公開 2023.10.31 更新 2023.11.01
【獣医師監修】犬はじゃがいもを食べても大丈夫!与え方や注意点を解説

【獣医師監修】犬はじゃがいもを食べても大丈夫!与え方や注意点を解説

じゃがいもはドッグフードに使用されることもあるように、犬が食べても大丈夫な食材です。じゃがいもはさまざまな栄養素が含まれていますが、注目したいのはビタミンCがリンゴの約7倍と意外にも豊富なことでしょう。

とは言え、じゃがいもはあくまでもおやつやトッピング、手作りごはんの食材の1つであり、犬の主食ではありません。また、じゃがいもには与えてはいけない部位もあるため、正しい知識を持つことが大切です。

そこで今回は獣医師監修のもと、犬にじゃがいもを与えるメリットや与え方、1日に与えていい量や注意点などを解説します。

犬がじゃがいもを食べるメリット3つ

ジャガイモ

じゃがいもはあまり栄養がないイメージもあるかもしれませんが、犬の健康維持に役立つ栄養素がさまざま含まれています。

そんなじゃがいもを犬が食べるメリットは、主に3つあります。ここで詳しく見ておきましょう。

エネルギー源になる

ドッグランで走る犬

じゃがいものデンプンは消化しやすく(※1)効率の良いエネルギー源となってくれます。

デンプンは炭水化物の1種で、体を作り、動かすために必須の5大栄養素の1つです。

■5大栄養素とは
炭水化物、脂質、たんぱく質、ミネラル、ビタミン

ビタミンCが摂れる

ビタミンCを考えている犬

じゃがいもに含まれるビタミンCはリンゴの約7倍と豊富な上、でんぷんに包まれていることから熱にも比較的強いため、加熱したじゃがいもでもビタミンCが摂取できます

■じゃがいもとリンゴのビタミンC
※可食部100gあたり
(※2)

じゃがいも(皮なし・生) 28mg
リンゴ(皮なし・生) 4mg

犬はビタミンCを体内で合成することができますが、十分量を作れているとは言い切れず、近年ではビタミンCも摂取させたほうがいいと考えられています。(※3)

水溶性ビタミンは必要な分以外は尿と一緒に排出されるので、過剰摂取の心配はほぼありません。

腸内環境の健康をサポート

お腹を見せる犬

じゃがいもには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が含まれており、腸内環境の健康をサポートしてくれます。

腸内環境の健康は免疫力の向上にもかかわりがあるため、じゃがいもは犬の健康維持に役立ってくれるでしょう。

じゃがいもの栄養素

皮をむいたじゃがいも

じゃがいもに含まれる主な栄養素は以下の通りです。

■じゃがいもの主な栄養素
カロリー:78kcal / 100g【皮なし・電子レンジ調理】(※2)

  • 炭水化物
    100g中:19.0g
    …体の主要なエネルギー源。不足すると疲労感や集中力の低下が起こるほか、脳や神経で不足すると意識障害が起こる(※4)
  • ビタミンC
    100g中:23mg
    ……毛細血管、歯、軟骨などを正常に保つ。抗酸化作用で体内の活性酸素を除去する働きも(※5)
  • ビタミンB群
    …あらゆる種類の酵素の補酵素。代謝ビタミンとも呼ばれ、生きるためのエネルギーを作るのに必須(※6) 
  • カリウム
    100g中:430mg
    …ナトリウム(塩分)の排出を促す。細胞の浸透圧維持、神経刺激の伝達、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など重要な働きも(※7)
  • 食物繊維
    100g中:3.5g
    …腸内環境の改善や排便をスムーズにする働きがある。不溶性食物繊維は有害物質を吸着させて便と一緒に体の外に排出する働きも(※8)

じゃがいもには、体の主要なエネルギー源となる炭水化物、代謝にかかわるビタミンB群、体を正常に保つビタミンCやカリウムなど、重要な栄養素がたくさん含まれています。

しかし、与え過ぎると肥満の原因となるため、与える量には注意が必要です。

次章では、犬が1日に食べてもいいじゃがいもの量について解説します。

犬が1日に食べてもいいじゃがいもの量

じゃがいもを計量をしている様子

犬がおやつやトッピングとして1日に食べてもいいじゃがいもの量は、肥満や栄養バランスの偏りを防ぐためにも愛犬が1日に必要な摂取カロリーのうちの10%程度です。

とは言え、10%分をまるまるあげるのではなく、愛犬の体調や便の状態、体型や活動量、ライフステージなども考慮して与える量を調整してください。

■犬が1日に食べてもいいじゃがいもの目安量
(※電子レンジ調理の場合:78kcal / 100g)

体重 1日の目安量
1kg 14g
3kg 32g
5kg 47g
7kg 61g
9kg 74g
12kg 92g
15kg 108g
20kg 134g
25kg 160g
30kg 183g

※避妊去勢済みの成犬で算出

もっと正確に愛犬に与えてもいい量を知りたい場合は、以下の記事でカロリー計算について詳しく解説しています。

ドッグフード
【獣医師監修】ドッグフードの正しい与え方!パッケージの給餌量はあくまで目安

犬はさつまいもや里芋など、ほかの芋も食べられる!

さつまいも、里芋、じゃがいも

犬がじゃがいもを食べても大丈夫なように、さつまいもや里芋など、ほかの芋も食べることができます。どの芋も栄養が豊富なので、おやつやトッピング、手作りごはんの食材などに活用することができるでしょう。

■犬が食べられる芋
じゃがいも、さつまいも、里芋、山芋、ヤーコン、クワイなど

山芋はすりおろすことで粘り気が増すため、粘りが強い種類の山芋(自然薯など)をすりおろして与える場合は、犬が喉に詰まらせないように水などで粘り気を少なくしてから与えるようにしてください。

また、生の山芋の皮近くには針のようにとがったシュウ酸カルシウムが多く含まれています。すりおろすと細胞が壊れ、中の針状の結晶のシュウ酸カルシウムが飛び出して、皮膚にささって痒みを引き起こす可能性があるため、すりおろした山芋を与える際は中心部を与えるか犬の皮膚につかないように注意してあげましょう。

犬と野菜
犬に与えていい野菜一覧!野菜の健康効果は?注意点やダメな野菜も【獣医師監修】

犬にじゃがいもを与える際の注意点

じゃがいもの匂いを嗅ぐ犬

じゃがいもはさまざまな栄養素が含まれており、犬が食べることでメリットが得られる食材ですが、与える際には与える部位や切り方など与え方に注意しなければいけないこともたくさんあります。

ここで詳しく見ていきましょう。

①食物アレルギーに注意する

食物アレルギーが出た愛犬

※実際に食物アレルギーによって左右対称に目の周りが赤くなる&目の下が脱毛した愛犬です

じゃがいもに限りませんが、犬に初めて食べさせるときは少量で与え、食べた後は48時間ほど様子を見てあげるようにしましょう。

じゃがいもに食物アレルギーがある場合、食べてから30分~48時間以内に以下のような症状が見られます。

■犬の食物アレルギーの主な症状
・皮膚の赤み
・目の周りや口の周り、耳を痒がる
・脱毛
・足先や皮膚を執拗に舐めたりかじる
・下痢や軟便
・嘔吐

犬によって食物アレルギーの症状は異なりますが、上記のような症状が見られた場合は食べさせるのを控え、獣医師に相談してください。

犬の食物アレルギーについては、以下の記事で詳しく解説しています。

犬のアレルギー(食物・アトピー・ノミ)原因・対策を徹底解説【皮膚科医取材】

②緑色のじゃがいもや芽は与えない

芽の出たじゃがいもと犬

緑色になっているじゃがいもの皮や実、じゃがいもの芽には、ソラニンやチャコニンといった自然毒素が多く含まれているため、絶対に与えないでください。

ソラニンやチャコニンといったグリコアルカロイドによる健康被害は人間の子供でも報告(※9)されおり、食べてしまうと中毒により下痢や嘔吐といった症状から、けいれん、失神、呼吸困難といった重篤な症状を引き起こすことがあります。

太陽や蛍光灯の光に長時間晒されるとじゃがいもは発芽しやすくなったり緑色になってしまうため、購入後は暗くて涼しい場所で保存し、できるだけ早く使い切るようにしてください。(※10)

犬が食べてはいけないものを食べてしまったときの症状や対処法については、以下の記事で解説しています。

犬が食べてはいけないものを徹底解説!症状や対処法、加熱調理が必要な食材も紹介
犬が食べてはいけないものを解説!36種類の症状や対処法、加熱調理が必要な食材も紹介

③必ず加熱する

じゃがいもを茹でている様子

人間であればじゃがいもを生で食べることができますが、人間でも消化不良のリスクがあるように、生のじゃがいもはとても消化が悪いため犬に与える場合は必ず加熱してください。

消化不良は下痢や嘔吐、腹痛や食欲不振を引き起こす原因となります。

■犬に与える場合のじゃがいもの調理方法
・茹でる
・蒸す
・焼く

適量であれば犬は油を摂取しても問題はありませんが、じゃがいもを揚げる場合では油分を多く摂取してしまう恐れがあり、肥満や消化不良などを起こす可能性があるため避けたほうが安心です。

④食べやすいように細かく刻むか潰す

じゃがいもを潰す様子

じゃがいもを与える際は、喉に詰まらせないように細かく刻んだり、潰すなどして犬が食べやすいようにしてあげましょう。

細かく刻んだり潰してあげることで消化にかかる負担も軽減してあげることができます。

また、じゃがいもの皮は消化しづらいため、皮は剥いてあげることをおすすめします。

⑤持病がある犬は獣医師に確認してから

獣医の診察を受ける犬

じゃがいもにはカリウムが豊富に含まれていることから、腎臓病や心臓病などでカリウムの摂取制限がある犬では事前に獣医師に確認しましょう

健康な犬では体に必要のないカリウムは尿と一緒に排出されますが、腎臓機能が低下した犬では体内に留まりやすく、場合によっては高カリウム血症を引き起こす恐れがあります。

カリウムは犬にとって必要不可欠な栄養素のため過剰に心配する必要はありませんが、持病がある犬は獣医師に確認してから与えたほうが安心です。

⑥ポテトチップスやフライドポテトなど加工食品は控える

フライドポテト

人間用に加工されたポテトチップスやフライドポテトなどは塩分や油分が多く使用されており、体調不良や肥満の原因になりかねないため、犬に与えないようにしましょう。

じゃがいもを原料とした加工食品の中には、玉ねぎなど犬が食べてはいけないものが使用されているものもあります。

与える場合は犬用に加工されたものにしてください。

【獣医師監修】犬が食べていいもの一覧!野菜・果物・肉類など与えるメリットと注意点
【獣医師監修】犬が食べていいもの一覧!野菜・果物・肉類など与えるメリットと注意点

まとめ

じゃがいもの隣で寝る犬

じゃがいもは犬の健康維持に役立つ栄養素がさまざま含まれており、おやつやトッピング、手作りごはんの食材などにも使用できる、使い勝手の良い食材です。

緑色になった部分や芽は与えない、必ず加熱する、喉に詰まらせないよう細かく刻む、与え過ぎないといった注意点はありますが、犬に美味しく食べてもらえる食材の1つなので上手に活用してみてくださいね。

犬が食べてもいい果物
【獣医師監修】犬が食べてもいい果物・ダメな果物は?与えるときの注意点や老犬におすすめの果物も

<参考文献>

※1:日本栄養・食糧学会誌「いも類のデンプンの消化性に及ぼすその細胞壁の影響」
※2:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
※3:ペット栄養学会誌「柴犬における血漿中ビタミンC濃度」

※4:サントリーウエルネスオンライン「炭水化物とは?おもな働きと摂取量の目安、炭水化物を多く含む食品を紹介」
※5:健康長寿ネット「ビタミンCの働きと1日の摂取量」
※6:一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所「ビタミンB群」
※7:健康長寿ネット「カリウムの働きと1日の摂取量」
※8:健康長寿ネット「食物繊維の働きと1日の摂取量」 
※9:厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル:高等植物:ジャガイモ」
※10:農林水産省「ソラニンやチャコニンによる健康影響」

 

ペットライター たかだ なつき

執筆者

ペットライター
たかだ なつき
JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー

18歳のチワックスと1歳のチワックス、ポメチワ、0歳のチワックスの4匹と暮らしています。これまで愛犬チワワと2匹のミニチュアダックスたちの闘病・介護生活の経験から、犬の健康や介護について学びを深めペットにまつわる様々な資格を取得し、老犬のトータルケアサロン開業に向けて準備中です。

【保有資格:ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー / JKC愛犬飼育管理士 / YMAA薬機法・医療法適法広告取扱個人認証規格

関連記事

新着記事

人気記事

いぬなび公式
インスタグラム

毎日更新中