犬はとうもろこしを食べても大丈夫!|栄養価が高く活用できる
犬はとうもろこしを食べても大丈夫です。とうもろこしにはさまざまな種類があり、日本で一般的に販売されているとうもろこしと言えばとうもろこしの1種である「スイートコーン」を指し、農林水産省では野菜に分類(※1)しています。
スイートコーンは成熟する前のとうもろこしの実で、その他のとうもろこしの分類は穀物です。
■とうもろこしの代表的な種類
- スイートコーン(甘味種)/ 分類:野菜
…日本で一般的に販売されているとうもろこし。皮が柔らかく、食べやすい。さらに3ゴールデンコーン、シルバーコーン、バイカラーコーンの3種に分類され、さまざまなスイートコーンが販売されている
- ポップコーン(爆裂種)/ 分類:穀物
…粒の皮が硬く、乾燥させるとさらに硬くなる。加熱することで粒の中の水分が膨らみ、皮が破れてポップコーンになる
- デントコーン(馬歯種) /分類:穀物
…表面が平たくて馬の歯に似ている。硬くて甘みもなくそのままでは食べられないが、コーンスターチの原料となったり乾燥させて家畜の飼料として使用される
とうもろこしは栄養価の高い食材であることから、さまざまなところで使用されています。
基本的には犬はどのとうもろこしも食べることができますが、身近で手に入りやすいとうもろこし(スイートコーン)は自然な甘みがあり食べやすいため、おやつやトッピングだけでなく、食欲が落ちている犬や少量でカロリーを摂りたい犬にも与えやすいでしょう。
とうもろこしの主な栄養素|ミネラル類をバランスよく含む
とうもろこし(スイートコーン)は、炭水化物をはじめ、ビタミン類やミネラル類、食物繊維がバランスよく含まれる栄養豊富な野菜です。
■とうもろこしの主な栄養素(スイートコーン 未熟種子 ゆで)(※2)
カロリー:95kcal / 100g
- 炭水化物
100g中:18.6%
…体の主要なエネルギー源。不足すると疲労感や集中力の低下が起こるほか、脳や神経で不足すると意識障害が起こる(※3)
- 食物繊維
100g中:3.1g
…腸内環境の改善や排便をスムーズにする働きがある。不溶性食物繊維は有害物質を吸着させて便と一緒に体の外に排出する働きも(※4)
- ビタミンB群
…あらゆる種類の酵素の補酵素。代謝ビタミンとも呼ばれ、生きるためのエネルギーを作るのに必須(※5)
- ミネラル類
…生きていく上で身体の構成・調整に欠かすことのできない栄養素。体内で合成できないことから食事などで摂り入れる必要がある(※6)
とうもろこしには必須脂肪酸の1つであるリノール酸も適度に含まれるなど、健康維持に役立つ栄養素がさまざま含まれています。
また、とうもろこしに含まれるビタミンは加熱による損失が少ないので、上手に活用すれば犬の健康をサポートしてくれるでしょう。
ただし、とうもろこしは野菜の中では糖質が高めなほうなので、与え過ぎないことが大切です。
■糖質比較(※8)
野菜名 |
糖質量 |
とうもろこし(スイートコーン 未熟種子 ゆで) |
12.8g |
かぼちゃ(西洋かぼちゃ 果実 ゆで) |
16.2g |
にんじん(皮なし ゆで) |
5.0g |
とうもろこしの与え方|愛犬が1日に食べてもいい量は?
とうもろこしの栄養価が高いとは言え、与え過ぎは肥満や消化不良、栄養バランスの偏りを招く原因になるので、おやつやトッピングで与える場合は愛犬が1日に必要なカロリーの10%程度(多くても20%以内)にしましょう。
また、体質によって合う合わないもあるので、愛犬の体調や便の状態、体型や活動量、ライフステージなども考慮して与える量を調整することが大切です。
■犬が1日に食べていいとうもろこしの目安量(スイートコーンをゆでた場合:95kcal / 100g)
※避妊・去勢済みの成犬の10%で算出
※廃棄率50%として、とうもろこし1本300g、可食部150gで算出
体重 |
1日の目安量 |
1kg |
12g(約1/10本) |
3kg |
27g(約1/5本) |
5kg |
40g(約1/4本) |
7kg |
51g(約1/4~1/3本) |
9kg |
61g(約1/3本) |
12kg |
76g(約1/2本) |
15kg |
90g(約1/2~2/3本) |
20kg |
112g(約2/3本) |
25kg |
131g(約4/5本) |
30kg |
151g(約1本) |
もっと正確に愛犬に与えていい量を知りたい場合は、以下の記事でカロリー計算について詳しく解説しているので参考にしてください。
【獣医師監修】ドッグフードの正しい与え方!パッケージの給餌量はあくまで目安
犬にとうもろこしを与えるときの注意点|芯は絶対にダメ!
とうもろこしは、上手に活用すれば犬の健康維持のサポートに役立つ野菜ですが、食べさせるときには注意しなければいけないこともあります。
ここでは、犬にとうもろこしを与えるときの注意点を解説します。
①食物アレルギーに注意する
※実際に食物アレルギーによって左右対称に目の周りの赤みと目の下の脱毛、痒みが出た愛犬
とうもろこしを初めて与えるときは数粒程度の少量から与え、愛犬が食べた後は48時間ほど様子を見てあげましょう。
とうもろこしに食物アレルギーがある場合、食べてから30分~48時間以内に以下のような症状が見られます。
■犬の食物アレルギーの主な症状
・皮膚の赤みや痒み
・目の周りや口の周り、耳を痒がる
・脱毛
・足先や皮膚を執拗に舐めたりかじる
・下痢や軟便
・嘔吐
症状は犬によって異なりますが、上記のような症状が見られた場合は獣医師に相談してください。
犬のアレルギーについては、以下の記事で詳しく解説しています。
犬のアレルギー(食物・アトピー・ノミ)原因・対策を徹底解説【皮膚科医取材】
②必ず加熱する
最近は生で食べられるとうもろこしも販売されていますが、とうもとこしを犬に与えるときは必ず加熱してから与えてください。
とうもろこし表皮(黄色い部分)は食物繊維であるセルロースでできていて硬く、生で与えてしまうと消化不良を起こして下痢や嘔吐を起こすことがあります。
また、加熱したとうもろこしであっても、人間を含む哺乳類はセルロースを消化する酵素を持っておらず皮を消化できないため、愛犬に与えるときは細かく刻んだりすり潰す、ペースト状にするなど消化しやすいようにしてあげることをおすすめします。特に子犬やシニア犬ではミキサーにかけたりペースト状にするなど消化しやすいように配慮してあげましょう。
余談ですが、とうもろこしの粒が便の中にあると、せっかく食べたのに栄養が吸収されていないのでは?と思ったこともあるかもしれませんが、人では皮部分以外の栄養はちゃんと吸収されていると考えられているので安心してください。(※7)
③与え過ぎない
とうもろこしは自然な甘みが感じられる美味しい野菜で好きな犬も多いですが、栄養価が高いため与え過ぎは肥満や栄養バランスを偏らせてしまう原因になりかねません。
そのため、あくまでもおやつやトッピング内の量にとどめ、欲しがっても与えないようにしましょう。
④冷めたものを与える
とうもろこしの調理方法は、「茹でる」「蒸す」「電子レンジで加熱する」「焼く」とさまざまありますが、犬に与えるときは熱いものではなく人肌程度に冷ましたものや冷めたものを与えるようにしましょう。
犬はもともと熱いものが苦手な上、熱いものを食べると舌の火傷などを引き起こす恐れがあるため、食べ物の温度には注意してあげてくださいね。
⑤芯は絶対に食べさせない
犬にとうもろこしを与えるときは、芯から実を外して粒の部分だけを与えるようにしてください。
芯はとても硬く、飲み込んでしまうと食道で詰まって飲み込めなくなってしまったり、腸で詰まって腸閉塞を起こす可能性もあります。
芯つきのまま与えたり、丸々1本与えるようなことは危険なので絶対にやってはいけません。
犬にとうもろこしを与えるときによくあるQ&A
ここでは、犬にとうもろこしを与えるときによくある疑問をQ&A形式でご紹介します。
犬に缶詰のコーンを与えていい?
A.とうもろこしのみで食塩や砂糖、添加物などを使用していない缶詰のコーンであれば与えても問題はありません。
茹でたとうもろこしに比べると栄養価は落ちますが、コーンの缶詰や冷凍コーンのほうがリンが低めなので、リンの摂取量が気になる場合は缶詰のコーンや冷凍コーンを与えてもいいでしょう。
犬にコーンスープを飲ませても大丈夫?
A.人間用に加工されているコーンスープやコーンポタージュスープは犬が食べてはいけない食材が使用されていたり、塩分や糖分が多く使用されているので与えないでください。
犬用に販売されているコーンスープは飲ませても大丈夫です。
犬にポップコーンを食べさせてもいい?
A.油を使用せず、味付けされていないポップコーンなら犬が食べても大丈夫です。
とは言え、人間用に販売されているポップコーンは油を使用して味付けもされているので、塩分や糖分、カロリー過多となるため与えないようにしてください。
ポップコーンを与えたい場合は、犬用ポップコーンを購入するか、ポップコーン用のとうもろこしを購入して、油も味付けもなしで飼い主さんが調理しましょう。
ただし、ポップコーンが喉に詰まらないように、与えるときは細かく砕いてあげるようにしてあげることをおすすめします。
まとめ
とうもろこしは栄養価が高く、正しく与えれば犬の健康に役立てることができます。最後にとうもろこしの与え方をおさらいしておきましょう。
■犬にとうもろこしを食べさせるときに注意することまとめ
・与える量は愛犬が1日に必要なカロリーの10%程度にする
・必ず加熱して消化しやすいように配慮する
・子犬やシニア犬ではミキサーにかけたりペースト状にする
・芯から実を外して与える
・初めて与えるときは数粒にして食物アレルギーがないか観察する
・味付けはしない
とうもろこしは身近な食材で、犬の嗜好性も高いことから、おやつやトッピングはもちろん、食欲が落ちている犬や少量でカロリーを摂りたい犬、シニア犬の栄養補給にも役立てることができる栄養豊富な野菜です。
正しい与え方を理解して、とうもろこしを上手に活用しましょう。
<参考文献>
※1:農林水産省「野菜類の区分はどのようになっているのか教えてください。」
※2:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
※3:サントリーウエルネスオンライン「炭水化物とは?おもな働きと摂取量の目安、炭水化物を多く含む食品を紹介」
※4:健康長寿ネット「食物繊維の働きと1日の摂取量」
※5:一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所「ビタミンB群」
※6:分子生理科学研究所「身体の調整に欠かせない栄養素~ミネラル~」
※7:ナゾロジー「とうもろこしが”消化されない”のは、なぜ?コーンを食べるメリットはあるのか (2/2)」
※8:文部科学省「食品成分データベース」
執筆者
- ペットライター
-
たかだ なつき
- JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー