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犬は桃を食べても大丈夫!水分補給にピッタリ
桃は、適量であれば犬が食べても大丈夫な果物です。
甘みが強くみずみずしい桃は、自然な甘みが好きな犬にとっても食べやすく、水分補給にも役立ちます。
また、桃にはさまざまな栄養素が含まれ、犬に食べさせることで健康をサポートする効果も期待できるでしょう。
【獣医師監修】犬が食べてもいい果物・ダメな果物は?与えるときの注意点や老犬におすすめの果物も
桃の栄養
では、桃にはどんな栄養があるのでしょうか。
■桃の主な栄養
カロリー |
40kcal/100g |
水分 |
88.6% |
カリウム |
・細胞の浸透圧を維持
・血圧を下げる
・腎臓でのナトリウムの再吸収の抑制
・ナトリウムの排出をサポート |
食物繊維 |
・血糖値の急激な上昇の抑制
・糖やコレステロールの吸収を抑制
・腸内の善玉菌を増加させる
・スムーズな排便を促してくれる |
カテキン |
・血圧の上昇を抑制
・血糖値の上昇を抑制
・脂質の酸化を防ぐ
・コレステロールの吸収を抑制
・細菌やウイルスから体を守る |
クエン酸 |
・疲労回復効果
・糖質やたんぱく質を効率良く燃焼させる |
イノシトール |
・コレステロールを下げる
・脂肪の代謝を促し肝臓に脂肪が蓄積されるのを防ぐ
・神経機能を正常に保つ |
(※1、2、3)
桃は、ポリフェノールやビタミンB群が豊富に含まれているほか、水溶性食物繊維のペクチンが多い果物です。
甘みがあるので太りやすいイメージも強いですが、適量であれば肥満の予防にもつながります。
犬に桃を食べさせるメリット
犬に桃を食べさせるメリットは主に4つあります。
■犬が桃を食べるメリット
・水分補給になる
・桃のさまざまな栄養が摂れる
・腸内環境を整える効果が期待できる
・病気の予防やアンチエイジング効果が期待できる
桃は約90%が水分ですが、前章でもご紹介したようにさまざまな栄養素が詰まった果物です。桃は糖尿病を予防する効果もある(※3)とされているほど!
適量であれば犬にメリットもたくさんあるため、桃を上手に活用しましょう。
犬に桃を与えるときはアレルギーに注意して!
桃はアレルギーを起こしやすい果物で、人間では「特定原材料に準ずる21品目」(※4)の1つです。
そのため、犬に初めて桃を食べさせる場合でも、食物アレルギーを起こす可能性があるので少量にとどめ、48時間は様子を見てください。
もし食物アレルギーがある場合は、犬が桃を食べてから30分~48時間以内に以下のような症状が現れます。
■犬の食物アレルギーの主な症状
- 皮膚の赤みや痒みがある
- 目の周りや口の周り、耳を痒がる
- 顔面やあご、脇の下や内股などに赤みや脱毛する
- 足先を執拗に舐めたりかじる
- 下痢や軟便になる
- 嘔吐する
食物アレルギーの症状は犬によっても異なりますが、上記のような症状が見られた場合は獣医師に相談してください。
犬の食物アレルギーについては、以下の記事で詳しく解説しています。
犬のアレルギー(食物・アトピー・ノミ)原因・対策を徹底解説【皮膚科医取材】
■特定原材料に準ずるもの(21品目)とは
食物アレルギーの報告が一定数あるものの、特定原材料に比べると少なく、表示義務はないが表示を推奨しているもの。
犬が1日に食べてもいい桃の量【体重別】
犬が1日に食べてもいい桃の量は、1日の摂取カロリーのうちの10%程度です。
桃は犬に必要な栄養がすべて含まれているわけではないため、あくまでもおやつやトッピングの範囲で与えるようにしてください。
避妊・去勢済の成犬が1日に食べてもいい桃の上限量を体重別にまとめてみました。
■【体重別】犬が1日に食べてもいい桃の上限量
※桃のカロリーは目安。種類や個体によっても異なるため注意
※避妊去勢済の成犬の摂取カロリーの10%で活動係数は1.6
※1日におやつとして桃だけを与えた場合
■桃の重さの目安
※通常サイズの桃、皮や種を除いた可食部
・1個…約200g
・1/2個…約100g
・1/4個…約50g
・1/6個…約34g
・1/8個…約25g
桃はカロリーが低いため、1日の摂取カロリーのうちの10%だと上記のようになります。
しかし、桃は食物繊維や糖質などが豊富に含まれているので、上限量いっぱいまで与えることはおすすめできません。
カロリーだけで判断するのではなく、桃を食べたときの体調や便の状態はもちろん、犬の体型・体重・活動量・ライフステージなども考慮するほか、少食であれば桃の量を減らすなど調整してください。
また、桃のほかにおやつやトッピングがある場合は、その分のカロリーと合わせて10%程度(多くても20%以内)にする必要があります。
愛犬の1日に必要な摂取カロリーや、おやつなどの計算方法については以下の記事で詳しく解説しています。
【獣医師監修】ドッグフードの正しい与え方!パッケージの給餌量はあくまで目安
犬に桃を食べさせるときの注意点
桃は犬が食べるとメリットのある果物ですが、与えるときには注意しなければいけないこともあります。
ここでは、犬に桃を与えるときの注意点4つを見ていきましょう。
与え過ぎない
犬に桃を食べさせるときは、おやつやトッピングの範囲内にしてください。
前章の「犬が1日に食べてもいい桃の量」でも述べましたが、桃は糖質や食物繊維が豊富に含まれているため、与え過ぎは肥満や体調不良の原因となる恐れがあります。
また、与え過ぎてしまうとお腹がいっぱいになって、栄養バランスが考えられているドッグフードが食べられなくなってしまうこともあるでしょう。
愛犬の健康のためにも、桃を食べさせるときは適量にとどめておくことが大切です。
食べてはいけない部位は与えない
犬が食べてはいけない桃の部位は「種」です。
桃の種には「アミグダリン」という成分が含まれ、特定の腸内細菌によって分解されるときに有毒なシアン化水素(青酸)を発生させます。
アミグダリンを摂取した量が少量であれば体内の酵素によって毒性は抑えられて体外に排泄されますが、多量に食べてしまった場合は青酸中毒を起こしてしまう可能性があります。
アミグダリンは噛み砕くと毒性が強まるため、大きな桃の種では噛み砕く恐れもあるため特に注意が必要です。青酸中毒を起こすと命に係わることもあるため十分に注意してください。(※5)
また、桃の皮は消化に悪いので、犬には与えないほうがいいでしょう。
未熟な桃にも注意!
アミグダリンは未熟な桃の果肉にも含まれています。成熟した桃の果肉ではアミグダリンは消失しているため心配はありませんが、桃狩りや自家栽培などの桃では注意してください。
犬が食べてはいけないものについては、以下の記事をご覧ください。
犬が食べてはいけないものを解説!36種類の症状や対処法、加熱調理が必要な食材も紹介
生ごみの処理に注意
犬は嗅覚が優れているため、生ごみなどをあさって食べてしまうことがあります。
桃の皮や茎、種など何気なく捨てていたものをいつのまにか食べていたということのないように、生ごみの処理には十分に注意してください。
また、生ごみの中には桃だけでなく、玉ねぎや食事の残りなど犬が食べてはいけないものも捨てられていることがありますね。
愛犬が体調不良を引き起こさないためにも、犬が生ごみをあされないように蓋つきやロックつきのごみ箱を使用する、置き場所を考えるなど工夫してあげましょう。
消化しやすいように配慮する
犬に桃を食べさせるときは、喉に詰まらせたり消化に負担がかからないように薄くスライスしたり細かく刻むなどの配慮が必要です。
喉や食道に詰まってしまえば、窒息や食道炎などを起こす恐れもあり、例え柔らかい桃であっても油断は厳禁!
また、桃は食物繊維が豊富に含まれているため、大きな塊のままでは消化に負担がかかってしまいます。特に子犬やシニア犬(老犬)では消化が得意ではないため、十分に注意してあげましょう。
犬に桃を与えるときによくあるQ&A
子犬にはいつから桃をあげてもいい?
子犬は体を作るためにも栄養バランスの取れた食事が重要な時期なので、おやつを与える必要はありませんが、与える場合は生後3~4ヶ月をすぎてからにしましょう。
子犬は消化器官も未発達で、消化に負担がかかると下痢や嘔吐を引き起こしてしまいます。与えるときは細かく刻んだり、つぶすなどの配慮が必要です。
また、栄養バランスを崩さないように、与える量はごく少量にとどめておいてください。
犬が桃ジュースや桃ゼリーは食べていい?
人間用に加工されたものは多くの糖分が使用されているものが多く、肥満の原因となるため与えないようにしましょう。桃の缶詰や桃ジャム、桃のアイスなども同様です。
また、糖分や添加物を使用していない桃の果肉を絞っただけの100%のストレートジュースであれば飲ませることもできますが、与え過ぎないようにしてください。
桃のおすすめの与え方は?
犬に与える桃は生でも加熱でも問題はありませんが、加熱すると熱に弱い栄養素が失われてしまうため、桃の栄養素を活かしたい場合は生のまま与えましょう。
その際、犬が喉に詰まらせないように薄くスライスしたり、細かく刻むなどしてください。
犬が桃の種を飲み込んでしまったときはどうすればいい?
桃の種を飲み込んでしまったときは、例え犬が元気そうにしていても早急に動物病院を受診してください。
桃の種には青酸中毒を引き起こすアミグダリンが含まれているということはもちろん、桃の種はざらざらしていて喉や食道、腸に悪影響を与える危険性があります。
■桃の種が詰まったときに起こり得ること
- 喉
…窒息 - 食道
…窒息、食道閉塞、食道炎 - 胃
…粘膜の刺激による嘔吐 - 腸
…腸閉塞
詰まった場所によってはすぐに異変が起こらないこともありますが、どれも緊急性の高い状態で、場合によっては命に係わることもあるため必ず動物病院を受診してください。
まとめ
桃は適量であれば犬に嬉しい効果をもたらしてくれる果物です。桃に限らず言えることですが、どんなものでも与え過ぎは肥満や体調不良の原因となるため、与え過ぎないように注意してください。
最後に犬に食べさせる桃についておさらいしておきましょう。
・桃は健康のサポートが期待できる
・犬によって食べさせる量は異なる
・食物アレルギーに注意する
・桃の皮や種は食べさせない
・消化しやすいように配慮が必要
犬は飼い主さんと同じものを食べたいと思う健気な生きものです。桃であれば一緒に食べることもできるので、桃を与えるときの注意点を考慮しながら、愛犬とのおやつタイムを楽しんでくださいね。
<参考文献>
(※1)参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
(※2)参考:農林水産省「主な果物の健康機能性」
(※3)参考:わかさの秘密「桃」
(※4)参考:消費者庁「アレルゲンを含む食品に関する表示」
(※5)参考:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「アミグダリンについて」
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執筆者
- ペットライター
-
たかだ なつき
- JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー