オスのワンちゃんの去勢手術には、生殖器の病気予防や問題行動の解消などのメリットがある一方で、一生こどもが作れなくなる、太りやすくなるといったデメリットもあります。
手術後に後悔をしないためには、こうしたメリットとデメリットをよく把握した上で決断することが大切です。
この記事では、獣医師の監修のもと、犬の去勢手術にまつわるよくある疑問にもズバリと回答しています。
「愛犬に去勢手術を受けさせた方がいいの?」と悩んでいる飼い主さんは、ぜひ参考にしてくださいね。
オスのワンちゃんの去勢手術には、生殖器の病気予防や問題行動の解消などのメリットがある一方で、一生こどもが作れなくなる、太りやすくなるといったデメリットもあります。
手術後に後悔をしないためには、こうしたメリットとデメリットをよく把握した上で決断することが大切です。
この記事では、獣医師の監修のもと、犬の去勢手術にまつわるよくある疑問にもズバリと回答しています。
「愛犬に去勢手術を受けさせた方がいいの?」と悩んでいる飼い主さんは、ぜひ参考にしてくださいね。
※本記事は2024年10月までの情報を参考に作成しています。※本記事はINUNAVIが独自に制作しています。メーカー等から商品の提供や広告を受けることもありますが、コンテンツの内容やランキングの決定には一切関与していません。※本記事で紹介した商品を購入するとECサイトやメーカー等のアフィリエイト広告によって売上の一部がINUINAVIに還元されます。
目次
日本で行われる多くの去勢手術とは、オスのワンちゃんのおなかを切開し、精巣(睾丸)を取り出して子どもを作れなくする手術のことです。
全身麻酔をかけて行われ、手術自体は約15〜30分程度で終了します。
ただし、精巣(睾丸)が正しい位置にあるかないかで手術方法が全く異なるため、愛犬の状態を獣医師と相談し、愛犬に合った手術法を検討するようにしましょう。
ワンちゃんが去勢手術を受けるのに適した時期は、生後6カ月頃です。
ワンちゃんが成長する速度には個体差があるため、成長の遅い大型犬の場合には、1歳を過ぎるまで手術を待つほうがいいケースもあります。
一方、生後4カ月未満の去勢手術は、手術の管理が難しかったり、子犬の成長に与える影響が不明な点もあるため、日本では推奨されていません。
去勢手術に適した時期は、獣医さんがアドバイスしてくれますよ。
ワンちゃんの去勢手術には、以下のようなメリットがあります。
■去勢手術のメリット
・望まない交配が防げる
・雄性ホルモンが関係する病気の予防になる
・発情時の問題行動やストレスを解消できる
・マーキングや強い攻撃性を抑えられる可能性がある
去勢手術を受けることで、ワンちゃんは子供が作れなくなります。
オスとメスのワンちゃんが同居していると、飼い主さんが目を離した隙に交配してしまい、望んでいなかった子犬が産まれてしまうことも。
手術を受けておけば、こうした事態を防ぐことができます。
去勢手術は、以下のような病気の予防にも役立ちます。
■精巣腫瘍…精巣(睾丸)に腫瘍ができる病気。良性のケースが多いが、悪性の場合には転移したり、重い貧血を引き起こして犬の命に関わるリスクもある。
■肛門周囲腺腫…肛門の周りや尻尾の付け根付近に腫瘍ができる病気。良性のできものだが、大きくなると出血や化膿を起こしたり、排便の邪魔になる。
■前立腺肥大…尿道の近くにある前立腺が大きくなる病気。尿や便が出にくくなったり、排尿時の痛みや血尿、膀胱炎が起こることも。
■会陰ヘルニア…肛門周辺の筋肉が薄くなり、腸や前立腺、膀胱などが飛び出してしまう病気。尿や便が出にくくなる。
発症に雄性ホルモン(男性ホルモン)が大きく関わっているこれらの病気は、雄性ホルモンを分泌する精巣の摘出によって予防する効果が期待できるのです。
去勢手術には、発情時の犬の問題行動やストレスを解消できるというメリットもあります。
オスのワンちゃんは、発情期(ヒート)のメスの匂いに反応して発情します。
年に2回程しか訪れない発情期。「この時期を逃さずに、こどもを作らないと!」と必死なワンちゃんたちには、以下のような問題行動がみられることがあります。
■発情したオス犬にみられる問題行動の例
・ソワソワと落ち着きがなくなる
・集中力がなくなる
・飼い主の言うことをきかなくなる
・切なげに鳴き続ける
・食欲が落ちる
・あまり眠らなくなる
・発情期のメス犬に付きまとう
・メス犬を求めて脱走する
・交尾ができないことでストレスが溜まる
去勢手術を受けておけば、発情中のメスのワンちゃんに興奮することがなくなり、落ち着いて生活できます。
オスのワンちゃんには、以下のような問題行動がみられがちです。
■オス犬にみられがちな問題行動の例
・自分の縄張りを主張するために、家中にオシッコをかける(マーキング)
・強い攻撃性を持ち、他の犬や人に片っ端から吠え掛かる
こうした問題行動の原因が雄性ホルモンの影響である場合には、去勢手術による改善が期待できます。
ただし次のようなケースでは、手術を受けても変化が起こらない可能性があります。
■去勢手術による改善が期待できない例
・すでにマーキングが癖になってしまっている
・ただ単にトイレの場所を覚えていないだけ
・生まれつきの性格や、育ち方の影響から無駄吠えが多い
去勢手術を検討する理由が「問題行動の解消のみ」ならば、手術ではなく「しつけ」で改善できないかを、ドッグトレーナーや獣医師に相談してみるのもいいですね。
犬の去勢手術には、以下のようなデメリットもあります。
■去勢手術のデメリット
・一生、繁殖ができなくなる
・麻酔によるリスクがゼロではない
・手術後に太りやすくなることが多い
・尿失禁・脱毛・毛質の変化などが起こる可能性がある
・飼い主さんが罪悪感を抱えたり、後悔するケースがある
去勢手術を受けたワンちゃんは、一生、繁殖ができなくなります。
手術をした後に、「やっぱり愛犬の血を引いた子犬がほしい」と思っても遅いのです。
「この先、愛犬のこどもはいらない!」と断言できないうちは、去勢手術は見合わせた方がよいでしょう。
去勢手術時に行われる全身麻酔には、アレルギー、呼吸器や腎臓・肝臓の障害、血圧の低下、心肺停止などのリスクがあります。
もちろん動物病院でも、ワンちゃんの体が麻酔に耐えられるかどうかの検査をし、万全の態勢で手術をしてくれます。
それでも、麻酔によるリスクをゼロにはできません。
去勢手術を受けたワンちゃんの多くは、代謝の低下や食欲の増進が起こり、太りやすくなります。
食べ過ぎによる肥満は、糖尿病や高血圧、足腰のトラブルなどの原因にもなりかねません。
去勢手術後は、ドッグフードの量やカロリーに注意したり、毎日の運動を欠かさないなど、愛犬の肥満予防を心掛けましょう。
正しい給餌量については、「【獣医師監修】ドッグフードの正しい与え方!パッケージの推奨量はあくまで目安」を参考にしてください。
去勢手術後のワンちゃんには、おもらしや脱毛、被毛の質の変化などが起こることもあります。
被毛の質がどのように変わるかは、ワンちゃんによって異なりますが、
・パサつきがちになる
・ツヤがなくなる
・産毛のような細い毛が生える
などの変化が多いようです。
これらは、去勢手術による性ホルモンのアンバランスが原因といわれていますが、全てのワンちゃんにみられるわけではありません。
去勢手術は、飼い主さんの心にダメージを与えることもあります。
以下は、実際にあったケースです。
◆手術後にしょんぼりとしている愛犬の姿や、痛々しい手術痕を見て、とても申し訳ない気持ちになった。
◆「オスとしての本能を奪ってしまった。自然なままの状態でいさせてあげた方がよかったのでは?」という罪悪感を抱えてしまった。
◆犬をもう1頭飼いたくなった時に、「去勢手術をしなければ、愛犬の血を引く子犬を迎えられたのに」と後悔した。
一度去勢手術を受けてしまえば、後からどんなに後悔しても、生殖機能を回復させることはできません。
手術を受ける前には、納得いくまで家族や獣医さんとよく話し合うことが大切です。
いざ、愛犬の去勢手術を受けようとする時に気になるのが費用面。
ここでは、去勢手術にかかる費用の相場やペット保険の利用、注意が必要な高すぎる手術費用などについて解説していきます。
ワンちゃんの去勢手術に必要な費用の相場は、小型犬や中型犬なら15,000~25,000円前後、大型犬なら30,000~35,000円前後ですが、犬の体重や動物病院によって違いがあります。
■開腹手術の場合(体重別)
・体重10kg未満…約15,000~25,000円
・体重10kg~20kg未満…約25,000~30,000円
・体重20kg以上…約30,000~35,000円
■腹腔鏡手術の場合
開腹手術の相場+20,000〜40,000円程度
大型犬は小型犬に比べて、手術に使う麻酔の量が増えるため、費用も高くなります。
去勢手術費用の中に、術前検査費用や術後の処方薬代などが含まれているのかも、事前に確認しておきたいポイントです。
去勢手術費用の中に以下のような代金も含まれていることがあります。
■手術費用の中に含まれる主な内容
・手術前の血液検査
・全身麻酔
・退院後の内服薬
・抜糸
・入院(病院によって必要な場合のみ)
病院によっては、手術費とは別にこれらの料金が必要なところもありますので、よく確認しておきましょう!
さらに、以下のような追加費用がかかる可能性もあります。
■追加費用の料金相場
・高齢犬の追加検査費用(レントゲン代など)…約15,000円
・気性の荒い犬の鎮静剤代…約8,000円
・肥満犬の管理手数料…約3,000円
手術の費用設定は動物病院ごとに異なるため、ホームページなどを見ても分かりにくく感じることもあります。
疑問点は遠慮せずに、病院のスタッフさんに質問しましょう。
健康なワンちゃんに対して行われる去勢手術に、ペット保険を使うことはできません。
ペット保険は、万が一の病気やケガに備えて入るものです。去勢手術は、病気やケガの治療ではないため、保険の適用外となります。
もちろん、「精巣の病気で摘出手術が必要」といったケースであれば、保険の補償が受けられるでしょう。
全国の自治体や獣医師会の中には、犬の去勢手術に補助金を出してくれるところもあります。
例えば茨城県では、犬や猫の去勢・避妊手術に一律2,000円の助成が受けられます(2020年11月現在)。※1
ただし、野良猫に比べて、飼い犬の手術への助成を行っているところは非常に少なく、現在のところ東京都内ではゼロです。
※1 参考:常総市「犬・猫の避妊去勢手術の助成」
「日帰りの去勢手術で15万円かかります」などと、相場よりも明らかに高い金額で見積もられたら要注意!すぐに手術の申込みはせずに、よく考えてから決めることをおすすめします。
複数の動物病院に手術費用を問い合わせたり、獣医さんやスタッフさんと話してみて、信頼できそうな病院にお願いしましょう。
ここでは、獣医師さん監修のもと、ワンちゃんの去勢手術に関するよくある質問について回答していきます。
愛犬の手術にお悩みの飼い主さんは、参考にしてみてくださいね。
Q1.犬の去勢手術に入院は必要?日帰りもできるの?
Q2.手術後の痛みを和らげてあげることはできる?
Q3.去勢手術後は、いつも通りにごはんを与えてもいい?
Q4.去勢手術後の散歩やシャンプーはいつからOK?
Q5.犬が手術の傷口を舐めようとするのはなぜ?
Q6.去勢手術後の愛犬が動物病院を怖がるのはなぜ?
A.犬の去勢手術は、日帰り手術が一般的です。病院によっては、1泊程度入院させるところも。
ワンちゃんの去勢手術は、日帰り手術が一般的ですが、手術後の体調によっては、獣医師の判断により入院が必要になることもあります。
また、動物病院によっては、より万全な術後管理を行うために、ワンちゃんの体調に関わらず、1泊程度の入院をさせるところも。
A.愛犬の痛みを和らげるには、処方された鎮痛剤をきちんと飲ませましょう。痛みは3日~1週間程度で治まります。
手術後のワンちゃんの痛みを和らげるには、動物病院で処方された鎮痛剤をきちんと飲ませてあげましょう。
犬によって個体差はあるものの、痛みが引く期間は、3日から1週間程度と考えられています。
A.手術直後は、いつもの量の3分の1程度を目安に。
年齢や個体によって差はありますが、基本的に去勢手術当日のワンちゃんは、朝から何も食べていない状態です。
手術後にいきなり、普段と同じ量のごはんを与えると、ワンちゃんの胃がびっくりしてしまい、吐いてしまい誤嚥(ごえん)※引き起こす可能性があります。
※誤嚥…誤って喉頭と気管に入ってしまう状態
獣医師の指示に従い、去勢手術を受けた日のごはんは、いつもの量の3分の1程度を目安に与えるとよいでしょう。
翌日からは、愛犬の様子をチェックしつつ、少しずつ普段の量に戻していきます。
A.散歩は手術後2~3日、シャンプーは抜糸が済んでから行いましょう。
本格的な愛犬の散歩は、去勢手術後2~3日経過してから行くようにしましょう。
ただし、手術の傷痕が濡れて化膿することを防ぐために、雨の日や水辺での散歩は避けます。
一方、シャンプーは、抜糸が終わるまでは禁止です。抜糸は、去勢手術を受けてから1週間前後で行われます。
病院によって抜糸が必要ないこともありますが、その際も、シャンプー解禁は手術後1週間程度を目安にしてください。
個体差があるので、必ず退院時に獣医師に確認してくださいね。
A.違和感や不快感を感じています。化膿する心配もあるので、エリザベスカラーや術後服を用意して。
去勢手術後の愛犬が傷口を舐めるのは、傷口に違和感や不快感を感じることに対する本能的な行動です。
しかし、ワンちゃんの口の中にはばい菌も多いため、頻繁に舐めていると傷口が化膿してしまうリスクもあります。
愛犬が傷口を舐めることを防ぐには、エリザベスカラーや術後服が役立ちますよ。
以下に、エリザベスカラーと術後服の種類や、おすすめのワンちゃんのタイプをまとめました!
■エリザベスカラーがおすすめのワンちゃん
・服を着ることが嫌い
・術後服の上からでも、傷口を舐めようとする
視界が狭くなる、動くたびに周りにぶつかりそうになるなど、術後服に比べてデメリットの多いエリザベスカラーですが、洋服が嫌いなワンちゃんには適しています。
エリザベスカラーといえば、パラボラアンテナのように薄く幅広いタイプが一般的ですが、ドーナツ状のフンワリやわらかなものも販売されています。
詳しくは「犬用エリザベスカラー人気おすすめ8選|嫌がらないのはドーナツ型?」をチェックしてみてくださいね!
■術後服がおすすめのワンちゃん
・服を着ることに抵抗が少ない
・活発でよく動きまわる
・体が小さい
普段から洋服を着慣れているワンちゃんであれば、エリザベスカラーよりも煩わしさのない術後服がオススメです。
また、体の小さなワンちゃんも、重いエリザベスカラーよりも術後服の方が楽なケースが多いでしょう。
術後服のデザインは、ボタンやマジックテープで留めるもの、ひもで縛るもの、ノースリーブや長袖などさまざまですので、愛犬に合わせて選びましょう。
術後服が大きすぎると、ワンちゃんが服の隙間から傷口を舐めてしまうことも考えられます。
いざ着せようとした時にサイズが合わないと困るので、手術を受ける前に試着させておきましょう。
A.去勢手術がトラウマになって、動物病院が怖くなってしまった可能性が考えられます。
ワンちゃんによっては、去勢手術時に感じた恐怖心から、「動物病院=怖いところ」と思い込んでしまうコもいます。
対策としては、動物病院に行くたびに、愛犬が大好きなおやつを持参しましょう。待合室や、可能であれば診察台の上などでも、少しずつおやつを与えます。
これを繰り返すことで、「動物病院に来ると良いことがある!」と愛犬に覚えてもらうのです。
時間はかかるかもしれませんが、愛犬の恐怖心をゆっくりと取り除いてあげてくださいね。
ワンちゃんの去勢手術を受けるか受けないかという問題に、正解はありません。
愛犬のことを考えながら悩み抜いて出した答えが、その飼い主さんとワンちゃんにとっての正解です。
「やっぱり手術なんて受けなければよかった」と後から悔やまないように、獣医さんにもアドバイスをもらいながら、納得するまで検討しましょう。
※記事で紹介されている商品を購入すると、売上の一部がINUNAVIに還元されることがあります。メーカー等の依頼による広告にはPRを表記します。
※掲載されている情報は、INUNAVIが独自にリサーチした時点の情報を掲載しています。掲載価格に変動がある場合や、登録ミス等の理由により情報が異なる場合がありますので、最新の価格や商品の詳細等については、各ECサイト・販売店・メーカーよりご確認ください。
執筆者
「日本をペット先進国に。」INUNAVIは、飼い主とわんちゃんが幸せに過ごせる世界を実現するために誕生。 執筆者はペットフード安全管理者、犬の管理栄養士、動物介護士、ペット看護師などの資格を保有。獣医師・ドッグトレーナーなど専門家監修のもと、犬好きのメンバーが毎日読みたくなるコンテンツを毎日更新中♩おすすめドッグフードランキングは1,000名規模の口コミ評価や成分の安全性を検証し、辛口に採点。リアルな情報にこだわっています。独自アンケート調査はこちら