愛犬が自分の手(前足)を舐める理由10個
わんちゃんにとって、自分の手を「舐める」という行動は意図したものから意図せず本能で行われているものまでさまざまです。
中には病気のサインの場合もあるため、なぜ自分の手を舐めるのか理由を知っておくことが大切です。
ここで詳しく見ていきましょう。
①ストレス
わんちゃんがストレスを感じていると、ストレスを緩和させたくて自分の手を舐めるという行動が見られることがあります。
わんちゃんには、環境の変化やかまってもらえない寂しさなどの心理的ストレスや、運動不足やかまいすぎなどの身体的ストレスなど2種類のストレスがあるため、愛犬がストレスを抱えるようなことがなかったか考えてみましょう。
愛犬のストレスサインとは?下痢や噛むときなど症状別の解消法を紹介!
②暇つぶし
わんちゃんは、退屈なときに暇つぶしで自分の手を舐める場合があります。
遊べるおもちゃがなかったり、愛犬と遊ぶ時間が短いといったことが主な原因になります。
③飼い主さんにかまってほしい
わんちゃんによっては、自分の手を舐めると飼い主さんにかまってもらえると思ってわざと舐めることがあります。
飼い主さんはやめさせようとしただけであっても、わんちゃんは「手を舐めているときにかまってもらえた」という過去の経験から、かまってほしくて自分の手を舐めるのです。
④クセになっている
わんちゃんが自分の手を舐めるのがクセになってしまっていることも考えられます。
もともとは何かほかの理由があって自分の手を舐めていたのが、いつしか理由がなくても舐めるようになってしまったということもあります。
人間でも、無意識に貧乏ゆすりや前髪を触るなどのクセがある人がいるように、無意識に舐めているのかもしれません。
⑤お手入れのため
わんちゃん自身のお手入れのために、自分の手を舐めることがあります。
猫ちゃんほど入念なお手入れ(グルーミング)をすることはありませんが、清潔を保つために行われる本能的な行動です。
⑥落ち着くため
わんちゃんが不安なときや緊張したときに、自分の気持ちを落ち着かせようと自分の手を舐めるという行動が見られることがあります。
わんちゃんが自分の手を舐めるのは、ストレスや不安、緊張や恐怖などを感じたときなどにも見られるため、愛犬がどんな状況かを見極めて心理状態を理解してあげましょう。
⑦眠くなってきた
わんちゃんは眠くなると、リラックスするために自分の手を舐めることがあります。
これは正常な行動のため、特に気にする必要はありません。
⑧手(前足)に違和感がある
もしかしたら、手に違和感があって舐めているのかもしれません。
トリミングで足裏バリカンをされた、お散歩で小石が挟まった、トゲが刺さった、傷がある、腫れている、痛みや痺れがあるなど、考えられる原因はさまざまです。
⑨体調不良
わんちゃんによっては、気持ちが悪いなどの体調不良で自分の手を舐めることがあります。
吐き気をごまかすために舐めている場合は、よだれを垂らしながらということが多いため、よだれが垂れていないかよく観察してください。
⑩アレルギー
わんちゃんにアレルギーの症状が出て足先が痒くなり、舐めていることも考えられます。
わんちゃんのアレルギーの原因はさまざまで、ハウスダストや花粉、ノミ・ダニやカビ、食べ物など多様です。この場合、飼い主さんがアレルギーの原因を特定したり、アレルギーなのかほかの病気なのかを見極めるのは難しいため、獣医師に相談することをおすすめします。
わんちゃんのアレルギーについては、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
犬のアレルギー(食物・アトピー・ノミ)原因・対策を徹底解説【皮膚科医取材】
愛犬が自分の手(前足)を舐めるのをやめさせた方がいい場合は?基本的にはやめさせない
愛犬が自分の手を舐めることを無理にやめさせることは、自分の気持ちを落ち着かせることができなくなり、更にストレスを感じさせてしまうため、基本的にはやめさせないようにしてください。
しかし、以下の場合では、動物病院の受診が必要です。
■動物病院の受診が必要な場合
・手の皮膚が赤くなっている
・手先の被毛が変色している
・手先が脱毛している
・手先が腫れている
・5分以上舐め続ける
・よだれを垂らしながら舐める
・手に傷がある
・肉球がひび割れしている
また、上記以外でも頻繁に舐めるようであれば原因を突き止めて、それに合わせた対処をしてあげましょう。
次章からは対処法についてご紹介します。
愛犬が自分の手(前足)を舐めないようにする対処法
愛犬が自分の手を舐めるときに、心配がいらないのはお手入れや眠くなってきたときだけに舐めるケースですが、それ以外の理由の場合は無理にやめさせるのではなく、原因に合わせた対処が必要です。
ここでは、愛犬が自分の手を舐めないようにするための対処法を見ていきましょう。
①ストレスを取り除く
わんちゃんが自分の手を舐める理由の多くは、ストレスによるものです。
不安や恐怖、緊張などでストレスを感じることもあるでしょう。
何に対してストレスを感じているのか原因を探り、ストレスとなっているものを取り除いてあげることが大切です。
②おもちゃを用意する
ひとりで遊ぶおもちゃがなければ、退屈な時間が増えて余計に手を舐めるといったことにつながりやすいです。
おもちゃは飼い主さんが見ている前で遊ばせるのが基本ですが、愛犬が留守番中にも遊べるような、安全性を考えて作られた知育トイなどを用意してあげることをおすすめします。
知育トイは比較的飽きにくいため、手を舐めるヒマなく遊ぶことができ、遊び疲れて眠ってくれるでしょう。
また、留守番中でなくてもおもちゃは有効な手段です。おもちゃで意識をそらしてあげることで、手を舐める頻度を減らすことができますよ!
③コミュニケーションをしっかり取る
愛犬と遊ぶ時間を増やすのはもちろん、散歩中に話しかけたりアイコンタクトを取るなど、しっかりコミュニケーションを取ることも忘れてはいけません。
スキンシップや声掛け、何かをしたら褒めるなど、普段の生活の中でもコミュニケーションを心がけましょう。
ただし、かまいすぎずにほどほどにしてあげることも大切です。
④エリザベスカラーの装着や靴下を履いてもらう
愛犬の手に傷がある場合や、炎症を起こして真っ赤になってしまっている場合では、それ以上悪化させないようにエリザベスカラーの装着や靴下(もしくは包帯)を履かせる必要があります。
すでに動物病院を受診している場合では、獣医師からの指示に従ってください。
また、お散歩時に靴を履いてもらうことで二次感染などを防ぐことができます。
⑤動物病院を受診する
手に赤くなったり腫れるなどの異常がなくても、頻繁に舐め続けるようであれば動物病院を受診してください。
分離不安症や強迫神経症(強迫性障害)など、心因性の病気の可能性もあります。
場合によっては行動診療科のある動物病院を紹介されることもあるように、治療が必要な状態のため、そのままにしないようにしましょう。
また、動物病院を受診する際は、スマホで手を舐めている様子を動画を撮って見せたほうが獣医師が治療方針を決めやすく、早期に適切な治療が始められるのでおすすめです。
愛犬が自分の手(前足)を舐めるときに考えられる病気
わんちゃんが自分の手を舐める理由の多くはストレスや退屈といったことですが、病気の可能性も否定できません。
ここでは、愛犬が自分の手を舐めるときに考えられる病気を知っておきましょう。
■自分の手を舐めるときに考えられる病気
- 分離不安症
…飼い主さんの姿が見えなくなることに過剰な不安や恐怖を覚える病気
- 強迫神経症(強迫性障害)
…ストレスや不安、恐怖などを振り払おうとして何度も同じ行為を繰り返す。自分でもその行為を止めることができない病気
- アレルギー性皮膚炎
…過剰な免疫反応と皮膚バリアの低下によって発症する病気
- 吐き気
…アレルギーや胃腸炎、膵炎、j腎臓病、糖尿病、腫瘍、感染症など原因はさまざま
- 指間炎
…わんちゃんの指の間の皮膚が炎症を起こす病気。ケガ、異物、アレルギー、ストレス、皮膚病など原因はさまざま
- 血栓塞栓症
…血栓が血管を閉塞して血流を遮断することで末梢の臓器障害を引き起こす病気
- 関節炎
…関節軟骨の変化や変形が起き、関節の働きが悪くなって炎症が起きたり痛くなったりする病気
- 脊椎や脊髄の疾患
…脊椎や脊髄に何らかの障害がある状態。さまざまな疾患がある
考えられる病気はさまざまありますが、どの病気であっても早期発見・早期治療が重要なので、心配な場合は獣医師に相談してみてくださいね。
まとめ
愛犬が自分の手(前足)を舐めるという行動にはさまざまな理由があり、傷があったり炎症を起こしているなどの特別な場合を除いて、舐めることを無理にやめさせるのは逆効果ということがお分かり頂けたのではないでしょうか。
「手を舐める」という何気ない行動であっても、動物病院を受診する必要がある場合もあり、その場合は適切な治療を受けさせてあげることが大切です。
■動物病院の受診が必要な場合
・手の皮膚が赤くなっている
・手先の被毛が変色している
・手先が脱毛している
・手先が腫れている
・5分以上舐め続ける
・よだれを垂らしながら舐める
・手に傷がある
・肉球がひび割れしている
どんな理由で愛犬が自分の手を舐めるのか原因を突き止め、それに合わせた対処をしてあげましょう。
執筆者
- ペットライター
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たかだ なつき
- JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー