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犬が食べてはいけないもの一覧表
※食材名をクリックすると、与えると起ことや危険な量について見ることができます
犬が食べてはいけないものを食べて、症状が現れる量や時間は個体によって異なりますが、症状が現れた場合は早急に動物病院を受診してください。
また、食べたものの種類によっては症状が現れるまでに数日かかることもあるため、食べてしまったときは獣医師に連絡し、指示を仰ぎましょう。
この記事では、「病気の犬が食べないほうがいいもの【病気別】」や「食物アレルギーの犬が原因となる食材を食べたときのリスク」も紹介しています。
【一口でもダメ!】犬が絶対に食べてはいけないもの
犬が食べてはいけないものや、注意すべきものはさまざまあります。この章では、犬が絶対に食べてはいけないものをご紹介します。
■一口でも犬が食べてはいけないもの
※食材名をクリックすると詳しい解説に飛びます。
玉ねぎなどのネギ類
犬が玉ねぎなどのネギ類を食べてはいけないのは、ネギ類に含まれる成分によって赤血球が破壊されるためです。体内の赤血球が少なくなると、体の組織に十分な酸素が行き届かなくなり、貧血を起こします。
中毒を起こす成分 |
有機チオ硫酸化合物 |
起こること |
ハインツ小体の形成、溶血性貧血、血色素尿症 |
致死量 |
玉ねぎ:15~30g/1kg・もしくは一度に体重の0.5%以上(※1) |
中毒症状が現れる時間 |
1日~数日 |
注意点 |
加熱や乾燥、エキスにしても毒性が残る |
危険度 |
死に至ることもある |
犬はネギ類に含まれる「有機チオ硫酸化合物」を分解する酵素がありません。加熱や加工されたものでも毒性があるため注意が必要です。
■ネギ類
玉ねぎ、青ネギ、白ネギ、長ネギ、万能ねぎ、わけぎ、あさつき、小ネギ、エシャロット、ニラ、ラッキョウ、リーキなど
犬が玉ねぎやネギ類を食べると…「中毒と貧血」を起こす
犬が玉ねぎやネギ類を食べた場合、貧血によって呼吸困難に陥ったり、重度の黄疸で命を落としてしまう犬もいる(※2)ため、絶対に犬が口にしないようにしてください。
■玉ねぎやネギ類中毒の症状
・嘔吐
・下痢
・腹痛
・食欲がなくなる
■貧血が起きているときの症状
・元気がなくなる
・舌や歯肉の色、唇の粘膜や目の結膜が白っぽい
・褐色の尿
・黄疸
・呼吸が速い
【獣医師監修】犬が玉ねぎを食べてしまったら?少量でも危険?中毒症状と対処法・応急処置を紹介
ぶどう
ぶどうは犬の命を奪う恐れがあり、食べてはいけないものです。ぶどうが中毒を起こす可能性があるとして注目されたのは2001年で、これまでにアメリカやイギリス、日本でも中毒症状を起こした犬がいることが多数報告されています。(※3)
ぶどうを食べても大丈夫な犬もいることから、中毒を起こす原因は、農薬やカビ毒、ぶどう由来の未知の成分や重金属、体質などさまざまなことが考えられていますが、特定には至っていません。
中毒を起こす成分 |
不明 |
起こること |
高窒素血症、高カルシウム血症、高リン血症、急性腎不全、尿細管変性、尿細管壊死 |
致死量 |
不明、1粒で中毒症状を起こした犬もいる |
中毒症状が現れる時間 |
摂取後5~6時間後:嘔吐 / 数日後:腎不全 |
注意点 |
加熱や乾燥、絞りカスでも危険 |
危険度 |
急性腎不全で死に至ることもある |
ぶどうを乾燥させたレーズンもぶどう中毒が報告されているため、絶対に食べさせないようにしてください。
■ドッグフードに含まれるぶどうについて
海外メーカーの一部のドッグフードには原材料にぶどうが含まれています。使用しているのは「Dried Grape Pomace(ぶどうの搾りかすを乾燥させたもの)」ですが、FDAは安全を認めておらずAAFCOの原材料の定義にも含まれていません。そのため、ケンタッキー州農業省からメーカーにぶどうを除去するように求めていますが現在も進展はありません。(※4)安全性が不明のため避けたほうが無難です。
犬がぶどうを食べると…「ぶどう中毒」を起こす
犬がぶどうを食べた場合、ぶどう中毒を起こす可能性があります。ぶどう中毒は急性腎不全を発症し、早ければ1日で命を落とすこともあるため、早急に治療を受けることが重要です。
■ぶどう中毒の症状
・繰り返す嘔吐
・下痢
・腹痛
・元気がなくなる
・震え
・尿の排泄量の低下(乏尿)
【獣医師監修】犬にぶどうはだめ!食べてしまった時の対処法やなぜダメなのか中毒症状を解説
チョコレート
犬が食べてはいけないものとして代表的な食べ物の1つでもあるチョコレートは、原材料のカカオにテオブロミンやカフェインが含まれています。犬はテオブロミンを分解する能力が低く、取り入れてから分解するまでに時間がかかり、体内に残っていることで成分の効果(血管拡張作用や神経刺激作用など)が強く出てしまいます。(※5)
犬の心臓に負担がかかって突然死することもあるため、絶対に食べさせてはいけません。
中毒を起こす成分 |
メチルキサンチン酸(テオブロミン、テオフィリン、カフェイン) |
起こること |
神経症状、循環器症状、腎臓に負担 |
致死量 |
テオブロミン:100~500mg/1kg |
中毒症状が現れる時間 |
摂取後4~15時間 |
注意点 |
甘くないチョコレートほど中毒症状が出やすい |
危険度 |
死に至ることもある |
また、ストロベリーやホワイトチョコレートでは、テオブロミンやカフェインがほとんど含まれていないので中毒症状を起こすことはありませんが、脂肪分や糖分が多いのでこちらも食べさせないようにしてください。
■100gあたりのテオブロミン含有量の目安(※6、7)
・ストロベリーチョコレート…0mg
・ホワイトチョコレート…0~13.6mg
・ミルクチョコレート…220~270mg
・ビター、ダーク、高カカオ70~86%チョコレート…460~990mg
・ブラック、高カカオ99%チョコレート…800~1100mg
・ベーキングチョコレート…1300~1600mg
・ココアパウダー…500~2100mg
犬がチョコレートを食べると…「チョコレート中毒」を起こす
犬がチョコレートを食べた場合に中毒症状を起こす可能性がありますが、その症状は以下で記載しているようにさまざまです。いつもと様子がおかしいと感じたときや、テオブロミンを多く摂取したときは症状がなくても動物病院を受診してください。
■チョコレート中毒の症状
・嘔吐
・下痢
・神経過敏や興奮
・震え
・頻脈や不整脈
・麻痺
・昏睡
・痙攣
・突然死
【獣医師監修】犬がチョコレートを食べた時の症状と対処法|致死量はどれくらい?
キシリトール
キシリトールは果物や野菜、犬用のデンタルケア用品にも含まれていることのある成分ですが、その量はごく僅かです。しかし、人間用のガムや歯磨き粉に使用されるキシリトールは量が多く、犬が食べてしまうとインスリンの分泌を急激に刺激して重い中毒症状が現れることがあるので注意が必要です。(※8)
中毒を起こす成分 |
キシリトール |
起こること |
衰弱、低血糖、肝障害 |
致死量 |
キシリトール:100mg/1kg |
中毒症状が現れる時間 |
摂取後数分~12時間 |
注意点 |
空腹時に摂取すると影響が大きくなる |
危険度 |
大量に摂取すると死に至ることもある |
キシリトールは身近にある成分のため、舐めた程度では中毒症状は起こりませんが、人間用の食品などを少量でも食べた場合は獣医師に相談してください。
■人間用の食品などでキシリトールが含まれているもの
ガム、キャンディー、クッキー、チョコレート、果物の缶詰、ゼリー、プリン、ソロップ、栄養バー、清涼飲料水、粉末ドリンク、歯磨き粉、うがい液、トローチ、化粧品、ウェットティッシュなど
犬がキシリトールを食べると…「キシリトール中毒」を起こす
キシリトールによる中毒症状は、低血糖や急性肝不全を発症することで起こります。ふらついたり立てないといった症状は緊急性が高いため、早急に動物病院を受診する必要があります。
■キシリトール中毒の症状
・嘔吐
・下痢
・食欲がなくなる
・元気がなくなる
・ふらつく
・立てない、歩けない
・ぐったりしている
・黄疸
・痙攣
アルコール
犬はアルコールを分解する酵素や代謝系を持っておらず、アルコールを無害化することなく吸収して脳や中枢神経に直接作用します。また、完全に排出されるまでの間、体内にアルコールが残った状態が長く続き、心臓や腎臓、肝臓などさまざまな臓器にも悪影響を及ぼします。
命を落とすこともあるため、少量であっても犬にアルコールを飲ませてはいけません。
中毒を起こす成分 |
アルコール |
起こること |
神経症状、抑うつ、心肺機能への影響 |
致死量 |
アルコール:5~6ml/1kg |
中毒症状が現れる時間 |
摂取後30分~1時間 |
注意点 |
加熱してもアルコールは残る |
危険度 |
死に至ることもある |
また、人間の料理にはアルコールを使用することも多く、どんな料理法をもってもアルコールは完全に消えることはないほか食材にも染み込みます。人間では問題のない量ですが、犬には食べさせないようにしてください。
■アルコールが含まれているもの
お酒類、みりん、アルコールを使用した菓子類、生のパン生地、生のピザ生地、消毒液、除菌シート、ウェットティッシュ、マウスウォッシュなど
犬がアルコールを飲むと…「アルコール中毒」を起こす
人間でも急性や慢性のアルコール中毒があるように、犬がアルコールを飲むとアルコール中毒を起こす可能性があります。体の小さな犬では舐めただけでも命に係わる可能性があるため、早急に動物病院を受診してください。
■アルコール中毒の症状
・嘔吐
・下痢
・ぼんやりしている
・ぐったりしている
・酔っぱらったようにふらふらする
・意識がもうろうとしている
・呼吸が弱くなる
・昏睡
【ゴミ処理などに注意!】犬が食べないように注意すべきもの
犬が食べるのは食材だけとは限りません。生ゴミや何気なく置いたものでも食べてしまうことがあります。この章では、犬が食べないように注意すべきものをご紹介します。
■犬が食べないように注意すべきもの
※食材名をクリックすると詳しい解説に飛びます。
野菜や果物の種
野菜や果物の種には注意が必要です。種の中にはアミグダリンが含まれているものもあり、体内で猛毒のシアン化水素(青酸ガス)を発生させてしまうことがあります。また、毒性のない種であっても、犬の喉や腸に種を詰まらせてしまったり消化不良を起こす可能性があり、種の処理には気をつけましょう。
中毒を起こす成分 |
アミグダリン |
起こること |
青酸中毒、消化不良、窒息、腸閉塞 |
致死量 |
アミグダリン:0.5~3.5mg/1kg(人間の場合)(※9) |
中毒症状が現れる時間 |
摂取後30分~1日以内 |
注意点 |
すり潰すと毒性が強くなる |
危険度 |
死に至ることもある |
また、スイカなどの種は毒性もなく、ツルンとした表面で小さいため少量を食べても便と一緒に排出されますが、大量に食べた場合は消化不良を起こすことがあるので注意してください。
■特に危険な野菜や果物の種
さくらんぼ、モモ、あんず(アプリコット)、リンゴ、柿、ビワ、プルーン(すもも)、アボカド
犬が野菜や果物の種を食べると…種の種類によっては「青酸中毒や腸閉塞」を起こす
野菜や果物の種は犬が飲み込めてしまう大きさであることが多く、喉に詰まらせて窒息や、腸で詰まって腸閉塞ということが起きる可能性があります。また、アミグダリンが含まれている種を噛み砕いていた場合では、青酸中毒を起こす可能性もあるので注意が必要です。
■青酸中毒の症状
・嘔吐
・下痢
・呼吸困難
・痙攣
■腸閉塞の症状
・嘔吐
・げっぷ
・嘔吐やげっぷから腐敗臭がする
・便が出ない
・腹痛
・食欲がなくなる
柑橘類(みかん、オレンジ、グレープフルーツなど)の皮
みかんやグレープフルーツ、オレンジなど柑橘類の果物は犬が食べても大丈夫ですが、柑橘類の皮は食べさせてはいけません。柑橘類の皮には中毒を起こす可能性のあるソラレンが含まれているほか、防腐剤や防虫剤などの残留農薬、人工ワックス(主に原油)などが付着しています。
中毒を起こす成分 |
ソラレン |
起こること |
消化不良、嘔吐や下痢 |
致死量 |
ー |
中毒症状が現れる時間 |
摂取後30分~1日以内 |
注意点 |
内側の皮や白いスジも消化不良を起こす可能性 |
危険度 |
普通 |
犬が柑橘類の皮を食べると…「中毒や消化不良」を起こす
ソラレンによる中毒はもちろん、もともと柑橘類の皮は消化しにくいため消化不良を起こす可能性があります。
また、現在使用が許可されている農薬や人工ワックスが犬にどんな影響を与えるかははっきりしていませんが、過去に使用されていた農薬ではドッグフードに含まれる残留農薬によって、犬に肝臓障害や腎臓障害、神経障害を引き起こす可能性があるとされています。(※10)
犬はみかんを食べても大丈夫?与え方と柑橘類の注意点を解説【獣医師監修】
じゃがいもの芽やナスやトマトのヘタ
じゃがいもの芽やナスやトマトのヘタには自然毒素が多く含まれているため、犬が食べてはいけない部位です。ソラニンやチャコニンといったグリコアルカロイドによる健康被害は人間の子供でも報告されています。(※11)通常であれば食べることはない部位ですが、生ごみの処理に十分注意してください。
中毒を起こす成分 |
グリコアルカロイド(ソラニン、チャコニン) |
起こること |
胃腸炎、神経症状、昏睡 |
致死量 |
グリコアルカロイド:1~3mg/1kg(人間の場合)(※11) |
中毒症状が現れる時間 |
数時間~1日 |
注意点 |
・加熱しても毒性が残る
・家庭菜園のじゃがいもにも注意 |
危険度 |
大量摂取により死に至ることもある |
致死量は人間の大人のものですが、それでも1~3mgととても少ない量です。犬ではもっと少ない量で致死量になることが考えられるため、絶対に食べさせてはいけません。
■犬が食べてはいけない部位
じゃがいもの芽、じゃがいもの皮、黄緑や緑色になったじゃがいも、じゃがいもの傷がある部分、ナスの茎、ナスのヘタ、トマトのヘタ、熟していない青いトマト
犬がじゃがいもの芽やナスやトマトのヘタを食べると…「中毒や胃腸炎」を起こす
犬がソラニンやチャコニンなどのグリコアルカロイドを摂取した場合、中毒や胃腸炎を起こす可能性があります。軽度の胃腸炎がずっと続く場合もあり、中毒だと気づきにくいため注意してください。
■ソラニンやチャコニン中毒の症状
・嘔吐
・下痢
・吐き気
・震え
・脈が速い
・失神
・痙攣
・呼吸困難
・昏睡
【獣医師監修】犬はじゃがいもを食べても大丈夫!与え方や注意点を解説
未熟なプルーン
未熟なプルーンの果肉や、種や葉などに含まれる「アミグダリン」は体内で猛毒のシアン化水素(青酸ガス)を発生させます。果肉に含まれるアミグダリンは成熟すると消失しますが、種や葉などにはアミグダリンが含まれているので注意してください。
また、プルーンは高カリウムで食物繊維が豊富という特徴がありますが、過剰に摂取するとプルーンに含まれるソルビトールによって食物繊維の作用が高まり激しい下痢が引き起こされるため、多量に食べさせないようにしましょう。
中毒を起こす成分 |
アミグダリン、カリウム、ソルビトール |
起こること |
青酸中毒、高カリウム血症 |
致死量 |
アミグダリン:0.5~3.5mg/1kg(人間の場合)(※9) |
中毒症状が現れる時間 |
摂取後30分~1日以内 |
注意点 |
未熟なものやドライプルーンは食べてはいけない |
危険度 |
死に至ることもある |
アミグダリンによる犬の致死量はわかっていませんが、人間でも微量で危険な状態となるため未熟なプルーンや種には十分に注意してください。
■プルーンの種類
プルーン、プラム、すもも
※どれも同じで未熟なものは犬が食べてはいけないもの
犬が未熟なプルーンやドライプルーンを食べると…「青酸中毒や高カリウム血症」を起こす
犬が未熟なプルーンを食べた場合、青酸中毒を起こす可能性があります。また、ドライプルーンのカリウム量は特に多いため、高カリウム血症を起こす可能性が高まります。
■プルーンの青酸中毒の症状
・嘔吐
・下痢
・痙攣
・呼吸困難
■高カリウム血症の症状
・吐き気
・手足のしびれ
・筋力の低下
・不整脈
・心停止
未熟なアボカド
未熟なアボカドに含まれる「ペルシン」は、殺菌作用のある毒素で人間には無害ですが動物にとっては有毒で命を落とすこともあり、FDA(アメリカ食品医薬品局)でも与えないように警告しています。(※12)ペルシンは皮や種に多く含まれており、熟したアボカドの果肉にはほとんど含まれていません。
中毒を起こす成分 |
ペルシン |
起こること |
呼吸器症状、心筋組織の損傷、膵炎のリスクが高まる |
致死量 |
アボカドの種類によって異なるため不明 |
中毒症状が現れる時間 |
1日~3日 |
注意点 |
・未熟なものは加熱や加工しても毒性は残る
・同じ部屋で加熱しただけでも鳥には危険
・葉や皮も危険、種による窒息や腸閉塞
・ラテックスアレルギーの犬は注意 |
危険度 |
死に至ることもある |
しかし、熟したアボカドであっても多量に摂取すれば体調不良を起こす可能性もあるため注意してください。
■ドッグフードに含まれるアボカドについて
ペルシン含有量が極めて少ない品種のアボカドを使用しており、1日の給与量を守っていれば問題ないとされていますが、心配な場合は避けた方が無難です。
犬が未熟なアボカドを食べると…「中毒や病気」を起こす
未熟なアボカドは青酸中毒を起こす可能性がありますが、熟したアボカドであっても多量に食べればアボカドは高脂質であることから急性膵炎や糖尿病といった病気を起こす可能性があります。また、種を飲み込んでしまった場合では、喉に詰まらせて窒息や腸に詰まって腸閉塞などを起こす危険性があるため注意が必要です。
■アボカド中毒の症状
・嘔吐
・下痢
・腹痛
・食欲がなくなる
■緊急性の高い症状
・頻繁に吐く
・赤い色の痰や泡を吐く
・湿った咳をする
・全身のむくみ
・舌の色が紫っぽい
・呼吸が荒い
・痙攣
【獣医師監修】犬はアボカドを食べられる?与える量や注意点を解説
コーヒーや紅茶
コーヒーや紅茶などに含まれる「カフェイン」は、中枢神経を刺激して覚醒する作用があります。しかし心筋や中枢神経系に直接作用するため、多量に摂取すると中毒を起こし命を落とすことも。実際、人間でもカフェイン中毒による健康被害や死亡例などもある(※13)ため、犬が口にしないように注意してください。
中毒を起こす成分 |
カフェイン |
起こること |
低カリウム血症、高血糖、低血圧、高血圧、不整脈、意識障害 |
致死量 |
カフェイン:100~200mg/1kg |
中毒症状が現れる時間 |
摂取後2~4時間 |
注意点 |
個体差はあるが20mgから中毒症状が見られる |
危険度 |
普通 |
また、ドッグフードや犬用おやつには「緑茶抽出物」が含まれているものもありますが、犬が口にするものはカフェインと分離された状態で使用されているため過剰に心配する必要はありません。
■カフェインが含まれているもの
抹茶、せん茶、ほうじ茶、玄米茶、ウーロン茶、紅茶、コーヒー、カフェインレスコーヒー、ココア、コーラ、エナジードリンク(栄養ドリンク)、コーヒーゼリー、コーヒー牛乳など
犬がカフェインを含んだものを多量に飲むと…「カフェイン中毒」を起こす
飲料に含まれるカフェインの量は異なりますが、舐めたり少量を飲んだ程度であればそこまで心配する必要はありません。しかし、たくさん飲んでしまった場合はカフェイン中毒を起こす可能性があるため、獣医師に連絡して指示を仰いでください。
■カフェイン中毒の症状
・嘔吐
・下痢
・尿失禁
・脈が速くなる
・落ち着きがなくなる
・水をたくさん飲む
・ぐったりしている
・筋肉が硬直する
・不整脈
・痙攣
【獣医師監修】犬がコーヒーを舐めた!中毒症状は?どれくらいなら大丈夫?コーヒーは絶対ダメ!
香辛料(唐辛子、マスタード、わさびなど)
香辛料は犬が食べても大丈夫なものと食べてはいけないものがありますが、辛みのある香辛料を食べると胃腸への刺激が強すぎて下痢などを引き起こすほか、肝臓や腎臓に負担をかけてしまうため注意が必要です。
中毒を起こす成分 |
ー |
起こること |
胃腸障害、肝臓や腎臓への負担、胃の感覚麻痺 |
致死量 |
ー |
中毒症状が現れる時間 |
ー |
注意点 |
辛みのある香辛料はNG |
危険度 |
低い |
また、辛みのある香辛料に限らず、辛い食べものは犬の体に負担となるためカレーやキムチといった刺激のある人間の食べ物は与えないようにしましょう。
■犬が食べてはいけない香辛料の種類
唐辛子、マスタード(洋からし)、からし(和からし)、わさび、山椒、こしょう
犬が辛みのある香辛料を多量に食べると…「胃腸障害」を起こす
犬は嗅覚が優れているため刺激の強い香辛料を食べることは少ないですが、食べてしまった場合は胃腸障害を起こすほか胃の感覚が麻痺してしまい、正常に機能しないことでさまざまな病気を引き起こす可能性もあります。
■胃腸障害の症状
・下痢
・腹痛
・嘔吐
・食欲がなくなる
■スナック菓子やせんべいなど人間の菓子類にも注意
スナック菓子などには、香辛料やオニオンパウダーなどさまざまなものが使用されています。人間の菓子類は犬にとって味が濃く、ドッグフードを食べなくなってしまうこともあるため注意してください。
【与え過ぎはダメ!】多量に犬が食べてはいけないもの
犬に限ったことではありませんが、どんな食べものであっても食べていい量には限度があります。ここでは、多量に犬が食べてはいけないものをご紹介します。
■多量に犬が食べてはいけないもの
※食材名をクリックすると詳しい解説に飛びます。
いちじく
いちじくに含まれる光毒性物質の「ソラレン」やタンパク質分解酵素の「フィシン」は、犬の体に悪影響を与えるため、多量に食べさせてはいけません。また、いちじくは天然ゴム製品と共通の構造をしたタンパク質なので、ラテックスアレルギー(天然ゴムの成分ラテックスのタンパク質アレルギー)がある犬ではアレルギー反応を起こしやすくなります。
中毒を起こす成分 |
ソラレン、フィシン |
起こること |
口内炎、皮膚炎、アレルギー |
致死量 |
不明 |
中毒症状が現れる時間 |
摂取後30分~1日以内 |
注意点 |
・加熱や乾燥をしても毒性が残る
・ラテックスアレルギーの犬は特に注意 |
危険度 |
普通 |
犬がいちじくを多量に食べると…「中毒やアレルギー反応」を起こす
いちじくでは通常の嘔吐や下痢といった中毒症状のほかに、フィシンの作用によって口腔内の粘膜が荒れてよだれが出るといったことが起こる可能性があります。
■いちじくの中毒症状
・嘔吐
・下痢
・食欲がなくなる
・水を飲まなくなる
・口内炎
・よだれ
■いちじくのアレルギー症状
・触れたところに痒みや赤みが出る
・咳や喘鳴
・アナフィラキシーショック
マカダミアナッツ
マカダミアナッツは中毒を起こす可能性が高く脂質も多いため、多量に犬が食べてはいけないものです。しかし、なぜ中毒を起こすのかははっきりわかっていません。また、マカダミアナッツは消化されにくいため、丸ごと飲み込むと腸に詰まって腸閉塞を起こすこともあります。
中毒を起こす成分 |
不明 |
起こること |
消化不良、マカダミアナッツ中毒、腸閉塞 |
致死量 |
ー |
中毒症状が現れる時間 |
摂取後30分~12時間以内 |
注意点 |
大量に摂取した場合や激しい嘔吐は積極的な治療が必要 |
危険度 |
普通 |
犬がマカダミアナッツを多量に食べると…「マカダミアナッツ中毒」を起こす
マカダミアナッツは中毒を起こす可能性が高い(※14)ですが、軽度であれば無治療でも24時間以内に症状は回復します。しかし、激しい嘔吐を起こしている場合は脱水を起こす可能性があるため、動物病院を受診してください。
■マカダミアナッツ中毒の症状
・嘔吐
・腹痛
・立ち上がれない、歩けない
・震え
・高熱
ぎんなん
少量であれば犬の薬膳に使用することもあるぎんなんですが、ぎんなんには神経毒の「メチルビリドキシン」が含まれており、多量に食べさせてしまうとビタミンB6が本来の働きをせず、ビタミンB6欠乏症となってしまうことでさまざまな異常をきたします。
中毒を起こす成分 |
メチルビリドキシン |
起こること |
神経症状、ビタミンB6欠乏症 |
致死量 |
不明 |
中毒症状が現れる時間 |
摂取後1時間~12時間 |
注意点 |
加熱しても毒性が残る |
危険度 |
死に至ることもある |
犬がどれだけぎんなんを食べると中毒を起こすかはわかっていませんが、子供では7粒食べただけでも中毒症状を起こしているため、与え過ぎには注意が必要です。
■ぎんなんの殻にも注意
ぎんなんの殻には皮膚炎を引き起こすギンコール酸が付着しているため、犬が落ちているぎんなんの殻の匂いを嗅いだり、踏んだ場合に鼻先や足裏に皮膚炎を起こす可能性があります。食べてしまうと消化器官を傷つけたり腸閉塞となることもあるため、十分に注意してください。
犬がぎんなんを多量に食べると…「中毒」を起こす
ぎんなんは非常に毒性が強いため、犬が多量に食べると中毒を起こし、さまざまな神経症状が現れる可能性があります。多量に口にした場合は動物病院を受診してください。
■ぎんなんの中毒症状
・嘔吐
・下痢
・腹痛
・元気がなくなる
・痙攣
・呼吸困難
・意識混濁
犬が食べてはいけないものを食べたときの対処法
犬が食べてはいけないものを食べたときは、慌てずに冷静に対処することが大切です。本当に食べてしまったのかもう一度確認するとともに、食べてしまったときはまず獣医師に電話で相談してください。
動物病院を受診する
犬が食べてはいけないものを食べても、必ずしも症状が出るわけではありません。しかし、中毒症状や腸閉塞などは数日後に起こることもあるため、以下のような場合は早急に動物病院を受診してください。
■動物病院を受診する目安
・犬に中毒症状を起こすものを食べた
・中毒を起こす果物の種、大きな種を飲み込んだ
・食べてはいけないものを大量に食べた
・症状がある
このとき、
「いつ」「何を」「どんな状態で(生or加熱など)」「どれくらいの量」
がスムーズに的確な治療を行う上でも重要になります。
犬が食べたものにどんな成分が含まれているかわかるように、パッケージや同じ商品などがあれば一緒に持って行くようにしてください。
また、チョコレートなどはすぐに胃で溶けてしまうため1時間以内、通常の食べものは2~3時間以内であれば動物病院で催吐処置や内視鏡処置などを受けられることもあります。
時間が経っていても、中毒症状を抑える処置や薬剤投与、点滴などの対症療法が行われるため、必ず受診してください。
自分では絶対に吐かせない
犬が食べたものを吐かせる方法がインターネット上でいろいろ紹介されていますが、どれも危険なので絶対に行ってはいけません。食べたものの種類によっては、吐かせてはいけないもの、吐かせないほうがいいものもあります。
■飼い主さんが愛犬を吐かせるリスク
・嘔吐が止まらなくなる
・水中毒や塩中毒などの命に係わる重篤な障害
・オキシドールによる胃や食道粘膜の重度な障害
実際、飼い主さんが塩やオキシドールを使用して吐かせようとして、その後に元気や食欲がなくなり動物病院に駆け込むことは少なくありません。
時間のロスと犬の負担を考えれば、動物病院で適切に処置を行ってもらうことが一番です。
【与え方に注意!】犬に食べさせるときに加熱調理や注意が必要なもの
犬は多くのものを食べることができますが、与え方に注意してあげないものも多々あります。ここでは、犬に食べさせるときに加熱調理や注意が必要なものをご紹介します。
■犬に食べさせるときに加熱調理や注意が必要なもの
※食材名をクリックすると詳しい解説に飛びます。
牛乳
犬は、牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)が少なく、乳糖があまり分解されずに大腸まで届いてしまい下痢や消化不良を引き起こします。ラクターゼの量には個体差があり、飲んでも大丈夫な犬と飲んだらお腹を壊す犬がいますが、飲んでみなければわからないため積極的に飲ませるものではありません。
また、ヨーグルトの乳糖は発酵の工程で一部分解されているほか、乳酸菌には乳糖の分解をサポートする働きがありますが、乳糖がまったく0というわけではないためお腹の弱い犬では注意が必要です。
注意する成分 |
乳糖(ラクトース) |
起こること |
乳糖不耐症 |
致死量 |
ー |
中毒症状が現れる時間 |
ー |
注意点 |
・尿石症の犬は牛乳もヤギミルクもNG
・与え過ぎは肥満になる
・水で薄めたり加熱して与える |
危険度 |
ー |
犬が牛乳を飲むと…お腹が弱い場合「乳糖不耐症」を起こす
牛乳は乳糖不耐症を起こす可能性があり、症状は12時間~24時間程度続きます。どうしても牛乳を飲ませたい場合は、人間用の牛乳ではなく犬用ミルクやヤギミルクにしましょう。
牛乳を飲ませるリスクや与え方は以下の記事をご覧ください。
犬に牛乳は下痢の原因になることも!与える場合は少しずつ
生卵の白身
犬は生卵を食べても問題はありませんが、生卵の白身部分だけを継続的に摂取すると、白身に含まれる「アビジン」によってビタミンB群の1種であるビオチン欠乏症になる恐れがあります。
黄身と一緒に食べれば、黄身に含まれる豊富なビオチンによってアビジン欠乏症を防げるため、生卵を食べさせる場合は白身部分だけでなく黄身も一緒に食べさせましょう。また、アビジンは加熱することで不活性化します。
注意する成分 |
アビジン |
起こること |
ビオチン欠乏症、皮膚炎、脱毛 |
致死量 |
ー |
中毒症状が現れる時間 |
ー |
注意点 |
全卵で与えるか加熱する |
危険度 |
低い |
犬が生卵の白身だけを継続的に食べると…「ビオジン欠乏症」を起こす
生卵の白身だけを継続的に与えることはそうそうないと思いますが、白身だけを食べ続けた場合はビオジン欠乏症を起こす可能性があります。ビオジンは皮膚の乾燥や脱毛を抑える働きをするため、欠乏することによって皮膚や被毛に影響を与えます。
■ビオジン欠乏症の症状
・紅斑
・顔面や目の周りの脱毛
・角質層が剥がれ落ち全身にフケのようなもの
生の豆
犬は加熱した豆を食べることはできますが、生の豆には注意が必要です。生の豆には「トリプシンインヒビター」という毒素が含まれており、膵臓のタンパク質分解の働きを阻害します。また、「レクチン」は中毒症状を引き起こしたり栄養の吸収を阻害することもあります。
中毒を起こす成分 |
トリプシンインヒビター、レクチン |
起こること |
消化不良、栄養不足、膵臓障害、呼吸困難 |
致死量 |
ー |
中毒症状が現れる時間 |
数時間~1日 |
注意点 |
・生食はNG
・節分の煎り大豆などによる窒息や腸閉塞 |
危険度 |
普通 |
トリプシンインヒビターや豆類のレクチンは、しっかり加熱することによって不活化できるため(※15)、犬に食べさせるときは生の豆ではなく必ず加熱してください。
犬が生の豆を食べると…「中毒や消化不良」を起こす
犬が生の豆を食べても、数粒程度では問題ないとされています。しかし、たくさん食べてしまったときは中毒や消化不良、場合によってはインスリンの過剰分泌によって低血糖になり呼吸困難を起すこともあります。
■生の豆の中毒症状
・嘔吐
・下痢
■低血糖に見られる症状
・元気がなくなる
・動きたがらなくなる
・ぐったりする
・震える
・痙攣
・脈が速い
レバー
レバーは栄養価の高い食材ですが、犬に食べさせるときはしっかり加熱してください。生のレバーはさまざまな細菌や寄生虫がついており、食中毒や寄生虫感染の危険が伴います。寄生虫は犬に症状がない場合が多いですが人間にもうつる可能性があり、特に鳥レバーと豚のレバーは注意(※16)してください。
また、加熱したレバーであっても、レバーにはビタミンAや脂肪分、コレステロールが多く含まれているため、過剰に与えると犬の健康に悪影響を及ぼします。
注意する成分 |
ー |
起こること |
食中毒、ビタミンA過剰症、膵炎のリスク |
致死量 |
ー |
中毒症状が現れる時間 |
摂取後30分~ |
注意点 |
・与え過ぎない
・必ず加熱する
・鳥、豚のレバーは特に注意 |
危険度 |
ー |
犬がレバーを食べると…「食中毒やビタミンA過剰症」を起こす
生のレバーを食べた場合は食中毒を起こす可能性が高く、嘔吐や下痢といった症状が見られます。たくさん食べてビタミンA過剰症となった場合は、見た目で判断することが難しいため、与え過ぎには十分に注意してください。
■ビタミンA過剰症の症状
・食欲がなくなる
・吐き気
・結膜炎
・赤血球数の減少
・肝臓や腎臓の機能低下
・関節の異常や骨の奇形
生肉(特に豚肉と鶏肉に注意!)
近年は生肉ブームということもあり、生肉のドッグフードも発売されています。新鮮できちんと衛生管理された生肉ならリスクは低いですが、生肉には細菌や寄生虫による食中毒の危険があり、犬に食べさせるときは注意が必要です。
アメリカ獣医師会やFDAでは、細菌や寄生虫が人間と犬に健康リスクがあるとして、不適切な生肉を与えないように注意喚起しています。(※17、18)特に鶏肉と豚肉はカンピロバクター菌やサルモネラ菌を持っていることが多いほか、有鉤条虫などが寄生している可能性があるため必ず加熱してください。
注意する成分 |
ー |
起こること |
食中毒 |
致死量 |
ー |
中毒症状が現れる時間 |
摂取後30分~数日 |
注意点 |
・焼き肉用やジンギスカン用など加熱用の肉は与えない
・豚肉、鶏肉は必ず加熱する
・牛肉、馬肉、ラム肉は細菌は少ないが、老犬や病気の犬では必ず加熱する
・鹿肉、イノシシ肉は寄生虫に注意 |
危険度 |
ー |
犬が加熱せずに生肉を食べると…「食中毒」を起こす
犬に生肉を食べさせる場合、人間が生で食べられるほど新鮮なものしか与えてはいけません。生肉は食中毒を起こす可能性が高く、人間にも害を及ぼす細菌や寄生虫がいるため十分に注意してください。
■食中毒の症状
・嘔吐
・下痢
・発熱
・食欲がなくなる
・元気がなくなる
・痙攣
・呼吸困難
【獣医師監修】犬が生肉を食べても大丈夫?メリットもあるが注意点もある!
生魚
犬は生魚を食べることができますが、生魚にはチアミナーゼが含まれていることや、アニサキス寄生虫やヒスタミン中毒のリスクもあることから、食べさせる場合は新鮮な刺身を少量だけにしてください。
中毒を起こす成分 |
チアミナーゼ(※加熱すると不活性化する)、ヒスタミン |
起こること |
ビタミンB1欠乏症、アニサキスの寄生、ヒスタミン中毒 |
致死量 |
不明 |
中毒症状が現れる時間 |
摂取後数分~1時間 |
注意点 |
・新鮮な刺身だけ
・少量に留める
・骨に注意 |
危険度 |
ビタミンB1欠乏症によって死に至ることもある |
■ヒスタミンとは
魚類にはアミノ酸の一種ヒスチジンが豊富に含まれていますが、常温で解凍したり常温で出したままにしておくと細菌が繁殖しヒスチジンが分解されてヒスタミンが作られます。白身魚よりも赤身魚(マグロ、カツオ、ブリ、サバ、サワラなど)の方がヒスチジンが多く含まれますが、白身魚であっても油断は禁物です。
犬が新鮮ではない生魚を食べると…「ヒスタミン中毒」を起こす
生魚にはアニサキスなどの寄生虫や、多量に食べるとビタミンB1欠乏症などのさまざまなリスクがあります。特に、鮮度の落ちた生魚はヒスタミン中毒を起こす可能性があり、ヒスタミンは加熱しても消えないため、鮮度が落ちた魚は例え加熱しても食べさせてはいけません。
■ヒスタミン中毒の症状
・顔や口、舌の腫れ、蕁麻疹
・嘔吐
・下痢
・めまい
・発熱
生のイカやタコ
生のイカやタコにはビタミンB1を破壊する「チアミナーゼ」が含まれており、多量に食べると犬の体内のビタミンB1が欠乏する恐れがあります。(※19)また、イカやタコは意外と消化率が高く、犬が消化することができますが、全体の筋繊維が多いため細かく刻むなど筋繊維を断ち切る工夫が必要です。
中毒を起こす成分 |
チアミナーゼ(※加熱すると不活性化する) |
起こること |
消化不良、ビタミンB1欠乏症 |
致死量 |
不明 |
中毒症状が現れる時間 |
ー |
注意点 |
・新鮮な刺身以外は加熱する
・細かく刻む |
危険度 |
ビタミンB1欠乏症により死に至ることもある |
犬がイカやタコを多量に食べると…「消化不良やビタミンB1欠乏症」を起こす
生のイカやタコを多量に食べると、消化不良による嘔吐や下痢はもちろん、ビタミンB1欠乏症を起こす可能性があるため注意してください。また、生のイカの内臓には寄生虫のアニサキスがいることもおり、犬が食べてしまった場合、激しい腹痛を起こします。
■ビタミンB1欠乏症の症状
・食欲がなくなる
・歩き方がおかしい
・後ろ足が動かなくなる
・痙攣
・昏睡
【獣医師監修】犬はイカを食べられる?生はダメ!食べてしまったときの症状や対処法
生のエビやカニ
生のエビやカニにもビタミンB1を破壊する「チアミナーゼ」が含まれるため、多量に食べさせてはいけないことはもちろん、しっかり加熱してあげましょう。また、エビやカニは消化率は高いですが、筋繊維が多いため細かく刻んであげる必要があります。エビやカニは甲殻類アレルギーを起こす可能性もあり、注意が必要な食材です。
中毒を起こす成分 |
チアミナーゼ(※加熱すると不活性化する) |
起こること |
消化不良、ビタミンB1欠乏症、甲殻類アレルギー |
致死量 |
不明 |
中毒症状が現れる時間 |
ー |
注意点 |
・加熱する
・柔らかい身の部分しか食べてはいけない
・細かく刻む |
危険度 |
ビタミンB1欠乏症により死に至ることもある |
犬がエビやカニを食べると…「ビタミンB1欠乏症や甲殻類アレルギー」を起こす
生のエビやカニは多量に食べると消化不良やビタミンB1欠乏症、甲殻類アレルギー、加熱したエビやカニでも多量に食べると消化不良や甲殻類アレルギーのリスクがあります。また、殻のまま食べさせてしまうと犬の消化器官を傷つける恐れがあるため十分に注意してください。
■ビタミンB1欠乏症の症状
・食欲がなくなる
・歩き方がおかしい
・後ろ足が動かなくなる
・痙攣
・昏睡
■甲殻類アレルギーの症状
・嘔吐
・下痢
・皮膚の赤みや痒み
・目や口の周りの赤みや腫れ
【獣医師監修】犬はカニを食べても大丈夫!ただし与え方には注意が必要
【獣医師監修】犬はエビを食べても大丈夫!ただし与え方には注意が必要
生のホタテ
ホタテは犬のおやつでも販売されているように食べることができる貝ですが、生のホタテは「チアミナーゼ」が含まれているため多量に食べさせてはいけません。また、加熱したホタテであっても、ウロ(中腸線)やエラ、生殖線には毒素が溜まっているため内臓部分は絶対に与えないでください。
中毒を起こす成分 |
チアミナーゼ(※加熱すると不活性化する) |
起こること |
消化不良、ビタミンB1欠乏症、中毒 |
致死量 |
不明 |
中毒症状が現れる時間 |
ー |
注意点 |
・貝柱と貝ヒモ以外は食べてはいけない
・新鮮な刺身以外は加熱する
・細かく刻む |
危険度 |
ビタミンB1欠乏症により死に至ることもある |
犬がホタテを食べると…「ビタミンB1欠乏症や中毒」を起こす
生のホタテを多量に食べるとビタミンB1欠乏症が起こる可能性があります。また、毒素がある部位は中毒症状を起こす可能性が高く、例え加熱していても毒性が残るため注意が必要です。
■ホタテの中毒症状
・嘔吐
・下痢
・よだれ
・ふらつき
・眼振
・震え
■ビタミンB1欠乏症の症状
・食欲がなくなる
・歩き方がおかしい
・後ろ足が動かなくなる
・痙攣
・昏睡
肉や魚の骨
肉や魚の骨の成分自体は犬に害をもたらすものではありませんが、骨は硬く鋭利なものが多いため与え方を間違えるとさまざまなリスクがあります。
そのため、犬に魚や肉の骨を食べさせたい場合は、圧力鍋で柔らかくなるまで調理したりミルで挽くなど相当な注意が必要で、気軽に与えられるものではありません。例え犬が食べられるように調理した場合であっても与え過ぎには注意が必要で、できるだけ与えないことをおすすめします。
中毒を起こす成分 |
ー |
起こること |
喉や消化器官の損傷、食中毒、食道閉塞、腸閉塞 |
致死量 |
ー |
中毒症状が現れる時間 |
ー |
注意点 |
・圧力鍋で柔らかくなるまで調理する
・ミルで挽く |
危険度 |
普通 |
犬が肉や魚の骨を食べると…「喉や内臓の損傷」を起こす
犬の大きさや何の骨を食べたかによっても異なりますが、以下のようなことが起こる可能性があります。
■魚の骨
硬く鋭いものが多く、小骨でも喉や消化器官に刺さる可能性
■魚の骨が刺さったときの症状
・吐き出そうとする
・苦しそうにする
・多量のよだれ
・喉の腫れ
・喉を気にする
・呼吸の乱れ
■加熱した鳥の骨
縦に割れやすく先端が鋭利に尖るため、消化器官を傷つけたり穴を開けて腹膜炎を起こしてしまう可能性。小型犬では欠片で腸閉塞を起こすこともある。丸飲みした場合は食道閉塞や腸閉塞を起こす可能性
■消化器官を傷つけたときの症状
・嘔吐(腹膜炎や腸閉塞では激しい嘔吐)
・下痢
・腹痛
・血便
・ぐったりしている
■生の骨(鳥、牛、ラム、鹿など)
サルモネラ菌による食中毒(サルモネラ感染症)などを起こす可能性
■食中毒の症状
・嘔吐
・下痢
・発熱
・食欲がなくなる
・元気がなくなる
・痙攣
・呼吸困難
【生はダメ!】犬が生で食べてはいけない野菜
犬は雑食のため、ほとんどの野菜を食べることができます。しかし、野菜によっては生で与えてはいけないものも。ここでは、犬が生で食べてはいけない野菜をご紹介します。
■犬が生で食べてはいけない野菜
これらの犬が生で食べてはいけないものは、人間でも生で食べることはあまりない野菜ばかりです。愛犬に食べさせるときは、必ず加熱してあげましょう。
犬に与えていい野菜一覧!野菜の健康効果は?注意点やダメな野菜も【獣医師監修】
【獣医師監修】犬はじゃがいもを食べても大丈夫!与え方や注意点を解説
【病気別】膵炎や腎不全など、病気の犬が食べないほうがいいもの
病気の犬が食べてはいけないものは病気によって異なります。
しかし、人間用の味付けされた食品や人間用の加工食品(ハムやソーセージなど)は、塩分や糖分が多く犬の健康に悪影響を与えるため、絶対に与えないようにしてください。
心臓病の犬が食べないほうがいいもの
■心臓病の犬の食事ポイント
・心臓病の進行度合いによって制限するものが異なる
・ナトリウム(塩分)の過剰摂取は注意
・栄養バランスのとれた食事
・良質なタンパク質を摂取する
心臓病の犬は、獣医師からナトリウムの制限されていなければ、過剰に制限しすぎず栄養バランスのとれた食事を与えることが大切です。
心臓病の犬が食べてはいけないものはありませんが、犬用おやつに含まれるナトリウムは注意しましょう。また、人間用の塩分が多い加工食品は食べさせないようにしてください。
■人間用の塩分が多い加工食品
ハム、ソーセージ、ベーコン、サラミ、煮干し、ひもの、しらす干し、塩鮭など
腎臓病の犬が食べないほうがいいもの
■腎臓病の犬の食事ポイント
・タンパク質を制限する
・リンの多いものを避ける
・ナトリウム(塩分)の摂り過ぎに注意
・水分補給をしっかり行う
腎臓病の犬は、腎臓に負担をかけない食事を心がける必要があります。
腎臓病と診断され、食事制限が必要と獣医師から指示をされたら、タンパク質やナトリウム、リンの多い食事は避けましょう。
■腎臓病の犬が食べないほうがいいもの
鶏ささみ、牛もも、チーズ、バナナ、菜の花、かぼちゃの種、煮干し、ジャーキーなど
※さつまいもは獣医師と相談
膵炎の犬が食べないほうがいいもの
■膵炎の犬の食事ポイント
・高脂肪な食事を避ける
・糖質の摂りすぎに注意
・不溶性食物繊維の摂りすぎに注意
・良質なタンパク質を摂取する
・良質な脂質を摂取する
膵炎の犬は、膵臓に負担をかけない低脂肪の食事を心がける必要があります。
完治したと思っても食事内容を戻してしまうとすぐに再発する可能性があり、注意が必要です。
■膵炎の犬が食べないほうがいいもの
植物油、バター、人間用のクッキーやケーキなど
糖尿病の犬が食べないほうがいいもの
■糖尿病の犬の食事ポイント
・高脂肪な食事を避ける
・糖質を制限する
・良質なタンパク質を摂取する
・腸内環境を整える
糖尿病の犬は食事の管理がとても重要ですが、食べてくれない場合にトッピングをしたり、あまり与えてはいけないと思いながらもおやつを与えている飼い主さんは少なくありません。
トッピングやおやつの内容が糖尿病の治療に影響を及ぼすことや、そもそもの原因となっていることもある(※20)ため、必ず獣医師に相談しましょう。
■糖尿病の犬が食べないほうがいいもの
果物、小麦、白米、じゃがいも、さつまいも、かぼちゃ、はちみつ、にんじんなど
クッシング症候群の犬が食べないほうがいいもの
■クッシング症候群の犬の食事ポイント
・高脂肪な食事や糖質の摂り過ぎに注意
・良質なタンパク質を摂取する
クッシング症候群の犬は、高脂肪や糖質の摂り過ぎに注意する必要はありますが、しっかり体重管理ができていれば特に食べてはいけないものはありません。
肥満傾向である場合は、獣医師と相談しながらダイエットを行いましょう。ただし、糖尿病、膵炎、高血圧など合併症がある場合はその病気に合わせる必要があります。
【注意!】食物アレルギーの犬が原因となる食材を食べたときのリスク
食物アレルギーの犬が食べないほうがいいものは、その犬のアレルゲンの原因となる食材です。
■アレルゲンとなる食材を食べるリスク
・皮膚炎
・嘔吐や下痢
・痒みによるストレス
・搔き壊すことによる二次感染
また、稀なことではありますが、アレルゲンを摂取して30分以内にアナフィラキシーショックを起こし、命を落としてしまうこともあります。
愛犬が何の食物アレルギーか検査をしてわかっている場合は、アレルギーを発症する食材を食べさせないようにしましょう。
アレルギー発症の仕組みや診断方法については以下の記事をご覧ください。
犬のアレルギー(食物・アトピー・ノミ)原因・対策を徹底解説【皮膚科医取材】
犬が食べてはいけないものによくあるQ&A
トイプードルやチワワなど犬種によって食べてはいけないものはある?
犬種によって何かを食べてはいけないというものはありません。
しかし、柴犬や秋田犬などの日本犬は玉ねぎに反応しやすいということが報告されている(※21)ため、注意が必要です。
食べてはいけないものを舐めただけでも病院にいったほうがいい?
例え微量であっても、犬が食べてはいけないものを口にした場合は動物病院に連絡をして、獣医師の指示を仰いでください。
個体差があり、たくさん食べても大丈夫な犬もいれば、舐めただけで中毒症状を起こす犬もいます。すぐに症状が出るとは限らないため、元気な様子が見られてもまずは電話で獣医師に相談してください。
食べてはいけないものを食べさせない予防法はある?
犬が食べてはいけないものは、犬が届かない場所に保管するなど管理をしっかり行いましょう。
また、散歩中に落ちているものを食べてしまう犬では、拾い食いをさせないようにトレーニングするほか、何か落ちていないか飼い主さんも目視で確認してください。
まとめ
人間が食べることができても、犬が食べてはいけないものはたくさんあります。それらをわかった上で下記のポイントに注意して愛犬の食事をより良いものにしてあげましょう。
■ポイント
・どんなものでも適量を与える
・調理方法にも注意する
・栄養バランスを乱さない
当たり前のことですが、どんなに健康に良いとされているものでも食べ過ぎれば体に悪影響となり、栄養バランスを乱すことにもつながります。
愛犬にいつまでも元気で過ごしてもらうためにも、犬が食べてはいけないものは与えず、食べて大丈夫なものでも適量にしておいてくださいね。
<参考文献>
(※1)参考:SciELO「Allium species poisoning in dogs and cats」
(※2)参考:ペット栄養学会誌「禁忌食(その1)ータマネギなどのネギ属とイヌ・ネコの健康」
(※3)参考:日本小動物獣医学会誌「ブドウ摂取後に急性腎不全を発症して死亡した犬の一例」
(※4)参考:Truth about Pet Food「Science Diet Using Dried Grapes In Dog Food?」
(※5)参考:ペット栄養学会誌「禁忌食(その2)ーチョコレートとイヌ・ネコの健康」
(※6)参考:厚生労働省「高カカオをうたったチョコレート(結果報告)」
(※7)参考:衛生研究所研究報告「チョコレート製品及びチューインガム中のカフェイン及びテオブロミン含有量の測定」
(※8)参考:ペット栄養学会誌「禁忌食(その3)犬のキシリトール中毒」
(※9)参考:東京都福祉保健局「アミグダリンについて」
(※10)参考:環境省、農林水産省「愛がん動物用飼料の基準・規格案」
(※11)参考:農林水産省「ソラニンやチャコニンによる健康影響」
(※12)参考:FDA(アメリカ食品医薬品局)「Potentially Dangerous Items for Your Pet」
(※13)参考:農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
(※14)参考:MSD MANUAL「Macadamia Nut Toxicosis in Dogs」
(※15)参考:J-STAGE「植物レクチンの消化器系への生物学的作用:代謝に対する影響と応用」
(※16)参考:農林水産省「寄生虫による食中毒に気をつけましょう」
(※17)参考:AVMA「Raw or undercooked animal-source protein in cat and dog diets」
(※18)参考:FDA「Get the Facts! Raw Pet Food Diets can be Dangerous to You and Your Pet」
(※19)参考:ペット栄養学会誌「禁忌食(その4)ー魚介類(チアミナーゼ)」
(※20)参考:J-STAGE「日常診療の中で行っている食事指導」
(※21)参考:日本小動物獣医学会「高カリウム高グルタチオン赤血球犬のタマネギ中毒時の酸一塩基平衡障害」
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執筆者
- ペットライター
-
たかだ なつき
- JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー