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そもそもジビエとは?鹿や猪など天然の野生鳥獣の肉を指す言葉
ジビエは、狩猟によって得た鹿や猪といった天然の野生鳥獣の肉を指し、ヨーロッパの貴族の伝統料理として発展してきた食文化です。
近年は日本でも、ジビエを利用することは農作物の被害防止や廃棄物の減少、地域資源の有効活用として、SDGsの観点からも注目されています。自由に野山を駆け巡っている野生鳥獣は脂肪が少なく引き締まった肉を持ち、味わいも豊かとあって、食材として利用する取り組みが広がっているのです。
実際、ジビエ料理やジビエ肉の販売といった言葉を見聞きしたことがある飼い主さんも多いのではないでしょうか。
■牛や豚、鶏との違いは?
食用として人の手で管理・飼育されている家畜が牛や豚、鶏など。人の手で管理・飼育されていない、天然の野生鳥獣がジビエ
犬が食べても大丈夫なジビエ肉は?人間が食べられるジビエは全部OK
結論から言ってしまえば、人間が食べられるジビエ肉なら、どれも犬が食べても大丈夫です。
■主なジビエ肉と味わいの特徴
- 鹿(シカ)
…クセが少なく食べやすい。牛肉の赤身に似た味で、エゾ鹿はジューシーで味わい深く、ホンシュウ鹿はさっぱり
- 猪(イノシシ)
…脂が乗っているがしつこくない。豚肉に似た味で旨みが強い
- 熊(クマ)
…臭みがなく食べやすい。牛肉に近い味で旨みや甘みが強い
- 兎(ウサギ)
…柔らかく淡白な味わい。鶏の胸肉に近い味わいで甘みが強い
- 鴨(カモ)
…臭みはないが鴨独特の匂いがある。こってりしているが素朴な味わい
- 雉(キジ)
…鶏の胸肉に似た淡白な味わい
- 烏(カラス)
…食感や味は鶏の胸肉に似ている
- アナグマ
…クセがなく食べやすい。脂の甘みが強い
- ワニ
…臭みがない。食感も味も鶏肉に似ている
- カンガルー
…クセは少ない。食感も味も牛肉に似ている
ジビエ肉には、一般的な鹿肉や猪肉のほかに、アナグマやワニ、カンガルーといったものも存在します。
とは言え、ジビエは狩猟できる期間や地域が決められていることがほとんどのため、比較的手に入りやすいジビエ肉は鹿肉や猪肉といったところでしょう。
次章では、それぞれのジビエ肉の栄養を詳しく解説します。
犬に鹿肉を与えるメリットは?腎臓病の犬に与えても大丈夫?注意点やデメリットも
犬がジビエ肉を食べるメリットは?栄養豊富で嗜好性が高い
ジビエ肉はどれも栄養価が高く、嗜好性も優れているという特徴があります。
ジビエ肉の栄養成分を一般的なほかのお肉と比べてみると、ビタミンBやミネラルである銅や亜鉛、鉄といった成分が比較的多く含まれていることが分かります。
■ジビエ肉の栄養成分※100gあたり
※参考:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
比較的、高たんぱくで低脂質、低カロリーとヘルシーなジビエ肉が多く、一般的な肉と比べるとビタミンBやミネラルも豊富な傾向にあります。
そんな栄養価の高いジビエ肉を犬が食べるメリットは、
■犬がジビエ肉を食べるメリット
- アレルギー対策になる
…普段食べ慣れていない肉類の場合、食物アレルギーが起こりにくい可能性
- 犬の嗜好性が高いので食欲が落ちた時にも与えやすい
…たんぱく質には甘みや旨みを感じさせるアミノ酸が比較的多く含まれる
- 健康維持のサポートができる
…アミノ酸スコア100の良質なたんぱく質やさまざまな栄養素が健康維持に役立つ
などがあげられます。
ジビエ肉は旨みや甘みが強いものが多いため犬の嗜好性が高く、食欲が落ちた時やドライフードだけでは食べてくれない犬にも与えやすいでしょう。
■アミノ酸スコアとは?
たんぱく質を構成する必須アミノ酸がバランスよく含まれているかを表す指標
犬が1日に食べてもいいジビエ肉の量
犬におやつやトッピングとしてジビエ肉を与える場合、愛犬が1日に必要な摂取カロリーのうちの10%以内の量が理想です。栄養バランスの偏りを防ぐため、多くても20%以内にとどめましょう。
避妊・去勢済みの成犬が1日に食べられる鹿肉と猪肉の上限量を体重別にまとめてみました。横にスクロールしてご覧ください。
■【体重別】犬が1日に食べていい鹿肉・猪肉の量(※100gあたり鹿肉126kcal、猪肉249kcal)
※避妊・去勢済みの成犬に、摂取カロリーの10%の量のおやつとして鹿肉だけを与えた場合の数値
※鹿の種類によって異なり、100gあたり96~126kcalと幅があるので注意
上記は、あくまでも目安の量です。
鹿肉はたんぱく質が豊富、猪肉は脂質が豊富なため、愛犬の体調や便の状態はもちろん、体型や活動量、ライフステージなども考慮して与える量を調整してください。
また、ジビエ肉のほかにおやつやトッピングなど与える場合は、その分のカロリーと合わせて10%程度(多くても20%以内)となり、食べさせてもいい量は変わるので注意しましょう。
愛犬が1日に必要な摂取カロリーやおやつ量の計算方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
【獣医師監修】ドッグフードの正しい与え方!パッケージの給餌量はあくまで目安
犬にジビエ肉を与える際の注意点4つ
ジビエ肉は栄養価が高く、健康維持のサポートにも役立ってくれますが、犬に与えるときは注意しければいけないこともあります。
ここでは、犬にジビエ肉を与えるときの注意点を4つご紹介します。
食物アレルギーに注意する
ジビエ肉に限りませんが、愛犬に初めて食べさせるものは少量から与え、食べた後は48時間ほど様子を見てあげるようにしてください。
もし愛犬にジビエ肉のアレルギーがある場合、食べてから30分~48時間以内に以下のような症状が見られます。
■犬の食物アレルギーの主な症状
・皮膚の赤や痒み
・目の周りや口の周り、耳を痒がる
・脱毛
・足先や皮膚を執拗に舐めたりかじる
・下痢や軟便
・嘔吐
犬によって食物アレルギーの症状は異なりますが、上記のような症状が見られた場合は獣医師に相談しましょう。
犬の食物アレルギーの仕組みや症状については、以下の記事で詳しく解説しています。
犬のアレルギー(食物・アトピー・ノミ)原因・対策を徹底解説【皮膚科医取材】
生のまま(生食)で与える場合は注意が必要
ジビエ肉は野生鳥獣のため、生で与える場合では寄生虫や細菌、ウイルスのリスクが低い、衛生管理がしっかりされているものを選ぶことが大切です。
また、体質によっては生肉が合わないことがあったり、免疫力が低下するシニア犬、生肉を食べたことがない犬では特に注意してあげなければいけません。
生肉を食べ慣れていないと、酵素などの働きで下痢になることもあります。もちろん、下痢の原因が寄生虫や細菌、ウイルスという可能性も…。
実際、海外では生肉を食べた犬の排泄物に含まれていた病原体が人間に感染するという事例も報告(※1)されており、家庭内感染が発生するリスクがあることは否定できません。
生肉には酵素が含まれており、消化吸収をサポートしてくれる働きが期待できますが、生肉のリスクを考えると加熱して与えるほうが安心と言えます。
ジビエ肉の生食のリスクと選び方
野生動物は、E型肝炎ウイルスや腸管出血性大腸菌(O157など)、サルコシスティス(肉胞子虫)など、さまざまなウイルスや細菌、寄生虫を保有している可能性があり、適切に処理された肉でないと急性肝炎や食中毒、場合によっては亡くなってしまうリスクがあります。
適切な処理が行われたジビエ肉は安全に食べることができますが、マイナス20℃以下で48時間の冷凍処理がされているか、仕入れ先が認定施設かどうかなど、チェックしておくことが大切です。
■衛生面に配慮されたジビエ肉を選ぶポイント
・マイナス20℃以下(中心温度)で48時間冷凍処理をしているか
・仕入れ先が認定施設
農林水産省は、より安全にジビエ肉を消費者に提供できるよう、衛生管理の基準や流通規格の遵守など適切に取り組む、国産ジビエ認証制度を制定しました。まだ登録施設はそう多くはありませんが、そうした認定施設から仕入れているジビエ肉を選ぶのも安心ポイントと言えるでしょう。
E型肝炎ウイルスや腸管出血性大腸菌、サルコシスティスは75℃で1分以上加熱することで感染性を失う(※2)ため、衛生管理がわからないものや不安な場合は十分に加熱することをおすすめします。
骨を与える場合は柔らかくなるまで煮込む
犬用の骨付き肉なども販売されていますが、骨は加熱すると硬くなり、口の中や喉、消化器官を傷つけてしまう恐れがあるため、圧力鍋で柔らかくなるまで煮込んでから与えるようにしてください。
骨には栄養成分が豊富に含まれており、肉と一緒に与えれば栄養バランスもより良いものになります。
しかし、硬いままだと丸飲みして喉に詰まらせてしまったり、嚙んで割れた骨の欠片が喉や消化器官を傷つけてしまう恐れもあり、とても危険です。
骨を与える場合はミルで挽いて細かくしたり、圧力鍋で柔らかくしてから与えるようにしましょう。また、与える場合は少量にとどめておくことをおすすめします。
持病がある犬は獣医師に確認してから与える
ジビエ肉は栄養価が高いため、肝臓病や腎臓病、膵炎などの病気がある犬は与える前に獣医師に確認してください。
ジビエ肉の種類によって異なりますが、たんぱく質や脂質、鉄、銅などが豊富に含まれていることがほとんどです。
特に栄養素の制限を指示されている犬では、必ず獣医師に確認してから与えるようにしましょう。
犬におすすめのジビエ13選
ジビエ肉は犬が好きな自然な旨みや甘みを感じることができるため、食いつきの良さに期待ができます。愛犬の食欲が低下している時に少量与えることで食欲を刺激してくれることもあり、食べてほしい時の心強い味方になってくれる可能性は高いです。
ここでは、犬におすすめのジビエを目的別にご紹介します。
【ふりかけ】犬におすすめのジビエふりかけ3選
ふりかけは、ドライフードのトッピングやスープにすることができる便利なアイテムです。
ジビエが初めての飼い主さんでも、ふりかけなら手軽で試しやすいでしょう。
【おやつ】犬におすすめのジビエおやつ3選
ジビエのおやつはジャーキーなどが多く見られますが、今回おすすめするのはジャーキー以外のおやつです。
ジャーキーはもちろん犬にとっても美味しいものですが、せっかくならジビエと一緒にほかの栄養も摂ってもらってはいかがでしょうか。
【生肉】犬におすすめのジビエ肉3選
フードのトッピングや手作りご飯の食材、おやつなど幅広く使用できるのが、ジビエ肉の生肉です。
しかし、生肉状態で販売されているからといって、生のまま与えていいわけではないので注意しましょう。加熱が必要なものも多く、しっかり説明書きに目を通すことをおすすめします。
【ドッグフード】犬におすすめのジビエドッグフード4選
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ドッグフードでは、鹿肉やカンガルーを使用したものが多く販売されており、気軽にジビエを摂り入れることができます。
せっかくのジビエ肉の栄養を最大限摂りこんでもらうためには、消化しやすい炭水化物が使用されていることや犬の健康に不要な添加物を避けることをおすすめします。
■炭水化物の消化について
- 消化しやすい
…さつまいも、ジャガイモ、豆類など
- 加工によって消化しやすくされている
…白米、大麦、オーツ麦など
- 消化しにくいところがある
…小麦、とうもろこしなど
どの穀物にもそれぞれメリットはたくさんあるため、必要以上に避ける必要はありませんが、ジビエ肉の栄養を摂りこむという点では、できる限り消化しやすいものを選ぶといいでしょう。
鹿肉を使用したドッグフードは、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
鹿肉ドッグフードおすすめランキング16選|アレルギー対策や国産で人気のフードは?【2024年】
グレインフリーとグルテンフリーの違い!犬の体に良いだけじゃない?【獣医師監修】
まとめ
ジビエ肉は、良質なたんぱく質と豊富な栄養が特徴の犬にとっても美味しい食材です。
優れた嗜好性で、食欲が低下したときやドッグフードを食べてくれないような場合でも、少量与えることで食欲を刺激してくれることが期待できます。
しかし、生食で与える場合では細菌やウイルス、寄生虫などのリスクがあり、「マイナス20℃以下(中心温度)で48時間冷凍処理をしている」もしくは「認定工場」といった、適切に処理されたジビエ肉を選ぶことが大切です。
愛犬に安全に美味しくジビエ肉を食べてもらうためにも、注意点や与える量などをしっかり覚えておいてくださいね。
<参考文献>
※1参考:農林水産省「ペットフード原料の解体処理のポイント」
※2参考:栃木県庁「ジビエ(野生鳥獣の肉)はよく加熱して食べましょう」
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執筆者
- ペットライター
-
たかだ なつき
- JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー