「寒さが続いているせいか愛犬の元気がないする」「寒い時期を無事に乗り越えられるか心配」とお考えの飼い主さんたちへ、冷えを改善し、愛犬の体を温める効果があると言われている食材をご紹介します。
冬の愛犬の手作りごはんは「体を温める食材」でポカポカに【ペット栄養管理士が解説】
※本記事は2024年10月までの情報を参考に作成しています。※本記事はINUNAVIが独自に制作しています。メーカー等から商品の提供や広告を受けることもありますが、コンテンツの内容やランキングの決定には一切関与していません。※本記事で紹介した商品を購入するとECサイトやメーカー等のアフィリエイト広告によって売上の一部がINUINAVIに還元されます。
目次
冬の間の犬の体の変化
まず冷えによって、犬の体に起きることを考えましょう。寒さを感じると脳からの指令で血管がギュッと収縮して血行不良となり、そのことで栄養素が体の必要な場所に届きにくくなります。また、血行不良によって胃腸の元気もなくなりますが、特に腸の元気がなくなると免疫の低下に繋がります。
免疫力が低下すると、感染症などの病気にもかかりやすくなったり、病気も進行しやすくなります。
お部屋を暖かくしたり、お洋服を着せてあげることで体の表面温度は上がりますが、体の温める食材をあげて、体の中からしっかり温めてあげましょう。
体を温める食材
体を温める食材とはどんなものがあるでしょうか?ここからは「薬膳」の知識をご紹介します。薬膳では、犬がごはんとして食べて体の中に入った後、体を温める効果がある食材を「熱性」または「温性」として分類しています。熱性の食材の方が、より体を温める効果があります。反対に、体を冷やす食材は「寒性」または「涼性」と分類しています。
今回は、この分類を元に、寒い時期におすすめの食材と気をつけてあげてほしい食材をご紹介します。
体の冷える時期は、「熱性」や「温性」の食材を上手に調理して、わんちゃんご飯に取り入れてみてくださいね。
体を温めるお肉と冷やすお肉
実はお肉にも、体を温めるお肉と冷やすお肉があることを知っていますか?
と言っても、ほとんどのお肉は「温性」。つまり体を温めてくれます。なぜかというと、熱を作りだすためには筋肉が必要ですが、この筋肉は、お肉に含まれるたんぱく質が作ってくれるのです。筋肉が多いと運動をしている時だけでなく、基礎代謝も上がります。
このように、いろいろな種類のお肉が体を温めてくれますが、「羊」のお肉は「熱性」。体をとっても温めてくれる食材なのです。羊のお肉には体を温めるL-カルチニンという成分が豊富。L-カルチニンとは、必須アミノ酸のリジンとメチオニンを元に体の中で作られ、新陳代謝を促して体を温めてくれる栄養素です。しかも脂肪を燃焼させるサポートをしますので、体重の気になるわんちゃんにもおすすめです。
ちなみに「ラム」と「マトン」の違いですが、生後1年未満の羊の肉をラム、それ以降の羊の肉をマトンと分類しています。L-カルチニンの量はマトンの方が豊富ですが、ラムであっても牛肉や鶏肉など他の動物のお肉よりもL-カルチニンは多く、また、マトンの方が味の癖が強いので、愛犬の好みによって選んであげてください。
他にも鶏肉や鹿肉なども体を温めるお肉です。使いやすいお肉、わんちゃんが好きなお肉をいろいろ選んで食べさせてあげてみてくださいね。
体を温めるお肉の例
・羊肉
・鶏肉
・鹿肉
では反対に、体を冷やすお肉にはどんなものがあるでしょうか?体を冷やすお肉の代表的なものが「馬肉」。「涼性」または「寒性」に分類されています。
体を冷やすお肉の例
・馬肉
・兎肉
と言っても、特に馬肉は高たんぱく質、低脂質で、様々な栄養価の高いお肉です。もしアレルギー対応などで、冬の間も体を冷やすお肉しか選べない、またはわんちゃんが好んで食べるお肉が体を冷やすお肉の場合などは、この後に紹介する体を温める食材と一緒にあげるなど工夫をしてあげてください。
魚は冬の食事に使いやすい
魚は、鮭やマグロなどの「赤身の魚」、イワシ、サバ、サンマなどの「青魚」は体を温める効果があると言われています。
「白身魚」については、特に体を温める効果はないものの、冷やすこともありません。つまり、魚は全般的に体を冷やす種類はなく、冬のご飯には使いやすい食材と言えます。
さらに主に青魚に多く含まれているEPAは、アレルギーなどによる皮膚炎などの炎症を抑制したり血液をサラサラにする脂肪酸です。また、がん細胞の抑制にも効果があると言われています。とても体に良い脂肪酸のEPAですが、主に魚油からしか摂取できない脂肪酸です。ぜひ、わんちゃんのご飯にお魚を取り入れて、上手にEPAを摂取させてあげてくださいね。
注意が必要な貝類と海藻類
シジミやアサリなどの貝類は薬膳による分類では、体を冷やす「寒性」の食材となっています。また、そもそもわんちゃんは生の貝を消化することができない上に、アワビなど加熱をしてもわんちゃんにとっては毒となる貝もあります。貝については、私たち人間が食べられるからといって同じようにわんちゃんにあげることは避けて、種類や調理方法など十分な知識を持った上で、わんちゃんご飯としてあげるようにしてください。
また海藻については、体を温めるという考え方と冷やすという考え方が混在しています。これは、海藻には、いろいろな種類の栄養素が豊富に含まれていて、血液を作ったり血流をよくする成分もあれば、利尿効果によって体温を下げてしまう成分も含まれているためです。
ただ、いずれにしても、海藻はわんちゃんにとっては消化しにくい食材ですので、季節に関係なく、あげる場合は細かく刻むなど、十分注意をしてあげてください。
体を温める野菜の例
いろいろな栄養がありそうで、トッピングや手作りご飯に入れてあげたい野菜。もちろん、野菜にも体を温めるものと冷やすものがあります。
体を温める野菜の代表と言えば生姜です。わんちゃんも生姜を食べることはできますし、先ほど紹介した体を冷やすお肉をあげる場合など、一緒にご飯に入れてあげると体が冷えにくくなりますので、おすすめの組み合わせです。
ただ、刺激が強い食材でもありますし、大きいかたまりのままだと消化にもよくないので、わんちゃんにあげる時は少量を刻むか擦ってあげてください。また、体を温めるために使う場合は、必ず「加熱」してあげてください。これは、生姜に含まれている殺菌効果のあるジンゲロールという成分が加熱することでショウガオールという成分に変わるのですが、このショウガオールという成分が体を温める成分になります。
その他、体を温める野菜は、かぼちゃ、山芋、人参などの根野菜があります。これらは水分が少なく、血行を良くしたりするビタミン類や、たんぱく質の筋肉を作る働きをサポートするミネラルが豊富に含まれています。人参などは生のままの方が好きなわんちゃんもいると思いますが、生野菜ですと食べた直後は体を冷やしますので、温め効果を生かしたい場合は、茹でるなど加熱してあげてください。
忘れないで!冬の間も大切なお水
そして、どんな食材よりも大切なものが「お水」。冬の間は犬も喉の渇きを感じにくく、飲水量が減ります。けれども、冬の間も水はわんちゃんにとって何よりも大切な「栄養素」。飲水量が減ることで、結石症や腎不全などの病気を引き起こしやすくなります。既に腎不全になっているわんちゃんの場合も、冬の間に悪化する子が多いと言われています。
「いつでも飲めるようにしてあるから大丈夫!」と安心していると、思わぬ体調不良を引き起こします。犬は、私たちが想像するよりも、脱水気味になっている子がたくさんいます。体に必要な水分量をわんちゃんが自然と飲めていると思わず、どのくらい飲んでいるか確認をしてあげてください。
特に寒い時期は、ハァハァとパンティングもしないので、暑い時期より飲水量を気にしない飼い主さんも多いかもしれません。
でも、先ほど書いたように、わんちゃんの自発的な飲水だけでは必要量を飲むことができていない可能性があります。
冬の間も、ちゃんと飲んでいるかな?と気を掛けてあげて、あまり飲んでいないようであれば、オヤツの代わりにスープをあげたり、お肉の煮汁などを飲ませてあげたりして、わんちゃんたちが必要な水分量を飲めるようにしてください。
体を温める食材をたっぷり使ったレシピも紹介していますので、参考にしてみてくださいね。
特にドライフードを食べているわんちゃんは、脱水傾向になりやすいです。ドライフードをあげている場合は、毎食時にフードと一緒にスープやぬるま湯などを一緒に入れるなどして、ご飯の時の水分量も増やすなど工夫をしてあげてくださいね。
まとめ
まだまだ寒い日の続くこの時期。ご飯を工夫するだけで避けられる不調もあります。今回ご紹介した食材を取り入れながら、皆さんのわんちゃんの元気を守ってあげてくださいね。
もちろん、あげ慣れている食材を一気に体を温める食材に変える必要はないです。何よりも大切なことは、大切な愛犬が美味しくご飯を食べること!その上で、取り入れられる食材があるようでしたら、少しずつ試してみてください。春になって暖かい陽射しの中、元気いっぱい遊べるように、わんちゃんと一緒に冬ごはん、楽しんでみてくださいね。
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<参考文献>
日本アニマルウェルネス協会監修「愛犬のためのホリスティック食材事典」
NHK出版「栄養大全」「食材大全」
ナツメ社「毎日使える薬膳&漢方の食材事典」
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執筆者
- ペット栄養管理士
- 新倉みさ
- 愛玩動物飼養管理士
現在、3代目の保護犬と生活中。保護当時から腎不全だった先代犬の看病の経験から犬の栄養学を学び始める。そして、ほんの少し知っていればできることが沢山あることを知り、そのことを多くの人に伝えるために「愛犬のための栄養教室」を主宰。飼い主自身が愛犬に合ったご飯を選んだり作ったりできるようになることを目標としている。保有資格:ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペットフーディスト、ペットヘルパー1級、ドッグライフカウンセラー、ペットフード安全管理者