※本記事は2024年10月までの情報を参考に作成しています。※本記事はINUNAVIが独自に制作しています。メーカー等から商品の提供や広告を受けることもありますが、コンテンツの内容やランキングの決定には一切関与していません。※本記事で紹介した商品を購入するとECサイトやメーカー等のアフィリエイト広告によって売上の一部がINUINAVIに還元されます。
犬が熱中症になったら?熱中症の症状と対処法!
犬は肉球と鼻の頭以外に汗を出す汗腺がありません。そのため、犬は口呼吸(パンティング)によって体温を下げますが、気温が高ければ体温もなかなか下がらず、体に熱がこもり熱中症を起こしてしまいます。
熱中症は発症すると後遺症が残ったり命を落としてしまうこともあり、症状に気づいたら早急に対処してあげる必要があります。
愛犬の命を守るためにも、犬が熱中症になったら見られる症状と応急処置について覚えておきましょう。
犬の熱中症の症状
熱中症は時間と共に悪化していきます。初期の症状は見逃されやすいものもあり、注意が必要です。
初期症状と危険度の高い症状では対処法も異なるため、違いを知っておきましょう。
犬の熱中症の初期症状
■犬の熱中症の初期症状
- 激しくハァハァとパンティングする
- 体が熱い(体温が40℃近い)
- 舌の色や歯茎が赤い
- 目の充血
- 落ち着きがない
- よだれが多く出る
- 動きたがらない
犬の平均体温は38℃~39℃前後ですが、40℃を超えると危険な状態です。
42℃を超えてしまうといつ命を落としても不思議ではないため、犬の熱中症の初期症状を見逃さず、早急に応急処置を行い重症化を防いでください。
犬の熱中症の危険度が高い中期~重度症状
■犬の熱中症の危険度が高い症状
- ぐったりする
- 足元がふらつく
- 舌の色や口の中が青紫色になる
- 下痢や嘔吐
- 震え
- 呼吸困難
- 鼻や口、肛門などから出血(鼻血、吐血、血尿、血便など)
- 意識がない
- けいれん
熱中症が重症化すると、これらの症状が見られるようになります。
また、重度の熱中症ではさまざまな合併症を引き起こし、犬の体温が低下しても進行して死に至ることもあります。
合併症を起こした場合の死亡率は36%~46%と高く、発症から24時間以内に起こることがほとんど(※1)と報告されているため、危険度が高い症状が見られた場合は体を冷やしながらすぐに動物病院を受診してください。
熱中症の応急処置の方法
犬に熱中症の初期症状が見られた場合、体温を下げるためにまずは応急処置を行います。
熱中症はそのまま放置してしまうと意識を失い、最悪死に至ることもあるため必ず対処してください。
熱中症の応急処置のポイントは、保冷剤を当てる場所です。効率的に冷やす場所をしっかり覚えておきましょう。
室内の場合の対処法
- エアコンで室温を下げたり、涼しい場所に移動させる
- シャワーなどで全身に常温の水をかける。扇風機などの風を当てるとより効果的
- 頭、首、脇の下、太ももの付け根(鼠径部)に氷のうやタオルに包んだ保冷剤を当てる
- 自分で水が飲めそうなら、ゆっくり少しずつ好きなだけ飲ませてあげる(※無理に飲ませない)
- 応急処置をしたら、体を冷やしながら動物病院に向かう
このとき、氷水を使用してしまうと血管が収縮して冷やす効率が悪くなるため、必ず常温の水で行ってください。
また、冷やし過ぎると低体温となってしまうため、冷やし過ぎないように注意が必要です。
犬用の直腸で測る体温計が自宅にある場合は、体温を測ってみて39.5℃前後になったら冷やすのをやめましょう。
屋外の場合の対処法
- 直射日光の当たらない涼しい場所に移動させる(日陰だとなお良い)
- 体に水をかけてあおぐ(近くに水道があれば水道の水でもOK)
- コンビニや自販機などで氷や冷えたペットボトルを購入し、薄手のタオルやハンカチで包んで頭、首、脇の下、太ももの付け根(鼠径部)に当てる(近くにコンビニや自販機がなければ首、脇の下、太ももの付け根に水をかける)
- 自分で水が飲めそうなら、ゆっくり少しずつ好きなだけ飲ませてあげる(※無理に飲ませない)
- 応急処置をしたら、体を冷やしながら動物病院に向かう
屋外では近くにコンビニや水道がないこともありますね。夏場など愛犬と屋外に行く場合は、飲み水を多めに用意しておきましょう。
■冷やす場所は太い血管がある場所を中心に全身を冷やす!
皮膚の薄い表面近くにある太い血管に冷たいものを当てると効率よく冷たい血液が全身に行き渡るため体温が下がりやすくなります。しかし近年では、太い血管に近いとされている脇・鼠蹊部・頸部といった”3点のみ”を冷やすということを否定する研究が多く、全身や末端も同時に冷やすことが推奨されています。そのため、可能であれば多くの場所を同時に冷やしてあげましょう。
回復しても必ず動物病院を受診!
熱中症の初期の症状であれば、体温を下げると犬も回復することがほとんどです。
しかし、熱中症はさまざまな臓器の機能障害を引き起こし、場合によっては後遺症が残ってしまうこともあるため、回復しても必ず動物病院を受診してください。
■犬の熱中症の主な後遺症
- 脳障害・神経障害
…歩行時のふらつき、首の傾き、てんかんなど。最悪の場合は心臓や呼吸が止まってそのまま亡くなってしまうこともある
- 呼吸障害
…呼吸数が過度に増えることによって心臓や肺に負担がかかり肺炎などを起こす
- 腎臓への影響
…熱中症で脱水することによって臓器に栄養が回らなくなる。腎臓は再生しない臓器なので影響が出ることがある
脳や内臓のダメージはすぐに目に見えるものではないため、回復した、元気になったと飼い主さんが自己判断するのは危険です。
犬の熱中症は夏の暑い時期だけじゃない?一年を通して暑さ対策しよう!
熱中症が多く起こるのは7月や8月といった夏の暑い時期ですが、冬でも熱中症は起こるため、夏だけではなく一年を通しての対策が必要です。
冬の熱中症は暖房やこたつによる体温上昇や、乾燥や寒さによる水分不足などで、注意してあげることで防ぐことができますが、暑い時期の熱中症は予測不可能なことも多いです。
愛犬の熱中症を予防してあげるためにも、熱中症になりやすい犬や熱中症になりやすい気候を知っておきましょう。
犬は暑さに強いわけではない
犬は暑さに強いと思われがちですが、人間よりも暑さに弱い生きものです。
人間では暑ければ全身から汗が出て、汗が皮膚の上で蒸発して熱を奪い体温を保ってくれますが、犬は肉球と鼻の頭周辺にしか汗をかく汗腺がないため、口呼吸によって熱を逃がそうとします。
しかし、口呼吸では放熱の効率が悪いため、体に熱がこもりやすいのです。そのため、高体温になると上手に体温調整ができなくなるため、暑さには注意してあげなければいけません。(※2)
更に、犬は全身を毛で覆われているのですから、暑くないはずがありませんね。
熱中症になりやすい犬
どの犬でも熱中症になるリスクがあり、十分に暑さ対策をしてあげなければいけません。
特に、体ができあがっていない子犬や、体の機能が衰える老犬など体温調整が難しい犬はもちろん、以下のような犬は熱中症になりやすいため注意が必要です。
■熱中症になりやすい犬
- 心疾患、呼吸器疾患のある犬
…効率的に体温を下げることができない
- 腎疾患、糖尿病の犬
…もともと脱水傾向にあるため
- 肥満の犬
…喉の脂肪によって呼吸しにくいほか、皮下脂肪に断熱されて体の熱が放散されにくい
- 黒い毛色の犬
…日光の熱を吸収しやすい
- 夏バテで食欲がない犬
…体力がないと熱中症になりやすい
- 大型犬(レトリバー、サモエド、秋田犬など)
…小型犬に比べて体温は低いが、もともと体温が下がりにくい
- 北方原産の犬(柴犬、秋田犬、ハスキー、ポメラニアンなど)
…もともと暑さに弱いほか、毛が密で熱がこもりやすい
- 短足の犬、超小型犬(ミニチュアダックス、コーギー、チワワ、トイプードルなど)
…体の位置が低いので、地面からの放射熱の影響を受けやすい
- 短頭犬種(パグ、チワワ、ペキニーズ、シーズー、ポメラニアンなど)
…鼻から喉までの気道が狭く、体温を効率的に下げられない
(※3)
熱中症になりやすい気候
熱中症は一年を通して起こる可能性がありますが、熱中症になりやすい気候のときは特に注意が必要です。
■熱中症に特に注意したい気候
- 暑さに慣れていない4月頃から
- 梅雨どき
- 日差しが強いとき
- 湿度が高いとき
- 急に暑くなったとき
- 蒸し暑い日が続くとき
- 熱帯夜の翌日
(※4、5、6)
このほかにも、愛犬がハァハァと暑そうにしているときは、水分補給と暑さ対策をしてください。
また、熱中症予報サイトなども活用し、室温・湿度の設定やお散歩の時間なども考えてあげましょう。
犬の室内飼い・屋外飼いでの熱中症のリスクは違う?どちらも十分に暑さ対策が必要!
犬の室内飼いであっても、屋外飼いであっても、熱中症のリスクは同じです。
しかし、もし閉め切った部屋でエアコンも何の暑さ対策もなく過ごしているとしたら、室内飼いの犬のほうが熱中症のリスクは高くなります。
閉め切った部屋の温度は外の気温よりも高くなり、30度以上になることはザラで、陽の当たる場所によっては50度ほどになることも!
とは言え、屋外飼いの犬であっても日陰がない、コンクリートの地面、室外機の温風が当たるといった場合では熱中症のリスクがぐんと高まるため、室内飼いの犬でも屋外飼いの犬でも十分に暑さ対策をしてあげなければいけません。
→屋外飼いの犬の暑さ対策をすぐに見る
愛犬の熱中症を予防しよう!飼い主さん323人がしている暑さ対策とおすすめ対策グッズをご紹介
愛犬の熱中症を予防してあげるためには暑さ対策が重要になってきますが、どんな対策をすればいいのかわからないという飼い主さんもいるでしょう。
そこで今回いぬなび編集部では、全国の犬の飼い主さん323人を対象に、「愛犬の熱中症・暑さ対策」に関するアンケートを実施しました。みなさんの教えてくれた暑さ対策はどれも重要なものなので、ぜひ参考にしてください。
アンケート結果はこちら!
・エアコン使用:161人
・こまめな水分補給、冷たい水や氷を準備:122人
・ペット用の冷却マットやプレートを使用:98人
・外気が高い日中は外に出さない、アスファルトの暑さを確かめる:88人
・クールネックや冷感ウェア、シューズなどを使用:34人
・直射日光が当たらないように工夫する、打ち水をする:31人
・扇風機やサーキュレーターを使用:31人
・サマーカットにする:20人
・窓を開けたり換気扇を回したりして風通しをよくする:17人
・濡れたタオルなどで体を冷やす、水浴びをさせる:16人
・ペットボトルを凍らしたものや保冷剤をそばに置く:14人
・家の中でも涼しい場所に移動させる:12人
・フードやおやつなどを工夫する:11人
・犬が涼しい場所に自由に行き来できるようにする:6人
・室内の温度や湿度をこまめにチェック:5人
・保冷剤を扇風機の前に置く(冷風扇):4人
・車内に残さない:4人
・愛犬の様子をこまめに観察する:3人
・人間と同じような対策をする:2人
・お散歩で無理をさせない、日陰を歩く:2人
・洋服を着させない:1人
・部屋のカーペットを外す:1人
※複数回答
■アンケート調査概要
・対象者:10代~60代の全国の犬の飼い主さん323人(女性245人 / 男性78人)
・実施期間:2022年6月9日~6月12日
回答者の属性はこちら
■回答者の属性
【女性:245人】
・10代:4人
・20代:56人
・30代:98人
・40代:53人
・50代:28人
・60代:6人
【男性:78人】
・10代:1人
・20代:13人
・30代:18人
・40代:27人
・50代:14人
・60代:5人
■犬種と愛犬の年齢
【犬種】※多い順に記載()は頭数
柴犬(51) / トイ・プードル(47) / 雑種(40) / チワワ(37) / ミニチュア・ダックスフンド(30) / ミックス犬(20) / ポメラニアン(13) / パピヨン(11) / ミニチュア・シュナウザー(8) / ウェルシュ・コーギー・ペンブローク(7) / シー・ズー(7) / フレンチ・ブルドッグ(6) / ヨークシャー・テリア(6) / マルチーズ(5) / シェットランド・シープドッグ(5) / アメリカン・コッカー・スパニエル(5) / ゴールデン・レトリバー(5) / ラブラドール・レトリーバー(4) / パグ(3) / ミニチュア・ピンシャー(3) / キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル(3) / ジャーマン・シェパード(3) / ビーグル(3) / ジャック・ラッセル・テリア(2) / ペキニーズ(2) / ボーダー・コリー(2) / コリー(2) / イタリアン・グレーハウンド(1) / ボストン・テリア(1) / ミディアム・プードル(1) / ブルドッグ(1) / ワイヤー・フォックス・テリア(1) / 紀州犬(1) / ウィペット(1) / 不明(6)
※複数回答
【愛犬の年齢】
1歳未満(10) / 1歳(18) / 2歳(23) / 3歳(39) / 4歳(28) / 5歳(34) / 6歳(10) / 7歳(12) / 8歳(13) / 9歳(8) / 10歳(18) / 11歳(12) / 12歳(17) / 13歳(12) / 14歳(10) / 15歳(16) / 16歳(6) / 17歳(2) / 18歳(1) / 20歳(1) / 不明(49)
※複数回答
暑さ対策①エアコン
飼い主さんの多くがエアコンによる暑さ対策を行っていました。エアコンによる暑さ対策は最も簡単で効率的です。
犬は暑さに弱いですが、暑さに比べれば寒さには強い生きものなので、人間が涼しいと感じる温度に設定しておけば十分な暑さ対策になるでしょう。
しかし、トイプードルのようにシングルコートしか持たない犬種や、子犬や老犬などでは寒さに弱い傾向があるので、暑さ対策をするとともに毛布を置いたり、寒さから逃げられる場所を用意してください。
また、ケージやベッドなどはエアコンの風が直接当たらない場所に置いてあげることも大切です。
暑さ対策②こまめな水分補給
エアコンの次に多く見られた暑さ対策は、こまめな水分補給でした。一年を通して水分補給はとても大切なものですが、特に夏場は注意が必要です。
夏場に愛犬が口をつけた水を放置すれば1日で腐ってしまい、下痢や嘔吐を引き起こす原因になりかねません。更に、腐った水が嫌で水を飲まないという犬も。
常に新鮮な水が飲めるよう、最低でも1日2回は交換してあげましょう。
また、水の温度が上がってしまうと細菌が繁殖しやすく腐りやすいため、直射日光が当たらない場所など、置き場所も考えてあげなければいけません。器をひっくり返してしまうなどのことも考え、数ヵ所に用意してくおくと安心です。
水分が不足すると熱中症のリスクが高くなります。あまり水を飲まない犬では、お肉のゆで汁やウェットフードなどを利用して水分を摂取してもらえるように工夫してください。
冷たい水は体に負担がかかるので注意!
暑い時期に冷たい水を飲ませてあげたいと考える飼い主さんも少なくありませんが、冷たい水をガブガブと飲ませるのは注意が必要です。
冷たい水を与える場合は、暑そうにしているときや散歩から戻ったときに少量だけにしてください。
冷たい水を与え過ぎると胃腸の負担や体の冷えから嘔吐や下痢をしたり、体調を崩してしまうこともあります。特に老犬では内臓に負担がかかってしまうこともあるため、常温の水を与えるようにしましょう。
また、氷も同様に与え過ぎはNGです。
暑さ対策③冷却マット
冷却マットや大理石プレート、クールボードなどの暑さ対策グッズも活用しましょう。
犬がよく床にお腹をつけてペターンとなっている姿を見ることがあると思いますが、犬のお腹は被毛が薄く、冷たいものにお腹をつけることで体の熱を逃がすことができます。
冷却グッズを用意しておくことは停電時の暑さ対策にもなるため、冷感素材のベッドや冷却マット、保冷剤などを用意してあげましょう。
暑さ対策におすすめの冷却グッズ3選
※価格は税込み
犬の好みによっても異なりますが、冷却マットや保冷剤を選ぶときは耐嚙み仕様など、丈夫なものを選んであげることをおすすめします。
噛み癖のある犬では、ジェルマットや保冷剤などの袋を破いてしまうこともあり、中に入っていたジェルなどを食べてしまったら大変!心配な場合は、アルミや大理石、素焼きタイルなどでできた冷却マットを使用するようにしましょう。
暑さ対策④クールネックや冷感ウェア
クールネックや冷感ウェアは、室内でも屋外でも使用できる犬の暑さ対策グッズです。
近年では、水に濡らして使用するウェアや、プレサーモ機能がついたウェアなど、さまざまな冷感ウェアが販売されています。冷感ウェアでは大きな効果は期待できませんが、何もしないよりは…程度に考えておきましょう。
また、クールネックは首元の動脈を冷やしてくれるため、効率的に体温を下げてくれますが、保冷剤や水がすぐぬるくなってしまうほか、重みを感じるため長時間の使用には向いていません。
クールネックを使用する際は、散歩時や飼い主さんがこまめに交換してあげられるときだけにしましょう。
暑さ対策におすすめの冷感ウェア・クールネック3選
※価格は税込み
暑さ対策⑤扇風機やサーキュレーター
犬の暑さ対策に活用したいのが、扇風機やサーキュレーターです。
エアコンと一緒に扇風機やサーキュレーターを使用することで、効率的に部屋の温度が下がり、電気代の節約にもなります。
冷たい空気は下にたまるため、エアコンに背を向けてサーキュレーターを置くことで、床にたまっている冷気を循環させることができるほか、冬場ではエアコンに向けて対角線上に置くことで暖かい空気を循環させることもできますよ!
扇風機の場合は、エアコンの風下にエアコンに向けて置き、頭を天井方向に向けましょう。
犬は低い位置で生活していることを考え、エアコンによる冷えすぎを防ぐためにも扇風機やサーキュレーターの使用はおすすめです。
暑さ対策におすすめの扇風機・サーキュレーター2選
※価格は税込み
暑さ対策⑥日陰を作る
室内飼いの犬でも、屋外飼いの犬でも、暑さ対策に日陰を作ってあげましょう。
屋外飼いの場合は、日が当たる場所は時間によって変化するため、犬小屋だけでなく、その周辺にも日陰になる場所をいくつか用意してあげなければいけません。
また、室内飼いの犬でも、直射日光が当たった場所にいればエアコンを効かせていても熱中症になる恐れがあるため、カーテンを閉めたり屋根のあるベッドを用意するなど、日の当たらない場所を作ってあげる必要があります。
暑さ対策⑦フードやおやつなどの食べ物を工夫
夏場などの暑い時期では、犬の水分不足は熱中症のリスクが高くなります。
水分も一緒に摂取できるウェットフードを与えたり、水分を多く含むおやつなどを利用して水分補給をしてもらいましょう。
近年では、犬用アイスや犬用ゼリーなど、暑さ対策のおやつも多く販売されています。
また、夏野菜などの体の熱を下げて水分も摂取できるような野菜や果物を、おやつとして与えたりフードのトッピングにしてあげることもおすすめです。
ただし、暑さ対策だからといって、おやつでも野菜や果物でも、与え過ぎには注意してください。あくまでもおやつの範囲として適量にとどめておくことが大切です。
犬が食べてはいけないものを解説!36種類の症状や対処法、加熱調理が必要な食材も紹介
暑さ対策におすすめのおやつ2選
※価格は税込み
食いつきのいいウェット系フードは以下でご紹介しています。
【112種類比較】食いつきが良いドッグフードおすすめ人気ランキング26選!犬が喜ぶフードの特徴も解説
番外編|熱中症対策の飲み物:スポーツドリンク
汗をかかない犬にとって、スポーツドリンクは意味がなく熱中症の予防にはなりませんが、水を飲まない犬に水分を補給してもらう場合や、既に熱中症や脱水症状を起こしている場合では有効な飲み物です。
ただし、人間用のスポーツドリンクは成分濃度が高く糖分も多すぎるため、与える場合は犬用のスポーツドリンクや、手作りのスポーツドリンクにしてください。
あまり与えすぎると普通の水を飲まなくなってしまうこともあるため、どうしても水分を摂ってほしいときだけにしておきましょう。
熱中症対策におすすめのスポーツドリンク3選
※価格は税込み
犬用のスポーツドリンクはそう多くはありませんが、犬の体液に近い状態で作られています。
人間用では過剰になってしまう成分も犬用に考えられているため、スポーツドリンクを与えたい場合はペット用や犬用と書かれたものを購入してください。
愛犬のスポーツドリンクを手作りする方法
【材料】
・水…500ml
・蜂蜜…大さじ1
・天然塩…小さじ1
【作り方】
①水に蜂蜜と塩を入れてよく混ぜる
②ペットボトルなどに移して完成
冷蔵庫に入れれば2~3日ほど保存できますが、冷たいままだと下痢を起こしてしまうこともあるため、与えるときは常温に戻してからにしてください。
留守番時もエアコンはつけっぱなしにして!
夏場のエアコンは電気代が高くなりがちで、ついつい節約してしまいたくなるかもしれません。しかし、犬は暑さに弱く、自分でエアコンをつけることもできないので、留守番時でもエアコンはつけっぱなしにしてあげましょう。
実際、飼い主さん323人を対象に行ったアンケートでは、63.8%の人がエアコンをつけっぱなしにしていると回答していましたが、何もしていない飼い主さんやエアコンではなく扇風機をつけているという飼い主さんも。
もちろん、住んでる地域によっては夏でもエアコンが必要ないこともありますが、近年は地球温暖化やヒートアイランド現象などによって気温の高さが毎年のように更新されているため、油断せずに暑さ対策を行うことが大切です。
また、気温だけではなく、湿度の高さにも注意しなければいけません。湿度が高いということは空気中に水分が多いということで、犬の体温調整が上手に働かず熱中症のリスクが高まります。
湿度が高いときはエアコンのドライや除湿をつけたり、除湿器などを使用してください。
■犬が快適な湿度
個体差もありますが、湿度は50~60%を保ってあげましょう。
アンケートの詳細はこちら
■夏場など留守中に愛犬だけでもエアコンはつけてる?
・エアコンをつけっぱなし:63.8%(206人)
・タイマーでエアコンをつけている:14.6%(47人)
・扇風機をつけている:7.7%(25人)
・窓を開けている:5.6%(18人)
・何もしていない:1.5%(5人)
・愛犬は屋外:6.8%(22人)
散歩や留守番中、エアコンなしの犬の熱中症・暑さ対策も忘れずに!
普段の暑さ対策だけでなく、散歩や留守番、お出かけのときも熱中症には注意してあげる必要があります。
シーン別に暑さ対策をまとめてみたので、参考にしてください。
散歩
夏場は日中を避け、気温の低い早朝や夜間に散歩に行きましょう。
人間よりも低い位置に体がある犬は、地面からの放射熱の影響を受けやすく、飼い主さんが感じているよりも暑い思いをしています。
また、日中のアスファルトはとても熱くなっているため、肉球を火傷してしまうことにもなりかねません。夏場に散歩に出るときは、手の甲でアスファルトを触って確認してからにしましょう。
■どうしても日中に散歩しなければいけない場合の暑さ対策
・愛犬の飲み水を十分に用意する
・長時間の散歩は控える
・すぐに自宅にもどれるように長距離の散歩はしない
・日陰を見つけてこまめに休憩する
・ペースはゆっくり
・地面のマンホールの蓋や鉄板などの上は歩かせない
どうしても暑い夏場の日中に散歩しなければけない場合は、愛犬の負担にならないよう細心の注意を払ってくださいね。
留守番中
夏場や梅雨時など愛犬だけで留守番させる場合は、室内を自由に動けるようにしてエアコンはつけっぱなしにしてください。
ケージなどに閉じ込めたままでは、暑くなったときや停電したときに涼しい場所に移動することができずに危険です。
普段は留守番中はケージに入ってもらっている場合でも、夏場や蒸し暑いときなどは自由に動けるようにしておくほか、水分補給ができるように水も数ヵ所に用意してください。
また、停電になったときの対策として、タオルに包んだ凍らせたペットボトルや冷却マットなども用意しておきましょう。
【注意!】犬は扇風機を涼しいと感じないので扇風機だけはダメ!
人間が扇風機の風を涼しいと感じるのは、皮膚の上で汗が蒸発して熱を奪ってくれるためです。犬は汗をかくことがないため、人間と同じ効果は期待できません。(※体が濡れていたりクールマットを併用している場合は意味があります。)
留守番中の閉め切った室内で扇風機だけをつけても、熱風が循環されるだけなので注意が必要です。
エアコンと一緒に扇風機やサーキュレーターを使用することで、室内の空気が循環して効率よく冷やすことができるため、扇風機だけでなくエアコンも使用してください。
また、扇風機を使用する際は、愛犬が留守番中に羽根に巻き込まれたり転倒しないよう置き場所にも配慮してあげましょう。
夜間
夜間であっても、犬の暑さ対策は必要です。涼しいとき以外はエアコンはつけっぱなしにして、飲み水も十分に用意してください。
犬が寝ている間に熱中症になってしまうことも珍しくはないため、夏場などの暑い時期は冷却マットや接触冷感素材のベッドなどを準備してあげましょう。
ただし、あまりにも低すぎる温度設定は体が冷えすぎてしまいます。毛布なども用意して、寒くなったら愛犬が温かく過ごせるようにしてください。
【注意!】エアコンを使用するときの温度は愛犬の適温に!
エアコンの温度を低く設定してしまうと、外の気温との温度差で自律神経が乱れてしまうこともあるため、夏場のエアコンの設定温度は25~27度程度にしましょう。
ただし、温度設定は個体差があるため、愛犬の適温を探してあげてくださいね。
エアコンなし
エアコンなしの部屋の暑さ対策では、愛犬が室内を自由に移動できるようにして小型の冷風機などを使用しましょう。
冷却マットや接触冷感ベッドなども必要です。人間がそこまで暑く感じていなくても、少しでも暑いと感じる場合は犬はかなり暑いと感じていると思って、しっかり暑さ対策を行ってあげてくださいね。
■エアコンなしの部屋の暑さ対策
・カーテンを閉める
・飲み水を十分に用意する
・小型冷風機などを設置する
・冷却グッズを準備する
屋外飼い
犬を屋外飼いしている場合は、できれば夏場や梅雨どきなどは室内や玄関などエアコンの効いた場所で過ごさせてあげることが理想です。
しかし、どうしても難しい場合は、犬小屋の屋根に日光を遮るアルミシートをかけてあげたり、日陰を作るなど工夫をしてください。
■屋外飼いの犬の暑さ対策
・日陰を作る
・風の通る場所に犬小屋を置いてあげる
・犬小屋の中に保冷剤や冷却マットを置く
・いつでも新鮮な水が飲めるようにしてあげる
・地面に水をまいてあげる
キャンプ
愛犬とキャンプに行った場合では、日陰を作り水分補給をしっかりと行ってください。
できれば高地や林間サイトなど、涼しい場所をキャンプ地に選んであげるといいでしょう。
冷却グッズや飲み水は万全に用意し、愛犬が暑そうにしていたらエアコンの効いた車の中で休ませてあげるなど配慮してあげることも大切です。
車内
車内の犬の暑さ対策は、エアコンをつけて直射日光が当たらない場所に乗せてあげましょう。
車のボディは鋼板やアルミなど熱を伝えやすい素材でできています。ある程度通気性は確保されているものの気密性が高いため、ガラスを透した日光や熱を内部に溜めてしまうダッシュボードなどによって車内の温度はますます上昇!そのため、車内の温度は外気温よりも高いのです。
愛犬と車でお出かけするときは、車内の暑さ対策も万全にする必要があります。
■車内の暑さ対策
・車のエアコンをつける
・犬に直射日光が当たらないようにする
・保冷剤などを使用する
・こまめな水分補給
愛犬を車の後部座席に乗せる場合は、後部座席にまで冷風が届いているか確認してください。
また、クレートなどに入ってもらっている場合では、例えエアコンをかけていても熱がこもりやすいため、クレートの中に保冷剤などを入れてあげましょう。
【危険!】愛犬を車内での留守番は絶対にダメ!
エアコンで冷えてるから、サンシェードで日差しを遮っているから、窓を少し開けてあるから…エンジンを止め、車内に犬を残して車を離れる飼い主さんもいますが、車内に愛犬を置き去りにするのは絶対にやめてください。
犬の熱中症の多くは車内での留守番で起きており、環境省でも飼い主さんに向けてペットを車内に残すのは危険であると注意喚起しています。(※7)
海外の動物愛護団体「PSPCA(英国王立動物虐待防止協会)」、では車内に残された犬はわずか6分で命を落とすとして、ニュースメディアでも取り上げられました。(※8)
車内に愛犬を留守番させなければいけないような場所に行くときは、誰かと一緒に車内や日陰で待っていてもらったり、そもそも愛犬を連れて行かないなど、よく考えてあげる必要があります。
犬の熱中症や夏バテは少なくはない?!危険な体験談も
飼い主さん323人を対象に行ったアンケートでは、熱中症や夏バテに関するエピソードも教えてもらいました。
今回のアンケートでは熱中症になった犬の割合は1割弱でしたが、決して少ない数字ではなく、油断せずに暑さ対策をしてあげることが大切です。
■愛犬が熱中症になってしまったことはある?
・ある:8.4%(27人)
・ない:91.6%(296人)
熱中症や夏バテなど、実際のエピソードをご紹介します。
■実際のエピソード
色んな対策をして夏は過ごしていましたが、最近の急な猛暑の日に窓を開けていましたが、急にぐったりとしてしまい、慌てて涼しい部屋で寝かせてあげたら元気になりました。病院に行くと軽い熱中症と診断されました
当時16歳の愛犬は寝たきりで動くことができませんでした。5月で暑くないからとエアコンはつけておらず、仕事に行っている間に熱中症になってしまったようです。のけぞったり手足を突っ張らせるなどの症状が出て、その後はてんかんや腎不全になってしまいました。寝たきりということも考え、もっと水分や室温に気をつけてあげていればと後悔しています
熱中症に気を付けて、エアコンは付けたまま外出したが、光が入り外が見えた方が良いと思って、カーテンを開けたままにしてしまった。そのため、窓際で寝ていたのか、陽が当たり続けてしまい、結果熱中症になってしまった
散歩はいつも通り行ったが、お風呂場に入り込んでしまい、ドアが閉まってしまった為に、暴れて熱中症に。窓は空いていたが、風も無かったのと、湿気、閉じ込められた焦りで泡を吹いて倒れてしまった。すぐに病院に行くと熱中症と診断され、そのまま入院となった
残暑の厳しい9月半ばに朝からぐったりしていて食事も食べず病院に連れて行きました。思えば、前の日も夜まで暑い日であまり水も飲まずに家の中で走り回っていたのが原因だったと思います
コメントをもっと見る
仕事から帰ってきた時、犬がじっとしていました。全く動かず反応もありませんでした。病院は閉まっていましたが救急なので開けてもらい、診察をお願いしました。熱中症であると診断され、水分がかなり不足していると言われました。薬や水分補給により徐々に回復しました。真夏ではなかったので油断していました。梅雨時期で、冷房を入れるほどではないけれど蒸し暑い時期は要注意だと反省しました
以前飼っていたシェルティーは10分だけだからと車内に留守番させてしまい、戻った時にはぐったりしていました
以前飼っていた犬が、散歩の帰りに玄関にリードをつなぎ、そのまま庭作業をしていたら熱中症になりかけたときがありました。それ以降、気を付けるようになりました
思いがけず夜から朝にかけて蒸し暑かった時に、朝ご飯を食べず、吐くことがあり、病院に連れて行ったら夏バテで点滴をしました
車の長時間移動の際に助手席で日当たりのよいところにいた愛犬が夜ぐったりしてしまったことがあります。長時間移動で水分補給もできていなかったので軽い夏バテになってしまったので、以後車での移動でも空調や直射日光だけでなく水分補給にも気を使っています
夏の暑い日のお昼過ぎに少し離れた公園に遊びに行こうとしたのですが、家を出て5分もしないうちに座り込んでしまい、いつも以上に息が荒い状態になってしまいました。仕方なく抱っこしてみると、かなり体温が暑くなっていて苦しそうにしていました。それ以降は、外出時の気温はもちろん、直射日光を浴びすぎないように時間帯や日陰を選ぶなどの工夫を始めるようになりました
飼い初めの頃はあまり事情も分からなかったので昼間に普通に散歩していました。そうしたら外に出て5分くらいでバテバテになってしまったことがあって、見るとかなりぐったりしています。急いで家に戻り冷たいシャワーを掛けて体を冷やし、その後クーラーの効いた部屋にいたら回復しました。それ以降は夏の散歩は気を付けています
「急にぐったり」は熱中症の症状ですが、夏バテだと思っている飼い主さんも多く見られました。
アンケートでは1割弱の結果でしたが、実際はもう少し多く熱中症になったことがある犬がいるようです。
熱中症と夏バテは、急激に起こるか、数日から数週間かけてゆっくり影響が出てくるかの違いがあり、夏バテだと思って油断してしまうのは危険なので注意しましょう。
■犬の夏バテの主な症状
・食欲がなくなる
・動きたがらない
・元気がない
・下痢や嘔吐
・睡眠時間が長くなる
夏バテと熱中症の症状の違いを覚えておいてくださいね。
まとめ
犬の熱中症は、早めに気づいてすぐに対処してあげることが大切です。
熱中症にならないためにも、以下のことに気をつけましょう。
・エアコンはつけっぱなしにする
・気温だけでなく湿度にも注意してあげる
・水分を摂取しやすいように配慮してあげる
・冷却グッズを活用して停電時にも備える
・車内でお留守番はさせない
愛犬のために熱中症対策や暑さ対策をしている飼い主さんも多いと思いますが、もう一度対策方法を見直し、万全にして暑い夏を乗り切ってもらいましょう。
<参考文献>
(※1)参考:平成31年度熱中症対策シンポジウム 井上動物病院「ペットの熱中症と対策」
(※2)参考:みんなのどうぶつ病気大百科「犬の皮膚・被毛の特徴と、観察ポイント・ケア方法まとめ」
(※3)参考:公益財団法人日本動物愛護協会「犬や猫の熱中症について」
(※4)参考:アニコム損害保険株式会社「ゴールデンウィークからペットの熱中症が急増、暑さ対策に注意を!」
(※5)参考:環境省「熱中症環境保健マニュアル2022~日常生活での注意事項」
(※6)参考:千葉市医師会「冬でも注意『冬の脱水症状』」
(※7)参考:環境省「ペットを車内に残さないで!」
(※8)参考:THE CONVERSATION「It takes just six minutes for a dog to die in a hot car」
※記事で紹介されている商品を購入すると、売上の一部がINUNAVIに還元されることがあります。メーカー等の依頼による広告にはPRを表記します。
※掲載されている情報は、INUNAVIが独自にリサーチした時点の情報を掲載しています。掲載価格に変動がある場合や、登録ミス等の理由により情報が異なる場合がありますので、最新の価格や商品の詳細等については、各ECサイト・販売店・メーカーよりご確認ください。
執筆者
- ペットライター
-
たかだ なつき
- JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー