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犬が鹿肉を食べるメリットは?栄養豊富だけどダイエットにもいい
鹿肉は高たんぱくで低カロリーなお肉ですが、犬が食べることで得られるメリットはたくさんあります。
また、近年はSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みが広がっていますが、鹿肉を利用することは農作物の被害防止や廃棄物の減少、食糧確保といったことに役立ち、美味しく食べられてSDGsに貢献できるということから、人間でも注目されている食材です。
では、犬が鹿肉を食べるとどんなメリットがあるのでしょうか。鹿肉の栄養効果も合わせて見ていきましょう。
鹿肉の栄養効果
鹿肉は、高たんぱく、低脂質、低カロリーですが、さまざまな栄養素が豊富に含まれており、栄養価が高いお肉です。
■鹿肉の主な栄養とその効果
カロリー※ |
126kcal / 100g(エゾ鹿:赤身)
102kcal / 100g(アカシカ:赤身) |
たんぱく質※1 |
・筋肉や臓器など体を作るのに欠かせない栄養素
・酵素やホルモンなど体の機能を調整する役割も果たす
・健康を保つために重要な働きがある |
アセチルカルニチン※2 |
・脂肪の燃焼を促す
・脳機能向上が期待できる
・疲労、ストレス軽減が期待できる |
鉄分(ヘム鉄)※3 |
・全身に酸素を運搬する働きがある
・貧血の予防
・体に吸収されやすい |
亜鉛※4 |
・免疫力の向上
・ビタミンAの抗酸化作用の活性化
・たんぱく質と合わせて摂取することで全身の新陳代謝の活性化 |
オメガ3脂肪酸※5、6、7、8 |
・抗炎症作用
・脂漏症の改善
・骨関節炎や関節症の予防や改善
・アトピー性皮膚炎の予防や改善
・心臓疾患や腎不全の予防や改善、進行の抑制
・がんの予防や改善、進行の抑制、延命
・脳神経疾患やてんかんの予防や改善 |
ビタミンB1、B2、B6、B12※9 |
・皮膚や被毛、粘膜を健康に保つサポート
・糖質の分解を助ける
・脂質の代謝を促す
・血液を作る
|
鹿肉には、オメガ3脂肪酸(DHAやEPAなど)が豊富に含まれています。また、上記以外にも、さまざまな栄養素がバランスよく含まれており、犬だけでなく人間でも注目されている食材です。
ちなみに、エゾ鹿は北海道の鹿ですが、アカシカは北米やニュージーランドが原産の鹿です。海外のドッグフードでベニソンなどの表記があるものは、アカシカが主と考えられます。
犬が鹿肉を食べると得られるメリット
犬が鹿肉を食べると得られるメリットは、以下の通りです。
■犬が鹿肉を食べるメリット
- アレルギー対策になる
…同じものを食べ続けることで食物アレルギーを起こしやすくなるが、普段食べ慣れていない肉類なので、食物アレルギーが起こりにくい
- 犬の嗜好性が高い
…たんぱく質には旨みを感じるアミノ酸が多く含まれるので嗜好性が期待できる(※15)
- 健康維持のサポート
…アミノ酸スコア*100の良質なたんぱく質やさまざまな栄養素が健康維持に役立つ
- 皮膚や被毛を健康に保つ
…代謝を高めるビタミンB2が皮膚や被毛の健康に役立つ
- 消化吸収が良い
…消化吸収を助ける栄養素がバランスよく含まれる。シニア犬にもおすすめ
- ダイエットや体重管理のサポート
…低脂質や低カロリーに加え、アセチルカルニチンが脂肪の燃焼を促す
鹿肉はさまざまな栄養素が含まれるため、健康維持のサポートに役立つというメリットがあります。
また、犬は自然な甘みや旨みを好む傾向にあり、甘みや旨みを感じさせてくれるアミノ酸が豊富に含まれていることで嗜好性も抜群です。
*アミノ酸スコアとは?
たんぱく質を構成する必須アミノ酸がバランスよく含まれているかを表す指標
犬の鹿肉の適量は?おやつにも手作りごはんの食材にも使える
犬におやつやトッピングとして鹿肉を与える場合、愛犬が1日に必要な摂取カロリーのうちの10%以内の量が理想です。栄養バランスの偏りを防ぐため、多くても20%以内にとどめるようにしてください。
避妊・去勢済みの成犬が1日に食べられる鹿肉の上限量を体重別にまとめてみました。横にスクロールしてご覧ください。
■【体重別】犬が1日に食べられる鹿肉(エゾ鹿)の量
※避妊・去勢済みの成犬に、摂取カロリーの10%の量のおやつとして鹿肉だけを与えた場合の数値
※鹿の種類によって異なり、100gあたり96~126kcalと幅があるので注意
上記の上限量はあくまでも目安です。鹿肉はたんぱく質が豊富なため、愛犬の体調や便の状態はもちろん、体型や活動量、ライフステージなども考慮して与える量を調整しましょう。
また、鹿肉のほかにおやつやトッピングなど与える場合は、その分のカロリーと合わせて10%程度(多くても20%以内)となり、食べさせてもいい量は変わるので注意が必要です。
愛犬が1日に必要な摂取カロリーなどの計算方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
【獣医師監修】ドッグフードの正しい与え方!パッケージの給餌量はあくまで目安
犬に鹿肉を与えるときの注意点は?生食や骨は要注意
鹿肉は栄養価が高く健康維持のサポートにも役立ってくれる食材ですが、犬に与えるときは注意してあげなければいけないこともあります。
ここでは、犬に鹿肉を与えるときの注意点を4つご紹介します。
食物アレルギーに注意
鹿肉に限りませんが、愛犬に初めて食べさせるものは少量から与え、食べた後は48時間ほど様子を見てあげるようにしましょう。
もし愛犬に鹿肉アレルギーがある場合、食べてから30分~48時間以内に以下のような症状が見られます。
■犬の食物アレルギーの主な症状
・皮膚の赤み
・目の周りや口の周り、耳を痒がる
・脱毛
・足先や皮膚を執拗に舐めたりかじる
・下痢や軟便
・嘔吐
犬によって食物アレルギーの症状は異なりますが、上記のような症状が見られた場合は獣医師に相談しましょう。
犬の食物アレルギーについては、以下の記事で解説しています。
犬のアレルギー(食物・アトピー・ノミ)原因・対策を徹底解説【皮膚科医取材】
生のまま(生食)で与える場合は注意
鹿は野生動物のため、鹿肉を生で与える場合では寄生虫や細菌、ウイルスのリスクが低い、衛生管理がしっかりされているものを選びましょう。
また、体質によっては生の鹿肉が合わないことがあったり、免疫力が低下するシニア犬、生肉を食べたことがない犬では特に注意が必要です。
鹿肉を一度にたくさん与えると下痢になることがありますが、多くの場合は生で与えていることが原因と考えられています。食べ慣れていなくて酵素などの働きで下痢になることもありますが、やはり寄生虫や細菌、ウイルスという可能性も低くはありません。
実際、海外では生肉を食べた犬の排泄物に含まれていた病原体が人間に感染するという事例も報告されており、家庭内感染が発生するリスクがあるため十分に注意が必要です。(※14)
生の鹿肉には酵素が含まれており、消化吸収をサポートしてくれる働きが期待できますが、生肉のリスクを考えると加熱して与えるほうが安心と言えるでしょう。
骨を与える場合は柔らかくなるまで煮込む
犬用の鹿の骨付き肉なども販売されていますが、骨は加熱すると硬くなり、口の中や喉、消化器官を傷つけてしまう恐れがあるため、圧力鍋で柔らかくなるまで煮込んでから与えるようにしましょう。
鹿の骨には栄養成分が豊富に含まれており、鹿肉と一緒に与えれば栄養バランスもより良いものになります。
しかし、硬いままだと丸飲みして喉に詰まったり、嚙んで割れた骨の欠片が喉や消化器官を傷つけてしまう恐れもあります。鹿の骨を与える場合はミルで挽いて細かくしたり、圧力鍋で柔らかくしてから与えてください。
また、与える場合は少量にとどめておくことをおすすめします。
持病がある犬は事前に獣医師に確認する
鹿肉は栄養価の高い食材のため、肝臓病や腎臓病などの病気がある犬は事前に必ず獣医師に確認してください。
鹿肉はほかのお肉と比べても、たんぱく質や鉄、銅などが豊富に含まれています。
また、リンも多めなので、栄養素の制限を指示されている犬は獣医師に確認してから与えるようにしましょう。
■鹿肉とほかの肉類の栄養成分※100gあたり
肉の種類 |
たんぱく質 |
脂質 |
リン |
鉄 |
亜鉛 |
銅 |
鹿肉 赤身
上段:エゾ鹿
下段:アカシカ |
22.6
22.3 |
5.2
1.5 |
210
200 |
3.4
3.1 |
2.8
3.1 |
0.14
0.18 |
牛肉 もも |
19.6 |
8.6 |
170 |
2.4 |
3.8 |
0.08 |
豚肉 ロース |
18.3 |
22.6 |
170 |
0.3 |
1.6 |
0.05 |
鶏肉 ささみ |
23.9 |
0.3 |
240 |
0.3 |
0.6 |
0.03 |
馬肉 赤身 |
20.1 |
2.5 |
170 |
4.3 |
2.8 |
0.11 |
ラム肉 もも |
20.0 |
12.0 |
200 |
2.0 |
3.1 |
0.10 |
※参考:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
犬に鹿肉を与えるデメリットは?衛生面や価格の問題
犬に鹿肉を与えるメリットはたくさんありますが、デメリットはどんなことがあるのでしょうか。
野生動物なので衛生面に配慮しなければいけない
鹿肉を与えるデメリットの1つは、衛生面に配慮された商品を購入する難しさでしょう。
野生の鹿は、E型肝炎ウイルスや腸管出血性大腸菌(O157など)、サルコシスティス(肉胞子虫)など、さまざまなウイルスや細菌、寄生虫を保有している可能性があり、食に適さない状態の肉には急性肝炎や食中毒のリスクがあります。
適切な処理によって鹿肉を安全に食べることができるようになりますが、きちんと処理がされているかを見極めなければいけません。
■衛生面に配慮された鹿肉を選ぶポイント
・マイナス20℃以下(中心温度)で48時間冷凍処理をしているか
・仕入れ先が認定施設
農林水産省は、より安全に鹿肉を消費者に提供できるよう、衛生管理の基準や流通規格の遵守など適切に取り組むよう、国産ジビエ認証制度を制定しました。(※10)まだ登録施設はそう多くはありませんが、そうした認定施設から仕入れている鹿肉を選ぶのも安心ポイントと言えるでしょう。
E型肝炎ウイルスや腸管出血性大腸菌、サルコシスティスは75℃で1分以上加熱することで感染性を失う(※11)ため、衛生管理がわからないものや不安がある場合は十分に加熱することをおすすめします。
狩猟できる量が限られているので値段が高い
野生の鹿は、鳥獣保護管理法によって狩猟期間や区域が決められている(※12)ため、狩猟できる量が限られます。
■2022年度の北海道でエゾ鹿を狩猟できる期間(※13)
A区域:10月1日~3月31日
B区域:10月22日~3月31日
C区域:10月22日~2月28日
D区域:10月22日~1月31日
E区域:10月22日~1月1日、1月14日~1月31日、2月11日~2月28日
また、狩猟できるのは狩猟免許を取得した上で各都道府県に登録し、狩猟税を納めている人に限られるので狩猟できる量も少なく、鶏肉や豚肉といったお肉と比べると値段が高くなってしまうのです。
犬におすすめの鹿肉9選
鹿肉は犬の嗜好性が高いため、食欲が低下している犬などに少量与えることで食べる気持ちにスイッチが入ることもあります。ここでは、犬におすすめの鹿肉を目的別にご紹介します。
犬におすすめ鹿肉(生肉やミンチなど)3選
鹿肉は生肉の状態で売られていますが、加熱が必要なものもあるため、愛犬に生で与えたい飼い主さんはしっかり確認するようにしてください。
犬におすすめの鹿肉おやつ3選
鹿肉のおやつにはさまざまなものがありますが、硬すぎないものを選ぶことをおすすめします。
犬におすすめの鹿肉フード3選
鹿肉を使用したドッグフードはさまざまなものがありますが、鹿肉以外の原材料にも注目することがポイントです。
せっかくの鹿肉の栄養を最大限摂りこんでもらうためには、消化しやすい炭水化物が使用されていることや犬の健康に不要な添加物を避けることをおすすめします。
鹿肉ドッグフードの選び方や上記以外の鹿肉ドッグフードは以下の記事でご紹介しています。
鹿肉ドッグフードおすすめランキング16選|アレルギー対策や国産で人気のフードは?【2024年】
犬に鹿肉を与えるときによくあるQ&A
ここでは、犬に鹿肉を与えるときに多い疑問をQ&A形式でご紹介します。
子犬に鹿肉を与えるのはいつから?
A.子犬に鹿肉を与える場合は、生後3~4ヶ月を過ぎた頃にしましょう。
子犬は成長期にあたり、体を作るためにもしっかりとバランスの取れた食事を摂る必要があります。そのため、おやつとしての鹿肉を与えても問題はありませんが、与える場合は栄養バランスを崩さないように配慮し、生後3~4ヶ月を過ぎてからにしましょう。
ただし、鹿肉は嗜好性が高く、ドッグフードを食べなくなってしまうこともあるので与えるときは少量にしておくことをおすすめします。
また、鹿肉ジャーキーなど硬いおやつや生肉は消化器官ができあがっていない子犬の胃腸に負担がかかるため、与える場合は生後6ヶ月以降にしてください。
シニア犬に鹿肉を与えても大丈夫?
A.食事制限のないシニア犬では、鹿肉を与えても大丈夫です。
鹿肉は嗜好性も栄養価も高く、消化吸収しやすいという特徴があるため、食欲の落ちやすいシニア犬にも適していると言えます。
ただし、シニア犬は免疫力が低下しているため、生で与えるよりは加熱して与えたほうが安心です。
腎臓病の犬に鹿肉を与えてもいい?
A.腎臓病の犬に鹿肉を与える場合は、獣医師に確認してから与えてください。
鹿肉はたんぱく質やリンの含有量が比較的多いため、食事制限のある犬では注意が必要です。
食事制限があっても食欲低下などで、場合によっては少量の鹿肉を与えてもいいという許可が獣医師からもらえることもあるので、まずは相談してみましょう。
まとめ
鹿肉は良質なたんぱく質で消化吸収しやすく、栄養価も高いメリットの多いお肉です。犬の嗜好性も高く、食欲が低下したときなどでも役立ってくれるでしょう。
とは言え、生で与える場合や骨を与える場合では注意が必要です。また、鹿肉がどんなに優れた食材であっても、与え過ぎはNG!
おやつやトッピングで与える場合は、愛犬が1日に必要な摂取カロリーのうちの10%程度にとどめましょう。
鹿肉にはエゾ鹿やニホンジカ、アカシカなどさまざまな種類がありますが、きちんと処理された鹿肉を選ぶには「マイナス20℃以下で48時間冷凍している」や、「認定施設から仕入れている」ということをチェックするのがポイントです。
正しい与え方で、愛犬に美味しく鹿肉を食べてもらってくださいね。
※記事で紹介されている商品を購入すると、売上の一部がINUNAVIに還元されることがあります。メーカー等の依頼による広告にはPRを表記します。
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執筆者
- ペットライター
-
たかだ なつき
- JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー