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犬のおやつやドッグフードに含まれる添加物は危険?
犬のおやつやドッグフードに含まれる添加物は危険と思われていることも多いですが、添加物はさまざまな種類があり、それぞれ理由があって使用されています。
もちろん、犬の健康に必要な添加物もあれば不要な添加物もあるため、何を基準に愛犬のおやつやドッグフードを選ぶかは飼い主さん自身にかかってきますが、添加物は基本的には犬の健康に害を及ぼすことはありません。
現在日本では犬のおやつやドッグフードは雑貨扱いではありますが、環境省の定める「ペットフード安全法」によって、犬の健康を害する恐れのある有害物質や汚染物質が含まれるものは製造や輸入・販売が禁止されています。
また、多量に摂取すると健康に影響を及ぼす恐れのある添加物については、ペットフード安全法の中で使用する量の上限が定められているため、必要最低限の最小量の配合となっているのが一般的です。
■ペットフード安全法で成分規格が定められている添加物
添加物名 |
定められている量(1gあたり) |
エトキシキン / BHA / BHT |
合計で150μg(犬はエトキシン単体で75μg以下) |
亜硝酸ナトリウム |
100μg |
※参照:環境省「ペットフード安全法・規格基準等」
※μg…マイクログラム。100万分の1グラム
とは言え、添加物を過剰に摂取したり、長期に渡って摂取することで犬の体に負担をかける可能性はゼロではないため、できる限り犬の健康に不要な添加物は避けたほうが安心です。
どんな添加物が使用されているかは、ペットフード公正取引協議会が定めている「ペットフードの表示に関する公正競争規約」で表示することを義務化しているため、日本国内に流通しているものすべてに表示されています。
愛犬に安心できるおやつやドッグフードを与えたい飼い主さんは、犬に不要な添加物の種類や名前を覚え、原材料一覧に表示されていないか確認しましょう。
犬のおやつやドッグフードの添加物の種類と使用される理由
犬のおやつやドッグフードに添加物が使用されるのは、以下の理由があります。
■添加物が使用される理由
- 品質の安定や維持のため
- 安定して供給するため
- 保存性を高めるため
- 犬の食いつきを良くするため
- 栄養のため
- 飼い主さんに購入してもらうため
上記でわかる通り、添加物の多くは品質維持・栄養強化のために使用されているため、おやつでは完全に無添加のものも存在しますが、添加物が使用されていないドッグフードを探すことはなかなか難しいと言えます。
犬のおやつやドッグフードに使用される添加物一覧
犬のおやつやドッグフードに使用される添加物を、わかりやすいようにそれぞれ一覧でまとめてみました。
栄養添加物
ドッグフードを作る際に食品では補いきれない栄養素、加熱製造で失活した栄養素、バラつきの出る栄養素などを一定に保つために使用されます。
総合栄養食と表示されているものでは、AAFCOの基準を満たすために必要であることがほとんどです。
■栄養添加物一覧
亜セレン酸ナトリウム |
【別名】ー
・ミネラルの1種であるセレンを補う。セレンは欠乏も過剰も犬の健康に影響が出るため使用上限量が定められている |
アスコルビル酸 |
【別名】ビタミンC
・水溶性ビタミン。犬は体内でビタミンCを生成できるが、体内に蓄積されず排出されるため十分量とは言えない |
イノシトール |
【別名】ー
・体内でブドウ糖から合成されるが合成量が十分とは言えない |
MSM |
【別名】メチルサルフォニルメタン
・体内でタンパク質、コラーゲン、ケラチンなどの生成に関与している成分 |
L‐カルニチン |
【別名】
・主に骨格筋や心筋に多く存在している化合物で脂質の代謝に欠かせない |
塩化カリウム |
【別名】ー
・カリウムの塩化物、粉ミルクや医薬品のほか食塩の代替品として減塩食品などにも使用される |
塩化コリン |
【別名】ー
・循環器系、脳機能、細胞膜の構成と補修に不可欠な水溶性の栄養素であるコリンを補う |
キレート銅 |
【別名】アミノ酸キレート化銅
・犬の体に必須の微量元素である銅とアミノ酸を吸収されやすい形で結合させたもの |
グルコサミン |
【別名】グルコサミン塩酸塩、グルコサミン硫酸、N‐アセチルグルコサミン
・体内で生成されるアミノ酸の1種で関節軟骨の構成成分。年齢と共に減少する |
コンドロイチン |
【別名】コンドロイチン硫酸塩、コンドロイチン硫酸、コンドロイシンサルフェート
・体内で生成されるグリコサミノグリカンの1種で体内のあらゆる組織に含まれる。年齢と共に減少する |
硝酸チアミン |
【別名】ビタミンB1、 チアミン硝酸塩
・水溶性ビタミン。ブドウ糖からエネルギーを取り出すのに必要。体内に蓄積されず排出されるため補う必要がある。フードを作る過程で壊れやすく添加が必要になることが多い |
セレン化合物 |
【別名】ー
・ミネラルの1種であるセレンを補う。セレンは欠乏も過剰も犬の健康に影響が出るため使用上限量が定められている |
第二リン酸カルシウム |
【別名】リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸Ca
・歯や骨を構成するリン酸とカルシウムを補う |
タウリン |
【別名】アミノエチルスルホン酸
・犬の体内のほとんどの組織に存在する含硫アミノ酸の1種。体内で合成する能力はあるが十分量とは言えない |
乳酸菌 |
【別名】ー
・炭水化物などの糖から乳酸を作り出す微生物の総称が乳酸菌。犬の腸内にも乳酸菌は存在するが適切に維持するためには乳酸菌の継続摂取が必要 |
パントテン酸カルシウム |
【別名】ビタミンB5
・水溶性ビタミン。代謝とエネルギー産生に不可欠な酵素を補助。体内に蓄積されず排出されるため補う必要がある |
ビール酵母 |
【別名】ビールイースト、酵母
・ビールの製造過程で発酵の際に生じる微生物。必須アミノ酸やビタミンB群、ミネラルなどの栄養素が豊富 |
ビオチン |
【別名】ビタミンH、ビタミンB7
・水溶性ビタミン。脂肪酸や糖の体内での合成、皮膚、被毛、神経の維持に重要な役割。体内に蓄積されず排出されるため補う必要がある |
ピリドキシン塩酸塩 |
【別名】ビタミンB6
・水溶性ビタミン。約100種類の酵素の補酵素として機能するほか、アミノ酸の代謝にも欠かせない。体内に蓄積されず排出されるため補う必要がある |
ビタミンB12 |
【別名】シアノコバラミン
・水溶性ビタミン。造血や体内組織の機能や発達を正常に維持するために必要。体内に蓄積されず排出されるため補う必要がある |
ビタミンD |
【別名】ー
・脂溶性ビタミン。健康な骨を維持するほか、小腸でリンやカルシウムの吸収を促し血中カルシウム濃度を調節する |
リボフラビン |
【別名】ビタミンB2
・水溶性ビタミン。脂肪からエネルギーを作り出す。体内にわずかな量しか蓄積されず排出されるため補う必要がある |
硫酸銅 |
【別名】ー
・銅を吸収しやすくしたもの。犬の必須微量ミネラルの1つ。欠乏も過剰も犬の健康に影響が出る |
硫酸鉄 |
【別名】硫酸鉄(II)、硫酸第一鉄
・鉄を吸収しやすくしたもの。犬の必須微量ミネラルの1つ。犬は人間よりも鉄分を多く必要とする |
硫酸マンガン |
【別名】ー
・マンガンを吸収しやすくしたもの。犬の体に必須の微量元素であるマンガンと硫酸を結合。硫酸には必須微量元素の硫黄も含まれる |
リジン |
【別名】ヒドロキシリシン
・犬の必須アミノ酸の1つ。ホルモンや酵素を作ったり、ブドウ糖を効率的にエネルギーにする。不足しがちな栄養素でもある |
レシチン |
【別名】ホスファチジルコリン
・体内のあらゆる細胞の膜に含まれるリン脂質の1種。刺激の伝達に重要な働きをする。植物レシチン、大豆レシチン、卵黄レシチンなどさまざまな形があり、乳化剤として使用されることもある |
葉酸 |
【別名】ビタミンM、ビタミンB9、プテロイルグルタミン酸
・水溶性ビタミン。ビタミンB12とともに血液を作る。細胞の生産や再生を助ける働きもある。体内に蓄積されず排出されるため補う必要がある |
保存料・酸化防止剤
保存料と酸化防止剤はまったく別の意味合いで使用されますが、どちらも品質を維持する目的で使用されている添加物です。
- 保存料
…微生物の繁殖やカビの発生を抑え、食中毒や腐敗による品質低下を防ぐ
- 酸化防止剤
…原材料に含まれる脂肪の酸化を抑え、風味の劣化や品質低下を防ぐ
■人工添加物の保存料一覧
安息香酸ナトリウム
|
【別名】安息香酸Na
・化学合成された保存料。シャンプーや化粧品などの防腐剤・防カビ剤にも使用される。特定の条件下(熱、紫外線、金属イオンなど)でビタミンCと一緒に摂取すると危険物質のベンゼンが生成される。ベンゼンはなかなか体内から排出されず、急性中毒や発がん性、白血病のリスクが高まる |
ソルビン酸カリウム |
【別名】ソルビン酸、ソルビン酸K
・化学合成された保存料。酸性条件下で強い抗菌作用を発揮するため腸内環境がマイナスに変化する |
プロピレングリコール |
【別名】ー
・カビや細菌などの静菌作用がある防腐剤。保湿性があることから半生タイプのおやつやドッグフードの食感維持に使用されるほか、甘味料として使用される場合もある。猫への使用は禁止されている |
ポリリジン |
【別名】ー
・微生物から作られる合成の保存料。多くの食品に使用されており、使用基準も使用量の制限もない。一般的には安全とされているが、人体への影響は不明なので当然犬も不明 |
亜硫酸ナトリウム |
【別名】亜硫酸塩、亜硫酸ソーダ
・ドライフルーツの漂白剤、ワインの酸化防止剤、肉類その他の防腐剤として使用される。胃腸への刺激が強く、肝臓にも影響を与える疑いがある。動物実験では神経に影響を及ぼしたとして危険性が懸念されている |
■人工添加物の酸化防止剤一覧
※人間では使用が禁止されている添加物名は赤字で記載しています。
アスコルビン酸 |
【別名】L-アスコルビン酸 、ビタミンC
・ブドウ糖を発酵して作られた酸化防止剤。合成して作られるが、天然のビタミンCと安全性はさほど変わらず、ビタミンCの栄養強化剤として使用されることもある |
エトキシキン |
【別名】ー
・化学合成された酸化防止剤。酸化防止効果が強力で安価だが、毒性が強く人間用の食品添加物や農薬に使用することは禁じられている。主要臓器への障害や発がん性などが示唆されているため、使用上限量が定められている。 |
エリソルビン酸 |
【別名】イソアスコルビン酸、D-アラボアスコルビン酸
・化学合成された酸化防止剤。染色体の異常が懸念されており、酸化防止の目的以外の使用は禁止されている |
BHA |
【別名】ブチルヒドロキシアニソール
・化学合成された脂溶性の酸化防止剤。効果の安定性が長く持続する。発がん性が懸念されるが使用上限量が定められており、基準値以下であれば問題ないとされている |
BHT |
【別名】ジブチルヒドロキシトルエン
・化学合成された脂溶性の酸化防止剤。効果の安定性が長く持続する。発がん性が疑われ人間用の食品にはほとんど使用されなくなった。使用上限量が定められており、基準値以下であれば問題ないとされている |
没食子酸プロピル |
【別名】ー
・化学合成された酸化防止剤でBHAやBHTよりも強力。少量で効果が期待できるためや大量に使用されることはない。まだ十分なデータがなく、人間では使用上限量が定められている |
以前はロイヤルカナンがBHAと没食子酸プロピルを酸化防止剤に使用していたことがありますが、現在は天然由来の添加物で酸化防止を行うようになりました。
■天然由来の添加物の酸化防止剤一覧
クエン酸 |
【別名】ー
・天然由来の酸味成分で、酸化防止剤やPH調整剤として使用される。ミックストコフェロール(ビタミンE)と合わせて配合すると抗酸化作用が増大する |
クローブ |
【別名】クローブ抽出物、丁子
・植物の蕾や葉などから抽出されたエキス。抗酸化作用や殺菌作用があり、酸化防止剤として使用される |
スペアミントエキス |
【別名】ハッカ、スペアミント抽出物、ペパーミント
・ペパーミントから抽出されたエキス。抗菌作用、殺菌作用、防腐作用があることから、犬の歯磨き粉やグルーミングスプレーなどにも使用される |
トコフェロール |
【別名】ビタミンE
・植物の油脂分から抽出された天然の成分。脂質の抗酸化作用があるため酸化防止剤として使用される |
ミックストコフェロール |
【別名】ビタミンE、天然混合トコフェロール
・ビタミンEには4つの型があり、それら4つをミックスしたもの。トコフェロールより抗酸化力が高い |
緑茶エキス |
【別名】緑茶抽出物
・緑茶の葉から抽出されるポリフェノール。ポリフェノールの1種であるカテキンには殺菌作用があり、犬の歯磨きおやつや歯磨き粉などにも含まれる。カフェインが含まれるが微量のため犬に影響はない |
ローズマリー抽出物 |
【別名】ローズマリーエキス
・ローズマリーから抽出されるエキス。複数の有効な抗酸化物質を含み、ビタミンCやトコフェロールよりも抗酸化作用が強い |
安定剤・凝固剤・保湿剤・乳化剤・膨張剤
主に食感を保つために使用される添加物です。半生タイプやウェットタイプのおやつやドッグフードに使用されることが多く、品質維持の目的があります。
トロッとした食感で人気のおやつのチュールや、介護食などとろみを必要とするものに使用されていると言えば想像しやすいのではないでしょうか。
■安定剤・凝固剤・保湿剤・乳化剤・膨張剤一覧
グリセリン |
【別名】ー
・体内にも存在する成分。天然と合成があるがどちらを使用しているかの表示はない。甘味料、保存料、保湿剤、増粘安定剤など多様に使用されている |
グリセリン脂肪酸エステル |
【別名】グリセリンエステル
・油脂から得た脂肪酸とグリセリンから作られる化学合成された乳化剤。安全性が高く、人間でも使用量の制限はない |
カラギーナン |
【別名】カラギナン、カラゲナン、カラジーナン、カラゲーナン、カラゲニン
・海藻の一種である紅藻類から作られる天然由来の添加物。増粘剤、安定剤、ゲル化剤などに使用される。安全性があいまいで安全と確信できないことからEUでは乳児用ミルクへの使用禁止、アメリカでは有機食品への使用禁止といった予防処置が取られている |
グアーガム |
【別名】グァー、グァルガム、グァーフラワー
・マメ科植物グァーの種子から作られる天然由来の添加物。増粘剤、安定剤、乳化剤などに使用される。安全性に問題はなく、犬では糖尿病や高脂血症の改善に役立つかもしれないという研究結果もある(※1) |
キサンタンガム |
【別名】ー
・とうもろこしなどのデンプンを細菌で発酵させて作る天然由来の添加物。増粘剤や安定剤として使用される。過剰に摂取すると下痢や軟便を起こすが、通常量であれば安全性に問題はない |
ローカストビーンガム |
【別名】カロブビーンガム
・マメ科植物イナゴマメの種子から作られる天然由来の添加物。増粘安定目的で使用される。人間での健康リスクは認められなかったため、使用量の制限はない |
カシアガム |
【別名】ー
・豆科植物エビスグサモドキの種子から作られる天然由来の添加物。増粘剤、安定剤、ゲル化剤などに使用される。人間での健康リスクは認められなかったため、使用量の制限はない |
加工デンプン |
【別名】加工でん粉、加工澱粉
・天然のデンプンを何らかの加工によって化学的に作りだしたもの。増粘剤、安定剤乳化剤、ゲル化剤などに使用される。加工デンプンは約12種類あり、どの加工デンプンを使用しているかの表示はない |
pH調整剤 |
【別名】ー
・食材の変色を抑えたり、保存料や酸化防止剤の効果を高めるために使用される。一般的に使用されるのはクエン酸やリンゴ酸など |
膨張剤 |
【別名】ふくらまし粉
・パンやスポンジ生地など、食品を膨らませる作用がある。柔らかい食感を保つために使用される。天然と合成がありどちらを使用しているかの表示はない |
甘味料・調味料・香料
犬の食いつきを良くするために使用される添加物です。犬の味覚は人間のように細かい味を感じることができませんが、甘みや旨味、油分、肉類の味を美味しいと感じる傾向にあります。
また、味覚よりも先に嗅覚で味を判断するため、香料を使用したドッグフードも少なくありません。基本的には原材料の質が高ければこれらの添加物は必要なく、犬の健康に不要な添加物です。
■甘味料・調味料・香料一覧
還元水飴 |
【別名】―
・水あめに水素を加えた人工甘味料。吸収されにくい性質のため、カロリーを低めに抑えることができる |
グリシリジン・アンモニエート |
【別名】グリチルリチン酸アンモニウム
・ショ糖の150倍の甘みを持つ甘みの強い人工の甘味料。人間への使用はみそとしょうゆなど食品の限定及び使用量の上限が定められている。 |
ショ糖 |
【別名】スクロース
・サトウキビや甜菜などのブドウ糖と果糖が結合した甘味料。砂糖の主成分 |
ソルビトール |
【別名】ソルビット、グルシトール
・じゃがいもやとうもろこしのデンプンから作られる人工甘味料。水分保持力に優れているため、しっとりさせたいおやつやドッグフードに使用されることがある |
トレハロース |
【別名】トレハオース
・じゃがいもやとうもろこしのデンプンから作られる天然糖質。甘味料だけでなく、タンパク質の変性防止や脂質変性の抑制などにも使用される |
L-グルタミン酸ナトリウム |
【別名】―
・化学調味料。人間では旨味成分としてさまざまな食品に使用されている |
5′-イノシン酸二ナトリウム |
【別名】ー
・化学調味料。人間では旨味成分としてさまざまな食品に使用されている。L-グルタミン酸ナトリウムに少量配合することで旨味が増す |
調味料 |
【別名】ー
・犬の食いつきをよくするための調味料。表記があいまいで何を使用しているか不明で安全性に不安が残る |
香料 |
【別名】―
・犬の食いつきをよくするための香料。表記があいまいで何を使用しているか不明で安全性に不安が残る |
着色料・発色剤
犬は嗅覚で食欲が刺激されるため、視覚で食べ物を美味しそうと判断することはありません。そもそも犬は赤色を認識することができないので、着色料や発色剤は不要な添加物です。
では、なぜ着色料や発色剤が使用されるのか…?それは、飼い主さんに美味しそう、可愛らしいと思ってもらうためです。飼い主さんの購入意欲を高めるために使用されています。
■人工添加物の発色剤一覧
亜硝酸ナトリウム |
【別名】亜硝酸Na、亜硝酸ソーダ
・食肉製品を鮮赤色に保つ働きのある人工の食品添加物。毒性が強く、食肉に含まれるアミンと結びつくことで発がん性物質に変化する。過剰摂取や継続摂取は健康に影響を及ぼすとして使用上限量が定められている |
■人工添加物の着色料一覧
赤色2号、3号、40号、102号、104号、105号、106号 |
【別名】タール色素、赤2、赤3など
・石油が原料の合成着色料。発がん性やアレルギーの発症が懸念される。腎臓、肝臓、甲状腺などに有害な物もあり、アメリカやヨーロッパなど多くの国で使用が禁止されている |
青色1号、2号、102号 |
【別名】タール色素、青1、青2など
・石油が原料の合成着色料。発がん性は確認されておらず、多くの国で使用される |
黄色4号、5号、6号 |
【別名】タール色素、黄4、黄5など
・石油が原料の合成着色料。人間には毒性や発がん性は確認されていないが、動物では消化器症状が現れたり発がん性が疑われるものもある |
二酸化チタン |
【別名】酸化チタン、チタニア
・白色にする際に使用する合成着色料。多くの国で使用が認められているが、発がん性物質の疑いがあるとしてフランスでは2020年に使用を禁止した |
カラメル色素 |
【別名】カラメルⅢ、カラメルⅣ
・茶色にする際に使用する合成着色料。アンモニア化合物を加えて製造する際に発がん性物質が生成されている疑いがある |
■天然由来の添加物の着色料一覧
カラメル色素 |
【別名】カラメルⅠ、カラメルⅡ
・茶色にする際に使用する天然着色料。でん粉加水分解物や糖類の食用炭水化物を熱処理して作られる。着色のほか、味にロースト感を与えたりコク付けすることでも使用されることがある |
ビートレッド |
【別名】アカビート色素、赤ビート抽出液
・紫赤色にする際に使用される天然着色料。根菜のビートの根から抽出される |
β-カロテン |
【別名】カロテノイド色素、カロテン色素、カロチノイド色素
・黄色~橙色にする際に使用される天然着色料。動植物から抽出される。犬の体内でビタミンAの合成原料になる |
薬やサプリメントの添加物
動物病院から処方される薬や、犬用のサプリメントにも添加物は使用されています。
添加物は錠剤やカプセルを作る上では欠かないものであり、特に獣医師から処方される薬では、添加物が入っているから飲ませないということがないようにしてください。
■薬やサプリメントに最低限必要な添加物一覧
ゼラチン、グリセリン、セルロースなど |
カプセルの原料となる |
ブドウ糖、麦芽糖、糖アルコールなど |
タブレットや錠剤などの粒を固める |
ショ糖脂肪酸エステルなど |
ハードカプセルやタブレット、錠剤の製造に必要 |
無添加や添加物不使用とはメーカー任せの表示!法律が変わりつつある
犬のおやつやドッグフードを購入するとき、メーカーのHPやパッケージなどに「無添加」や「添加物不使用」といったことが記載されていることがありますが、必ずしも一切添加物を使用していないということではありません。
添加物にはさまざまな種類がありますが、人工添加物や着色料、香料、保存料など、どれか一つでも不使用であれば「無添加」「添加物不使用」と記載できてしまうのです。
ペットフード公正取引協議会では「ペットフードの表示に関する公正競争規約施行規則」で「無添加」や「不使用」の表示についても厳しく定めています。
■ペットフード公正取引協議会が定める「無添加」「不使用」表示ができる条件(※2)
・ペットフード製造の全工程に添加物を使用していない
・加工助剤、キャリーオーバー、栄養強化を目的とした添加物も含む、当該添加物を一切使用していない
しかし、ペットフード公正取引協議会の会員でない場合は違反や罰則が適用されない(※3)ため、混同している状態です。
人間の食品では、「無添加」「添加物不使用」「合成添加物不使用」といったことが消費者に誤解を与えるとして2020年7月に食品表示法が改正、2022年4月1日に完全施行されました。
改正されたことによって、無添加や不使用の表示は明確にルール化され、逆に合成や天然といった表示は行ってはいけないことに。(※4)
ドッグフードは食品として認められていないので食品表示法は適用されませんが、今後はこういった流れになっていく可能性もあるのかもしれません。
その場合は、ペットフード公正取引協議会の定めるルールとは異なるため、無添加や添加物不使用と表示されていても、以下のような表示の必要がない添加物が存在することに注意する必要も出てくるでしょう。
■食品表示法が定める表示の必要がない添加物(※5)
・加工助剤
…食品の加工に使用されるが最終的には除去されるもの。最終的な食品に残っていてもわずかで成分による影響がないもの
・キャリーオーバー
…原材料の加工の過程に使用されるが、製造の工程では使用しないもの。最終的な食品に残ってもわずかな量で成分の効果を発揮しないもの
・栄養強化の目的に使用されるもの
添加物だけでなく原材料も気になる飼い主さんは、以下の記事をご覧ください。
【保存版】ドッグフードの原材料一覧|食品から添加物まで193種類を徹底解説!【獣医師監修】
犬のおやつやドッグフードを選ぶときに見るべき添加物のポイントは?
添加物には化学合成して作られた「人工(合成)添加物」と植物や動物、鉱物などから作られた「天然由来の添加物」があります。
添加物を過剰に気にしすぎることはないとは言え、愛犬が毎日口にするものなので、できる限り天然由来の添加物を使用したものを選ぶと良いでしょう。
■人工添加物と天然由来の添加物の違い
人工添加物 |
天然由来の添加物 |
・質や効果に安定が期待できる
・使用量に上限のある強力なものもある |
・質や効果にバラつきがある
・強力な効果は期待できない |
ただし、添加物が人工なのか天然なのかの表示はないため、飼い主さんが添加物の名前を覚えたり、調べる必要があります。
一般的には、保存期間がほかのおやつやドッグフードよりも極端に長いものや、価格が安く設定されているものに人工添加物を使用していることが多いです。
しかし、それなりの価格であっても安定した品質維持に必要であったり、ロイヤルカナンなど療法食の栄養バランスを保つためにも人工の保存料を使用することは珍しくないため、原材料の表示を確認してみなければわからないので注意してください。
無添加ドッグフードおすすめ人気ランキング19選!国産やグレインフリーなど111商品比較【獣医監修】
実際どのくらいの飼い主さんが、添加物を気にしている?【252人にアンケート】
今回いぬなび編集部では、全国の犬の飼い主さん252人を対象に、愛犬のおやつやドッグフードに関するアンケートを実施しました。
【アンケート調査概要】
・対象者:10代~70代以上の犬の飼い主さん252人(女性184人 / 男性68人)
・アンケート実施期間:2022年6月9日~6月10日
回答者の属性はこちら
■回答者の属性
【女性:184人】
・10代:2人
・20代:39人
・30代:71人
・40代:46人
・50代:21人
・60代:3人
・70代以上:2人
【男性:68人】
・10代:1人
・20代:7人
・30代:26人
・40代:20人
・50代:9人
・60代:4人
・70代以上:1人
■犬種と年齢
【犬種】※多い順に記載()は頭数
柴犬(34) / トイプードル(33) / チワワ(30) / ミニチュアダックス(30) / 雑種(23) / ミックス犬(17) / ポメラニアン(12) / ボストンテリア(9) / ミニチュアシュナウザー(6) / マルチーズ(6) / シーズー (5) / ビーグル(5) / パグ(5) / ウエルッシュコーギー(4) / ゴールデンレトリバー(3) / フレンチブルドッグ(3) / シェットランドシープドッグ(3) / ミニチュアピンシャー(3) / アメリカンコッカースパニエル(2) / ジャックラッセルテリア(2) / ジャーマンシェパード(2) / 日本スピッツ(2) / ボーダーコリー(2) / キャバリア(2) / ヨークシャーテリア(2) / ラブラドールレトリバー(2) / パピヨン(1) / 紀州犬(1) / ウェルシュテリア(1) / ホワイトテリア(1) / イタリアングレーハウンド(1) / 不明(5)
【愛犬の年齢】
0歳(6) / 1歳(15) / 2歳(26) / 3歳(17) / 4歳(26) / 5歳(30) / 6歳(12) / 7歳(10) / 8歳(10) / 9歳(11) / 10歳(17) / 11歳(10) / 12歳(12) / 13歳(10) / 14歳(9) / 15歳(10) / 16歳(6) / 17歳(2) / 不明(19)
愛犬のおやつやドッグフードの添加物が気になる飼い主さんは6割以上
回答の詳細を見る
■愛犬のおやつやドッグフードの添加物は気になる?
・どちらも気になる:63.9%(161人)
・どちらも気にしていない:23.4%(59人)
・おやつの添加物は気にしないが、ドッグフードの添加物は気になる :7.1%(18人)
・ドッグフードの添加物は気にしないが、おやつの添加物は気になる :5.4%(14人)
「どちらも気になる」と回答した飼い主さんは63.9%と多い一方で、「どちらも気にしていない」と回答した飼い主さんも23.4%という結果になりました。
添加物のイメージでは、体に悪いと回答した飼い主さんが163人と最も多く、添加物に対して危険なイメージが強いようです。
添加物のイメージの実際のコメント
健康を害する。特に動物に対しては人間の食べるものよりも適当に入っているような気がしてしまう
多少なりともペットの成長の妨げになったり、内臓への負担がありそう
特にマイナスなイメージはありません。少なくともおやつやドッグフードは、ワンちゃんのことを考えて作られているので、それらに対する信頼はあります
身体に悪影響を与える可能性のある物質が積もっていきそう。と思ってしまいます。とはいえ、自分自身も時にはジャンキーで身体に悪そうなものも食べますので、時々食べさせてあげたいような気もします。(笑)
コメントをもっと見る
良くない。人間にも影響があるのに、ましてや人間よりずっと小さな犬にはもっと影響があると不安に思います
長年摂取すると体に悪影響を及ぼすイメージがあります
安くて便利にするために人工的な身体に悪いものを多用しているイメージ
「日持ちさせるためには仕方がない」とした上で、使用しなければいけないのはわかっていても、犬の体に何らかの影響が出そうといったイメージがほとんどでした。
含まれてたら購入しない添加物は「着色料」が最多
実際に愛犬のおやつやドッグフードを選ぶ際に、含まれていたら購入しない添加物も聞いてみました。
■含まれていたら購入しない添加物TOP5
1位:着色料…123人
2位:防腐剤…89人
3位:亜硝酸ナトリウム(発色剤)…33人
4位:(BHA、BHTなど)酸化防止剤…17人
5位:保存料…17人
※複数回答
5位以下の回答
・香料:7人
・人工甘味料:6人
・エトキシキン:6人
・化学(合成)調味料:6人
・ソルビン酸カリウム:6人
・増粘安定剤:4人
・乳化剤:4人
・プロピレングリコール:2人
・漂白剤:2人
・グリシリジン・アンモニエート:1人
・没食子酸プロピル:1人
・キシリトール:1人
・光沢剤:1人
・増粘多糖類:1人
・グリセリン:1人
・ガラギーナン:1人
・カラメル色素:1人
・ビタミン:1人
・ローズマリー抽出物:1人
※複数回答
1位は「着色料」123人と最も多く見られましたが、化学合成された人工添加物が上位に見られ、人工添加物は悪いイメージが強いようです。
実際、着色料は犬の健康に不要な添加物な上、合成着色料は犬の健康に悪影響を及ぼす可能性も否定できない(※6)ため、多くの飼い主さんが着色料を避けているのは納得できる結果なのかもしれません。
添加物はアレルギーや涙やけの原因になる?飼い主さん252人に聞いた実際にあった愛犬の健康トラブル
■健康トラブルまとめ
・アレルギーや皮膚炎:21人
・下痢や嘔吐などお腹の不調:16人
・目やに、涙やけ等目のトラブル:7人
・癌になった:2人
・毛艶が悪くなる:1人
・結石ができた:1人
犬のおやつやドッグフードには、さまざまな原材料が使用されているため一概に添加物のせいで健康トラブルが起きたということは言えませんが、添加物が原因かもしれないと思っている飼い主さんも少なくありませんでした。
実際のコメントをご紹介します。
■実査のコメント
添加物のせいかはわからないが、フードが合わなくて嘔吐した。その時にあげていたフードが添加物が入っており、目やにや涙やけが酷かったためすぐに変更した
添加物というか、古い油や、発泡剤で膨らませたフードで、愛犬がガンになった疑惑があります
皮膚炎がひどくて、しょっちゅう病院へ通っていますが、治りません。先生からは言われていませんが、私は添加物の影響が大きいと思います。母親が犬のおやつや餌を買ってくるのですが、食いつきが良いとか安いものを買ってきて、断れないので困っています
コメントをもっと見る
添加物のトラブルか判明はしていませんが、0歳の時に、石が尿に溜まり、管を入れて処置と薬で治療しました。それ以来、出来るだけ体に良いものを意識して、与えるようにしています
お肉を寄せ集めたジャーキーは、皮膚がかゆくなり、下痢気味になったことがある
添加物のせいかは不明だが、以前与えていたフードはお腹が緩くなっていたので獣医さんの勧めでフードは変更しました
こうして見ると、添加物だけの影響かわからないことも多いですね。しかし、逆に言うと添加物が原因ではないと言い切ることもできません。
添加物そのものが涙やけやアレルギーの原因になるわけではありませんが(※7)体質によっては特定の添加物にアレルギー反応を起こしたり、犬の健康に不要な添加物を継続的に摂取することで胃腸に負担がかかり、涙やけを発症・悪化させてしまうこともあります。
確かに犬のおやつやドッグフードに使用される添加物は犬の健康に害のない量が使用されており、過剰に心配する必要もありませんが、着色料や香料など犬の健康に不要な添加物は避けておいたほうが無難なのかもしれません。
アレルギーの発症の仕組みや、涙やけについては以下の記事で詳しく解説しています。
犬のアレルギー(食物・アトピー・ノミ)原因・対策を徹底解説【皮膚科医取材】
涙やけ対策におすすめの人気ドッグフード21選!原因別の対策も紹介【犬用フードのプロが厳選】
愛犬の健康を損ねるのは添加物だけじゃない!もう一度生活を見直そう
添加物には確かに犬の健康に不要なものもあり、不要な添加物を摂取し続けたり、どんな添加物でも過剰に摂取することで犬の体に負担がかかってしまうことはあります。
しかし、愛犬の健康を損ねる原因は添加物だけではありません。
どんなに添加物の少ないおやつやドッグフードを与えていたとしても、
・おやつの与え過ぎ
・フードの与え過ぎ、少なすぎ
・肥満、やせすぎ
・運動不足
・睡眠不足
・ストレスを抱えている
といったことが1つでもあれば、栄養バランスの乱れや腸内環境の乱れから愛犬の免疫力は低下して、いつ健康を損ねてもおかしくはないのです。
愛犬が口にするおやつやドッグフードの添加物を気にしてあげることは良いことですが、添加物だけでなく普段の生活ももう一度見直してみましょう。
【獣医師監修】ドッグフードの正しい与え方!パッケージの給餌量はあくまで目安
愛犬のストレスサインとは?下痢や噛むときなど症状別の解消法を紹介!
まとめ
今回は、愛犬のおやつやドッグフードに含まれる添加物についてご紹介しました。
最後に添加物のポイントをおさらいしておきましょう。
・目的があって使用されている
・犬の健康に不要な添加物もある
・犬の健康に害のない量が使用されている
・無添加や添加物不使用と記載されていても原材料をチェックする
・添加物だけでなく普段の生活環境も大切
添加物は過剰に気にしすぎる必要はありませんが、おやつやドッグフードなど愛犬が毎日口にするものだからこそ気を遣ってあげたいものでもあります。
愛犬の健康のためにも、添加物一覧を不要な添加物の判断の参考にしてくださいね。
<参考文献>
(※1)参考:Wiley Online Library「Dietary fibre in dogs diet: comparisons between cellulose, pectin, guar gum, and between two incorporation rates of guar gum」
(※2)参考:ペットフード公正取引協議会「ペットフードの表示に関する公正競争規約施行規則」
(※3)参考:ペットフード公正取引協議会「ペットフードの表示について」
(※4)参考:消費者庁「食品添加物不使用表示に関するガイドライン」
(※5)参考:厚生労働省「食品添加物の表示について」
(※6)参考:J-STAGE「食用色素の毒性と安全性」
(※7)参考:National Library of Medicine「Hypersensitivity reactions to food and drug additives: problem or myth?」
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執筆者
- ペットライター
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たかだ なつき
- JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー