お迎え準備から一生にかかる飼育費用を紹介!
犬を飼うにあたって必要な費用は、初期費用(準備)・月々・年間・一生に分けると以下の通りです。
初期費用 :約10万円
月々の費用:約3万円
年間の費用:約34万円
一生の費用:約500万円
それぞれどのようなことにお金がかかるのか、詳しく解説していきます。
【初期費用】畜犬登録・予防接種・グッズの準備に10万円ほど必要
まずは、飼いはじめに必要な費用です。準備するべきアイテムは意外にも多く、畜犬登録やワクチンにも費用がかかります。
■初期費用の例
畜犬登録 |
3000円 |
狂犬病予防接種 |
3500円 |
混合ワクチン |
10000円 |
フード おやつ |
3000円 |
おもちゃ |
3000円 |
ケージ |
10000円 |
クレート |
10000円 |
ペットシート |
1500円 |
首輪 ハーネス リード |
20000円 |
食器 |
3000円 |
ブラシ |
1000円 |
カーペット |
10000円 |
合計 |
78000円 |
グッズ購入費のほかに、畜犬登録の費用や(未接種の子犬の場合)ワクチンの費用がかかります。
クレートは暗く落ち着ける場所を作るために欠かせないもので、ケージとは別に購入してください。また、特に子犬は滑ってケガをしやすいので、フローリングにはカーペットを敷く必要があります。10万円あれば取り急ぎ必要なものをそろえられますが、その後の飼育にもかなりのお金がかかります。初期費用があるからといって安易に飼育を始めてはいけません。
また、近年は生体の価格が高騰しており、30〜60万円程度かかるのが当たり前です。そのお金を払っても十分蓄えがある状態で迎えなければいけないでしょう。
現在のペットの価格は、15年ほど前と全く違います。私が犬を飼い始めたときは、諸々のグッズも含めてたったの9万円ほどでした。まずはお迎えしたい犬種がどれくらいの価格で販売されているのかを確認してください。
【月々の費用】毎月2〜3万円ほど必要で、年間で約34万円かかる
その後は以下のようなものに、毎月2〜3万程度の費用がかかるでしょう。アニコム損害保険株式会社の調査によると、年間では平均で約34万円(※)の飼育費用がかかるというデータが出ています。
■毎月かかる費用の例
フード おやつ |
5,000円 |
サプリメント |
1,000円 |
ケガ・病気 の治療費 |
5,000円 |
シャンプー トリミング |
4,000円 |
ペットシート などの消耗品 |
1,000円 |
ペット保険 |
4,000円 |
光熱費 (飼育による プラス分) |
1,000円 |
合計 |
21,000円 |
調査によると、フードやおやつにかけるお金が一番多く、年間で65,924円(毎月約5,400円)という結果でした。「節約のために安いものを食べさせればいい」と考える方もいるかもしれませんが、ドッグフードは好き嫌いが分かれるものです。好みでないと食べないことも多く、飼い主の都合だけで購入する商品を決めるのは難しいでしょう。
また、盲点であるのが光熱費で、犬を飼い始めると留守中もエアコンをつけっぱなしにすることがほとんどです。洗濯やシャンプー、散歩後の足洗いで水の使用量も増加します。
加えて、以下のように不定期で費用がかかるものも。
■不定期でかかる費用の例
狂犬病予防接種 |
3,500円 |
混合ワクチン |
10000円 |
ペットホテル |
5,000円/回 |
しつけ教室 |
3,000円/回 |
そのほかにおもちゃ・ハーネス・首輪などの買い替えもあるので、常に出費は絶えません。
フードはやはり食べなくなって4回ほど変更し、最終的にお高めのシニア用フードを与えていました。エアコンを1日中つけっぱなしは当たり前で、シニア期は排泄の失敗もあるため洗濯機も1日に何度も回していました。
※PR TIMES,アニコム損害保険株式会社「ペットにかける年間支出調査 2020」
【急にかかる費用】病気や事故に備えて、数十万円〜数百万の貯蓄があるべき
犬を飼い始めるのであれば、急な病気・手術に備えて数十万〜数百万円の貯蓄があるべきです。特にガン・腫瘍の手術は高額になりやすく、中には一度で100万円以上かかるケースもあります。ペット保険に入っていても、日額や回数の上限によって高額な自己負担が必要になる場合があるでしょう。
病気以外に「他人や他の犬を噛んだ」「家の中の高価なものを壊した」というトラブルも少なくないので、余裕がないと万が一のときに支払いができなくなってしまいます。
アキレス腱のおやつを丸呑みしてレントゲンを取ったり、はしゃぎすぎて足をひねってしまったりと、さまざまなことがありました。犬は言葉が通じないので、いくつになっても突然の事故やトラブルが身近にあります。
【一生の費用】生涯必要なお金は約500万円。介護の費用には特に注意
すべての犬の平均寿命である14.1歳(※)で考えると、単純計算で1頭につき500万円近くの費用が必要です。長生きするほどお金はかかるのはもちろんですが、シニアになって病気がち・介護状態になると一気に出費が増えます。
介護で新たに購入するものはベッド・カーペット・補助ハーネス・ペットカート・見守りカメラなどさまざまです。15〜20年先のことまで考えて、本当に十分な費用があるか考えましょう。
シニアになったあとは、毎日のように介護アイテムを買っていました。上記のもののほか、おむつ・車椅子・クッション・シリンジ・フードを砕くためのミキサーなど、買ったものは数えきれません。
(※)アニコム損害保険株式会社「アニコム家庭どうぶつ白書2022」
大きさによる費用の違い|大型犬は1年で小型犬の1.5倍以上費用がかかる
アニコム損害保険株式会社の調査によると、小型犬を飼育する際の支出は年間で333,394円、大型犬の場合は520,147円(※)です。小型犬の1.5倍以上の費用がかかるので、大型犬を飼おうとしている方は要注意。特に「フード・おやつ」の項目は2倍以上のお金がかかることがわかっています。
しかし、基本的には大型犬のほうが寿命が短いので、一生の費用を考えるとどちらが高いとは一概に言えません。
犬のグッズはサイズが一つ大きくなると値段もぐんと上がる印象です。我が家の柴犬はかなり体重があり、服・ベッド・ペットカートなど、色々なアイテムを買うときに「もう一回り小さければ安いのに」思いました。
(※)アニコム損害保険株式会社「アニコム家庭どうぶつ白書2022」
費用がかかりにくい犬種|病気・トリミング・しつけの3つをチェック
大きさのほか、病気のなりやすさやトリミングの有無などでも飼育に必要な費用には差が出ます。以下の表には人気犬種の年間診療費(※1)・平均寿命(※2)・カットの有無を掲載しているので参考にしてください。
なお、全犬種の年間診療費の平均は70,683円、平均寿命は14.1歳です。
犬種 |
年間診療費 |
平均寿命 |
カットが必要 |
ミニチュア・ ダックスフンド |
55,059円 |
14.8歳 |
× |
チワワ |
58,875円 |
13.8歳 |
× |
柴犬 |
63,406円 |
14.8歳 |
× |
トイ・プードル |
64,060円 |
15.4歳 |
× |
ポメラニアン |
75,616円 |
13.8歳 |
× |
ウェルシュ・ コーギー・ ペンブローク |
78,841円 |
12.5歳 |
× |
ミニチュア・ シュナウザー |
80,651円 |
13.6歳 |
◯ |
マルチーズ |
89,971円 |
13.6歳 |
◯ |
ラブラドール・ レトリーバー |
91,397円 |
12.6歳 |
× |
パグ |
107,867円 |
12.6歳 |
◯ |
キャバリア・ キング・ チャールズ スパニエル |
129,778円 |
12.2歳 |
× |
フレンチ・ ブルドッグ |
141,944円 |
11.1歳 |
× |
(※1)アニコム損害保険株式会社「アニコム家庭どうぶつ白書2020」
(※2)アニコム損害保険株式会社「アニコム家庭どうぶつ白書2022」
病気になりにくい犬種かどうか確認する
もちろん個体によりますが、犬種によって病気のかかりやすさは違います。たとえばチワワだと水頭症やパテラが多く、パグなどの短頭種だと呼吸器疾患や腫瘍が多い傾向があります。
また、寿命によっても一生でどれくらいの費用がかかるかは大きく異なるので確認しましょう。前述の通り、基本的には大型犬のほうが寿命が短いものの、犬種によっては小型犬でも大型犬とほぼ変わらない寿命です。
カットが必要な犬種かどうかもチェック
カットが必要な犬種の場合、1ヶ月に1回ほどはサロンでトリミングをしてもらう必要があります。トイ・プードルの場合、料金の相場はシャンプー+カットで1回6,000円ほど。
シャンプーのみでいい犬種であれば自宅でもケアしやすく、費用を抑えられるでしょう。
しつけがしやすい犬種を選ぶと、トレーニング代を節約できる
おとなしい犬種や理解力が高くトレーニングが好きな犬種であれば手を焼きにくく、しつけ教室やトラブルの解決にかけるお金を減らせます。以下の記事ではどのような小型犬が飼いやすいかを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
【初心者が飼いやすい小型犬ランキングTOP19】人気の種類やマンションで吠えない犬種は?
ただし、どんな犬種でもしつけは必須です。費用の面だけでなく安全に過ごしてもらうためにも、家に迎えてすぐにトレーニングを始めましょう。
保護犬のお迎え費用|団体や犬の年齢・性別などによって違う
「保護犬はただでもらえる」と思っている方もいるかもしれませんが、そうとは限りません。団体や犬の状態(年齢・性別・健康状態など)によって異なり、数万〜数十万円の寄付が必要なケースや、ワクチン代・畜犬登録代を負担しなければいけないケースがあります。また、譲渡条件は意外にも厳しく、年収の高さ・配偶者がいるか・子どもがいるかなどさまざまな項目の審査が必要です。
出会いの幅を広げるために、最初は金額が伏せられていることも少なくありません。納得して譲り受けるためにも事前によく確認してください。
自治体が運営している施設では無料・数千円といったケースが多いので、譲渡以外のところにお金をかけたいという方はそちらをチェックしましょう。
■譲渡費用の例
団体・施設A |
小型犬:2〜10万円、中型犬5〜25万円、大型犬10〜35万円 高齢犬:10〜40万円、子犬:2〜5万円 |
団体・施設B |
無料 |
団体・施設C |
生後91日以上1頭につき2100円 生後90日以下1頭につき420円 |
以下の記事では信頼できる動物愛護団体や保護犬の情報を紹介しています。
信用できる動物愛護団体を調査!現状や愛護センターとの違いも解説
保護犬を迎え入れてみたい人は60%以上!知ったきっかけや迎える時の不安など徹底調査
その他の費用|ケアやレジャーにたくさんお金をかける人も
その他、レジャーや愛犬の健康のために多くお金をかける飼い主さんもいます。
犬の整体・マッサージ
関節トラブルの防止のために、整体やマッサージが役立つと言われています。小型犬や子犬に起こりやすいパテラ(膝蓋骨脱臼)初期の場合に利用されることも。
プロに施術を受けるほか、自分で資格を取る飼い主さんもおり、その場合は数万円の費用がかかるでしょう。
犬の歯のクリーニング(スケーリング)
歯に歯石が溜まると自宅でのケアが難しく、動物病院でのクリーニングが必要になります。犬の歯石取りは保険が使えないケースも多く、費用が高額になりやすい処置です。
数十万円のお金が必要になることもあるので注意しましょう。以下の記事では歯石取りのレビューも紹介しているのでチェックしてください。
【獣医師監修】犬の歯石の正しい取り方と予防法!除去手術の体験談やケアグッズも紹介
犬のプール
ダイエットのために、足に負担がかかりにくいプールに通わせている人もいます。
息が上がりやすい短頭種や足を痛めてしまった犬などは、一度太ってしまうとなかなか体重を減らすことが難しいものです。健康管理の不足も出費につながります。
犬と宿泊
犬と宿泊できる宿は通常の宿より相場が高く、2名1室で2〜10万円以上かかることがほとんどです。愛犬と旅行に行きたいと考えている人はチェックしておきましょう。
ちなみに、新幹線は290円、飛行機は5,000〜6,000円ほどの料金がかかります。長距離の移動の場合飛行機を選ぶ方もいるかもしれませんが、飼い主から離れる時間が長い移動手段です。さらに、貨物室に入るまでの時間が長く、クレートの積み込みまで暑い屋外で待機することも。特に小型犬や老犬、体温調節が苦手な短頭種などは事故につながる可能性が高いので安易に利用しないようにしましょう。
車で移動する場合も、暑い時期を避ける、休憩をこまめに取るなど犬の体に負担がかからないように注意を払ってください。以下の記事では神奈川県・箱根のおすすめスポットを紹介しています。
【犬連れ箱根旅行】ペット同伴で楽しめる観光スポット・食事処15選
費用の節約方法|家でケアできるように慣れさせる&フリマアプリを積極的に使う
お金にある程度の余裕があったとしても、出費はできる限り抑えたいものですよね。犬の飼育費用の節約にはどのようなことが効果的か解説します。
自宅でさまざまなケアができるように、小さな頃からトレーニング
犬はさまざまなお手入れが必要で、シャンプー・爪切り・歯磨きなど、都度サロンや病院にお願いしているとかなりのお金がかかってしまいます。子犬の頃から根気よく慣れさせて、さまざまなケアを自宅でできるようにすることが最も効果的な節約方法です。さらに、自分でトリミング(カット)をできるように練習すると、トータルでかかる費用は大きく減るでしょう。
ただし、嫌がる状態で無理に行うとケガやトラウマの原因になってしまいます。プロの力も借りながら、愛犬に負担がないようにケアしてください。
フリマアプリ・サイトを活用
フリマサイトに出品されているものを購入すると、大幅に節約できます。ペットグッズは人間のものに比べて割高な商品が多く、なかなか手を出しづらいですよね。せっかく購入したのに、愛犬が嫌がって使えないということも少なくありません。
衛生用品は避けたほうがいいですが、子犬期や介護期にしか使わないもの、試してみたいけどかなり高価で新品には手を出せないものなどはぜひ活用してください。
フリマアプリは安く購入できるのはもちろん、不要になったものをすぐに売れるというメリットもあります。特に介護グッズは、高価なのに実際に使ってみないと合うかどうかが全くわかりません。無駄になってしまうのが怖くて買えないことが多かったのですが、だめだったらフリマで売れるのでとても買いやすくなりました。
犬の飼育費用に関するQ&A
犬を飼うために必要な費用に関する疑問に回答します。
飼育費用は犬と猫どっちの方が安い?
猫のほうが安いです。アニコム損害保険株式会社の調査によると、犬にかける年間費用は345,572円、猫では169,247円(※)と倍以上の差があります。
しつけ・トレーニングや、シャンプー・トリミングにかかるお金によって差が出ます。
(※)アニコム損害保険株式会社,anicom you「【アンケート実施中!】ペットにかける費用はどのくらい?」
ペット保険には入るべき?
大きな手術や継続的な通院は費用がかさむので、入ったほうがいいでしょう。きちんと合うものを選べば損はせず、お得になるケースが多く見られます。
以下の記事ではおすすめのペット保険を詳しく紹介しているのでチェックしてください。
【犬のペット保険18選を徹底比較】私が本気で選ぶおすすめTOP3はこれ【2024年10月最新】
年収350万だと犬は飼える?
十分な貯蓄がないと難しい可能性が高いです。手取りが20万円の一人暮らしと仮定し、以下の出費があるとすると毎月手元に残るお金はかなりギリギリです。急な医療費に対応できず、自分の生活も厳しいので、あまり現実的ではないでしょう。
家賃 | 70,000円 |
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水道光熱費 | 14,000円 |
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食費 | 38,000円 |
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通信費 交通費 | 19,000円 |
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交際費 | 13,000円 |
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雑費 | 14,000円 |
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飼育費用 | 30,000円 |
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残り | 2,000円 |
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(※)参考:e-Srat,家計調査(単身世帯)
まとめ
犬を飼うと、初期費用の10万円に加えて毎月3万円の出費があり、一生で考えると500万円ほど費用が必要です。大型犬よりも小型犬のほうが費用がかかりにくいほか、トリミングが不要な犬種、しつけをしやすい犬種を選べばさらに費用を抑えられる可能性があります。保護犬を迎える場合は、自治体が運営する施設のほうが譲渡費用が少ないでしょう。
しかし、急な病気や事故に備えて数十〜数百万円の貯蓄もあるべきで、「こういう犬ならお金がかかりにくい」とは一概に言えません。どんな子を迎えても、しつけやケアの費用ができる限りかからないようにトレーニング・お手入れ・健康チェックをするように心がけましょう。
また、お金はもちろんのこと、体力・時間にも十分な余裕がある状態で犬を迎えてくださいね。