【獣医師監修】犬は梨を食べても大丈夫!1日に与えていい量や注意点を解説
基礎知識
2022.07.25

【獣医師監修】犬は梨を食べても大丈夫!1日に与えていい量や注意点を解説

水分が豊富でシャリシャリとした食感の梨は、犬が食べても大丈夫な果物です。自然な甘みを好む犬にとって梨は食べやすく、水分補給にも最適でしょう。

とは言え、梨を丸ごと1個食べてもいいかと言うと、そうではありません。与え過ぎはもちろん、梨には犬が食べないほうがいい芯、種、茎、皮といった部位もあり、食べることで消化不良や体調不良を引き起こす可能性も。

そこで今回は、

・犬が梨を食べることで期待できる効果
・犬が1日に食べてもいい梨の量
・梨を与えるときの注意点

など、獣医師監修のもと、犬に梨を食べさせるときに飼い主さんが知っておきたいことをご紹介します。

この記事の監修者

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獣医師 / 監修
藤井ちひろ
日本ペット栄養士 / ペットフード販売士 / ペット食育上級指導士
北海道帯広畜産大学畜産学部獣医学科卒業。首都圏の中堅動物病院、大学病院を経て「健康寿命を延ばしてめざせ20歳!」「治らない病気に最期まで向きあう」動物病院、ローズローズアニマルクリニック院長。ペットの食と栄養のお悩みに一生応えるための食育セミナーやシニアペットセミナーを定期的に開催中。(所属学会:ペット食育協会獣医麻酔外科学会獣医神経病学会など)

犬が梨を食べるメリット

梨

犬が梨を食べるメリットは主に2つあります。

■犬が梨を食べるメリット
・水分補給になる
・梨の栄養が摂れる

梨は水分が豊富な果物で、甘みがありながらも低カロリーです。さまざまな栄養素が犬の健康のサポートにも期待できるため、乾燥しがちな秋のおやつとして与えるといいでしょう。

梨の主な栄養

カロリー38kcal/100g
水分88.0%
カリウム・体内の浸透圧を調整してくれる
・血圧を下げる働きがある
・ナトリウムの排出をサポートしてくれる
食物繊維・血糖値の急激な上昇を抑えてくれる
・糖やコレステロールの吸収を抑制
・腸内の善玉菌を増加させる
・腸内環境の改善
・スムーズな排便を促してくれる
・心疾患の予防に関係していると考えられている
アスパラギン酸・アンモニアの解毒作用
・中枢神経系の保護
・疲労回復が期待できる
・体液のバランスを整える
ポリフェノール・抗酸化作用
・腸内環境の改善
・血糖値の上昇を抑制
・アンチエイジング効果が期待できる
ソルビトール・水分を保持して体を冷やす
・整腸作用

(※1、2、3)

果物の中でも梨に含まれる「ソルビトール」は特に多く、ソルビトールには水分を保持する作用があるため、水分補給に適した果物です。

また、梨やりんごといったバラ科の果物は、ガンや心疾患、Ⅱ型糖尿病などの病気のリスクが低下することが報告されており(※2、4)、健康のサポートに役立つ果物として注目されています。

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ただし、洋梨は和梨に比べてややカロリーが高く、食物繊維も多いので与え過ぎないようにしましょう。

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犬が1日に食べられる梨の量は?

犬が1日に食べられる梨の量は、おやつやトッピングの範囲で1日に必要な摂取カロリーのうちの10%程度です

避妊・去勢済の成犬が1日にどれくらいの量の梨を食べられるか目安を計算してみました。

■【体重別】犬が1日に食べられる梨の上限量目安

体重1.5kg2kg3kg4Kg5kg6kg7kg8kg9kg10kg15kg20kg25kg30kg
1日の上限量目安39g47g65g81g97g110g125g138g152g163g223g275g327g376g
摂取カロリーの10%15kcal18kcal25kcal31kcal37kcal42kcal48kcal53kcal58kcal62kcal85kcal105kcal125kcal143kcal

※梨のカロリーは目安。種類や個体によっても異なるため注意
※避妊去勢済の成犬の摂取カロリーの10%で活動係数は1.6
※1日におやつとして梨だけを与えた場合

■梨の重さの目安
※通常サイズの和梨の種、芯、皮を除いた可食部
・1個…約300g
・1/2個…約150g
・1/4個…約75g
・1/6個…約50g
・1/8個…約38g

梨は低カロリーなので1日の摂取カロリーの10%で計算すると上記のようになりますが、梨には食物繊維やソルビトールが豊富に含まれているため、上限量いっぱいまで与えることはおすすめできません

犬の体型や体重はもちろん、活動量やライフステージ、少食か多食かなども考慮して与える量を調整してあげる必要があります。

また、梨のほかにおやつを与えたりトッピングをする場合は、量を調整する必要があるので注意してください。

愛犬が必要な1日の摂取カロリーの計算方法や、おやつを与える量については以下の記事で詳しく解説しています。

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犬に梨を与えるときの注意点

犬が食べることでさまざまなメリットがある梨ですが、与えるときには注意しなければいけないことが4つあります。

食物アレルギーに注意する

犬

初めて犬に梨を食べさせる場合は、食物アレルギーを起こす可能性もあるため少量にしておきましょう

梨に食物アレルギーがある場合は、梨を食べてから30分~48時間以内に以下のような症状が見られます。

■犬の食物アレルギーの主な症状
・皮膚の赤みや痒み
・目の周りや口の周り、耳を痒がる
・足先を執拗に舐めたりかじっている
・下痢や軟便
・嘔吐

愛犬に梨を食べさせてから48時間は、異変がないか観察するようにしてください。

犬の食物アレルギーの発症の仕組みについては以下の記事で解説しています。

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梨の皮や芯、種は与えない

犬に梨を食べさせるときは、「皮」「芯」「種」は与えないようにしてください

梨の皮や芯は硬く、犬の消化に負担がかかってしまいます。

また、梨の種には「アミグダリン」という成分が含まれており、犬の腸内で分解されるときに有害なシアン化水素(青酸)を発生させ、青酸中毒を起こしてしまう可能性も

梨の種1粒や2粒など、摂取した量が少量であれば体外に排出されるためそこまで心配する必要はありませんが、多量に食べてしまった場合は命に係わることもあるので絶対に食べさせてはいけません。(※5)

そのほか、スーパーや八百屋などで売られている梨では心配はありませんが、未熟な梨は果肉にもアミグダリンが含まれているため、梨狩りや自家栽培の梨には注意してください。

犬が食べてはいけないものや、食べてしまったときの対処法については以下の記事をご覧ください。

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与え過ぎない

梨を食べさせるときは、前章の「犬が1日に食べられる梨の量」でも述べましたが、あくまでもおやつやトッピングの範囲内にしましょう。

梨には、水分を保持して体を冷やす成分のソルビトールが含まれているため、与え過ぎるとお腹を壊す原因にもなりかねません

また、梨は低カロリーなことから食べてもいい量は多いですが、梨でお腹がいっぱいになってしまい食事が十分にとれなくなってしまうことも考えられます。

与え過ぎは肥満や体調不良の原因となるだけでなく、栄養バランスの乱れにもつながるので、愛犬に梨を与えるときは適量にとどめておきましょう。

喉や食道に詰まらせないように食べやすくする

犬 病院

犬は咀嚼せず丸呑みしてしまう習性があり、梨の塊が喉や食道に詰まってしまうと命に係わることもあるため、食べやすくしてあげることが大切です。

犬に与えるときの梨の切り方
・すりおろす
・薄くスライスする
・細かく刻む

犬によっては、梨のシャリシャリとした食感を好きな場合もあり、愛犬はどの切り方が合っているか考えてあげましょう。

また、上記の切り方であれば消化に負担もかかりにくいため、消化不良なども起こしにくくなります。

特に消化器官が未発達の子犬や内臓機能が衰えるシニア犬(老犬)では、十分な配慮が必要です。

犬に梨を与えるときによくあるQ&A

Q&A

よくあるQ&A

    子犬はいつから梨を食べられる?

    子犬は成長期にあたり、体を作るためにもしっかりとバランスの取れた食事を摂る必要があります。そのため、おやつとして梨を与える必要はありませんが、与える場合は生後3~4ヶ月を過ぎてからにしましょう。

    また、子犬は消化器官が未発達で、消化に負担がかかるものを与えてしまうと下痢や嘔吐の原因ともなってしまいます。子犬に梨を食べさせるときは、ごく少量をすりおろしてあげるようにしてください。

    シニア犬(老犬)に梨を食べさせても大丈夫?

    シニア犬(老犬)に梨を食べさせても大丈夫です。ただし、梨はカリウムを多く含むため、腎臓病の犬や利尿剤を処方されている犬の場合は獣医師に相談するようにしてください。

    梨は水分を多く含む果物なので、あまり水を飲まないシニア犬の水分補給にも役立ちます。

    とは言え、シニア犬は消化機能が衰えてくるため、消化に負担がかからないように細かく刻んだり、すりおろすなどの配慮が必要になります。

    犬に梨ジュースやゼリーをあげてもいい?

    飼い主さんが手作りした糖分や添加物が使用されていない梨のジュースやゼリーであれば与えても大丈夫ですが、人間用に加工されたものは糖分や添加物を使用しているものが多いので与えないほうがいいでしょう。

    もちろん、人間用の梨の缶詰やジャムなども糖分が多く与えるべきではありません。加工品を与える場合は、犬用に作られたものにしてください。

    まとめ

    秋の果物として代表的な梨ですが、旬の野菜や果物はその季節に体が順応するように作用してくれると考えられています。

    梨の栄養素は犬にも良い効果をもたらしてくれることが期待できますが、与え過ぎは逆効果。

    最後に梨についておさらいしておきましょう。

    ・水分が多く低カロリーなので水分補給にも適している
    ・食物繊維やソルビトールが豊富で与え過ぎてはいけない
    ・喉や食道に詰まらせないように配慮する
    ・腎臓病の犬や利尿剤を飲んでる犬は獣医師に相談してから

    自然の甘みを好む傾向にある犬にとって、梨は嗜好性が高く与えやすい果物です。

    あまり水を飲まない犬の水分補給にも役立ってくれるため、与え過ぎないように注意しながら愛犬と一緒に梨を楽しんでくださいね。

    <参考文献>

    (※1)参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
    (※2)参考:農林水産省「主な果物の健康機能性」
    (※3)参考:わかさの秘密「アスパラギン酸」
    (※4)参考:野菜等健康食生活協議会「ニホンナシ」

    (※5)参考:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「アミグダリンについて」

     

    ABOUT ME

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    ライター / 監修
    たかだ なつき
    JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士

    【保有資格:ペットフーディスト / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / JKC愛犬飼育管理士】17歳のミニュチュアダックスと16歳のチワックスと暮らしています。2わんことも病気持ちなため、愛犬の健康オタクとなりました!虹組愛犬の介護がきっかけで老犬のトータルケア事業を計画中。わんこのスペシャリストを目指してます!