犬がレバーを食べるメリット
犬がレバーを食べるメリットは、効率的に栄養を摂取できることや嗜好性が高いことがあげられます。
レバーは栄養価が高く、少量でもさまざまな栄養素を摂り入れることができるため、あまり量を食べられない犬にも与えやすいでしょう。
また、レバーが好きな犬は多く、ドライフードのトッピングはもちろん、食欲が落ちてしまった犬の食欲を刺激してくれることも期待できます。
レバーの主な栄養素
レバーには鶏や豚、牛、馬、鹿などさまざまなものがあり、どれも犬が食べられますが、ここでは一番臭みが少なく食べやすい鶏レバーの栄養素を見ていきましょう。
■鶏レバーの主な栄養素【にわとり 肝臓 生】(※1)
カロリー:100kcal / 100g
- たんぱく質
100g中:18.9g
…体を構成する重要な栄養素。不足すると成長障害、体力や免疫機能の低下などが起こる(※2)
- 鉄
100g中:9.0mg
…全身に酸素を運ぶ大切な働きがある。赤血球中や筋肉中にあるタンパク質の構成成分でもある(※3)
- 亜鉛
100g中:3.3mg
…体内で作ることができない微量必須ミネラル。多くの代謝や酵素機能に関わる。免疫力の向上、ビタミンAの抗酸化作用の活性化、たんぱく質と合わせて摂取することで全身の新陳代謝の活性化などの働き(※4)
- ビタミンA
100g中:14000μg
…脂溶性ビタミン。目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、抵抗力を強めたりする働きがある(※5)
- ビタミンB群
…あらゆる種類の酵素の補酵素。代謝ビタミンとも呼ばれ、生きるためのエネルギーを作るのに必須(※6)
レバーは健康維持に役立つ栄養素が豊富に含まれていますが、脂溶性ビタミンであるビタミンAも豊富なため、長期的に継続して大量にレバーを食べた場合はビタミンAが過剰になる恐れもあるので与える際は適量にとどめておきましょう。
AAFCOが基準としているフード1kgあたりの成犬のビタミンAの最低値は5000IU(125μg)、最大値は250000IU(6250μg)ということも考えると、普段与えているフードにもビタミンAは含まれているので、ビタミンAを摂取させる目的でレバーを与える必要はないと言えます。
また、犬はレバーだけでなくハツ(心臓)も食べることができ、ハツに含まれる栄養素もほぼ同じで、栄養素の含有量が異なります。ハツのほうがカロリーが高いため、ハツを与える場合はレバーの半分くらいにしておきましょう。
次章では、犬が1日に食べてもいいレバーの量を解説します。
主なレバーの特徴はこちら
■主なレバーの特徴
- 鶏レバー
…きめ細やかでしっとりとした食感。牛や豚に比べて臭みやクセが少ない - 豚レバー
…弾力がありしっかりとした食感。牛に比べて臭みが少ない - 牛レバー
…やわらかみがありとろっとした食感。濃厚だが臭みを感じやすい
犬が1日に食べてもいいレバーの量
犬がおやつやトッピングとして1日に食べてもいいレバーの量は、肥満や栄養バランスの偏りを防ぐためにも愛犬が1日に必要な摂取カロリーのうちの10%程度です。
とは言え、レバーはビタミンAを多く含むため、毎日多量に与えるのはおすすめできず、ほんの少量にとどめておくことが大切です。以下を目安にしてください。
■犬が1日に食べてもいいレバーの目安量
体重 |
1日の目安量 |
超小型犬(体重4kg未満) |
5g |
小型犬(体重4~10kg未満) |
10g |
中型犬(体重10~25kg未満) |
15g |
大型犬(体重25kg以上) |
20g~ |
また、愛犬の体調や便の状態、体型や活動量、ライフステージなども考慮して与える量を調整してください。
愛犬に合わせたカロリー計算については、以下の記事で詳しく解説しています。
【獣医師監修】ドッグフードの正しい与え方!パッケージの給餌量はあくまで目安
犬にレバーを与える際の注意点
レバーはドッグフードにも使用されることがあるように、栄養豊富で犬の健康維持に役立つ食べ物ですが、食べさせるときには注意してあげなければいけないこともあります。
ここでは、犬にレバーを与える際の注意点を解説します。
食物アレルギーに注意する
※実際に食物アレルギーによって左右対称に目の周りが赤くなる、痒みが出る、目の下が脱毛した愛犬です
レバーに限りませんが、犬に初めて食べさせるときは少量で与え、食べた後は48時間ほど様子を見てあげましょう。
レバーに食物アレルギーがある場合、食べてから30分~48時間以内に以下のような症状が見られます。
■犬の食物アレルギーの主な症状
・皮膚の赤みや痒み
・目の周りや口の周り、耳を痒がる
・脱毛
・足先や皮膚を執拗に舐めたりかじる
・下痢や軟便
・嘔吐
食物アレルギーの症状は犬によって異なりますが、上記のような症状が見られた場合は食べさせるのを控え、獣医師に相談してください。
実際、愛犬は目の周りを痒がり、血が出るほど掻き続けていました…。(現在は抗ヒスタミン薬を飲みながら何の食物アレルギーか特定中です)
犬の食物アレルギーについては、以下の記事で詳しく解説しています。
犬のアレルギー(食物・アトピー・ノミ)原因・対策を徹底解説【皮膚科医取材】
鮮度が良いものを与える
愛犬にレバーを与える際は、「食用」で鮮度の良いものにしましょう。以下のようなレバーは腐っている可能性があり、与えてはいけません。
■傷んだレバーの特徴
- 白っぽく変色している
- 茶色っぽく変色している
- ぬるぬるしている
- ねばねばして糸を引いている
- 変な匂いがする(アンモニア臭、硫黄臭、酸っぱい匂いなど)
生のレバーは賞味期限が短く、冷蔵保存で1~2日程度です。そのため、購入後はすぐに食べ切る必要がありますが、食べきれない場合は下処理をして冷凍保存することで2~3週間ほど保存することができます。
■レバーの下処理の方法
- 血の塊や白い筋などを取り除き使いやすいサイズにカットする
- ボウルに氷水を用意してその中に①を入れ、水をかき混ぜて汚れを落とす
- 水を替えて②を3回ほど繰り返す
- 水洗いしてペーパータオルで水気を取る
- 保存袋などに重ならないように入れて冷凍する
必ず加熱する
生のレバーは、鮮度に関わらず腸管出血性大腸菌(O157など)やカンピロバクター、サルモネラ属菌など食中毒を起こす菌やウイルス、寄生虫がついている可能性があるので、必ず中までしっかり加熱してから与えてください。
中心部の温度が75℃で1分間以上(中心部の色が変わるくらいまで)加熱すれば食中毒菌は死滅する(※7)とされています。
また、生のレバーが触れた調理器具や手指もしっかり洗うなど、衛生管理も徹底しましょう。
肥満の犬は少量にする
レバーは犬の嗜好性が高い食べ物のため、たくさん欲しがることも考えられますが、脂質が多く含まれるため、肥満の犬では少量にとどめておきましょう。
持病がある犬は獣医師に相談してから与える
栄養価の高いレバーですが、たんぱく質や脂質が豊富に含まれていることから、持病がある犬は獣医師に相談してから与えるようにしたほうが安心です。
特に病気で栄養素の制限を指示されている場合では、必ず獣医師に確認してください。
レバーを使用したおすすめ人気おやつ3選
レバーを愛犬に食べさせてみたいけど、下処理が面倒!という飼い主さんもいるでしょう。
手軽に与えられるレバーのおやつをまとめてみたので参考にしてください。
これらは私も愛犬たちに与えていますが、ドライフードを食べないときにトッピングに利用したり、薬を飲んでもらうときに利用したりと、とても便利でおすすめです。
急に付け足したいときやちょっと欲しいときなど、レバーのおやつを活用してみてくださいね。
まとめ
レバーは栄養が豊富なだけでなく、匂いや味がしっかり感じられるため、喜んで食べる犬も多い食材です。
ただし、食べてくれるからとたくさん与え過ぎてしまうのは、肥満や栄養バランスの偏り、場合によってはビタミンA過剰による体調不良を起こす可能性もあり、適量にとどめておくことが大切です。
また、食中毒などを起こさないためにも、必ず中まで火が通るように加熱してから愛犬に与えるようにしてくださいね。
<参考文献>
※1:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
※2:厚生労働省 e-ヘルスネット「たんぱく質」
※3:大塚製薬 栄養素カレッジ「鉄」
※4:グリコ「亜鉛の効果・効能。男性にも女性にもメリットがたくさん!」
※5:大塚製薬 栄養素カレッジ「ビタミンA」
※6:一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所「ビタミンB群」
※7:東京都保健医療局「“生レバー”や“鶏さし”は、食べると食中毒になると聞きましたが、本当ですか?【食品安全FAQ】」
執筆者
- ペットライター
-
たかだ なつき
- JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー