愛犬が自分の足を舐める理由は?体調不良が原因のことも
わんちゃんが自分の足を舐める理由はさまざまですが、病気が隠れていることもあり、なぜ足を舐めるのか状況から見極めてあげることが重要です。それぞれ詳しく解説します。
■愛犬が自分の足を舐める10個の理由
①ストレスを抱えている
②退屈で暇つぶしをしている
③癖になっている
④飼い主さんにかまってほしくて
⑤お手入れをしている
⑥眠くなってきている
⑦心を落ち着けるため
⑧足に違和感があるから
⑨気持ちが悪いから
⑩アレルギーを発症している
また、飼い主さんの足を舐める理由が知りたい場合は、「愛犬が飼い主さんの足を舐めるのはこんな気持ちのとき!舐めてくる6つの理由」をご覧ください。
愛犬がストレスを感じている場合、自分の足を舐めることで少しでもストレスを緩和させようとします。
わんちゃんのストレスには、環境の変化やかまってもらえない寂しさなどの心理的ストレスや、運動不足やかまいすぎなどの身体的ストレスの2種類があり、もしかしたら、飼い主さんが気づかないうちにストレスを与えてしまったのかもしれません。
愛犬が退屈で時間を持て余している場合、自分の足を舐めて暇つぶしをすることがあります。
遊べるおもちゃもなくずっと室内にいる、飼い主さんが忙しくてなかなか遊んでもらえない、といった場合では暇つぶしに足を舐めているのかもしれません。
愛犬が自分の足を舐めることが癖になっている可能性も考えられます。
もともとはストレスや暇つぶしで舐めていたのが癖になってしまい、いつしか無意識に足を舐めるようになってしまったのかもしれません。
愛犬があまり飼い主さんにかまってもらえない場合、飼い主さんにかまってほしくて自分の足を舐めることもあります。
これまでに、舐めさせるのをやめるときだけ声をかける、触るなどのことをしていた場合、足を舐めれば飼い主さんがかまってくれると学習して自分の足を舐めるのです。
もしかしたら愛犬は、お手入れ(グルーミング)をするために自分の足を舐めているのかもしれません。
わんちゃんには猫ちゃんのようなグルーミングのイメージはあまりないかもしれませんが、潔を保つために行われる本能的な行動で、グルーミングするわんちゃんも珍しくはありませんよ!
愛犬が眠くなってきている場合、リラックスするために自分の足を舐めることがあります。
寝る前やくつろぐ前などに見られるときは、正常な行動で心配する必要はありません。
愛犬に不安なことや緊張することが合った場合、気持ちを落ち着かせるために自分の足を舐めることがあります。
自分の足を舐めるのは、ストレスや不安、緊張や恐怖などを感じたときなど、さまざまなシーンで見られるため、どんな状況で自分の足を舐めるのか見極めてあげることが大切です。
愛犬の足に何か違和感があって自分の足を舐めている可能性もあります。
■足の違和感で考えられること
・足裏バリカンをされた
・お散歩で小石が挟まった
・トゲが刺さった
・傷がある
・虫に刺された
・腫れている
・痛みや痺れがある
さまざまな原因が考えられますが、足に異常がないか確認してあげましょう。
もしかしたら愛犬は、気持ちが悪く、吐き気があってごまかすために自分の足を舐めているのかもしれません。
吐き気がある場合ではよだれを垂らしながら舐めることが多いため、足を舐めているときはよく観察してください。
愛犬に何かアレルギーがあった場合、痒みから足を舐めることがあります。
わんちゃんのアレルギーの原因はさまざまですが、飼い主さんがアレルゲンを特定したり、ほかの病気か見極めることはできないため、獣医師に相談することをおすすめします。
■アレルギーの原因の例
・ハウスダスト
・カビや細菌
・花粉
・ノミやダニ
・食べ物
わんちゃんのアレルギーについては、以下の記事で詳しく解説しています。
犬のアレルギー(食物・アトピー・ノミ)原因・対策を徹底解説【皮膚科医取材】
愛犬が自分の足を舐めるときに動物病院を受診する目安
愛犬が自分の足を舐める理由はさまざまで、本能や正常な行為など心配いらないものもありますが、以下の場合は動物病院を受診してください。
■愛犬が足を舐めるときに動物病院を受診する目安
・足の皮膚が赤くなっている
・足の被毛が変色している
・足先が脱毛している
・足先が腫れている
・脇目もふらず5分以上舐め続ける
・よだれを垂らしながら舐めている
・足に傷がある
・肉球がひび割れしている
また、上記のような明らかな異常がなくても、頻繁に自分の足を舐める場合は獣医師に相談することをおすすめします。
愛犬が飼い主さんの足を舐めるのはこんな気持ちのとき!舐めてくる6つの理由
愛犬が自分の足ではなく、飼い主さんの足を舐めてくることもあるでしょう。飼い主さんの足を舐めるときはさまざまな気持ちが込められているため、何を伝えようとしているのか理解してあげましょう。
ここでは、飼い主さんの足を舐める6つの理由をご紹介します。
①「大好きだよ!」|愛情表現をしている
わんちゃんにはさまざまなコミュニケーションの手段がありますが、足を舐めることで愛情表現をしているのかもしれません。
わんちゃん同士で舐め合うのは絆を強めているためで、飼い主さんを舐めるのも同じ意味が込められています。
②「何の匂いだろう?」|情報収集をしている
わんちゃんは匂いからさまざまな情報を嗅ぎ取ることができ、時には舐めて確認することがあります。
飼い主さんの足からいつもと違った匂いがしたときに舐める場合は、情報収集をしていると考えられます。
③「遊ぼうよ!」|かまってほしい
わんちゃんは、飼い主さんにかまってほしい気持ちから、飼い主さんの足を舐めることがあります。
以前に足を舐められて、「やめて~」などと笑いながら反応したことがある場合では、飼い主さんが反応することをわかってやっている確信犯です。
④「何かモヤモヤする…」|ストレスを抱えている
わんちゃんは、ストレスを抱えていると飼い主さんの足を舐めることがあります。
わんちゃんの本能的に出るしぐさの1つで、ストレスを抱えていることを飼い主さんに知ってもらうための行動です。
ほかにも、不安や恐怖、緊張を感じているときにも見られます。
愛犬のストレスサインとは?下痢や噛むときなど症状別の解消法を紹介!
⑤「この匂いがたまらない♡」|飼い主さんの足の匂いが好き
わんちゃんは嗅覚が優れているためか、体臭や有機物が腐ったような臭い匂いを好む傾向にあり、足の匂いが好きで舐める場合もあります。
「足の裏の突出した部分」や「かかと」は体重がかかるため、身体の防御反応が働き、皮膚が分厚くなって皮脂やアカがたまりやすくなっています。
また、足の裏には汗腺がたくさんあるので汗をかきやすく、汗や皮脂といった飼い主さんの足から出る体臭がたまらなく好きなのでしょう。
⑥「大丈夫?」|飼い主さんがケガをしている
わんちゃんは、ケガをしている部分を本能的に察知し、舐めることがあります。
自分のケガだけでなく、仲間がケガをしたときも舐めてあげるため、もしかしたら飼い主さんの足に何か傷があるのかもしれません。
愛犬が足を舐めるのをやめさせる方法は?無理にやめさせるのはNG!
愛犬が自分の足を舐めることをやめさせることは、自分の気持ちを落ち着かせることができなくなり、更にストレスを感じさせてしまうことになるため、無理にやめさせることは逆効果になってしまいます。
そうは言っても、舐め続けると炎症を起こしてしまう可能性があるので、少しでも舐める頻度が減るように対処してあげましょう。
①ストレスになっている原因を取り除いてあげる
わんちゃんが自分の足を舐める場合の多くはストレスによるものなので、何に対してストレスを感じているのか原因を突き止め、できる限り取り除いてあげるようにしてください。
不安や緊張、恐怖といったことはもちろん、飼い主さんと遊ぶ時間が少ない、お散歩にあまり行けていない、十分なお散歩ができていないといったこともストレスになり得るため、愛犬とのかかわり方ももう一度見直してみましょう。
②おもちゃを用意してあげる
時間を持て余しているわんちゃんでは、ひとりでも長い時間遊べるおもちゃを用意してあげるといいでしょう。
おもちゃは飼い主さんの目が届くとこで遊ばせることが基本ですが、留守番中なども遊べるような、安全性を考えて作られている知育トイなどを用意することで、退屈な時間を減らしてあげることができます。
また、留守番中に限らず、自分の足を舐めている愛犬の気をそらすためにもおもちゃは有効です。おもちゃを活用することで、足を舐める頻度を減らすことができるでしょう。
③コミュニケーションをしっかり取ってあげる
愛犬とのコミュニケーションの時間もしっかり取ってあげましょう。
一緒に遊ぶ時間を増やすだけでなく、お散歩中の声かけやアイコンタクト、普段の生活の中でのスキンシップや話しかけなど、できることはたくさんあります。
ただし、かまいすぎは逆にストレスを与えてしまうため、「愛犬の丁度いい時間」を探り、かまいすぎないようにしましょう。
④エリザベスカラーを装着したり靴下を履いてもらう
愛犬の足に傷があったり炎症を起こしている場合では動物病院を受診することが前提ですが、舐めて悪化しないようにエリザベスカラーを装着したり、靴下を履いてもらいましょう。
靴下が苦手な場合は、獣医師に包帯の巻き方を聞くと教えてくれますよ!
また、嫌がらない場合はお散歩のときに靴を履いてもらうことで悪化や二次感染などを防ぐことができます。
⑤異常がなくても頻繁に足を舐めるときは動物病院を受診する
「動物病院を受診する目安」でも触れましたが、愛犬の足にこれといった異常がなくても、頻繁に舐めるときは動物病院を受診することをおすすめします。
わんちゃんが自分の足を舐めるのは、足の異常だけでなく病気が隠れていることもあり、そのままにすることは愛犬のためにもなりませんね。
また、動物病院を受診する際は、スマホで愛犬が足を舐めている様子を動画に撮り、獣医師に見せることで適切な指示や治療を受けやすくなります。
次章では、愛犬が自分の足を舐めるときに考えられる病気を解説しているので、参考にしてください。
愛犬が自分の足を舐めるときに考えられる病気
では、愛犬が自分の足を舐めるときに考えられる病気には、どのようなものがあるのでしょうか。以下にまとめてみました。
■自分の足を舐めるときに考えられる病気
- 分離不安症
…飼い主さんの姿が見えなくなることに過剰な不安や恐怖を覚える病気
- 強迫神経症(強迫性障害)
…ストレスや不安、恐怖などを振り払おうとして何度も同じ行為を繰り返す。自分でもその行為を止めることができない病気
- アレルギー性皮膚炎
…過剰な免疫反応と皮膚バリアの低下によって発症する病気
- 吐き気
…アレルギーや胃腸炎、膵炎、j腎臓病、糖尿病、腫瘍、感染症など原因はさまざま
- 指間炎
…指の間の皮膚が炎症を起こす病気。ケガ、異物、アレルギー、ストレス、皮膚病など原因はさまざま
- 血栓塞栓症
…血栓が血管を閉塞して血流を遮断することで末梢の臓器障害を引き起こす病気
- 関節炎
…関節軟骨の変化や変形が起き、関節の働きが悪くなって炎症が起きたり痛くなったりする病気
- 脊椎や脊髄の疾患
…【前足を舐める場合】脊椎や脊髄に何らかの障害がある状態。さまざまな疾患がある
- 椎間板ヘルニア
…【後ろ足を舐める場合】椎間板の変性によって脊髄(神経)を圧迫し、痛みや麻痺などを引き起こす病気
- ホルモン疾患
…クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)や甲状腺機能低下症では皮膚炎などを併発することがある
考えられる病気はさまざまで、直接「足」が関係しているものから、心因性やほかの病気が原因となっているものもあります。
頻繁に足を舐める場合ではこうした病気の可能性もゼロではなく、どの病気も早期発見・早期治療が大切なので、動物病院を受診するようにしてくださいね。
まとめ
愛犬が自分の足を舐める理由や、飼い主さんの足を舐める理由はさまざまですが、ほとんどのことが意味があって行っているものです。
舐めることを無理にやめさせるのではなく、どうして舐めるのかを考え、原因に合わせて対処してあげることが舐める頻度を減らすための近道とも言えます。
また、明らかに赤くなっていたり、一心不乱に舐め続けるようなことがある場合は、動物病院を受診してくださいね。
わんちゃんいとって「舐める」という行為は、自分の気持ちを伝える手段の1つです。
愛犬との絆を深め、より良い関係を築くためにも愛犬の気持ちを読み取ってあげましょう。
執筆者
- ペットライター
-
たかだ なつき
- JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー