愛犬の目の下が涙で赤茶色に変色する「涙やけ」。
子犬にもよく見られる症状であり病気ではありませんが、実は体の異常を知らせるサインです。
この記事では、眼科診療を多く手掛ける獣医師監修のもと、涙やけが起こる原因をわかりやすく解説し、愛犬の症状に合わせた対処法を紹介します。
涙が多く出てしまう理由を理解して、適切にケアしてあげましょう。
愛犬の目の下が涙で赤茶色に変色する「涙やけ」。
子犬にもよく見られる症状であり病気ではありませんが、実は体の異常を知らせるサインです。
この記事では、眼科診療を多く手掛ける獣医師監修のもと、涙やけが起こる原因をわかりやすく解説し、愛犬の症状に合わせた対処法を紹介します。
涙が多く出てしまう理由を理解して、適切にケアしてあげましょう。
※本記事は2024年10月までの情報を参考に作成しています。※本記事はINUNAVIが独自に制作しています。メーカー等から商品の提供や広告を受けることもありますが、コンテンツの内容やランキングの決定には一切関与していません。※本記事で紹介した商品を購入するとECサイトやメーカー等のアフィリエイト広告によって売上の一部がINUINAVIに還元されます。
目次
犬の涙やけとは、涙が目からあふれてしまう「流涙症」により、目の周りの毛が赤茶色に変色してしまうことを言います。
涙やけ自体は病気ではありませんが、流涙症の原因が病気である場合は治療が必要です。
また、目の周りが涙で濡れたままの状態を放置すると雑菌が繁殖し、痒みが出たり皮膚病の原因にもなるため、まめに涙を拭き取る必要があります。
軽度の涙やけでは、拭き取りだけで良くなることもありますが、重度の場合は治療をしても完全にはもとに戻らないこともあるなど、症状や改善経路に個体差が大きいのが涙やけの特徴です。
涙やけに気づいたら、早めにケアを始めることが大切です。
犬の涙やけの原因となる流涙症は、異物による刺激や病気などで涙の生産量が増えたり、涙を排出する経路や保持する機能に異常があると起こります。
主な発症原因は以下の4つです。
■涙やけ(流涙症)の原因
涙やけは、発症原因が複合的である可能性もあるため、それぞれの原因に対する獣医師からのチェックポイントをぜひ確認してください。
涙やけの改善はなかなか難しいことも少なくありません。
愛犬の目に異物(ゴミや目周りの毛など)が入っていると、刺激により涙の生産が増えます。
また、まつげの向きや生え方の異常で、まつげが常に目に付着しているような状態になり涙が増えることもあります。
まつげの異常は、眼瞼内反症(逆さまつげ)、睫毛乱生、異所性睫毛、睫毛重生などの目の病気であり、生まれつきであることが多いです。
涙を排出するための目の構造(涙点・涙小管・涙嚢・鼻涙管)に異常があると、正しい経路で涙が流れていかずに目から溢れてしまいます。
鼻涙管閉塞(鼻涙管が細い・変形している)や、涙点閉鎖症(涙点が閉じている)、小涙点症(涙点が狭い)などの先天性の病気が疑われます。
また鼻涙管では、老廃物などが詰まり涙が正しく流れていかないケースもあります。
細菌やウイルス感染、アレルギーなどで目に炎症が起きると、痛みやかゆみで涙が増えることがあります。
考えられる病気として角膜潰瘍やブドウ膜炎、緑内障などがあり、進行すると失明の可能性もあるため注意が必要です。
また、眼球だけではなく涙嚢炎という涙嚢や鼻涙管に炎症が起きる病気では、歯の汚れなども関係することがあります。
アレルギーでは、ドッグフードやおやつなどの食事のほか、花粉やハウスダストがアレルゲンとなり涙が増えている犬も多いです。
犬の目は、上まぶたと下まぶたのまつげの生え際にそれぞれマイボーム腺という脂を出す器官があります。
マイボーム腺は瞬きに押されて脂を排出し、目の表面の水分を保っているため、正常に機能しなくなると涙を保持できません。
これをマイボーム腺機能不全性といい、加齢やホルモンバランスの影響の影響で発症します。
また、小型犬や短頭種などの目の大きな犬種では、瞬きがうまくできておらず、脂が腺に詰まって発症することがあります。
涙やけは、目の大きい犬種や小型犬全般、短頭種、長毛種に多く見られる症状です。
トイプードルやマルチーズのような小型犬では、先天的な鼻涙管閉塞や眼瞼内反症による涙やけが比較的多い傾向があり、パグやシーズーなどの短頭種は、鼻と目の距離が近いことで目が刺激を受けやすい傾向があります。
また、特にアレルギーが起きやすい犬種として知られる柴犬やウエスト・ハイランド・ホワイトテリア、アメリカン・コッカーなども注意が必要です。
犬の涙やけの主な対処法には、動物病院での治療やトリミングサロンでのカット、自宅での拭き取りケアなどがあります。
どれも重要な対処法ですが、涙やけは原因や症状の程度に個体差が大きいため、上記のチャート表で愛犬がまずすべき対処法をチェックしてみてください。
涙やけで動物病院を受診すると、愛犬の状態に合わせて内服薬や目薬の処方・角膜異物除去・鼻涙管洗浄・外科治療などが行われます。
涙やけの原因となることがある5つの病気(眼瞼内反症・鼻涙管閉塞・角膜炎・アレルギー)について、一般的な治療法の例を紹介します。
眼瞼内反症は、まぶたが眼球側に巻き込まれてまつげが眼球に触れ刺激を与えている状態です。
獣医師による視診や触診、検査のうえ、症状が軽度の場合や外科手術が難しい場合には、ピンセットでまつげを抜く処置や、点眼薬などで眼球への刺激を弱める治療を行うことが多いでしょう。
重度の場合は、外科手術で巻き込んでいる目の周りの皮膚を切開したり、縫い縮めるなどの処置を行います。
鼻涙管閉塞は、涙を鼻に排出するための通り道である鼻涙管が、生まれつき細くなっていたり変形している病気です。老廃物などが詰まりやすく涙がうまく流れていきません。
動物病院では、問診や視診、鼻涙管疎通試験という鼻涙管が正常に通っていることを確認する検査などを行うことが一般的です。
麻酔をかけて涙点から鼻涙管に管を通し、洗浄して詰まりを取り除きますが、あまりにも鼻涙管が細く狭い場合には、洗浄で一時的に良くなってもまた閉塞してしまう可能性もあります。
目の傷や細菌・ウイルス感染などで角膜(目の1番表面の膜)に炎症が起きている場合は、問診や視診、目の傷の有無を確認する検査などを行うのが一般的です。
傷の修復を促す点眼薬や、抗生剤、炎症を抑える点眼薬などで治療を進めます。
アレルギーには、ドッグフードなどの食べ物が原因の食物アレルギーと、ハウスダストや植物、花粉などが原因の環境アレルギー(アトピー性皮膚炎)があります。
どちらも症状を抑える内服薬や目薬などを使用しながら、アレルゲンを避ける生活を送ることで症状の改善を目指します。
食物アレルギーが疑われる場合には、除去食試験や食物負荷試験でアレルゲンを絞り込むことができますが、環境アレルギーの場合はアレルゲンを完全に避けることが難しいため、動物病院の治療と並行して、飼い主さんによる生活環境の管理が重要です。
マイボーム腺機能不全の治療は、マイボーム腺から正常に脂が分泌されるように、圧迫して詰まっている分泌物を絞り出したり、蒸しタオルでまぶたを温めて、固まっている分泌物を溶かす方法などが一般的です。
トリミングサロンでは、眼球に刺激を与えることがある目頭や目の上の毛をカットしてもらえます。
目の周りをすっきりさせることで、涙の拭き取りや点眼などその他のケアもしやすく、清潔な状態を保ちやすいため、トイプードルやマルチーズなどの長毛種は定期的に行いましょう。
なお、普段は自宅でカットをしている方も、顔周りは嫌がる犬が多く危険を伴うため、できるだけトリミングサロンでカットしてもらうようにしてください。
また、次章の対処法③も並行して行うことで涙やけがより改善しやすくなるため、合わせてチェックしてください。
ホウ酸含有点眼薬は、殺菌作用があり目元の汚れ落としや細菌の抑制効果が期待できる目薬です。動物病院や通販、ペットショップなどで購入することができます。
また、愛犬の目から涙が溢れているときや、食後・散歩の後などは目元と顔全体をやさしく拭いてあげましょう。
涙はコットンや市販の専用シートを使ってこすらずに拭き取ります。顔全体を拭くときは、人肌程度の蒸しタオルで目の周りを温めながら行うと、血行が良くなり涙やけの改善につながります。
このとき、ノミ取りコームのような目の細かいコームで目の周りの毛を梳かしてあげると、ゴミや目やにの付着を防ぐことができるので合わせて行いましょう。
ヒトが目薬をさした後、あふれ出た分はティッシュでおさえるように、皮膚についたままにはしないよう気をつけましょう。
犬の涙やけは、食事や飲水量、運動量などを見直し健康的な生活習慣を送ることで予防がしやすくなります。
食事は、ドッグフードでも手作りフードでもどちらでも構いませんが、栄養バランスがよく消化吸収にも優れ免疫力の維持増進が期待できるものが良いでしょう。
また、体内の水分が不足すると涙やけの原因に繋がる老廃物が蓄積しやすくなります。
ウェットフードをトッピングしたり、水飲み場を3〜5箇所設置するなどで飲水量を増やし、適度な運動と組み合わせて廃物を溜めない体づくりを目指しましょう。
なお、以下の記事では、涙やけが実際に治った飼い主さんへの取材やドッグフードメーカーへの聞き取り調査を行ったうえで、涙やけに役立つおすすめのドッグフードを紹介しています。
犬の涙やけは病気ではありませんが、目や体が正常な状態であれば起こることはありません。
愛犬に涙やけが見られたら、自宅でできるケアをしつつ一度獣医師へ相談してみることをおすすめします。
■涙やけのまとめ
涙やけは、子犬期にはじまってからなかなか治らないと悩んでいる方も多くいます。
改善のためには、まず愛犬の涙があふれている原因を知ることが大切です。自宅でこまめに拭き取りケアなどを行いつつ、目に異常がないかよく確認してあげましょう。
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執筆者
ペットフードメーカーに6年勤務後、現在はINUNAVIライターとしてドッグフードを中心とした記事を数多く執筆。相棒はキャバリアのジタン(10歳)。犬が好き&犬が好きな人が好きです。好きな人たちの生活がより豊かになるような、経験を生かした正しい情報、一歩踏み込んだ内容の記事をお届けします。保有資格:ペットフード安全管理者・犬の管理栄養士・ペット災害危機管理士3級