公開 2022.12.21 更新 2022.12.21
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犬のフィラリア予防薬の飲ませ忘れは大丈夫?対処方法を獣医師が解説!

犬のフィラリア予防薬の飲ませ忘れは大丈夫?対処方法を獣医師が解説!

フィラリア予防薬は、犬のフィラリア感染を予防するために、1ヶ月に1回の投与が必要です。

しかし、フィラリア薬を飲ませていく中で、

  • 「今月のフィラリア薬を飲ませ忘れたけど、大丈夫?」
  • 「フィラリア薬を飲ませ忘れたらどう対処すればいいの?」

とお悩みの飼い主さんは多いと思います。

そこで、本記事では、犬のフィラリア薬を飲ませ忘れた時の対処方法や感染リスクについて獣医師が解説しています。

飼い主さんは、この記事を読むことで、フィラリア薬を飲み忘れた時に適切な対処が取れるようになりますので、ぜひ参考にしてみてください。

※本記事は2024年10月までの情報を参考に作成しています。※本記事はINUNAVIが独自に制作しています。メーカー等から商品の提供や広告を受けることもありますが、コンテンツの内容やランキングの決定には一切関与していません。※本記事で紹介した商品を購入するとECサイトやメーカー等のアフィリエイト広告によって売上の一部がINUINAVIに還元されます。

フィラリア予防薬を飲ませ忘れた期間によって対処が必要

犬 蚊取り線香

フィラリア予防薬を飲ませ忘れた場合には、飲ませ忘れた期間が「6ヶ月以上かどうか」によって対処方法が以下のように変わってきます。

フィラリア予防薬を飲ませ忘れた場合の対処法

以下で詳しく解説していきます。

【飲ませ忘れた期間が6ヶ月以下】気づいた時点で薬を投与

飲ませ忘れた期間が6ヶ月以下の場合には、気づいた時点で薬を投与してあげましょう。

例えば、「2〜3ヶ月フィラリア予防薬を飲ませ忘れていた!」という飼い主さんはこの対処方法に該当します。

万が一、飲み忘れた期間にフィラリアに感染してしまったとしても、飲ませ忘れに気づいた時点で薬を投与することで、フィラリアの大量寄生を防ぐことができ、重症化リスクを減らすことができます。

重症化し、フィラリアが大量に寄生するとその分、フィラリアの子虫(ミクロフィラリア)が大量に生み出され、命を落とす可能性が高まります。

さらに、薬を飲ませ忘れたことにより、愛犬がフィラリアに感染している可能性は高まっていますが、感染から6ヶ月はフィラリア検査を行なっても感染を検出することができません。

この状況下で、飼い主さんができることは、フィラリア感染の重症化を防止するために、飲ませ忘れに気づいた時点でフィラリア薬を投与してあげることです。

そして、感染から6ヶ月経過した段階でフィラリア検査を受け愛犬がフィラリアに感染しているかどうかチェックしてあげるようにしましょう。

【飲ませ忘れた期間6ヶ月以上】フィラリア検査してから薬を投与

フィラリア薬を前回投与してから6ヶ月以上経過している場合には、動物病院でフィラリア検査を行う必要があります。

もし飲ませ忘れた期間中にフィラリアに感染していた場合、感染から6ヶ月以上経過すると、体内でフィラリアの子虫(ミクロフィラリア)が大量に生み出されています。

こうした状況下で、フィラリア薬を投与すると、一気に大量のミクロフィラリアが死亡し重篤なアレルギー症状(アナフィラキシーショック)肺血管や腎臓などの臓器にミクロフィラリアの死体が詰まってさまざまな副作用が表れることがあるためです。

フィラリア薬投与による副作用では以下のような症状が見られます。

フィラリア薬投与による副作用

  • 痙攣
  • ぐったりする、意識を失う
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 元気がなくなる
  • よだれを垂らす
  • 呼吸が速くなる
  • 発熱

こうした副作用を避けるためにも、フィラリア薬の飲ませ忘れから6ヶ月以上経過している場合には、必ず動物病院でフィラリア検査を行なってから、フィラリア薬を飲ませるようにしましょう。

犬にフィラリア予防薬を飲ませ忘れた場合のデメリット2つ

犬 病気

犬にフィラリア予防薬を飲ませ忘れた場合に起こるデメリットは下記の2つです。

犬にフィラリア予防薬を飲ませ忘れた場合のデメリット2つ

  1. フィラリア感染のリスクが上昇する
  2. 翌年のフィラリア検査が必須になる

それぞれについて解説していきます。

①フィラリア感染のリスクが上昇する

フィラリア予防薬を飲ませ忘れた場合には、フィラリアが体内の血管に移行し、薬での駆虫ができなくなる可能性が高まるため、フィラリアに感染してしまうリスクが上昇します。

フィラリア薬は、フィラリアが体の皮下にいる場合には、効果を発揮しますが、血管に入り込んでしまった場合には効かなくなってしまうため注意が必要です。

そのため、飼い主さんは、フィラリアがまだ体の皮下にいる段階でフィラリア薬を与えなければいけません。

皮下にいたフィラリアが血管に移行するまでは、最短で50日と言われていますので、前回のフィラリア薬投与から50日以上経っている場合には、感染リスクが上昇してしまいます。

フィラリア薬の飲ませ忘れの期間と感染リスク

  • 前回投与から50日経過していない場合
    …フィラリア薬を飲ませることにより駆虫できる
     フィラリア感染リスクは低い
  • 前回投与から50日以上経過している場合
    …フィラリア薬が効かない可能性あり
     飲ませ忘れた期間が長いほどフィラリア感染リスク上昇

「投薬予定日から1〜2週間飲ませ忘れてた!」といった場合でも、前回の投与から50日経過していない場合は、気づいた時点でフィラリア薬を飲ませてあげれば、フィラリア感染のリスクは低いです。

しかし、前回のフィラリア薬の投与から50日以上経過している場合には、フィラリアが血管内に移行している可能性があり、フィラリア薬が効かなくなってしまいます。

また、前回投与から日数の経過が長い場合は、さらに感染リスクが上昇しているので注意しましょう。

②翌年のフィラリア検査が必須になる

犬にフィラリア予防薬を飲ませ忘れると、フィラリアが寄生するリスクが上昇し、投薬による副作用を起こすことがあるため、翌年のフィラリア検査が必須になります。

動物病院によっては、フィラリア薬を1年中投与をしていると、翌年のフィラリア検査が免除されるという場合があります。

しかし、1年中投与している場合でも、薬を飲ませ忘れるとフィラリアへの感染リスクは上昇し、翌年のフィラリア検査は必須になってしまいます。

重篤な副作用を避けるためにも、フィラリア予防薬を与える前にはしっかりとフィラリア検査を行うようにしましょう。

犬のフィラリア症の症状と治療方法

犬 咳

犬がフィラリア症に感染し、体内に寄生するようになると以下のような症状があらわれます。

犬のフィラリア症の症状

  • 咳をする
  • 運動したがらない
  • 呼吸が荒くなる
  • 血を吐く
  • 腹水によってお腹が膨らむ
  • 赤みを帯びた尿を排泄する
  • 失神

フィラリアは、最終的には肺動脈に寄生し、右心不全や肺高血圧症から上記のような症状を引き起こします。

フィラリア症は、基本的にゆっくりと進行していくので、こうした症状が出た時には、かなり重症化しており治療が難しいことが多いです。

治療方法としては、以下のようなものが考えられます。

■フィラリア症の治療方法

  • 注射薬(フィラリア成虫を殺虫する)
  • 外科手術による摘出
  • 抗生剤やステロイドによる補助療法

フィラリア成虫を殺虫する注射薬や外科的にフィラリア成虫を摘出する治療方法は、フィラリア成虫を駆除する治療です。

しかし、肺血栓塞栓症などの副作用や麻酔リスクもあるため、ハードルが高い治療方法となります。

抗生剤やステロイドによる補助療法では、薬によって副作用を抑えながら、フィラリア成虫が寿命を迎え自然に死滅するまで待たなければいけません。

フィラリア成虫の寿命は5年ほどあるため、長期の治療が必要です。また、治療している間も心臓や肺に負担はかかり続けてしまいます。

どの治療方法も飼い主さんや愛犬にとってハードルが高い治療方法になるので、飼い主さんは、フィラリア薬を飲ませ忘れないようにし、しっかりと工夫と対策をしてあげることが大切です。

フィラリア薬の飲ませ忘れを防ぐために飼い主さんができること

飼い主と犬

フィラリア薬の飲ませ忘れを防ぐために飼い主さんができる工夫や対策としては、以下のようなものが考えられます。

フィラリア薬の飲ませ忘れを防ぐために飼い主さんができること

  • カレンダーや薬のパッケージに投薬日を記入する
  • フィラリア薬の年中投与を行う
  • 毎月動物病院を受診して予防薬をもらう
  • 注射薬で予防を行う

自宅のカレンダーや薬のパッケージに飲み忘れ防止のため投薬日を記入しておきましょう。

飼い主さんの中には、毎月体重測定や身体検査を受けフィラリア薬をもらい飲ませている方もいます。このように毎月の習慣として身につけておくことが大切です。

また、冬の間もフィラリア予防薬の投薬を続け、フィラリア予防薬を年中投与することも飲ませ忘れを防止するためには有効です。

アメリカのガイドラインでは、フィラリアの年中投与を推奨しており(*1)、日本の動物病院でもフィラリア薬の年中投与を取り入れている動物病院は多いです。

他にも、内服薬ではなくフィラリア予防の注射薬を使うという方法もあります。

注射薬は、一回打つだけで一年間予防効果を発揮してくれます。フィラリアのお薬の飲ませ忘れが心配な方は、注射でフィラリア予防を行う方法も検討してみてください。

犬のフィラリア薬の飲み忘れでよくあるQ&A

Q&A

ここからは、犬のフィラリア薬の飲み忘れでよくある質問についてお答えしていきます。

フィラリア薬の飲み忘れにお悩みの飼い主さんはぜひ参考にしてみてください。

フィラリア薬の飲み忘れでよくあるQ&A

    フィラリア薬を飲ませ忘れて1~2ヶ月で咳をしているけど、もしかしてフィラリアに感染した?

    犬 病気

    A.フィラリアにより咳をしている可能性は低いです。

    フィラリア薬の飲ませ忘れから1〜2ヶ月で咳の症状が出る場合、他の病気により咳をしている場合があります。

    フィラリアにより咳の症状が出る場合は、感染してから少なくとも6ヶ月〜数年後になることが多いです。

    もちろんフィラリアに感染している可能性もありますが、飲ませ忘れてすぐ咳をしている場合は、他の病気の可能性も同時に疑ってみましょう。

    フィラリア以外に咳を引き起こす病気は以下のようなものが考えられます。

    咳を引き起こす病気

    • ケンネルコフ
    • 気管支炎
    • 肺炎
    • 心臓病
    • 気管虚脱

    こうした病気を見逃さないためにも、咳をしている場合は動物病院を受診するようにしましょう。

    また、フィラリア薬を飲み忘れてから6ヶ月以上経過した場合には、しっかりとフィラリア検査を受けるようにしてください。

    フィラリア薬を2個食べたり、2日間連続で食べてしまった場合でも大丈夫?

    A.フィラリア薬の安全性は非常に高く設計されていますので、問題ないです。

    フィラリア予防薬の安全域は広く、薬の成分も1日経過すれば体から排泄されていきます。

    実際に飼い主さんから病院に、「間違って2日連続で与えてしまった!」「同居犬の分まで食べてしまった!」と言った相談がよく来ますが、基本的に問題ないとお答えしています。

    しかし、「食欲がない」「嘔吐・下痢をしている」など愛犬の様子や体調がいつもと違う場合は、一度動物病院を受診することをおすすめします。

    フィラリア薬を嘔吐してしまった場合はどうする?

    犬 薬

    A.再度フィラリア薬を投与してあげましょう。

    フィラリア薬は投与後1時間もすれば体に吸収されていきますが、嘔吐した場合には、ちゃんと体に吸収されたか心配な飼い主さんも多くいると思います。

    フィラリア薬は2倍量を投与しても過剰摂取にならないように安全性が高く作られています。そのため、愛犬がフィラリア薬を嘔吐してしまった場合は、もう一度フィラリア薬を与えてあげることをおすすめします。

    ごく稀に、犬種・個体差や薬に対するアレルギーなどで、フィラリア薬自体に反応して嘔吐している場合があるので、何回与えても嘔吐してしまう場合は、動物病院に相談し薬を変更してもらうようにしましょう。

    子犬はいつからフィラリア薬を投薬する必要がある?

    犬 薬

    A.2ヶ月齢を超えた場合には、フィラリア薬を与えてあげるようにしましょう。

    フィラリア薬は、さまざまな種類がありますが、ほとんどの薬は2ヶ月齢を超えると与えることができます。

    フィラリア感染を予防するために、子犬でも早めの時期からフィラリア予防を始めてあげるようにしましょう。

    また、6ヶ月未満の子犬に初めてフィラリア薬を与える場合には、フィラリア検査は必要ありません。

    しかし、翌年や6ヶ月経過した段階でフィラリアに感染していないか一度フィラリア検査をするようにしておきましょう。

    まとめ

    本記事では、犬のフィラリア薬を飲み忘れた時の対処方法や感染リスクについて解説してきました。

    フィラリア薬を飲み忘れた時の対処方法についておさらいしておきましょう。

    フィラリア予防薬を飲ませ忘れた場合の対処法

    犬のフィラリア症は、命に関わる病気であり、治療も難しいことが多いため、予防が大切です。

    フィラリア症の予防は、毎月フィラリア薬を飲ませるだけなので簡単です。

    飼い主さんは、しっかりと毎月フィラリア薬を飲ませてあげることを心がけ、飲ませ忘れた場合には適切に対処してあげるようにしましょう。

    参考文献
    (*1)犬における犬糸状虫感染症の予防・診断・治療最新ガイドライン(2018年改訂)

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    獣医師 入江 悠

    執筆者

    獣医師
    入江 悠
    獣医師国家資格

    宮崎大学農学部獣医学科卒業。関西の動物病院に勤務。大学では、循環器内科を専攻し現在の勤務先でも循環器を得意分野として診察を行う。実家では、愛犬である柴犬「たま」を飼っている。柴犬好きな獣医師です。 獣医師として、飼い主さんの悩みに寄り添い、信頼できる正確な情報を多くの人にお届けできたらと思いライター活動を行なってます。保有資格:獣医師国家資格

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