目次
愛犬が1日に必要な摂取カロリーを知ってる?
そもそも、愛犬が1日に必要な摂取カロリーを知っていますか?カロリーは愛犬が生命を維持し、体を動かすために使用されるエネルギー量です。
健康を保つためにも、愛犬が1日にどれだけのカロリーを必要とするか知っておくと、ダイエットや体重・体型維持、避妊・去勢手術後のフード量の変更など、何かと役立ちます。
※愛犬に必要なドッグフードの量を知りたい方は、以下で愛犬に合った摂取カロリーを計算した後、「1日に必要なドッグフードの量を与える」をご覧ください。
愛犬の1日に必要な摂取カロリーの求め方
現在の体重の愛犬が必要とするカロリー量を算出するためには、まず最初に安静時エネルギー要求量を求めます。
■安静時エネルギー要求量とは
1日中安静に過ごしていた時の必要エネルギーのこと
√(ルート)キーのある電卓を用意してください。スマホによっては、既存のアプリケーションの電卓でも√(ルート)計算ができます。
■安静時エネルギー要求量の求め方
1.愛犬の体重(kg)を3回かける(体重×体重×体重)
2.1で出た値に対して、√(ルート)を2回押す
3.2で出た値に70をかける
例:体重8kgのわんちゃんの場合
1.わんちゃんの体重を3回かける
8×8×8=512
2.1で出た値に対して、√(ルート)を2回押す
512√√=4.757…..
3.2で出た値に70をかける
4.757×70=332.99
体重8kgのわんちゃんの安静時エネルギー要求量は、「約333kcal」となります。
上記の計算方法は「安静時エネルギー要求量」を求めるものです。
1日に必要なカロリーを算出するには、この数字に愛犬のライフステージに合わせた「活動係数」をかけてあげなければいけません。
活動係数
活動係数とは、わんちゃんの年齢や去勢の有無などの状態によって決まる数値です。(参考文献:小動物の臨床栄養学 第5版)
わんちゃんの年齢や状態 | 活動係数 |
生後4ヶ月まで | 3.0 |
生後4ヶ月~成犬 | 2.0 |
成犬(避妊・去勢なし) | 1.8 |
成犬(避妊・去勢済) | 1.6 |
肥満気味の成犬 | 1.0~1.2 |
減量が必要な成犬 | 1.0 |
シニア犬(避妊・去勢なし) | 1.4 |
シニア犬(避妊・去勢済) | 1.2 |
愛犬の体重を元に算出した安静時エネルギーに活動係数をかけあわせてください。
例:体重8kgの避妊・去勢済の成犬の場合
・先程算出した安静時エネルギー要求量が「332.99」
・成犬(避妊・去勢済)の係数が「1.6」
332.99×1.6=532.784
1日に必要なカロリー量は「約533kcal」となります。
この方法で愛犬の1日に必要な摂取カロリーを算出できます。今すぐ愛犬のドッグフードの給与量が知りたい飼い主さんは「1日に必要なドッグフードの量を与える」をご覧ください。
自宅でできる!愛犬の体型や体重を知る
愛犬の体重は動物病院やトリミングサロンなどで測ってもらうことがほとんど、という飼い主さんも少なくないでしょう。
1日に必要なカロリーを算出するに当たって体重は重要になってきますが、骨太のわんちゃんや筋肉質なわんちゃん、骨格のいいわんちゃんなどは必然的に体重が重くなるため、犬種の平均体重より重い=太っているとは限りません。
誤ったカロリー計算をしないためにも、愛犬の体重だけでなく体型も定期的にチェックすることが大切です。
BCSをチェック
愛犬の体型をチェックするには、肋骨付近の肉付きや腹部の吊り上がりなどに注目してみましょう。
これはボディ・コンディション・スコア(BCS)とも呼ばれており、簡単に体型の度合いを知ることができます。
以下の表を参考にして、愛犬の体型をチェックしてみてくださいね。
体型 | 特徴 |
瘦せすぎ BCS1 | ・背骨、あばら骨、腰の骨など、骨が浮き出ている ・触ると肉付きがない ・くびれが目立つ |
瘦せ気味 BCS2 | ・触るとあばら骨がよく分かる ・くびれが明らか ・腹部の吊り上がりが明らか |
理想的 BCS3 | ・触るとあばら骨が分かる ・くびれがなだらか ・過剰な脂肪がない ・腹部が引き締まっている |
肥満気味 BCS4 | ・脂肪がついている ・あばら骨は触れる ・くびれがほぼない |
肥満 BCS5 | ・全体に脂肪がついている ・あばら骨が触れない ・くびれがない ・腹部が垂れ下がっている |
愛犬の体を触っても体型が分かりにくい場合は、一度獣医師にチェックしてもらいましょう。
体型を判断する際のポイントや、今後のチェックの仕方を教えてもらうと自分でも判断できるようになり、愛犬の体型維持にも役立ちます。
愛犬の体重の測り方
わんちゃんの体重を測る頻度の目安としては、1週間に1回、最低でも2週間に1回は体重測定を行いましょう。
測り方は以下の方法です。
■わんちゃんの体重の測り方
1.わんちゃんを抱っこして一緒に体重計に乗る
2.飼い主さんだけが体重計に乗る
3.1から2を引いた数字がわんちゃんの体重
大型犬など抱っこが難しい場合では、動物病院など専用の体重計がある場所で測ってもらいましょう。
体重と体型の両方から愛犬のベストな状態を見守っていきたいですね。
ドッグフードを正しく与えるために知っておくべきこと「1日に与える量を計算してみよう!」
愛犬にいつまでも元気ですごしてもらうためにも、ドッグフードの正しい与え方を覚えておきましょう。
ここでは主にドライフードについて紹介します。愛犬にウェットフードを与えている飼い主さんは「ウェットフードやフリーズドライの与え方」をご覧ください。
ドッグフードのパッケージに記載されている推奨量は目安でしかない!
ドッグフードのパッケージには、愛犬にドッグフードを与える際の推奨量や給与量が記載されています。
しかし、記載されている推奨量や給与量はあくまでも目安!これらは、わんちゃん全般の標準体重をもとに算出されたものです。
犬種や年齢、去勢の有無、骨格や体型、運動量やライフスタイルなど、わんちゃんによって異なるため、愛犬の現在の体重を基準にして記載されている通りの推奨量や給与量を与えてしまうと、カロリーが多くなる、足りなくなるといった問題が出てくることがあります。
そんなときは「1日に必要なドッグフードの量」を参考に一度計算してみて、確かめてみることがおすすめです。
1日に必要なドッグフードの量を与える
ドッグフードのパッケージには、推奨量や給与量だけでなく、原材料や成分値と共に100g当たりのカロリーが必ず記載されています。
「愛犬の1日に必要な摂取カロリー」と、ドッグフードのカロリーから1日に必要なグラム数を算出します。
■1日のドッグフード摂取量計算方法
愛犬が1日に必要な摂取カロリー÷ドッグフードの100g当たりのカロリー量×100
例:ドッグフードが300kcal/100gの場合
533÷300×100=177.66…
この結果から、1日に必要なドッグフードの量は「約178g」になります。
※一日に必要な摂取カロリー533kcalは「体重8kgの避妊・去勢済の成犬」の場合のカロリー
いくつかの段階を踏んで計算する必要があるので少し面倒に感じるかもしれませんが、電卓1つで簡単に計算できます。
年齢に合わせてドッグフードの与え方や与える回数を調整する
■1日の食事回数の目安
超小型・小型・中型犬 | 大型・超大型犬 | |
子犬 | 3~4回 | 3~4回 |
成犬 | 2回 | 2~3回 |
シニア犬(※) | 3~4回 | 3~4回 |
ハイシニア犬(※) | 4~5回 | 4~5回 |
※一般的には7歳頃から中高齢期(シニア期=シニア犬または老犬)に入り、寿命の3分の2を過ぎると後期高齢期(ハイシニア期=ハイシニア犬)になると言われていますが、老化のスピードには個体差があるため一概に年齢では分けられません。
わんちゃんには下記のようなライフステージがあり、年齢に合わせたドッグフードの与え方をする必要があります。
それぞれの与え方を参考にしてください。
また、1日1回だけの食事や、食事を出したままいつでも食べられるようにする置き餌はやめましょう。理由は以下の通りです。
■1日1回の食事がダメな理由
・空腹時間が長くなって胃液や胆汁を吐く
・一度にたくさん食べなければいけないため胃腸に負担がかかる
・食欲があるのかないのか判断することが難しい
■置き餌がダメな理由
・ドッグフードが酸化して味や栄養価が損なわれる
・ドッグフードが傷んで嘔吐や下痢を引き起こす
・食欲があるのかないのか判断することが難しい

子犬のドッグフードの与え方
・0歳~1歳が子犬といわれる時期
・食事の回数は1日に3~4回程度
・生後3ヶ月までは食事の回数は1日に3~5回
急激に成長する子犬の時期の食事はとても重要で、十分な食事を与える必要があります。
しかし、子犬は内臓や消化器官が十分に発達していないので、一度にたくさんの量を食べることができません。
そのため、一度に与える食事の量を減らし、3~4回に回数を分けて与えてあげる必要があります。
子犬は骨格や筋肉がどんどん成長する時期でもあるので、多くの栄養素が含まれた高タンパク高カロリーなドッグフードや、子犬用のドッグフードを選んでください。
また、子犬は離乳食からドライフードに切り替えてしまうと食べなかったり、ふやかす水分量が多くてお腹いっぱいになって食べないといったこともあります。
子犬の様子を見ながらドッグフードの硬さを調整していきましょう。


ドッグフードの量とおやつのカロリーの関係をすぐに知りたい飼い主さんは「ドッグフードを与える量はおやつのカロリーも考慮する」をご覧ください。
成犬のドッグフードの与え方
・小型・中型犬の成犬は1歳~6歳
・大型犬の成犬は1歳~4歳
・食事の回数は朝と夕方~晩の2回に分ける
わんちゃんが一番活発な時期である成犬は、消化器官や体が十分に発達しています。愛犬の悩み、体型(食欲)、好み、に合わせたドッグフードにしましょう。
成犬では、1日の食事は朝と夕方~晩の2回に分けて与えることが一般的です。
これは、健康な成犬であれば、一度にたくさん食べても消化することができるためですが、中には消化ができず吐いてしまう子もいるため、わんちゃんの状態や食べるペースに合わせて回数を変更してください。

シニア犬のドッグフードの与え方
・超小型・小型・中型犬のシニア犬は7歳~10歳
・大型犬のシニア犬は5歳~7歳
・食事の回数は1日に3~4回
わんちゃんは小型犬・中型犬では7歳、大型犬では5歳を過ぎた頃からシニア期に入ると言われています。
緩やかに老化が始まり、代謝が落ちて太りやすくなる傾向にあるため、シニア犬用または老犬用のフードの切り替えを検討する時期です。
また、消化機能に負担がかかることも考え、一度に与える食事の量を減らし、3~4回に回数を増やして与えてあげましょう。

ハイシニア犬のドッグフードの与え方
・超小型・小型・中型犬のハイシニア犬は11歳~
・大型犬のハイシニア犬は8歳~
・食事の回数は1日に4~5回
いつからがハイシニア犬という明確な年齢は存在しません。わんちゃんによっては、11歳や8歳でもまだまだ若く元気なわんちゃんもたくさんいます。
最近ではハイシニア用や高齢犬用といったドッグフードも販売されていますが、愛犬が高齢期に入ったかどうかは獣医師に判断してもらってからドッグフードを切り替えましょう。
ハイシニア犬になると消化機能の衰えや嗅覚の衰えから、一度に食べられる食事の量が減ってきます。気持ち的には食べたくても、無理して食べて吐いてしまったり、胃が受け付けなくて食べないといったことも。
そのため、一度に与える食事の量を減らし、4~5回に回数を増やして与えてあげましょう。また、ドッグフードは良質なタンパク質を使用した消化のよいものを選んでください。

ドッグフードを与える量はおやつのカロリーも考慮する
■ドッグフードやおやつのカロリーを計算する簡単な方法
1.100g当たりのカロリー÷100=1g当たりのカロリー
2.1g当たりのカロリー×与える量=ドッグフードやおやつのカロリー
例:おやつが368kcal/100gで5gを1日3回与える場合
1.368÷100=3.68
2.3.68×5=18.4kcal
3.184×3回=55.2kcal
1日のおやつのカロリーを算出することで、おやつの量の調整やドッグフードの量の調整ができます。
おやつを与える際は、1日に必要な摂取カロリーのうち、10~20%のカロリーのおやつの量にしましょう。
例:体重8kgの避妊・去勢済の成犬
・1日の摂取カロリー533kcal÷10(%)=53.3
10%のカロリーは53.3kcaiになります。20%を計算するときは、2をかけてください。
・53.3×2=106.6
体重8kgの避妊・去勢済の成犬の1日のおやつのカロリーは「53~106kcal」となります。
また、愛犬におやつを与える際は、ドッグフードの量もおやつのカロリー分減らしてあげなければいけません。
例:体重8kgの避妊・去勢済の成犬:1日の摂取カロリー533kcal
533ー55.2=497.8
ドッグフードのカロリーが498kcalになるようにする
ドッグフードの量を変更せずにおやつを与え続けると、栄養バランスが偏ったり、肥満の原因にもなるので注意してくださいね。
また、さまざまなドッグフードの与え方のサイトや本がありますが、環境省からもペットフードのガイドライン(※)が出されているため、一度目を通しておくことをおすすめします。
(※)環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン~犬・猫の健康を守るために」
ウエットフードやフリーズドライの与え方は?
ここでは、ウェットフードやフリーズトライなどの与え方を紹介します。
ドライ・ウェット・フリーズドライフードの違いについて
ドッグフードのそれぞれの違いについて特徴をまとめてみました。
水分量 | 食いつきの期待度 | 硬さ | 保存期間 の目安 | 価格 | |
ドライフード | 10%以下 | 好みによる | 硬い | 開封後1ヶ月 | 安め |
---|---|---|---|---|---|
ウェットフード | 70~80% | 高い | 柔らかい | 開封後2~3日 | 高め |
フリーズドライフード | 5~8%(乾燥時) | 高い | ふやかせば柔らかい | 開封後1ヶ月 | 高い |
愛犬の食欲や健康状態に合わせて、ドッグフードを上手に活用しましょう。
ウエットフードの与え方
ウェットフードは製造方法がドライフードと異なるため、主食とする場合はそれぞれのフードで独自の摂取カロリーと給与量を定めていることが多いです。
そのため、ウェットフードを与える際は、必ず与え方の説明を読むようにしてください。
例として、ブッチの与え方をご紹介します。
例:体重8kgの避妊・去勢済の成犬
与えるフード:ブッチのブラックライン・116kcal / 100g
■主食として与える場合
1.ブッチを主食として与える場合の1日に必要なカロリーを確認する
体重8kgの場合は432kcal
ブッチの給与量目安は372g
2.食事を与える回数で割る(成犬・1日2回の場合)
372÷2=186g
3.1食が186gを基準にして与えてみて、体重が増える、減るなどのことがあれば調整する
ブッチをトッピングとして与える場合は、少量であれば算出したドッグフードのカロリーから、与えるブッチのカロリーを引いた量を与えてください。
参考:ブッチ給与量計算フォーム
フリーズドライフードの与え方
フリーズドライフードはおやつ感覚でそのまま与えたり、粉々にしてふりかけのように与えたりとさまざまなアレンジ方法がありますが、基本の与え方をご紹介します。
例:体重8kgの避妊・去勢済の成犬
与えるフード:K9ナチュラルのチキンフィースト・498.6kcal / 100g
■主食として与える場合
※フリーズドライフードは体重1kgにつき8gを3倍の水で戻して使用します。
1.まずは1日に必要なフリーズドライフードの量を計算する
8kg(体重)×8g(フード)=64g
2.食事を与える回数で割る(成犬・1日2回の場合)
64g÷2回=32g
水:32×3=96ml
3.器に1食分の32gを入れ、粒をほぐしてから水96mlを入れてよく混ぜて完成
フリーズドライフードのカロリーは100g当たりがとても高いですが、64gで換算すると約319kcalと低いです。これは栄養価の高い生食であるためで、問題はありません。
また、フリーズドライフードはふやかしてもカロリーは変わりません。
ドライフードには、本来、犬が必要としない穀類が入っている場合が多く、「必要なカロリー」の中には、
1.ドライフードに含まれる穀類を消化するために使われるカロリー
2.消化されず、排泄物となって、外に出てしまうカロリー
が含まれているため、生食の場合とは少し異なってきます。
引用:K9ナチュラル
フリーズドライフードをトッピングとして使用する場合は、算出したドッグフードのカロリーからフリーズドライフードのカロリーを引いたドッグフードの量を与えてください。

試供品のドッグフードの与え方は?
愛犬の食いつきを見るための試供品ですが、突然ドッグフードを変更すると下痢や軟便になるわんちゃんもおり、与え方に悩む飼い主さんも少なくありません。
試供品のドッグフードの与え方は、基本的にはドッグフードの切り替えで行うように、いつものドッグフードに1割程度添えるか、数粒程度おやつ感覚で与えましょう。
いつものドッグフードに混ぜてしまうと、愛犬の食いつきの判断をすることは難しくなってしまうため、器の中で分けて様子を見てください。
また、最初の1回だけはそのまま全て与えることを推奨するメーカーもあるため、試供品を購入したりもらったときは与え方をしっかり確認しましょう。
ドッグフードを与える際に注意することは?
愛犬にドッグフードを与えるときは、注意しなければいけないこともあります。
1. 療法食は獣医師の指示に従う
ドッグフードの療法食は、わんちゃんの病気に合わせて作られているため、特定の成分が多かったり少なかったりと調整されています。
最近ではネット通販などでも購入できることから、病気の予防として愛犬に与えたり、肝臓の数値が悪い、心臓に少し雑音があるといった理由で療法食を選ぶ飼い主さんもいます。
しかし、療法食は正しい与え方をしなければ逆に健康を悪化させてしまう恐れがありとても危険なため、療法食は獣医師の指示に従って与えてください。
2. 食物アレルギーに注意!
ドッグフードに使用される原材料の中には、わんちゃんのアレルギーを引き起こす可能性があるものもあります。
肉類や魚類をはじめ、穀物や豆類、添加物など、何が原因でアレルギーとなるかはわかりません。
■わんちゃんの主なアレルギーの症状
・皮膚の赤みや湿疹
・足の先をずっと舐める
・目の充血
・下痢や嘔吐
わんちゃんによって症状の現れ方は異なりますが、これらの症状が現れたときは獣医師に相談するのはもちろん、与えているドッグフードを見直してみましょう。

3. 開封後は1ヶ月以内に与えきる!保存にも注意!
ドッグフードには賞味期限が記載されていますが、それはあくまでも未開封の賞味期限で、1度開封したら1ヶ月以内に与えきるようにしてください。
ドッグフードは空気に触れた瞬間から酸化が始まり、どんどん品質が劣化していきます。酸化したドッグフードはわんちゃんの体に悪影響を与えることから、開封後はできるだけ早く消費するようにしましょう。
また、開封したドッグフードはパッケージのまま密閉容器に入れ、高温多湿の場所を避けて常温で保存してください。
冷蔵庫で保存してしまうと、出し入れすることで結露が生じ、ドッグフードにカビが生えやすくなってしまいます。

4. 器の高さや器にも配慮する
愛犬に食事を与える際は、安定していてひっくり返す心配のない器を用意してあげましょう。
器のサイズが合っていないと、うまくドッグフードが食べられない場合があります。幼犬の時には小さめのサイズの器を用意し、成長するとともに大きめの器に変えてください。
また、器を置く高さも重要なポイントです。
■器が低い位置にあることで起こり得ること
・前のめりの姿勢で食べるため喉に詰まらせてしまう
・頭が低い位置にあるため吐き戻しやすくなる
・前のめりの姿勢になることで胃腸に負担がかかる
・前足を踏ん張る姿勢や姿勢を頻繁に変えるため体に負担がかかり、ヘルニアや関節炎、腰痛など
・食べにくい姿勢のため食欲が落ちてしまう
・高低差により頑張って吸い込むように食べるため、余計な空気を吸い込んでしまう。特に大型犬では胃捻転の一因とも
※上記はあくまでも可能性があるものであり、必ず起こるという訳ではありません
器の高さは、愛犬が立った状態で首を少しだけ下げた位置にしてあげましょう。おおよそ、肩や胸元あたりの高さに器があると食べやすいです。

5. 人間用の食べものは与えないようにする
人間用に作られた食べものは塩分や糖分が多く、わんちゃんの健康に悪影響を及ぼす可能性があります。中には、わんちゃんが食べることで中毒を起こしてしまうものも。
期待のこもったキラキラした目で愛犬に見つめられると、ついついおすそ分けをしてあげたくなってしまう気持ちもわかりますが、味付けされた人間用の食べものは与えないようにしましょう。
また、わんちゃんが人間用の食べものの味を覚えてしまうと、ドッグフードを食べなくなってしまうこともあります。
ドッグフードを正しく与えるためには選び方も重要!
ドッグフードの正しい与え方がわかっても、肝心のドッグフードの選び方を間違えてしまえば台無しになってしまいます。
近年は愛犬の健康に対する意識が高まり、さまざまなドッグフードが販売されていますが、選び方のポイントを押さえておきましょう。
主食にするなら総合栄養食を選ぶ
愛犬のドッグフードを主食として与えるときは、必ず「総合栄養食」と書かれているドッグフードを選んでください。
ドッグフードは「総合栄養食」「一般食」「栄養補完食」など、さまざまな種類があります。
■ドッグフードの分類ごとの違い
分類 | 特徴・目的 |
総栄養食合 | ・主食として与えるのが目的 ・ドッグフードと水だけで健康を維持できる栄養バランス |
間食 | ・おやつ ・限られた量を与えることを目的 |
療法食 | ・病気の治療の補助を目的 ・獣医師の指導のもとに使用されることを意図している |
副食・一般食 | ・嗜好増進などの目的 ・ふりかけ |
栄養補完食 | ・特定の栄養の調整やカロリーの補給などを目的 ・サプリメント |
総合栄養食以外のドッグフードを主食として与えてしまうと、わんちゃんの栄養が偏り、健康被害が起こる可能性が高くなります。
主食としてドッグフードを選ぶ際には、パッケージに「総合栄養食」の記載があることを必ず確認してください。
ドッグフードの原材料や成分も詳しく確認したい飼い主さんは、こちらの記事をチェックしてくださいね。


乾物基準値の計算方法
■乾物基準値とは
ドッグフードに含まれる水分を0にしたときのタンパク質や脂質の栄養素の量
ドッグフードは、ドライフードであってもウェットフードであっても水分が含まれており、実際の栄養素の量は表示されているものよりも多いです。
■乾物基準値の計算式
成分値(タンパク質、繊維質、脂質)÷(100-水分)×100
例:水分12%以上で粗タンパク質が30%以上のドライフードの場合
30÷(100‐12)×100=34.09
このドライフードの粗タンパク質の乾物値は「34.09%以上」となります。
例:水分74.5%で粗タンパク質が10.5%以上のウェットフードの場合
10.5÷(100‐74.5)×100=41.18
このウェットフードの粗タンパク質の乾物値は「41.18%以上」となります。
このように、粗脂質や粗繊維もそれぞれ求めることができます。
通常であれば乾物基準値を過剰に気にする必要はありませんが、愛犬が病気になって制限が必要になったときなどは、ドッグフードを選ぶ際に配慮してあげることができますね。
ドッグフードの与え方を間違えるとどんなリスクがある?
ドッグフードの与え方が適切でないと、わんちゃんの健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
栄養失調
愛犬の見た目に何の変化が感じられなくても、ドッグフードの与え方を間違えていてカロリーが足りていなかったり、栄養バランスが偏っていた場合、栄養失調になるリスクがあります。
■栄養失調の主な症状
・脱毛
・食糞
・貧血
・便秘や下痢
・不眠
・昏睡
・痙攣
わんちゃんの生命活動を維持するうえで必要な栄養が不足していることによって、体のさまざまな場所で影響を受けてしまいます。免疫機能も低下してしまうため病気になりやすく、病気になっても治す体力がありません。
栄養失調は命を落としてしまうこともある危険な状態のため、栄養不足とならないようにドッグフードを正しく与えて栄養失調にならないようにしましょう。
痩せすぎ
愛犬を太らせたくないという思いからドッグフードを与える量を少なくしていたり、適切な量を与えていない、栄養バランスが偏っているといった場合、痩せすぎてしまうリスクがあります。
■瘦せすぎてしまうことで起こり得ること
・肝機能が低下
・免疫力の低下
・体力の低下
・筋肉量の低下
・栄養失調
わんちゃんが瘦せすぎてしまうと病気になりやすく、病気になっても治す体力がないため治療が長引きます。
トイプードルやチワワといった小型犬種では、小さな体のままでいさせるために食事の量を制限することが浸透しているようですが、愛犬のためにも体型に合わせた食事の量を与えてあげましょう。
肥満
愛犬が欲しがるままドッグフードを与える、愛犬の年齢やライフスタイルに合ったドッグフードではない、栄養バランスが偏っているといった場合に、肥満になるリスクがあります。
■肥満になることで起こり得ること
・足腰に負担がかかる
・関節炎や椎間板ヘルニアのリスク
・糖尿病のリスク
・内臓疾患のリスク
・心臓病のリスク
・呼吸器に負担がかかる
肥満になってしまうとさまざまな病気のリスクが高くなります。病気になって手術が必要となっても、肥満が原因で全身麻酔をかけるリスクが格段に高くなり、痩せるまで手術ができないことも。
わんちゃんの体重管理はとても大変で、油断すればあっという間に太ってしまいます。カロリー計算や体型チェックをしながら、適切なドッグフードの与え方をすることがとても大切です。
【Q&A】ドッグフードの与え方に関するよくある質問
ここからは、ドッグフードの与え方に関するよくある質問についてお答えしていきます。
ドッグフードの与え方は、友人や知人、ペットショップ、ネットや本などさまざまな場所から見たり聞いたりすることができますが、中には誤った情報も多々あるため、ドッグフードの与え方で悩んでいる飼い主さんはぜひ参考にしてください。
ダイエットが必要なときのドッグフードの与え方は?
わんちゃんがどれだけの体重を落とすかや、体調や状態によって方法は異なりますが、一般的にはダエット用のドッグフードを与えたり、ドッグフードを与える量で調整します。
■ダイエットが必要なときに注意すること
・ダイエットは獣医師に相談してから
・太ってしまった原因を突き止める
・極端にドッグフードを与える量を減らさない
・こまめな体重測定
・体重に変化があったときはカロリー計算をし直す
わんちゃんのダイエットは長期的なスパンで考える必要があり、急激なダイエットはわんちゃんの体に負担がかかってしまうため絶対にNGです。
人間では月に何キロ減量といった目標をたてることもありますが、わんちゃんの場合ではBCS4であれば現在の体重の10~15%減量、BCS5であれば20~30%減量といったように%で考えてください。
また、食事の回数を増やすことで脂肪の蓄積を防ぐことができます。
愛犬がドッグフードを食べてくれないときは?
愛犬の年齢や犬種の性格に合わせた対処法を試してみましょう。ただし、体調が悪くて食べないこともあるため、愛犬の体調や様子に異変がないか確認してください。
■食べてくれないときに試してみること
・温めてみる
・手からあげてみる
・器を変えてみる
・食器台を使用する
・食事の前に遊んだり散歩に行く
・ドッグフードの粒の大きさや硬さを見直す
・ジャーキーなど嗜好性の高いおやつを控えてみる
愛犬がドッグフードを食べてくれないときは、何とか食べてもらおうとトッピングをしてしまいがちですが、まずは気軽にできることを試してみて根本の原因を探るようにしまよう。
また、単純にそのドッグフードに飽きてしまったということも考えられます。その際は、フードローテーションをすることも検討してください。
フードローテーションのメリットは?
フードローテーションは、わんちゃんがさまざまな栄養を摂ることができ、1つのドッグフード与え続ける以上の健康効果が期待できます。災害時などのことを考えると、どんなドッグフードでも食べられるようにしておくと安心ですね。
■フードローテーションの特徴
メリット
・栄養の偏りが防げる
・アレルギーのリスクを回避できる
・消化器官が強くなる
・添加物の蓄積を防げる
デメリット
・胃腸に負担がかかるわんちゃんもいる
・アレルギーを発症したときに原因の特定が難しい
・コストがかかってしまう
また、フードローテーションとフードジプシーを混同してしまっている飼い主さんも少なくありませんが、フードローテーションは次から次へとドッグフードを変えるのではなく、数種類の決めたフードをローテーションすることです。

お腹が空いたときのサインは?
お腹が空いたときのサインはわんちゃんによって異なりますが、そわそわしていることが多いです。
■お腹が空いたときに見せるサインの例
・ドッグフードを入れる器を持ってくる
・器の前で待っている
・「ワン!」と飼い主さんに向かって吠える
・前足で飼い主さんに触れてくる
・ドッグフードを収納している場所に行くと付いてくる
・ふて寝する
わんちゃんにとって、食事は1日の中の一大イベントの1つです。わんちゃんは「お腹が空いた」と言葉で表すことはありませんが、態度や表情で示してくれます。
きちんと食事を与えているのにお腹が空いたとアピールしてくるときは、食事の量を見直したり、与える回数を見直してみましょう。
また、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)や認知症といった病気が原因で食事を催促してくることもあるため、愛犬に多飲多尿(たくさん水を飲んでたくさんおしっこをする)や行動が変わったなどの異変が感じられたら動物病院を受診してください。
ドッグフードを美味しく食べてもらうふやかし方は?
ドッグフードの栄養素が壊れないよう、お湯が熱すぎないか注意し、愛犬の柔らかさの好みや体調に合わせてふやかす時間を調整しましょう。スプーンで潰すことでより柔らかくすることもできます。
- ドッグフードがひたひたになるくらいまでぬるま湯を注ぐ。
温度は人肌より少し暖かいくらい(約40度)が理想。冷たすぎなければ水でもOK - 水分を吸ってふくらむまで放置する。
放置時間の目安は15〜30分。愛犬の好みに合わせてふやかし度合いは調節 - ふやかしたドッグフードを手又はスプーンでつぶす。
空気が抜け、芯も残らず柔らかく食べやすい状態に。食感を残したい場合は潰さなくてもOK - 完成!汁が残っても捨てない。
汁には栄養素が溶け出しているので、残った場合は一緒に与える
ドッグフードにはさまざまな栄養成分が含まれていますが、中には熱に弱い栄養素もたくさんあるため、熱湯は絶対に使用しないでください。逆に冷たい水でふやかしてしまうと、お腹を壊してしまうこともあるためおすすめできません。
また、時間がないときなどはぬるま湯を注いだ後ラップをかけるとふやけやすいです。さらに、中粒や大粒のフードよりも小粒のドッグフードのほうがふやけやすい傾向があります。
食事の時間は決めたほうがいいの?
ある程度の時間は決めておいたほうがいいですが、きっちり何時と決める必要はありません。
わんちゃんにも生活リズムがあり、ある程度決まった時間に食事をすることで規則正しい生活を送ることができます。
あまりにもバラバラな時間に食事を与えると、わんちゃんの体に負担がかかり体調を崩してしまうことも。
■食事時間の理想
・1日2回…12時間の間隔をあける
・1日3回…8時間の間隔をあける
・1日4回…6時間の間隔をあける
こちらはあくまでも理想であり、わんちゃんの状態やライフスタイルによって食事の時間は変わってきます。
ドッグフードと手作りご飯はどちらを与えるべき?
ドッグフードも手作りご飯もそれぞれメリットデメリットがあります。愛犬と飼い主さん両方に合わせて、継続して与えることができる方法を選ぶようにしましょう。
■ドッグフード
メリット
・1日に必要な栄養が確実に摂れる
・愛犬に合ったフードを探すことができる
・いつでもどこでも安定した栄養の食事を与えることができる
デメリット
・毎日同じだと飽きてしまうことがある
・詳しく知りたい場合パッケージの原材料や成分表の見方を知る必要がある
・添加物が多いドッグフードでは体に負担がかかる
■手作りご飯
メリット
・飼い主さんが使用する食材を選ぶことができる
・保存料を使用しないご飯が作れる
・愛犬の体調に合わせて調整することができる
デメリット
・必要な栄養基準を満たすことができない
・年齢や体調に合わせて調理法や栄養を変更しなければいけない
・入院や災害時など自宅にいないときの対応ができない
近年、手作りご飯のほうがわんちゃんの健康にいいという情報がたくさん出ていますね。その発端となったのが、ヨーロッパで行われた統計調査ではないでしょうか。
ドッグフードを与え続けた場合と、手作りご飯を与え続けた場合のわんちゃんの寿命について、2003年に調査の結果を発表しています。
The difference between two extremes amounts to more than 32 months.
(ドッグフードと手作りご飯)2つの極端な違いは32ヶ月以上になります)
引用:Relation between the domestic dogs’ well-being and life expectancy statistical essay
この結果、この研究で使用された手作りご飯を食べていたわんちゃんは、ドッグフードを食べていたわんちゃんよりも平均して32ヶ月長生きしたということがわかりました。
しかし、2003年と古いデータで現在はドッグフードの品質も高まっていることから、無理に手作りご飯にする必要はありません。
また、飼い主さんが愛犬の健康のために良かれと思って手作りご飯にしても、わんちゃんが1日に必要な栄養バランスを考えるのはとても難しく、実際に手作りご飯で栄養が足りていない(※)わんちゃんは少なくありません。
愛犬に手作りご飯を与えたい場合は、わんちゃんの栄養学を学んだり、毎日与えるのではなくたまのご馳走にしてみたり、ドッグフードのトッピングにしたりなど、わんちゃんの健康を害することのない方法で行いましょう。
最近では、手作りご飯の総合栄養食も販売されているので、上手に活用してみてもいいですね。
(※)参考:ケンブリッジ大学「犬の栄養管理のための自家製飼料の使用における飼い主の認識の評価」

まとめ
今回は、ドッグフードの正しい与え方について紹介しました。最後に、ドッグフードの与え方のおさらいをしておきましょう。
・愛犬が1日に必要な摂取カロリーをもとにドッグフードを与える
・愛犬の年齢やライフスタイルに合わせた与え方をする
・主食として与えるドッグフードは「総合栄養食」
・愛犬の体調や状態によってはウェットフードなども活用する
ドッグフードは、わんちゃんがいつまでも元気ですごすために重要なカギを握る食事です。愛犬のためにも、ドッグフードは正しい与え方をしてあげましょう。
編集部おすすめドッグフードTOP5【2021年最新】
INUNAVIが市販・通販の115商品の成分や安全性を検証して作成した、ドッグフードランキングのTOP5を紹介!他にも愛犬にあったフードも紹介しているので気になる人はこちらもチェックしてくださいね。

■ウェルペット社 ウェルネス 穀物不使用 小型犬用 骨抜き七面鳥
わんちゃんの腸内環境を考えて作られているウェルネスは、使用している乳酸菌の種類が多く腸から健康にしてくれます。良質な原材料で穀物不使用、合成添加物不使用の健康維持におすすめなフードです。

■アーテミス社 フレッシュミックス スモールブリードアダルト
新鮮で良質な食材をふんだんに使用して作られているフレッシュミックスは、抗酸化作用が期待できる食材もたっぷり含まれています。小麦不使用なので、小麦アレルギーのわんちゃんにもおすすめです。

■レティシアン モグワン
主原料にチキンとサーモンを56%使用しているほか、ハーブや乳酸菌などわんちゃんに嬉しい作用のある成分を配合。穀物不使用、合成添加物不使用で食いつきのいい高品質フードです。

■United Fountain Investment Limited ブラバンソンヌ 小型成犬用(チキン)
一部の動物病院でも取り扱いのあるブラバンソンヌは、ペット先進国でもあるベルギーの高品質フードです。穀物不使用、合成添加物不使用で、安心して愛犬に与えることができます。

■プラネットペット プラペ CP – チキン&ターキー
主原料に高品質な肉類を60%使用し、わんちゃんの健康に役立つスーパーフードを13種類配合して作られているプラぺは、穀物不使用、合成添加物不使用の高品質フードです。
