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犬はぶどうをなぜ食べてはいけないの?中毒や病気になる原因に!
なぜ、犬はぶどうを食べてはいけないのでしょうか。それは、中毒症状や病気を発症させる恐れがあり、命に係わることもあるからです。
ぶどうが犬にとって中毒症状や病気を発症するリスクがあると報告されたのは2001年のことですが、実際にアメリカやイギリス、日本でもぶどうやレーズン(干しぶどう)で中毒を起こしてしまった犬が多数報告されています。
犬がぶどうを食べたら起こり得ること
犬がぶどうを食べると、腎臓に障害を起こすぶどう中毒が引き起こされることが知られていますが、それ以外にもさまざまな臓器に影響を与えることが確認されています。(※1)
また、後遺症が残り慢性腎臓病となって、継続的な治療が必要になることもあります。(※2)
■犬がぶどうを食べたら起こり得ること
・肝酵素の数値上昇(ALTなど)
・尿細管変性
・重度の尿細管壊死
・腸粘膜からの出血
・脾臓の線維素性腹膜炎
・高窒素血症
・高カルシウム血症
・高リン血症
・急性腎不全
・慢性腎臓病
犬がぶどう中毒を起こす原因は不明
ぶどうの何が原因で犬に中毒症状を引き起こすかは不明で、さまざまなことが考えられていますが、特定には至っていないのが現状です。
■考えられている原因
・農薬や殺虫剤
・重金属
・カビ毒
・ビタミンDの類似物質
・ぶどう由来の未知の成分
・体質
ぶどう中毒を起こす摂取量や致死量もわかっていない
ぶどうの怖いところは、犬がどれくらいの量を食べたらぶどう中毒になるかがはっきりわかっていないことです。
1粒のぶどうでぶどう中毒を起こす犬もいれば、何粒食べても元気な犬もおり、ぶどうの量と発症の関係はまだ解明されていません。
しかし、ぶどうを食べたことで急性腎不全を発症し命を落としてしまった犬もいる(※3)ことから、うっかり食べさせてしまったり、落ちたぶどうを犬が食べることのないように十分に注意が必要です。
犬がぶどうを食べたときの症状は、繰り返す嘔吐やおしっこが少ないなど
犬がぶどうを食べてぶどう中毒になってしまった場合は、ぶどうを食べた5~6時間後から24時間以内に嘔吐が現れることがほとんどです。
■ぶどう中毒の症状
- 繰り返す嘔吐
- 下痢
- 腹痛
- 元気がなくなる
- 食欲がなくなる
- 震え
- 水をよく飲むようになる
- いつもよりおしっこの量が少なくなる(乏尿)
症状が現れるまでの時間や症状は犬の個体差によって異なりますが、症状を見逃さずに適切に対処してあげることが大切です。
犬がぶどうを食べてしまったときの対処法
愛犬がぶどうを食べてしまったときは、慌てず冷静に対処してください。
対処法のポイントは3つあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
動物病院を受診する
犬がぶどうを食べても、必ずしもぶどう中毒になるわけではありません。
しかし、ぶどう中毒になって更に急性腎不全を発症すれば早ければ1日で命を落とすこともあるため、症状が見られたときは早急に動物病院を受診して治療を始めてもらう必要があります。
動物病院を受診するときは、
- ぶどうを食べた時間
- ぶどうの種類(デラウェア、巨峰、マスカットなど)
- ぶどうの状態(生、加熱、ジュース、菓子、レーズン、皮つきなど)
- どれくらいの量を食べたか
- どんな症状が出ているか
を獣医師に伝えることが、スムーズで的確な治療を行う上で重要な情報です。
犬がぶどう中毒などを起こしている場合の治療に有効な薬はありませんが、状況に合わせて催吐処置(食べたものを吐かせる)や胃洗浄、点滴などの対処療法や検査が行われ、その後の治療方針などが決められます。
飼い主さんが吐かせることは絶対にしない!
愛犬がぶどうを食べてしまったからと言って、飼い主さん自身が吐かせることは絶対にやめてください。
犬に吐かせる方法がインターネット上でいろいろ紹介されていますが、どの方法も危険です。
■飼い主さんが愛犬を吐かせるリスク
・嘔吐が止まらなくなる
・水中毒や塩中毒などの命に係わる重篤な障害
・オキシドールによる胃や食道粘膜の重度な障害
実際に飼い主さんが吐かせようとして、その後に犬の元気や食欲がなくなり動物病院に駆け込むことは珍しいことではありません。
ぶどう中毒では早急に適切な処置を受けることが重要なので、自分で行おうとはせずに動物病院を受診してください。
元気でも獣医師に相談する
犬がぶどうを食べてしまった場合は、例え元気で普段と変わらない様子であっても早めに獣医師に相談してください。
多量に食べている場合では、症状がなくても早急に動物病院を受診する必要があります。
ぶどうはぶどう中毒だけでなく、犬の体内の臓器に影響を与えている場合もあり、油断してはいけないものです。
自己判断で様子見することはとても危険なことなので、必ず獣医師に相談して、指示に従いましょう。
犬が食べてはいけないものや注意が必要なものは以下の記事でご紹介しています。
犬が食べてはいけないものを解説!36種類の症状や対処法、加熱調理が必要な食材も紹介
犬がぶどうを食べてしまったときのよくあるQ&A
ぶどうは1粒でも危険?
現在、ぶどうをどれだけ食べたらぶどう中毒を起こすかのはっきりとした量はわかっていませんが、1粒でも食べてしまったときは獣医師に相談してください。
犬がぶどうを食べたけど腎不全になる?
犬がぶどうを食べても、必ずしも急性腎不全になったり慢性腎臓病になるわけではありません。
しかし、ぶどうは犬の体に悪影響を与えるものなので、食べてしまったときは必ず獣医師に相談してください。
ドッグフードに含まれるぶどうは大丈夫?
ドッグフードによっては原材料にぶどうの名前が表記されていることがありますが、FDA(アメリカ食品医薬品局)は安全を認めておらずAAFCOの原材料の定義にも含まれていないため、心配な飼い主さんは避けておいたほうが無難と言えます。
海外メーカーの一部のドッグフードに「Dried Grape Pomace(ぶどうの搾りかすを乾燥させたもの)」が使用されているとして、ケンタッキー州農業省からメーカーにぶどうを除去するように求めています。(※4)
日本でも販売されているドッグフードで、メーカー側は安全性を確認しているとして今現在も進展はなく、実際に犬に影響があったという報告もないため、過剰に心配する必要はありませんが、心配な場合は避けたほうが無難でしょう。
まとめ
犬は飼い主さんが美味しそうに食べているものを欲しがることがありますね。しかし、ぶどうはついうっかりでも少しだけでも与えてはいけないものなので、絶対に愛犬に食べさせないようにしてください。
また、食べてしまったときは必ず獣医師に相談したり動物病院を受診し、愛犬の健康や命を守ってあげることが大切です。
たかがぶどうとは思わず、ぶどうは犬にとって危険な食べ物であることを十分に理解し、ぶどうやレーズンが含まれているようなパンやクッキーなどの保管場所にも注意してくださいね。
<参考文献>
(※1)参考:獣医師会会報44‐2「ぶどう中毒を発症した犬の考察」
(※2)参考:NlH「Retrospective evaluation of the clinical course and outcome following grape or raisin ingestion in dogs (2005-2014): 139 cases」
(※3)参考:日本小動物獣医学会誌「ブドウ接種後に急性腎不全を発症して死亡した犬の一例」
(※4)参考:Truth about Pet Food「Science Diet Using Dried Grapes In Dog Food?」
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執筆者
- ペットライター
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たかだ なつき
- JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー