2020.04.18
2024.04.17
オオカミのような見た目で、日本でも比較的多く見かける大型犬であるシベリアンハスキー。明るく天真爛漫、物怖じしない性格でありながら独立心が強いことや、運動量の多さが特徴の犬種です。寿命は約11歳で、大型犬のなかでは平均的な寿命の長さといえます。
魅力を感じていても、体の大きさやしつけが大変というイメージから、なかなかお迎えができない人もいるのではないでしょうか。
この記事ではドッグトレーナーの監修のもと、シベリアンハスキーの本当の性格・特徴と飼い方を解説します。「初心者が飼うのは難しい？」「短命と聞くが、他にもデメリットある？」などの疑問も解決するのでぜひ最後までご覧ください。
※本記事は2024年10月までの情報を参考に作成しています。※本記事はINUNAVIが独自に制作しています。メーカー等から商品の提供や広告を受けることもありますが、コンテンツの内容やランキングの決定には一切関与していません。※本記事で紹介した商品を購入するとECサイトやメーカー等のアフィリエイト広告によって売上の一部がINUINAVIに還元されます。
目次
シベリアンハスキーの特徴や歴史、体重などの基本情報を紹介します。かなり古い時代から人間とともに暮らしてきたことや、見た目のバリエーションが多いことが特徴の犬種です。
シベリアンハスキーの原産地はアメリカで、ルーツはシベリア北東部にあると言われています。そこに住む民族が飼育していた「シベリアン・チュチース」という犬が祖先で、人間のソリを引く役目や狩りを手伝う役目をしていました。
サモエドやアラスカン・マラミュートと血縁が近い犬種で、かなり古い時代から存在していたと考えられていますが、詳細はわかっていません。
名前の由来は、遠吠えする声がしわがれたハスキーボイスであったことであると言われています。
犬種の管理・登録を行っているJKC（ジャパンケネルクラブ）によると、シベリアンハスキーの理想の体重はオスで20.5～28kg、メスで15.5～23kgです（※1）。
ミニサイズの小さいシベリアンハスキーを探している人もいるかもしれませんが、成長するまで大きさはわからず、メスでも予想外に大きくなる可能性があります。また、ハスキーと小型の犬種を交配させた「ミニチュアシベリアンハスキー」と呼ばれる犬や、「ミニハスキー」という別名を持つアラスカン・クリー・カイという犬種もいますが、入手は簡単ではありません。
20kgを超える大きな犬を迎えることになると認識しておきましょう。
シベリアンハスキーは毛色の種類が豊富で、シルバー・ブラック・レッド・チョコレート・ホワイトなどさまざまなカラーが混ざる犬種です。正式な毛色の名称は定められておらず、JKCは「ブラックから純白までの全ての色が認められる」としています。
全身が真っ白なシベリアンハスキーは「ホワイト・ハスキー」と呼ばれ、珍しい毛色です。顔の模様（斑点）の入り方も多様で、それぞれ見た目が異なることもハスキーの魅力と言えるでしょう。
シベリアンハスキーは毛色だけではなく目の色にも種類があります。もともとは青い色の目（ブルーアイ）を持つ犬種でしたが、現在はブラック・ブラウンの目をしたシベリアンハスキーも数多く見られます。
中には左右で目の色が違う、珍しい「オッドアイ」の個体もいます。オッドアイが生まれる理由として挙げられるのは生息する環境の変化です。シベリアは日照時間が少ないためメラニン色素が少ない青色でしたが、他の場所で暮らすようになり茶色や黒の目が出現するようになったと言われています。
シベリアンハスキーはオオカミのような見た目で怖いと感じる人もいるかもしれませんが、実際は明るく天真爛漫な性格です。
一方で、本能的な追いかける行動や、人にあまり興味を持たず自由に行動する傾向が見られることも。シベリアンハスキーの性格について詳しく解説します。
シベリアンハスキーはその見た目に反して攻撃性は低く、とても明るく天真爛漫な性格です。犬の行動を調査した「C-barq（シーバーク）」という研究の結果によると、「見知らぬ人への攻撃性」「見知らぬ犬への攻撃性」「飼い主への攻撃性」がいずれも低い数値です。
トレーニングをしていれば、基本的に犬にも人にも大きな問題なく接することができる犬種と言えるでしょう。
しかし、運動不足などの欲求不満からくる要求吠えは少なくありません。大きな吠え声を防ぐためには適切な飼育とトレーニングが必要です。また、小さなものなどを追いかける本能的な動きにも注意しなければいけません。
また、食べ物を守ろうとする「食物関連性攻撃行動」が多く見られ、家具などの破壊行動も多い印象です。
C-barqの研究結果によると、「見知らぬ人への恐怖」「見知らぬ犬への恐怖」もとても低い数値です。怖さからくる吠え・噛みつきなどの問題行動が少ない犬種と言えます。
「非社会的恐怖」のスコアも最も低く、雷やクラクションの音、見慣れないものなどにも恐怖を感じにくい傾向です。初めて出会うものを怖がってパニック状態になったり、吠えかかってしまったりすることは少ないでしょう。
シベリアンハスキーは天真爛漫な性格ではありますが、常に飼い主と一緒にいたいという犬種ではありません。ある程度の独立心があり、自由に過ごすことを好みます。過度なコミュニケーションやスキンシップはストレスになってしまうことがあるので、愛犬とべったり過ごしたいという人は別の犬種を検討するのがよいでしょう。
留守番によって不安になる傾向は低めですが、運動欲求や物への興味によって留守中に家具を破壊することがあるので、対策はしっかり行ってください。
シベリアンハスキーは自由気ままな性格であり、トレーニングにあまり関心を持たないケースがあります。人に対する興味の少なさや、おやつ以外の物への関心の強さなどによって、トレーニングの効果が出にくいことがあるでしょう。
決して頭が悪いということではありませんが、気が散らない環境を整えて上手に興味を惹きながらしつけを行う必要があります。
シベリアンハスキーの飼育は難易度が高く、初心者向きと言える犬種ではありません。運動・暑さ対策・スペース作りが大きなポイントなので、下記を参考に飼育が可能であるか確認しましょう。
シベリアンハスキーはとても運動量が多い犬種です。1日2回、1回あたり最低でも30分は散歩に行きましょう。しかしこれだけでは不十分で、運動欲求を満たせません。
家でロープの引っ張りっこをしたり、週末にドッグランで走らせたりと、散歩以外の運動も行って上手に運動欲求を満たしてあげることが大切です。運動に十分な時間を割けないのであれば、シベリアンハスキー以外の犬種を検討したほうがよいでしょう。
なお、散歩の際に自転車を使って犬を走らせることは道路交通法違反であり、大変危険なので絶対に避けてください。
遊びは危険なものでなければ、ボール投げでも引っ張り遊びでも何でも構いません。ドッグランもおすすめですが、気をつけないと犬を見ると興奮してコントロールができない、他の犬と挨拶しないと気が済まないなどのデメリットが生じる可能性があります。
シベリアンハスキーは寒い地域で生まれた犬種であり、暑さが苦手です。夏場は常に冷房をつけておく必要があるうえ、散歩は早朝や夜に限られます。
また、外飼いは熱中症のリスクが高く危険なので、必ず屋内で飼育するようにしましょう。
暑い時期は冷房や暑さ対策ウェア、クールネックなど暑さ対策は必須で、屋外飼育はすべきではありません。
前述のとおり、シベリアンハスキーは人にそれほど強い興味を持たず、自由に行動することを好みます。常に家族と近い距離でいるとストレスが溜まる場合もあるので、ケージやクレートを使って一人で静かに落ち着けるスペースを作りましょう。
また、小さな子供に攻撃をしてしまう可能性があります。特に、子供が犬の食べ物を取ろうとしたり、取られると勘違いするような行動を起こしたりすることを防ぐために、ペットゲートなどで近づけないように場所を区切ることがおすすめです。
寒い地域で生まれたシベリアンハスキーは密集した二重構造の被毛（ダブルコート）であり、抜け毛がとても多い犬種です。
特に春と秋の換毛期はかなりの量の毛が抜けるので、ブラッシングと掃除が欠かせません。換毛期以外でもブラッシングはこまめに行い、皮膚と被毛の健康を保つようにしましょう。
シベリアンハスキーは運動量が多いので、高タンパクのドッグフードがおすすめです。ただし、タンパク質を多く摂ることが必ずしもメリットにはなりません。
体調・体質によって合うものは異なるので、以下の記事を参考によいものを選んでください。体が大きく給与量が多いので、与え続けやすい価格のものを選ぶこともポイントです。
近年は、以下のようなシベリアンハスキーのミックス犬も人気があります。
ミックス犬は個性的で通常の犬種とは異なる魅力を持っています。しかし、大きさが全く異なる小型犬との掛け合わせも見られ、成長後のサイズや見た目は予測できません。
さらにシベリアンハスキーのミックス犬は入手が困難なので、その点も理解したうえで犬種選びをする必要があります。
シベリアンハスキーと別の大型犬で迷っている人も多いのではないでしょうか。人気の高いゴールデンレトリバーや見た目が似ているアラスカンマラミュートと比較すると、以下のような違いがあります。
◾︎シベリアンハスキー・ゴールデンレトリバー・アラスカンマラミュートの比較
| 犬種 | シベリアンハスキー | ゴールデンレトリバー | アラスカンマラミュート |
| 画像 |  |
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| 性格 | 天真爛漫、自由気まま、独立心がある | 友好的、人が大好き、寂しがり | 明るい、穏やか、従順 |
| 体重 | 20〜28kg | 29～34kg | 39〜56kg |
| 毛色 | シルバー・ブラック・ レッド・ホワイト など |
ゴールド・クリーム | ホワイト・ライトグレー ・ブラック・レッド など |
| 掲載頭数* | 41頭 | 114頭 | 2頭 |
*petmi掲載頭数（2023年12月時点）
ゴールデンレトリバーのほうが人懐っこく、トレーニングに興味を持ちやすい傾向があります。アラスカンマラミュートは体重がシベリアンハスキーの倍近くある犬種です。大きいぶん機敏性が低くゆったりとしていますが、スペースの確保からドッグフード代、介護などすべてにおいてシベリアンハスキーよりも大変と言えるでしょう。日本での販売頭数が少なく、手に入れることも簡単ではありません。
見た目や性格だけで安易に決めず、自分の生活に合う犬種なのか、無理のない環境で終生飼育ができる犬種なのかなどをよく考えることが大切です。
どの犬種も広いスペースが必要で、散歩・運動・ブラッシングなども大変なので、それらを提供できないようであればいずれも飼育は難しいです。
大型犬は一般的に寿命が短いと言われており、寿命やかかりやすい病気は事前に知っておきたい点です。他の大型犬との寿命の差も含め、詳しく解説します。
「アニコム家庭どうぶつ白書2023」によると、2021年度におけるシベリアンハスキーの平均寿命は11.4歳です（※2）。1位のトイプードルは15.3歳で、4歳近く差があります。
しかし、同じ大型だとラブラドール・レトリーバーは12.7歳、ゴールデン・レトリバーは10.7歳、バーニーズ・マウンテン・ドッグは8.8歳と、シベリアンハスキーが大型の中で特に寿命が短いというわけではありません。
「アニコム家庭どうぶつ白書2020」によると、シベリアンハスキーが他の犬種と比べて最もなりやすいのは「肝/胆道/膵の腫瘍」です（※3）。
そのほか、緑内障・進行性網膜萎縮症など眼の疾患や股関節形成不全も多いと言われており、発症しやすい遺伝性の疾患が多数あります。医療費は十分に備えておきましょう。
以下の記事ではおすすめのペット保険を紹介しているので、保険の加入も検討してください。
大型犬の飼育に必要な費用は年間で520,147円と言われており、小型犬の1.5倍以上かかります（※4）。前述のとおり腫瘍などのリスクもあるので、この金額に加えて十分な医療費の備えが必要です。
飼育費用の中で最もお金がかかるのはごはん代ですが、大型犬はしつけがきちんとできなかった場合のリスクが特に高めです。しつけ教室にお金をかけている飼い主も多いと考えられるので、しつけ代も準備しておきましょう。
犬の飼育費用については、以下の記事で詳しく解説しています。
ペットショップポータルサイトの「petmi」によると、2023年11月のシベリアンハスキーの子犬の平均価格は約350,282円です。
シベリアンハスキーの価格とお迎え先について解説します。
「petmi」で他の犬種の価格を調査したところ、ゴールデンレトリバーは約278,578円、ラブラドールレトリバーは約267,252円でした。シベリアンハスキーは約350,282円なので、より飼育頭数が多い大型犬と比べるとやや高い価格です。
なお、毛色による大きな価格の差は見られませんでした。
シベリアンハスキーはペットショップでの販売頭数が少なめで、「petmi」での掲載は41頭のみでした。数ある犬種の中でも人気の高いトイプードルは2,000頭以上、同じ大型犬のゴールデンは100頭以上であり、特に店頭では出会いにくい犬種です。
ブリーダーからのお迎えになることが多く、以下の点をチェックしてお迎え先選びをするのがおすすめです。
「パピーミル」と形容されるブリーダーは避けるべきです。パピーミルは生きるための最低限の管理でその時々の人気の犬種を取り扱い、その犬種を理解しないまま乱繁殖させるような悪徳なブリーダーを指します。
なお、以下はシベリアンハスキーのブリーダーの一例です。実際に足を運んで子犬の様子を見たりブリーダーと話したりすることも大切なので、場所も考慮してお迎え先を選んでください。
◼︎シベリアンハスキーのブリーダーの一例
| 名前 | 所在地 |
| シベリアンハスキーのお部屋 | 長野県 |
| PASS SIDE JP | 茨城県 |
| Crystal HasMara Dogs | 北海道 |
掲示板やSNSなどで、保護団体ではない個人が子犬の里親を募集しているケースがあります。生体価格は抑えられるかもしれませんが、リスクが高いためできる限り避けましょう。
健康に育ってもらうために、親犬の状態や生まれたあとに過ごした環境などをきちんと確認できるお迎え先を選ぶことが大事です。
シベリアンハスキーはシベリア北東部にルーツを持つ犬種で、古くからソリ犬として人間とともに暮らしてきました。オスで20〜28kg、メスで15〜23kgほどの大型犬であり、毛色の豊富さや目の色の違いによる見た目のバリエーションも魅力の犬種です。
性格は明るく天真爛漫で、初めて出会うものにも恐怖を感じにくい傾向があります。一方で、人に強い興味を持たないことや自由気ままな面もあり、トレーニングへの関心が薄いこともあるでしょう。
飼育のポイントは運動・暑さ対策・スペース作りです。1日2回の長めの散歩に加えて、遊びやドッグランなどでたっぷり運動させる必要があります。夏は冷房が欠かせず、散歩中の暑さ対策も必須です。子供がいる家庭の場合は、危険がないようにペットゲートなどでスペースを分けましょう。
大型犬であるため長生きと言える犬種ではありませんが、他の大型犬と比較すると寿命は平均的です。腫瘍や眼の病気・股関節の病気になりやすいので、十分な医療費の備えが必要です。
子犬を迎える際はブリーダーからになるケースが多く、管理が行き届いており、親身に相談に乗ってくれる犬舎を選ぶことがおすすめです。
初心者にはやや飼育の難易度が高く飼育費用もかかりやすい犬種ですが、犬らしい魅力を持つ犬種です。この記事を参考にして、シベリアンハスキーをお家にお迎えする準備をしてくださいね。
＜参考＞
（※1）一般社団法人ジャパンケネルクラブ「世界の犬 シベリアン・ハスキー」
（※2）アニコム損害保険株式会社「アニコム家庭どうぶつ白書2023」
（※3）アニコム損害保険株式会社「アニコム家庭どうぶつ白書2021」
（※4）アニコム損害保険株式会社「アニコム家庭どうぶつ白書2022」
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