公開 2024.07.12 更新 2024.07.12
【獣医師執筆】犬がブルーベリーを食べても大丈夫?与える量や注意点を解説

【獣医師執筆】犬がブルーベリーを食べても大丈夫?与える量や注意点を解説

爽やかな甘味と酸味が魅力のブルーベリーは、健康な犬であれば基本的に食べても大丈夫な果物です。

ブルーベリーにはビタミンCやビタミンEなどの犬の健康維持に役立つ栄養素が含まれていますが、食物繊維も多く食べる量によっては消化不良となるため与えすぎないよう注意が必要と言えます。

今回は、犬にブルーベリーを与える際の注意点や1日に与えていい量について獣医師が解説します。

「生・冷凍ブルーベリーはそのまま与えていいの?」
「ブルーベリーは犬の目にいいの?人用サプリメントは与えてもいい?」

とお悩みの飼い主さんはぜひ最後までご覧ください。

犬がブルーベリーを食べても大丈夫|ただ、与える量には要注意

ブルーベリーと伏せをする犬

健康な犬であれば基本的にブルーベリーを食べても大丈夫で、実際にドッグフードや犬のおやつに使用されていることもあります。

ブルーベリーにはビタミンCやビタミンEなど抗酸化作用の高い成分が含まれており、犬の健康維持のサポートに役立ちます。

ただし、食物繊維が多く食べすぎると消化不良になる可能性もあるため与えすぎないよう注意が必要です。(次章では「犬が1日に食べていいブルーベリーの量」について解説しているので参考にしてください。)

また、ブルーベリーは犬にとって毒性のあるブドウと見た目が似ていますが、両者は全く別の植物でありブドウと同様の有害成分は含まれていません。

しかし、ニュージーランド・マッセー大学獣医学部准教授で米国獣医栄養学専門医でもあるニック・ケイブ獣医師(Nick Cave)によると、ブルーベリーを与えられた犬が中毒症状を示したと報告しています。(※1)

中毒の報告数がわずかなことや詳細がはっきりしていないため今のところブルーベリーは犬が食べてはいけない果物とされていませんが、愛犬の状態に心配なことがある場合は獣医師に相談してから与えるようにしてください。

※1 :PETOCOTO「犬にブルーベリーを与えても大丈夫?中毒リスクを獣医栄養学専門医の研究から解説」

犬が1日に食べていいブルーベリーの量|おやつとして少量だけ与える

器に入ったブルーベリー

犬のおやつやトッピングは1日に必要なカロリーの10%程度ですが、ブルーベリーはカロリーが低めなためカロリー計算ではたくさんの量を食べられることになります。

しかし、ブルーベリーの与えすぎは体調不良を招く可能性があるので、以下を目安に少量だけ与えるようにしてください。

■犬が1日に食べていいブルーベリーの目安量

体の大きさ 体重目安 目安量
超小型犬 4㎏未満 3粒
小型犬 4~10㎏程度 5粒
中型犬 10~25㎏程度 10粒
大型犬 25㎏以上 15粒

ブルーベリーは皮ごと与えることができますが、小さな犬に与える場合は喉につまらせることのないように果肉をカットして与えてあげましょう。

また、冷凍ブルーベリーをそのまま与えるとお腹の冷えや喉に詰まらせるリスクがあるので解凍または加熱し小さくしてから与えてください。

同じベリー系のイチゴについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

いちご
犬はいちごを食べても大丈夫?与え方の注意点や適量について解説【獣医師監修】

ブルーベリーの主な栄養素・効果|ビタミンや食物繊維が豊富

手づかみのブルーベリー

ブルーベリーの主な栄養素は以下の通りです。

■ブルーベリーの主な栄養素
カロリー(生):48kcal / 100g(※2)

  • ビタミンC
    100g中:9mg
    毛細血管、歯、軟骨などを正常に保つ。抗酸化作用で活性酸素を除去する働きがある。(※3)
  • ビタミンE
    生体膜の機能を正常に保つ。強い抗酸化作用をもつ。(※4)
  • βカロテン
    100g中:55μg
    ビタミンAに変換されて作用する。皮膚や粘膜の健康維持に役立つ。(※5)
  • 食物繊維
    100g中:3.3g
    整腸作用があり腸内環境の改善が期待できる。(※6)
  • アントシアニン
    ポリフェノールの一種で抗酸化作用がある。視機能の改善や眼精疲労に効果があるとされている。(※7)

いずれもメリットのある栄養素ですが、あくまでおやつとして少量だけ与え基本はフードやサプリで必要な栄養を摂取をしましょう。

<参考文献>

※2:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
※3:健康長寿ネット「ビタミンCの働きと1日の摂取量」
※4:健康長寿ネット「ビタミンEの働きと1日の摂取量
※5:大塚製薬「ビタミン&ミネラル Q&A ビタミンA/βカロテン」
※6:健康長寿ネット「食物繊維の働きと1日の摂取量」
※7:わかさの秘密「アントシアニン」

犬にブルーベリーを与える際の注意点|アレルギーや与え方に注意

ブルーベリーを犬に与えようとしている画像

ブルーベリーは栄養が豊富で健康のサポートにも効果が期待できるものですが、犬に食べさせるときは注意してあげなければいけないこともあります。

ここでは、犬にブルーベリーを与えるときの注意点5つをご紹介します。

①食物アレルギーに注意

かゆい犬|ブルーベリーを与える際は、アレルギーに注意

愛犬に初めてブルーベリーを食べさせるときは少量から与え、食べた後は体調に異変がないか観察しましょう。

■犬の食物アレルギーの主な症状

  • 皮膚の赤み
  • 目や口の周り、耳のかゆみ
  • 下痢や軟便
  • 嘔吐
  • 足先を舐めたりかじる

食物アレルギーで見られる症状は犬によって異なりますが、上記のような症状が見られたら獣医師に相談してください。

犬のアレルギー(食物・アトピー・ノミ)原因・対策を徹底解説【皮膚科医取材】

与えすぎない

ブルーベリーを犬に与えすぎると下痢になる可能性も|トイレをするトイプードル

ブルーベリーは食物繊維が多いため、たくさん与えると消化不良を起こして軟便や下痢になる可能性があります。

また、最近ではブルーベリーにより体調不良を起こした事例が報告されているので、愛犬の体調に心配なことがある場合は与えるのを控えましょう。

喉につまらせないように配慮する

ブルーベリー果汁

ブルーベリーを丸ごと与えると喉に詰まらせる恐れがあるので、犬に合わせて果肉を食べやすくカットもしくは潰して与えた方が安全です

特にチワワやトイプードルなどの小型犬では、ブルーベリーを丸のみして喉につまらせてしまうリスクがあるので小さくして与えましょう。

糖分が多いジャムやヨーグルトなどの加工品は与えない

ブルーベリージャム

人間用のブルーベリージャムやブルーベリーヨーグルト、ブルーベリーケーキなどの加工品は、糖分が多く肥満につながるため与えてはいけません

おやつとしてあげたい場合は、犬用のブルーベリー入りおやつやプレーンヨーグルトにブルーベリーを合わせたものにしましょう。

【獣医師監修】犬はヨーグルトを食べてもOK!与える量や効果、注意点まで
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持病がある場合は獣医師に相談する

獣医師に診察を受けるビーグル犬

ブルーベリーは様々な栄養素が含まれているため、持病がある場合は獣医師に相談してから与えましょう。

特に持病によって食事・栄養素の制限がある場合は必ず獣医師に確認してください。

犬にブルーベリーを与えるときによくあるQ&A

Q&Aとチワワ

ここからは、犬にブルーベリーを与えるときによくある質問についてお答えしていきます。

よくあるQ&A

    子犬や老犬にブルーベリーを与えてもいい?

    ブルーベリーは食物繊維が多いため、消化機能が未熟な子犬や消化機能が低下している老犬には向いていません

    食べていけないわけではありませんが、無理に与える必要はないでしょう。

    どうしても与えたい場合は、子犬であれば生後3~4ヵ月頃からを目安とし、ブルーベリーの皮を取り除き1~2粒程度の少量をペースト状にして与えることをおすすめします。

    冷凍ブルーベリーを加熱せずに与えても大丈夫?

    犬に冷凍ブルーベリーは加熱せず与えても大丈夫ですが、注意点もあります。

    凍ったままのブルーベリーを与えると胃腸への刺激となり下痢になる可能性があることや、小さい犬では丸飲みしてのどにつまらせる危険性があるので、解凍してからカットまたは加熱後に潰してから与えると安心です。

    ドライブルーベリーを与えてもいい?

    犬にドライブルーベリーを与えても大丈夫ですが、生のブルーベリーに比較して水分が少ない分カロリーが高くなるため与えすぎないよう注意が必要です。

    また、砂糖漬けやオイルコーティングなど加工されている場合もあるので、成分を確認してから与えるようにしてください。

    ブルーベリーで犬の目がよくなる?

    ブルーベリーの摂取により犬の目の病気が治ったり視力が回復したりする効果はありません

    ブルーベリーにはアントシアニンと呼ばれる色素が含まれており目にいいと言われることがありますが、はっきりと論文で報告されているわけではないため、あくまで犬の健康をサポートする栄養素のひとつとして考えておきましょう。

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    人用のブルーベリーサプリメントを与えても大丈夫?

    犬に人用のサプリメントを与えてはいけません

    人用につくられたサプリメントは犬にとっては有害な成分が含まれていたり、栄養素の過剰摂取につながったりするリスクがあります。

    ブルーベリーに限らず、サプリメントを与えるときは必ず犬用を選ぶようにしてください。

    まとめ

    お皿に盛ったブルーベリー

    ブルーベリーは犬の健康に役立つ栄養素が含まれており、健康な犬に少量であれば与えても大丈夫です。

    ただし、食物繊維が豊富なため食べすぎると消化不良を起こす可能性があるため与える量に注意しましょう。

    また、最近ではブルーベリーによる中毒症状を示唆する報告もわずかながらあるため、愛犬の体調をよく観察し不安がある場合は獣医師に相談してから与えるようにしてください。

    喉につまらせないように犬に合わせてカットまたは潰すなど、与え方にも配慮し愛犬とブルーベリーを楽しみましょう。

    犬が食べてもいい果物
    【獣医師監修】犬が食べてもいい果物・ダメな果物は?与えるときの注意点や老犬におすすめの果物も

    <参考文献一覧>

    ※1:PETOCOTO「犬にブルーベリーを与えても大丈夫?中毒リスクを獣医栄養学専門医の研究から解説」
    ※2:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
    ※3:健康長寿ネット「ビタミンCの働きと1日の摂取量」
    ※4:健康長寿ネット「ビタミンEの働きと1日の摂取量
    ※5:大塚製薬「ビタミン&ミネラル Q&A ビタミンA/βカロテン」
    ※6:健康長寿ネット「食物繊維の働きと1日の摂取量」
    ※7:わかさの秘密「アントシアニン」

    獣医師ライター 吉田 菜々子

    執筆者

    獣医師ライター
    吉田 菜々子
    獣医師国家資格

    日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。その後、臨床獣医師として動物病院に勤務。現在は漢方や鍼灸など中医学にも興味を持ち学んでいます。これまで犬や猫、うさぎ、ハムスターなどさまざまな動物を飼育してきました。実家で雑種犬を飼い始めたのをきっかけに、今ではその可愛さに魅了されています。飼い主さんのお役に立てるよう、動物に関する情報を分かりやすくお届けします。保有資格:獣医師国家資格

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