
（※2）アニコム損害保険株式会社「アニコム家庭どうぶつ白書2021」
（※3）アニコム損害保険株式会社「アニコム家庭どうぶつ白書2020」
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