調査結果まとめ
・ペットショップで販売されている子犬の値段が店舗や犬種によって異なることに対して「値段は気にならない」と回答した飼い主さんは33.4%いる一方で、63.2%の飼い主さんは疑問や値段をつけるべきではないと思っている。
・新型コロナによって子犬の値段が高騰していることは「安易に買えなくていい」とするコメントも少数あったが、「自慢したいだけの人が出てくる」「犬の価値が値段で決まるようで許せない」といったコメントが多数。
・ペットショップで売れ残った子犬がどうなるかを「考えたことはなく知らない」14.1%、「売れ残ることはないと思う」2.1%と飼い主さんでも知らない人が多いという結果に。
・わんちゃんを購入した金額の最多は「50,001~100,000円」が43人、お迎えした時期の最多は「ここ1年」が47人。購入金額とお迎え時期に関連性はなかった。
・ペットショップを利用する頻度は「1ヶ月に1回」が30.9%で最多だが、「ほとんど行かない」も22.9%。選ぶ基準の中には「生態販売をするペットショップは利用しない」という回答も。
・ペットショップで見かけた光景では「子犬が糞尿まみれ」「物としての扱い」「虐待」「決まった時間にしか掃除や給水をしない」といった衝撃のコメントが多数。
・ペットショップに望むことでは「生態販売をやめて」「売れ残った子犬がどうなるか発信すべき」「誰にでも販売できないようにしてほしい」など。
ペットショップで販売されている子犬の値段に「そもそも値段をつけてほしくない」と思う飼い主さんは3割以上!
■子犬の値段が店舗や犬種などで違うことをどう思う?
・値段は気にならない:33.4%(130人)
・そもそも値段をつけてほしくない:32.1%(125人)
・なぜ違うのか疑問に思う:31.1%(121人)
・行っているペットショップは子犬の販売をしていない:3.3%(13人)
子犬の値段が店舗や犬種などで違うことについて最も多い回答は「値段は気にならない」33.4%でした。
しかし、「そもそも値段をつけてほしくない」32.1%、「なぜ違うのか疑問に思う」31.1%と僅差で続き、63.2%の飼い主さんはペットショップの在り方そのものに疑問を抱いていることがコメントからも推測できました。
飼い主さんの実際のコメントをご紹介します。
■実際のコメント
「良い血統だとそれなりの値段が付くだろうと考えているから」(女性 / 30代 / 値段は気にならない)
「値段を付けることで同じ命なのに価値が変わって見えてくるから」(女性 / 20代 / そもそも値段をつけてほしくない)
「命を買う。所有物、自分がお金を出して買ったのだから何しても良い。という思想に繋がるように感じるため」(女性 / 30代 / そもそも値段をつけてほしくない)
「子犬でも何でも、すべての命ある生き物(人間を含め)は皆平等だと思うからです。人間だけが優れているとは決して思えませんし、逆の立場だったらと思うとゾッとします」(男性 / 30代 / そもそもそも値段をつけてほしくない)
「生き物に対する価値が一律でないことをどう捉えるべきかいつも悩んでしまうから」(男性 / 30代 / なぜ違うのか疑問)
「店舗によりかなり差が出るのは気になります。あまりにも価格が低い犬は何か基礎疾患があるのか心配になることもありますし、逆に高すぎる犬もなぜその価格なのか知りたいです」(女性 / 30代 / なぜ違うのか疑問)
まだまだほかにも!子犬の値段の基準が不明確という声も
「それぞれの犬種を育てるのに、素人ではわからない苦労があると思うので、価格の違いが出るのは当然だと思います」(男性 / 50代 / 値段は気にならない)
「子犬や子猫が販売されていること自体に疑問を持っているので、難しい問題だと思っています」(男性 / 40代 / そもそも値段をつけてほしくない)
「価格の基準が不明である」(男性 / 40代 / なぜ違うのか疑問)
「子犬を販売できるまで育てる費用は同じだと思うのに、人気のある犬種が高額で販売されることに疑問を感じる」(男性 / 60代 / なぜ違うのか疑問)
住居の広さが十分ではない日本では、超小型犬や小型犬が人気で、子犬の値段は体が小さければ小さいほど高い傾向にあります。
体が小さなわんちゃんのブリーディング(繁殖)は、リスクが伴い難しいといったことで数が少なく、希少価値があるとして高額な値段のわんちゃんが販売されています。
このことは、そもそも無理して体を小さくする必要があるのかを疑問視する必要があるのではないでしょうか。
ペットショップで販売される子犬は、仕入れにかかったコストや店舗での飼育費、人件費や維持費を上乗せして値段が決められるため多少の違いがあっても仕方はありません。
しかし、同じ犬種で同じ週齢の子犬、人気の犬種とそうでない犬種の子犬で値段の差が大きく開くのは、多くの人が疑問を持つのは当然のことでしょう。
子犬の値段の高騰に「安易に買えなくてよい」の一方で「自慢したいだけの人が出てくる」というコメントも
コロナ禍でおうち時間が増え、癒しを求めて子犬をお迎えする人が増えました。全国の保護団体にも多くの問い合わせが入り、ペットショップでは品薄状態の場所も。
需要が高まったことで子犬の値段は高騰し、それまでの値段の2倍3倍ということも珍しくありません。
この状況をわんちゃんの飼い主さんたちはどう見ているのでしょうか。
■コメントまとめ
・値段で犬の価値が決まるようで許せない
・高い犬=いい犬と勘違いする人が出てくる
・自慢したいだけの人が飼い主になる
・アクセサリーとして扱われ、ちゃんとお世話されるか心配
・保護犬がたくさんいるのに値段の高騰はおかしい
・人気で値段が高騰するのはおかしい
・命の値段に変動があること自体嫌悪感を抱く
・値段が高いことで安易に購入する人は減るだろうが、ステータスで購入する人が増えるデメリットもある
・便乗値上げや無理な繁殖が行われる心配がある
最も多かったのは「値段で犬の価値が決まるようで許せない」「高い犬=いい犬と勘違いする人が出てくる」「自慢したいだけの人が飼い主になる」といったコメントでした。
実際、最近のSNSなどではわんちゃんの値段が高額なことを自慢するものも目にすることから、飼い主さんたちにしてみればわんちゃんの心配をしてしまうのかもしれません。
実際のコメントをご紹介します。
■実際のコメント
「気軽に飼って世話が続かないといけないのでむしろ簡単に手が出ないお値段の方がしっかり考えてから飼えるならいいと思います。ある程度の経済力も必要なのでそういった意味でも良いかと思います」(女性 / 40代)
「日本ではまだまだ殺処分されてしまう犬はたくさんいます。それにも関わらずペットショップでの犬の値段の高騰は納得できません」(女性 / 20代)
「小型犬で人気の犬種が売れているようですが、アクセサリー感覚で飼うのはやめて欲しいです。見た目が可愛いのは分かりますが、相性や犬種の性格も考えて購入して欲しいです。無理して高額の犬種を飼っても、他人に自慢したいだけ。自己表現の道具として飼う人はその後の飼育を怠る傾向にあり、金銭面でも続かない飼い主がいるようです。そういった飼い主が増えない為にも高騰させるのは賛成できかねます」(女性 / 40代)
「人気によって価格が変わるのが犬の価値は価格で決まると言われてるようでどうしても許せないです」(女性 / 20代)
「生き物に対して値段をつけて売買するということに抵抗がある。これからは日本もペットショップの在り方について考える必要があると思う。どんどん値段が高騰していく中で人気のない犬種の売れ残りやさらに価値を高めるための品質改良が行われることにならないか心配」(女性 / 20代)
「コロナ禍でペット需要が増えている反面、結局流行りで飼う人たちは、現実的に愛情を注ぎきれず、途中で放棄する人が増えていると聞きます。高いから良い!という物では無いと思います」(女性 / 40代)
まだまだほかにも!子犬の値段の高騰に物申す
「需要が増えれば価格の上昇はあることだが、犬は「物」と同じ扱いなのだなと思って悲しくなる」(女性 / 30代)
「しっかり最後まで育ててくれるならいいと思う。でもステータスとかで買っているならやめてほしい…」(女性 / 20代)
「保護犬ボランティアもしていますが、このご時世に段ボールで捨てられていた仔犬や団体さんに持ち込まれることも少なくありません。命をもっと大切に、またそんな保護犬にも目を向けて欲しい」(女性 / 40代)
「低価格帯でなくなることで気軽に飼うことが減る為、心無く手放すような人が犬を飼うことが無くなるが、犬ではなく価格を重要視してステータスとする飼い主は犬を第一に考えていないことが多い為、価格高騰にはデメリットもあると思う」(女性 / 20代)
「値段が高い=いい犬ではない、私の犬はブリーダーからなのでかなり安いが病気もせず本当に賢い」(女性 / 20代)
「値段で判断する人も出てくるだろうし、売れ残りとなる子も出てくる気がします」(女性 / 40代)
「犬に限らず動物を飼うということを簡単に考えすぎていると思います。寂しさを紛らわせてくれる物ではないということをわからないといけないと思います。価格が急騰していることも感じていました。飼いたいという人間が増えたことをいいことに価格を吊り上げるということも許せませんし、価格だけを上げて飼い主としての資格は一切問わないやり方に納得できません」(女性 / 40代)
「売る側としては儲けを上げるチャンスかもしれないけど、いざ飼い始めたものの世話が大変で捨ててしまう人が多くなるだろうし、何だかペットが可愛そう」(女性 / 30代)
「いつかコロナウイルス感染が落ち着いて通常の生活に戻った後も最期まで飼う覚悟があるのか不安に思います。命に値段変動があること自体に嫌悪感を抱きます」(女性 / 20代)
「値段が高いことで安易に購入できなくていい」といったコメントも僅かに見られましたが、「高いからいいというものではない」「自慢したいだけで飼う人も出てくる」など、値段の高騰を危惧するコメントがたくさん見られました。
実際、日本人はブランドに弱く(※2)、「高いものがいいもの」と判断する人は少なくありません。
これは情報の非対称性(売り手と買い手の情報の差)によるもので、情報の非対称性はどの業界でも問題になっています。
子犬の値段の高騰の背景には、需要と供給が追い付かないことのほかに、2019年6月に成立した改正動物愛護管理法(※3)より繁殖業者やブリーダーのコスト増も挙げられています。
しかし、残念ながらペットブームに便乗して値段を高くしている業者やペットショップもあるほか、今の時期に販売するために無理な繁殖を行う繁殖業者やブリーダーが出てきても不思議はありません。
保健所や保護団体には里親を待つたくさんのわんちゃんたちがいることを考えると、子犬の需要が高まって値段が高騰しているというのは理解に苦しむところではないでしょうか。
(※2)参考:明治大学学術成果リポジトリ「日本におけるブランドと国民性の関係」
(※3)参考:環境省「改正動物愛護管理法概要」
ペットショップで売れ残った子犬がどうなるか「知らない」飼い主さんも14.1%いる!
■ペットショップで売れ残った子犬がどうなるか知ってる?
・繁殖に回されたり殺処分されると思う:65.0%(253人)
・里親に出されると思う:18.8%(73人)
・考えたことはなかったので知らない:14.1%(55人)
・売れ残ることはないと思う:2.1%(8人)
ペットショップで売れ残った子犬について最も多い回答は「繁殖に回されたり殺処分されると思う」65.0%でした。
子犬は生後3ヶ月を過ぎた頃から徐々に値段が下げられ、何とかペットショップも飼い主を見つけようとしますが、それでも売れ残ってしまった場合は、返還したり、実験動物業者に販売、引取り屋に買い取ってもらいます。
返還されれば「繁殖の道具」や「殺処分」が待ち受けており、「実験動物」として命を落とす、引取り屋の元「劣悪な環境で暮らす」や「殺処分や遺棄される」など、ほとんどの子犬は悲惨な運命を辿るのです。
「里親に出されると思う」と回答した飼い主さんは18.8%いますが、実際に里親探しをしてくれる良心的なペットショップはごくごく一部。
わんちゃんの飼い主さんですら「考えたことはなかったので知らない」14.1%や「売れ残ることはないと思う」2.1%と回答する人もいるのですから、わんちゃんを飼っていない人ではこのような回答はもっと多いことが容易に推測できます。
ペットショップで売れ残ってしまった子犬がどうなるかをもっと公にしなければ、子犬の需要があるからといって繁殖するだけの繁殖業者や生態販売をするペットショップがなくなることはないでしょう。
■海外のペット先進国ではペットショップでの生態販売は禁止されている
ペット先進国と言われる海外諸国では、ペットショップはグッズやフードなどの販売をする場所であって、生態販売はされていません。
ペットショップで生態販売を行うことを虐待として法律で禁止している国もありますが、法律で禁止されていない国でも、ショーケースに入れて1日中人目にさらす行為は道徳観や倫理観に反するという観点から行っていません。
日本は犬に優しい国?殺処分をどう思う?犬の現状について考える!【犬の現・元飼い主さん1000人アンケート】
実際に飼い主さんが愛犬をお迎えしたときの値段は「50,001~100,000円」が最多
■愛犬をお迎えした(購入した)ときの値段は?
・0~50,000円:32人
・50,001~100,000円:43人
・100,001~150,000円:33人
・150,001~200,000円:32人
・200,001~300,000円:37人
・300,001~400,000円:25人
・400,001~500,000円:7人
・500,001~600,000円:1人
・600,001~700,000円:3人
・700,001~800,000円:5人
・800,001~900,000円:0人
・900,001~1,000,000円:0人
・1,000,001~1,500,000円:3人
・1,500,001~2,000,000円:0人
・2,000,001円以上:1人
・保護犬・譲り受けた:167人
【わんちゃんをお迎えした時期】
ここ1年:47人 / 2年前:31人 / 3年前:46人 / 4年前:26人 / 5年前:38人 / 6年前:16人 / 7年前:23人 / 8年前:14人 / 9年前:15人 / 10年前:42人 / 11年前:22人 / 12年前:10人 / 13年前:14人 / 14年前:10人 / 15年前:17人 / 16年前:12人 / 17年前:2人 / 18年前:1人 / 19年前:1人 / 20年以上前:2人
愛犬をお迎えしたとき(購入したとき)の値段で最も多かった回答は「50,001~100,000円」43人でした。
「500,001円~2,000,001円以上」と回答した飼い主さんが13人いたため、お迎えした時期も関係しているのか分析してみましたがあまり時期は関係ありませんでした。
また、今回のアンケートに協力してくれた飼い主さんがわんちゃんをお迎えした時期で一番多かったのは「ここ一年」47人で、コロナ禍でわんちゃんをお迎えする人が増えたことが改めて実感できます。
■500,001円以上の犬種の傾向は「小型犬」
・500,001~600,000円…ポメラニアン(1)
・600,001~700,000円..トイ・プードル(2)柴犬(1)
・700,001~800,000円…柴犬(2)トイ・プードル(1)パグ(1)ラブラドゥードル(1)
・1,000,001円~1,500,000円…トイ・プードル(1)マルチーズ(1)ゴールデン・レトリバー(1)
・2,000,001円以上…チワワ(1)
500,001円以上のわんちゃんの犬種は、人気の「トイ・プードル」や「柴犬」の名前が多く見られました。
プードルとラブラドール・レトリバーのMIX「ラブラドゥードル」や「ゴールデン・レトリバー」といった大型犬の名前もありますが、やはり小型犬が高額になる傾向があるようです。
特にトイ・プードルは2008年から2020年まで犬種別犬籍登録数(※4)が連続首位と人気が高いことも関係していると言えるでしょう。
(※4)参考:ジャパンケネルクラブ「2020年(1月〜12月)犬種別犬籍登録頭数」
アンケートに協力してくれたわんちゃんの犬種一覧
【アンケートに協力してくれたわんちゃんの犬種一覧】
トイ・プードル:59 / 柴犬:54 / チワワ:45 / ミニュチュア・ダックスフンド:39 / 雑種:35 / MIX犬:34 / ポメラニアン:16 / ゴールデン・レトリバー:9 / シー・ズー:8 / ミニチュア・シュナウザー:8 / ヨークシャー・テリア:8 / マルチーズ:7 / ウェルシュ・コーギー・ベンブローグ:6 / パピヨン:6 / ボーダー・コリー:5 / キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル:4 / ジャック・ラッセル・テリア:4 / パグ:4 / ビーグル:4 / シベリアン・ハスキー:2 / ジャーマン・シェパード:2 / バセット・ハウンド:2 / ビション・フリーゼ:2 / フレンチブルドッグ:2 / ボストン・テリア:2 / ラブラドール・レトリバー:2 / 秋田犬:1 / イングリッシュ・コッカー・スパニエル:1 / ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア:1 / 甲斐犬:1 / ケアーン・テリア:1 / シェットランド・シープ・ドッグ:1 / / スコティッシュ・テリア:1 / バーニーズ・マウンテン・ドッグ:1 / バセンジー:1 / ブル・テリア:1 / ペキニーズ:1 / 北海道犬:1 / ミニチュア・ピンシャー:1 / 不明:7
■わんちゃんをお迎えする場所の傾向は「大手チェーン店」
■愛犬をお迎えした場所は?
・ペットショップ:49.9%(194人)
・保護犬・譲り受けた:42.9%(167人)
・ブリーダー:6.9%(27人)
・海外のブリーダーからの輸入:0.3%(1人)
愛犬をお迎えした場所では、「ペットショップ」が49.9%と約半数の飼い主さんが回答していました。
ペットショップの名前では、「コジマ」「Coo&RIKU」「イオンペット」「アミーゴ」といった全国展開をしている大手チェーン店が多く見られました。
大手チェーン店は知名度も高く、安心感も得られやすいのかもしれません。また、至る所にあることから、ふらっと立ち寄って見かけた子犬に一目ぼれして購入した飼い主さんもいると考えられます。
また、少し前までは現在のような保護団体も少なく、保健所からの引き取りは飼い主になる基準が高かったため、わんちゃんをお迎えする場所が限られていたということも背景にあるようです。
近年では、子犬から育てたいと考える飼い主さんも少なくないこと、保護団体の里親基準が厳しい・手続きが大変そうといったことも関係していると言えるでしょう。
そもそも犬の飼い主さんはペットショップに行く?利用頻度は「1ヶ月に1回」が30.9%で最多
■ペットショップに行く頻度は?
・2~3日に1回:1.3%(5人)
・1週間に1回:6.2%(24人)
・2週間に1回:14.4%(56人)
・1ヶ月に1回:30.9%(120人)
・2ヶ月に1回:11.3%(44人)
・3ヶ月に1回:13.1%(51人)
・ほとんど行かない:22.9%(89人)
ペットショップに行く頻度で最も多い回答は「1ヶ月に1回」30.9%でした。
「2~3日に1回」1.3%や「1週間に1回」6.2%といったこまめにペットショップに足を運ぶ飼い主さんもいますが、一方で「ほとんど利用しない」22.9%や「3ヶ月に1回」13.1%など、あまりペットショップに行かない飼い主さんも少なくはないようです。
近年はペットショップの品揃えもいいほか、トリミングサロンはもちろん、動物病院やドッグラン、ドッグカフェといった施設を併設するペットショップもあります。
それでは、わんちゃんの飼い主さんはどのような目的で利用しているのでしょうか。
利用する目的の最多は「愛犬用品の購入」次いで「子犬を見に行く」という結果に
■ペットショップを利用する目的は?
・愛犬用品を購入するため:290人
・子犬を見に行く:113人
・新しい愛犬用品はないかチェックしに行く:102人
・トリミングを利用:64人
・ペットホテルを利用:6人
・ドッグカフェを利用:2人
・愛犬の相談:2人
・その他:29人
※複数回答
ペットショップを利用する目的で最も多い回答は「愛犬用品を購入するため」290人でした。
次いで「子犬を見に行く」と回答した飼い主さんは113人おり、癒しを求める、どんな子犬がいるか気になるなど、その目的まではわかりませんが、わんちゃんと暮らしていても子犬が気になってしまうのは犬好きさんの性なのかもしれません。
ペットショップを選ぶ・選んだ基準は「家から近い」が50.0%
■ペットショップを選ぶ・選んだ基準は?
・家から近い:49.6%(193人)
・愛犬用品の品揃えがいい:19.3%(75人)
・店内の清潔さ:6.2%(24人)
・併設施設の充実:5.7%(22人)
・店員の態度:4.6%(18人)
・店内の広さ:3.3%(13人)
・子犬の生態販売をしていない:2.6%(10人)
・お気に入りのブランドがある:2.1%(8人)
・ 職場から近い:1.8%(7人)
・その他:4.9%(19人)
【その他の回答】
・生き物が快適に生活できているかどうかなど管理がしっかりできていそうか
・ペットも一緒に利用できるか
・ポイントがつくか
・付加価値(無料のドッグラン)
・子犬を迎えたペットショップ
ペットショップを選ぶ・選んだ基準で最も多かったのは「家から近い」49.6%でした。
ドッグフードやおやつ、ペットシーツといった愛犬用品は定期的に購入する必要があるため、家から近いペットショップのほうが利用しやすいといったことがあるのかもしれません。
次いで「愛犬用品の品揃えがいい」と回答した飼い主さんも19.3%おり、愛犬用品を探して何店舗も回ることを考えれば、少しくらい離れていても品揃えのいいペットショップを利用したいと考えていることが推測できます。
利用するペットショップの傾向は「ショッピングモールやホームセンター」
わんちゃんの飼い主さんがよく利用するペットショップでは、ショッピングモールやホームセンターに入るペットショップを利用する傾向がありました。
ホームセンターは身近な場所にあり利用しやすいといったことももちろんですが、品揃えが豊富なだけでなく、ホームセンターによっては独自のプライベートブランドの愛犬用品などを販売していることも魅力でしょう。
また、ショッピングモールに入るペットショップでは、さまざまなお店が並ぶことから飼い主さんのお買い物もしやすいといったことも背景にあると考えられます。
わんちゃんと一緒に利用できるペットショップは約8割!
■利用するペットショップは愛犬と一緒に利用できる?
・カートやバッグに入れれば利用できる:50.9%(198人)
・リードのまま利用できる:29.0%(113人)
・利用できない:20.1%(78人)
利用するペットショップは愛犬と一緒に利用できるかの最も多い回答は「カートやバッグに入れれば利用できる」50.9%でした。
「リードのまま利用できる」29.0%と合わせると、79.9%のペットショップはわんちゃんと一緒に利用することができるようです。
ハーネスや首輪、犬服などを選ぶときは、わんちゃんの体のサイズと見比べて選びたい飼い主さんも多いため、一緒に利用できるのは助かりますね。
場所によってはわんちゃんの入店が難しいこともありますが、ペット同伴OKの一般のお店も徐々に増えていることから、今後はもっと増えることが考えられます。
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ありえない!粗悪なペットショップの実情も「糞尿まみれの子犬」「物としての扱い」
ペットショップを利用すると、わんちゃんの飼い主さんだからこそ販売されている子犬がどんな状態なのか気になってしまうこともあります。
飼い主さんたちが見たペットショップのありえない光景とはどのようなものだったのでしょうか。
■コメントまとめ
・子犬のケージが糞尿で汚いまま
・子犬がうんちまみれ
・スタッフの子犬の扱いが雑
・ケガや病気を隠す
・成長していても小さなケージのまま
・スタッフによる虐待
・ストレスを感じて食糞や常同行為
・子犬の元気がなく痩せている
・物として扱っている
・狭い場所に何頭も入れている
・子供のイタズラを注意しない
・売れ残ってしまった犬の扱いが悪い
・閉店後はダンボールに入れられている
・子犬が寂しそう、悲しそう
最も多かったのは「ケージが汚れたまま」「子犬がうんちまみれ」といった掃除や糞尿の処理がされていないことでした。
中には「あまりにもひどい状態で店員に言った」といった飼い主さんもおり、子犬がすごす場所だからこそ気を配ってほしいと思うのは当然のことなのかもしれません。
実際のコメントをご紹介します。
■実際のコメント
「子犬の糞が片付けてなくて、子犬にも糞がつきまくっていた」(女性 / 30代)
「大きく成長した子犬をケージに入れていたのですが、身動きできないくらい窮屈そうでした。さすがにその大きさで入れるのはどうなんだろうと思ってしまいました」(男性 / 40代)
「閉店と同時に裏のダンボールに入れられて夜を過ごしている光景」(男性 / 20代)
「糞がたくさん落ちていて、その上をぐちゃぐちゃに歩き回っていたりしているのに、何にも掃除しない。掃除する時間が決まっているからと、その時間以外に面倒を見ようとしないのには本当に頭にきた」(女性 / 40代)
「うんちやおしっこがそのままで水の器械が壊れているのか、ペロペロしているのに水が出てなかった現場を何回も見た。特にドン・キホーテとか小さいホームセンターなど同じところで見かける」(女性 / 20代)
まだまだほかにも!衝撃すぎるペットショップの光景
「友人がペットショップでトイプードルを買いました。あり得ないことに、その犬はペットショップで虐待を受けていたそうです。餌をほとんどもらえず、痩せこけていて可哀想になり飼ったそうです。虐待とかありえません」(女性 / 50代)
「飲み水が切れていても、店員はまったく気にしていない。決まった時間にしか補充しない事」(男性 / 60代)
「見るからにストレスがたまっていて元気のない子犬がガラスケースの中に閉じ込められている姿」(女性 / 20代)
「小さなショーケースに4匹の子犬を詰めていて酷いと思いました」(女性 / 30代)
「現在三匹飼っている中で1番年上の子は、雪が降る中、売れないからとショップの外に出されていました。そのショップは管理もずさんでゲージは糞尿まみれ。どの子も下痢をしていて元気もありませんでした。その後、外に出されていた子を引き取ったあと、病院に連れて行くと栄養失調と重度の風邪と診断され1週間の入院をしました。ショップに対してどんな管理をしているのかと問い合わせをしたところ、回答は得られず、最終的には交換しますと言われ愕然としました」(女性 / 40代)
「売れ残りと思われる大きめの犬が外のケージに入れられており、セール!と大きい文字で書かれていたこと」(女性 / 30代)
「血便が出ている子がいた。店員さんにその事を伝えるとうんちが固くて切れただけだと笑いながら言っていた」(女性 / 30代)
「パッと見は分からないが、歩き方や足を気にしている様子から、明らかに足に怪我か病気を持っていると思われる個体を『元気な子です!』と売っていた」(女性 / 30代)
「子犬は元気いっぱいで愛情を欲している時期だと思うのですが、ペットショップの定員がワンワン吠えているのに対して、うるさい!と怒鳴っていた。ありえないと思いました」(男性 / 20代)
「子供がガラスをたたいていても注意してくれなかった」(女性 / 40代)
「個人的にペットショップの実態を調べる為に離れた場所から8時間同じペットショップを監視調査しましたが、8時間もの間販売されていた犬は一度も散歩には行かせてもらえず販売用の外から見える透明のケースに展示されっぱなしでした、これは率直に完全な虐待行為で動物虐待法に該当します、国はペットショップの在り方について徹底的に調査をして販売者側を厳しく指導してほしいなと思いました、酷すぎます」(男性 / 40代)
どのコメントを見ても、想像するだけで悲しくなってしまうことばかりですね。
■コメントの内訳
・ありえない光景を目にした:84.6%(329人)
・特にひどい光景は目にしていない:12.3%(48人)
・あまり行かないからわからない:2.3%(9人)
・褒めていた:0.8%(3人)
あまりにもひどい光景が多かったため、コメントの傾向を分類してみたところ、ありえない光景を目にしてコメントした飼い主さんは84.6%もいることがわかりました。
「いつも綺麗で子犬も楽しそうに遊んでいる」「みんな優しく子犬に接している」といったコメントも0.8%ありましたが、多くの飼い主さんはペットショップのありえない光景に憤りを感じることがあったようです。また、
「子犬は人目にさらされるあの空間がストレスだと思うので、ペットショップ自体『これはないだろう』と思っている」(女性 / 20代)
といったコメントも見られ、ペットショップの現在の販売方法に疑問を抱く飼い主さんは多いことがうかがえます。
犬の飼い主さんがペットショップに望むことは「安易に販売しないで」「生態販売はやめて」
わんちゃんの飼い主さんは、ペットショップにどのようなことを望んでいるのでしょうか。
■コメントまとめ
・生態販売をやめてほしい
・展示販売はやめてブリーダーとの仲介だけにしてほしい
・保護犬を紹介する場にしてほしい
・安易な販売はやめてほしい
・お世話の大変さなど伝えてそれでも飼う意志がある人にだけ販売してほしい
・飼い主になれるかきちんと見極める制度が必要
・子犬だけを販売するのはやめてほしい
・命として大切に扱って欲しい
・悪質な微リーダーとの取引はやめてほしい
・無理なブリーディングはやめてほしい
・売れ残った子犬がどうなるのか明確にするべき
最も多かったのは「生態販売をやめてほしい」「安易な販売はやめてほしい」といった子犬の販売方法や販売する相手に対するものでした。
「品揃えを充実させてほしい」「併設施設を充実させてほしい」といったコメントも僅かに見られましたが、ほとんどの飼い主さんはわんちゃんの命について真剣に考えているようです。
実際のコメントをご紹介します。
■実際のコメント
「保護犬を置いて欲しいです。まずは、その子達の中から選んで欲しいです。子犬の展示は絶対に反対です。子犬にとって大事な時期を大切な母親から引き離してはいけません。また、ペットショップは売れ残った子達がどうなるのか、伝えるべきです」(女性 / 30代)
「理想と現実があるとは思いますが、命の尊さは感じてほしいです」(女性 / 50代)
「ペットショップがあると繁殖業者も変わらずなくなることはないし、お金を払えば簡単に手に入り、簡単に捨てる人間がいてることもあり、ペットショップは無くして欲しい」(女性 / 40代)
「売れ残った子たちも幸せになるようなシステムができたいいなと思う」(女性 / 30代)
「これから家族として一緒に過ごしていく覚悟があるのかをしっかり見極めた上で子犬を販売してほしいです」(男性 / 20代)
「エサをきちんと与えてあげて欲しい。どの動物もガリガリで可哀想です」(女性 / 30代)
まだまだほかにも!ペットショップに望む声
「ペットも命あるものなので、犬や猫の見た目などにより値段に差をつけることはやめてほしい。保健所に沢山の犬猫がいる中で、生まれたばかりの子たちばかり扱うことも反対です。無料でとは言わないのでペットショップでも保護犬猫の譲渡会を率先して行ってほしい。(カインズホーム内のペッツワンはペットショップの他に譲渡会場があり、常に譲渡会を行っているのですごくいいと思った)」(女性 / 30代)
「犬にとって、居心地のよい環境を作ってほしい。展示方法も狭い部屋に閉じこめるだけでなく、プレイルームみたいなところで、自由にさせてほしい」(女性 / 50代)
「以前売れ残ったワンちゃん、ネコちゃんを専門の業者に安く販売すると聞いた事があります。(実験動物用)今は減ったと思いますが、里親探しをする、またはボランティアで飼い主を見つけている団体に預けるなど、最後までしっかりと面倒を見て欲しいと思います」(男性 / 50代)
「展示販売以外の方法にしてほしい。売れ残った子たちを殺処分しないでほしい。繁殖期を過ぎてボロボロになった子たちを捨てないでほしい」(女性 / 40代)
「悪質ブリーダーとは取引しないでほしい。また、保護犬譲渡のように売るときにきちんと飼い主を見極めるシステムを用意してほしい」(女性 / 30代)
「子犬たちも大事な命です。もう少し大切に扱ってほしい。あと、おもちゃを買うような感覚で買わせないよう対策を考え、その声を世間に届けるための活動を行ってほしい」(女性 / 40代)
「生体の販売をしないでほしい。里親探しの出会いの場にしてほしい。飼う人には、マナーやしつけの受講を必須として、できれば資格などを与えてほしい」(女性 / 60代)
「利益のためにただ売るのではなく、生き物である事や世話の大変さなどを充分に説明した上で購入した意思のある方のみに販売して欲しいです」(女性 / 30代)
「ペットという言葉はあまり好きではありませんが、命を預かる店舗として、大事な家族に引き渡すまで沢山の愛情を注いでほしい。そして保護犬の譲渡会を定期的に開催してほしいですね」(女性 / 40代)
すべてのコメントを紹介できないことが残念なくらい、わんちゃんの命について飼い主さんみなさんが熱く語ってくれていました。
ペットショップにしてみれば子犬は商品かもしれませんが、商品である前に1つの命であることをしっかり自覚してほしいですね。
このコメントの数々がペットショップの人の目に触れるかはわかりませんが、実際にわんちゃんと暮らす飼い主さんたちがどう考えているかは、ペット業界も目を向けるべきなのではないでしょうか。
まとめ
・店舗や犬種によって子犬の値段が異なることを「疑問に思う」飼い主さんは31.1%
・ペットショップで売れ残った子犬の行く末を「考えたことはなかったので知らない」「売れ残ることはないと思う」という飼い主さんも16.2%
・実際に飼い主さんが愛犬をお迎えした場所は「ペットショップ」が約5割
・ペットショップに望むことは「生態販売をやめて」「安易に販売をしないで」
近年、生態販売をやめて保護犬を紹介するペットショップもでてきましたが、多くのペットショップはまだまだ当たり前のように子犬をガラスのケースに入れて展示販売しています。
購入する人がいるから販売するのは自然な流れであって、ペットショップだけが悪いわけではありません。
また、誰かが購入しなければ売れ残った子犬たちが悲惨な運命を辿るのも事実です。
この悪循環を断ち切ることはとても難しいことですが、このままでいいわけはありませんね。
日本は海外のペット先進国の足元にも及びませんし、ペット先進国であっても飼育放棄などの問題はあります。
すべてをクリアにすることは現実問題として無理がありますが、一人一人の意識を変えていくことがペットショップの在り方や悪質な繁殖業者やブリーダーを減らす一歩になるのではないでしょうか。
すべてのわんちゃんが安心して幸せに暮らせるように、日本全体の意識が変わる日が1日でも早くくるといいですね。
今回のアンケートについて
【アンケート調査概要】
・アンケート内容:ペットショップに関するアンケート
・調査方法:インターネット調査
・対象者:10代~60代の全国の犬の飼い主さん389人(男性81人 / 女性308人)
・アンケート実施期間:2021年10月19日~10月24日
【アンケート項目】
・わんちゃんの犬種を教えてください
・わんちゃんをお迎えした時期を教えてください
・わんちゃんをお迎えしたとき(購入したとき)の値段を教えてください
・ペットショップを利用する頻度を教えてください
・ペットショップを利用する目的を教えてください
・利用するペットショップはわんちゃんと利用することができますか?
・ペットショップを選ぶ・選んだ基準は何ですか?
・よく利用するペットショップの名前を教えてください
・わんちゃんをお迎えしたペットショップの名前を教えてください
・ペットショップによってわんちゃんの値段が異なることをどう思いますか?
・コロナでわんちゃんの需要が高まり値段が高騰していることをどう思いますか?
・売れ残ったわんちゃんがどうなるか知っていますか?
・ペットショップで見かけた「これはないだろう」と思うことを教えてください
・ペットショップに望むことがあれば教えてください
執筆者
- ペットライター
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たかだ なつき
- JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー