避妊手術を受けるか受けないかは、愛犬の一生に関わる大きな問題です。
「病気の予防になるって聞くし、受けさせた方がいいかな?」
「でも、健康な愛犬に痛い思いをさせるのはかわいそう…」
など、我が子同然である愛犬のことを考えれば考えるほど、なかなか決断できないでいる飼い主さんも多いのではないでしょうか?
そんな悩める飼い主さんの参考になるように、獣医師の監修のもと、ワンちゃんの避妊手術のメリットやデメリット、手術後の注意点などを分かりやすく紹介していきます。
避妊手術を受けるか受けないかは、愛犬の一生に関わる大きな問題です。
「病気の予防になるって聞くし、受けさせた方がいいかな?」
「でも、健康な愛犬に痛い思いをさせるのはかわいそう…」
など、我が子同然である愛犬のことを考えれば考えるほど、なかなか決断できないでいる飼い主さんも多いのではないでしょうか?
そんな悩める飼い主さんの参考になるように、獣医師の監修のもと、ワンちゃんの避妊手術のメリットやデメリット、手術後の注意点などを分かりやすく紹介していきます。
※本記事は2024年10月までの情報を参考に作成しています。※本記事はINUNAVIが独自に制作しています。メーカー等から商品の提供や広告を受けることもありますが、コンテンツの内容やランキングの決定には一切関与していません。※本記事で紹介した商品を購入するとECサイトやメーカー等のアフィリエイト広告によって売上の一部がINUINAVIに還元されます。
目次
犬の避妊手術とは、メスのワンちゃんが子犬を産めなくなるようにする手術です。
ワンちゃんのおなかの中から卵巣と子宮を取り出すことが一般的ですが、卵巣のみを摘出する病院もあります。
手術の方法は、以下の2種類があります。
■開腹手術…ワンちゃんのおなかを切り開いて行われる手術方法
→避妊手術の方法としては、こちらが一般的。腹腔鏡手術に比べて安価。
しかし、手術後の傷痕が大きく、犬の痛みも強い。
■腹腔鏡手術…内視鏡の一種である「腹腔鏡」を使って行われる手術方法
→開腹手術に比べて手術後の傷痕が小さく、回復が早い。
しかし、難易度が高く、執刀医の熟練の技が必要。行っていない動物病院もある。また、年齢や子宮の状態によっては適応外なこともある。
避妊手術後のワンちゃんには生理(発情期間に起こる出血)がこなくなり、一生妊娠や出産ができなくなります。
愛犬の一生に関わる問題ですので、避妊手術を受けさせるかは慎重に決めましょう。
避妊手術に年齢制限はありませんが、ワンちゃんの体がある程度できあがり、おとなに近付いた生後6カ月以降に行うことが推奨されています。
ただし、小型犬に比べて成長の遅い大型犬は、もっと体が成長してから(目安は生後8カ月以降)手術を受けた方がよいケースもあります。
また、以下のケースでは、受けられない場合もあります。
■持病や高齢の場合
手術前の検査で「麻酔に耐えられない」と判断された場合には、手術が受けられないこともある。
■生理(ヒート)中の場合
ワンちゃんが生理(ヒート)中の避妊手術は、出血量が多くなり体に負担がかかるリスクがあるため、避けた方がよい。
獣医さんにアドバイスをもらいながら、愛犬に最適な手術の時期を決めましょう。
ワンちゃんの避妊手術には、以下のようなメリットが挙げられます。
避妊手術を行うと、犬の計画外の妊娠・出産が防げます。
メスのワンちゃんと、未去勢のオスのワンちゃんを多頭飼いしており、子犬の出産を希望しない場合には、避妊手術を積極的に検討する必要があります。
避妊手術を受けると、以下の病気が予防する効果が期待できます。
■乳腺腫瘍…犬のお乳にしこりができる病気。良性と悪性のケースがある。悪性度の高い腫瘍は転移を起こし、命に関わることも。
■卵巣腫瘍…犬の卵巣にしこりができる病気。しこりには良性と悪性がある。無症状で進行するが、悪化すると、発情期の乱れや脱毛、嘔吐などがみられる。
■子宮蓄膿症…犬の子宮に細菌が感染して、膿(うみ)が溜まる病気。免疫力が低下する発情期にかかりやすい。放っておくと腹膜炎を起こして死亡することもある。
特に乳腺腫瘍は、雌性ホルモン(女性ホルモン)の影響を受けて発症しやすい病気です。
そのため、ワンちゃんに初めての発情期(ヒート)が来る前に避妊手術を行えば、乳腺腫瘍の発症率は0.05%まで低下、200頭中わずか1頭ほどしか発症しなくなる※1といわれています。
発情期のワンちゃんは、落ち着きがなくなる、攻撃的になる、食欲が落ちるなど、心や体が不安定になりがちです。
避妊手術を受けると発情期がなくなるため、1年を通じて愛犬の体調が安定し、心穏やかに過ごせるようになるでしょう。
避妊手術を受けると、ワンちゃんの生理(ヒート)が起こらなくなります。
愛犬の出血で汚れた家の中を掃除したり、オムツやナプキンを取り換える手間が省けることも、避妊手術のメリットのひとつです。
※1 参考:北海道大学動物医療センター外科/腫瘍診療科「犬の乳腺腫瘍」
参考:おおむら動物病院「乳腺腫瘍は防げますか?」
参考:公益社団法人埼玉県獣医師会「不妊、去勢による生殖器系疾患の予防効果について」
犬の避妊手術は、メリットばかりではありません。以下のようなデメリットもあります。
■避妊手術のデメリット
・一生子犬が産めなくなる
・麻酔によるリスクがゼロではない
・手術後に太りやすくなることが多い
・尿失禁、犬の毛質の変化、脱毛が起こる可能性がある
・飼い主さんが罪悪感を抱えたり、後悔するケースがある
メスのワンちゃんが一生子犬が産めなくなることは、避妊手術のデメリットにもなります。
もしも少しでも、「かわいい愛犬の産んだ子犬が見たい」、「愛犬の遺伝子を残したい」という気持ちがあるのなら、後悔しないためにも、避妊手術は見合わせた方がよいでしょう。
避妊手術に限らず、全身麻酔をかけて行う全ての手術には、呼吸器や肝臓・腎臓の障害、アレルギー、心停止などのリスクがあります。
もちろん動物病院では、安全な手術を行うために、ワンちゃんに麻酔をかけても大丈夫かどうかの事前検査をします。
それでも、想定外の事態が発生する可能性をゼロにはできません。
避妊手術を受ける際には、「万が一もあり得る」ということを頭の片隅に置いておくことも大切です。
避妊手術を受けたワンちゃんは、太りやすくなる傾向があります。
この現象は、雌性ホルモンの減少によって代謝が落ちたり、食欲がアップすることが原因であると考えられています。
食べ過ぎによる肥満は、糖尿病や高血圧の原因となることも。
避妊手術後の肥満を防ぐには、愛犬に食べさせるごはんの量を細かく管理したり、毎日しっかりと運動させるなどの対応が必要です。
正しい給餌量については、「【獣医師監修】ドッグフードの正しい与え方!パッケージの推奨量はあくまで目安」を参考にしてください。
避妊手術を受けたワンちゃんの中には、おもらしをするようになったり、毛質の変化や脱毛がみられるコもいます。
毛質の変化は、
・被毛がパサつく
・ツヤがなくなる
・産毛のような細かい毛が生えてくる
など、ワンちゃんによってさまざまです。
これらは、性ホルモンのアンバランスなどが原因ではないかと考えられていますが、全てのワンちゃんに起こるわけではありません。
避妊手術後に、「やっぱり手術を受けさせなければよかった」と後悔する飼い主さんは少なくありません。
実際に、以下のようなケースがありました。
◆避妊手術後、一時的に元気のない愛犬の姿を見て、「かわいそうなことをしてしまった」と大きなショックを受けた。
◆避妊手術を受けた後に、2頭目の犬を迎えたくなった。「手術をしなければ、愛犬に子犬を産んでもらえたのに」と後悔した。
◆発情期の出血や問題行動を防ぐために手術を受けたが、「これは人間のエゴではないのか?」と悩んでしまった。
ワンちゃんの避妊手術に、絶対的な正解はありません。
「周りがみんな受けているから、うちも手術しなくちゃ!」と、勢いで決めてしまわずに、じっくりと考えてから決断しましょう。
ここでは、ワンちゃんの避妊手術にかかる費用の相場や追加費用、ペット保険は使えるのか、高すぎる手術費用の注意点などについて解説します。
ワンちゃんの避妊手術にかかる費用の相場は、小型犬で30,000~50,000円程度、大型犬では60,000~80,000円程度ですが、体重や手術法など動物病院によって差がみられます。
■開腹手術の場合(体重別)
・体重20kg未満…約30,000~50,000円
・体重20kg以上…約60,000~80,000円
■腹腔鏡手術の場合
開腹手術の相場+約10,000~20,000円
一般的に、ワンちゃんの体重が重ければ重いほど使う麻酔薬の量も増えるため、手術費用も高くなります。
また、腹腔鏡による手術費用が開腹手術に比べて高いのは、高額な機材が使われるためです。
一般的にワンちゃんの手術費用には、以下のような代金が含まれていることが多いです。
■手術費用に含まれる主な内容
・手術前の血液検査
・全身麻酔
・入院
・退院後の内服薬
・抜糸
しかし、動物病院によっては別料金となることもあるので、手術を申し込む前に確認しておきましょう。
また、以下のような追加費用がかかるケースもあります。
■追加費用の料金相場
・高齢犬の追加検査費用…約15,000円
・気性の荒い犬の鎮静剤代…約8,000円
・肥満犬の管理手数料…約3,000円
請求書を渡されてから慌てないためにも、手術前には見積もりを出してもらい、内容に納得できたら申し込みを行うようにしましょう。
ワンちゃんの避妊手術は、病気の治療が目的ではないため、ペット保険は使えません。
ペット保険は、ワンちゃんが病気やケガをした際の治療費を補償してくれるものです。
愛犬が健康な状態で受ける避妊手術は、ペット保険の補償対象からは外れます。
自治体によっては、犬の避妊手術費用の一部を補助してくれるところもありますが、残念ながら現在のところ、東京都内に該当する自治体はないようです。
例として、愛知県の名古屋市においては、市と獣医師会から計9,600円の補助が受けられます(2020年度)※2。
こうした自治体の助成金制度は、その年によって変更される可能性も高いため、一度、自分が住む町の公式サイトをチェックしてみましょう。
※2 参考:名古屋市「犬・猫の避妊・去勢手術の補助について」
「避妊手術の費用は15万円です」などと、あまりにも高い見積もりを出されたら要注意!
費用の内訳を細かく聞いてみたり、複数の動物病院に見積もりを問い合わせてみるなど、慎重に判断しましょう。
初めての避妊手術は不安だし、分からないことばかり。ここでは、獣医師監修のもと、多くの飼い主さんが抱える避妊手術への疑問に答えていきますよ!
Q1.犬の避妊手術に入院は必要?日帰りもできる?
Q2.避妊手術後に愛犬の痛みを和らげてあげることはできる?
Q3.避妊手術後のごはんは、いつも通りに与えてもいい?
Q4.避妊手術後の散歩やシャンプーはいつからOK?
Q5.犬が手術の傷口を舐めようとするのはなぜ?
Q6.愛犬が避妊手術後に「クンクン」と鳴いて甘えるのはなぜ?
Q7.避妊手術後の愛犬が動物病院を怖がるようになるのはなぜ?
A.基本的には1泊程度の入院が必要です。
避妊手術後は、犬の体調に問題がなくても、1泊程度(病院によっては2泊)の入院が必要なケースがほとんどです。
中には、病院をひどく怖がる犬や、寂しがりやなワンちゃんに大きなストレスをかけないようにと、日帰り手術を行っている動物病院もあります。
しかし、避妊手術の多くは、ワンちゃんの体へのダメージが大きい開腹手術です。
入院をさせた方が、愛犬の体調を獣医さんや看護師さんに見守ってもらえるので安心できるでしょう。
A.手術後に処方される鎮痛剤で、痛みを軽くしてあげましょう。痛みは3~7日程度で落ち着きます。
動物病院では、手術後のワンちゃんの痛みを和らげるための鎮痛剤や、傷口の化膿を防ぐための抗生物質などを処方してくれます。
愛犬の痛みを緩和してあげるには、出されたお薬をきちんと飲ませることが大切です。
ワンちゃんの痛みの感じ方には個体差があり、痛みが引くまでの期間は術後3日から1週間程度といわれています。
A.手術後のごはんは、いつもの3分の1程度の量から始めましょう。
避妊手術後の愛犬に、いきなり普段と同じ量のごはんを与えることはNGです。
手術が済んだからといって、いきなりたくさん食べさせると、胃が驚いて愛犬が吐き戻してしまう可能性があります。
獣医師からの説明があるはずですが、一般的に退院した日のごはんの量は、いつもの3分1程度が目安です。その後、ワンちゃんの様子をみながら、徐々に普段の量に戻しましょう。
A.散歩は2~3日後、シャンプーは抜糸が済んでから行いましょう。
避妊手術を受けたワンちゃんの散歩は、手術後2~3日経ってから行いましょう。
ただし、傷口が水に濡れると化膿するリスクがあるため、雨の日や水辺での散歩は避けたほうが安心です。
一方、シャンプーは、抜糸が済むまではNGです。
抜糸は、避妊手術後7~10日前後で行われます。抜糸後すぐのシャンプーが心配なようであれば、2~3日空けるとより安心です。
個体差があるので、必ず退院時に獣医師に確認してくださいね。
A.違和感や不快感を感じています。化膿を防ぐため、手術前にエリザベスカラーや術後服を購入しておきましょう。
避妊手術後のワンちゃんが傷口を舐めるのは、違和感や不快感を感じていることによる本能的な行動です。
しかし、わんちゃんの口の中には雑菌も多く潜んでいるため、傷口を舐めることで化膿させてしまうリスクもあります。
愛犬が手術後の傷口を舐めることを防ぐためには、エリザベスカラーや術後服を利用しましょう。
以下でエリザベスカラーと、術後服について詳しくまとめました。
■エリザベスカラーがおすすめのワンちゃん
・服を着るのを嫌がる
・術後服の上から傷口を舐めてしまう
服を着ることが嫌いなワンちゃんや、術後服の上からでも傷口を舐めてしまうようなコには、エリザベスカラーが適しています。
しかし、視界が狭くなり、水を飲むにも邪魔になるエリザベスカラーは、愛犬にとって大きなストレスとなるので、愛犬に合わせて選んであげましょう。
エリザベスカラーはサイズやデザインが豊富。プラスチック製のパラボラアンテナ型や、やわらかな布製のドーナツ型のものなどが売られています。
詳しくは「犬用エリザベスカラー人気おすすめ8選|嫌がらないのはドーナツ型?」をチェックしてみてくださいね!
■術後服がおすすめのワンちゃん
・服を着慣れている
・活発でよく動きまわる
・体が小さい
洋服を着慣れているワンちゃんであれば、エリザベスカラーよりも術後服の方がストレスになりにくいでしょう。
また、エリザベスカラーの重さを嫌がる体の小さなワンちゃんにも適しています。
ワンちゃんの術後服には、ボタンやマジックテープで留めるもの、ひもで縛るものなどの種類があり、袖の長さも選べます。
術後服は、ワンちゃんのサイズに合っていないと本来の役目が果たせないため、避妊手術を受ける前に試着させることをおすすめします。
A.手術のストレスで、一時的に甘えん坊になる犬もいます。
避妊手術を受けたストレスや、病院で感じた心細さなどから、一時的に甘えん坊になるわんちゃんもいます。
飼い主さんが見えなくなると「クンクン」と寂しそうに鳴くのであれば、できるだけそばにいてあげたり、優しく声をかけて落ち着かせましょう。
ただし、「手術を受けてかわいそうだから」と、回復後も甘やかしすぎるのはNGです!味を占めた愛犬が、ワガママになってしまう可能性もあります。
ワンちゃんが元気になったら、普段通りにメリハリのある接し方を!
A.手術時の恐怖心が残っている可能性があります。不安を取り除いてあげましょう。
わんちゃんの中には、避妊手術時の恐怖心がトラウマとなり、動物病院自体が怖くなってしまうコもいます。
対策としては、動物病院に行く度に、大好物のおやつを与えることが有効です。「病院に来ると良いことがあるよ」と、愛犬に教えてあげましょう!
おやつを与えるのは飼い主さんでもOKですが、動物病院のスタッフさんに協力してもらうのもいいですね。
一度受けたら後戻りはできない避妊手術。
愛犬に避妊手術を受けさせるかどうかは、飼い主さんが責任を持って決断する必要があります。
手術の後に後悔しないためには、避妊手術のメリットとデメリットをよく知り、納得いくまで獣医さんと相談することが大切です。
※記事で紹介されている商品を購入すると、売上の一部がINUNAVIに還元されることがあります。メーカー等の依頼による広告にはPRを表記します。
※掲載されている情報は、INUNAVIが独自にリサーチした時点の情報を掲載しています。掲載価格に変動がある場合や、登録ミス等の理由により情報が異なる場合がありますので、最新の価格や商品の詳細等については、各ECサイト・販売店・メーカーよりご確認ください。
執筆者
「日本をペット先進国に。」INUNAVIは、飼い主とわんちゃんが幸せに過ごせる世界を実現するために誕生。 執筆者はペットフード安全管理者、犬の管理栄養士、動物介護士、ペット看護師などの資格を保有。獣医師・ドッグトレーナーなど専門家監修のもと、犬好きのメンバーが毎日読みたくなるコンテンツを毎日更新中♩おすすめドッグフードランキングは1,000名規模の口コミ評価や成分の安全性を検証し、辛口に採点。リアルな情報にこだわっています。独自アンケート調査はこちら