公開 2023.11.01 更新 2023.11.01
ペットショップの生体販売について考える!大切なのは1人1人が意識を変えること【犬好き・猫好き427人アンケート】

ペットショップの生体販売について考える!大切なのは1人1人が意識を変えること【犬好き・猫好き427人アンケート】

飼育放棄されるわんちゃんの数は多く、ペットショップの生体販売を問題視する声はもう何年も前からあがっていますが、果たして生体販売を禁止すれば問題は解決するのでしょうか。

もちろん、ペットショップでの生体販売は子犬のストレスや安易な購入につながりやすく、海外のペット先進国のように保護施設やブリーダーからお迎えするのが理想ですが、まずは日本がペット後進国であるということを飼い主さん1人1人が認識し、わんちゃんのお迎えは「1つの命を預かること」という責任があることを自覚する必要があるでしょう。

今回いぬなび編集部では、少しでも日本をペット先進国に近づけるために、販売方法や繁殖方法、お迎えの方法についてもう一度考えてもらおうと「ペットショップの在り方」についてアンケートを実施しました。

ペットショップの生体販売がなくなっても、すべての飼い主さん、すべての日本国民の意識が低いままでは不幸なわんちゃんは減りません。少しでもわんちゃんが快適に、幸せに暮らせるような国にするためにも、目を背けずに現状を知っておいてくださいね。

そもそも日本はペット後進国!ペット先進国との違いは日本人の意識

檻の中から見つめる子犬

日本には動物愛護法がありますが、「虐待はしない」「適切に飼養する」など、ペット先進国に比べるとその内容はざっくりしていてとてもお粗末なものです。そのほかの多くの法律はわんちゃんを「物」として見ており、残念ながら日本はペット後進国と言っても過言ではないでしょう。

その考えは日本国民に広く浸透しており、わんちゃんは「人間以下の存在」と見られているのが現状です。

実際、わんちゃんと一緒に暮らす飼い主さんは「家族の一員」と思っていても、わんちゃんと暮らしていない人からは「たかが犬」「ペットごときで」と言われてしまう経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。

ペット先進国とは、国全体がわんちゃんは「ペット」ではなく「家族の一員」として認識しており、わんちゃんを尊重した細かい法律や規則はもちろん、違反すれば容赦なく罰則に科されるなど、動物愛護や動物福祉に力を入れている国です。

生活の中にいて当たり前の存在という考えから、賃貸住宅でもペット可が当たり前(もちろん闘犬など禁止の犬種はありますが)で、ペット同伴で利用できる施設やサービスも充実しています。普通に一緒にスーパーに買い物に行けたり、そのまま電車に乗ったり、レストランで食事をしたりと、日本ではとても考えられませんね。

そんなペット先進国では、わんちゃんを人道的に扱うという意識が定着していることから、ペットショップでの生体販売をほとんど見かけることができません。

そういった点でも、ペット先進国である海外諸国と日本では大きな差があることは否定できないでしょう。

日本は犬に優しい国?殺処分をどう思う?犬の現状について考える!【犬の現・元飼い主さん1000人アンケート】 
日本は犬に優しい国?殺処分をどう思う?犬の現状について考える!【犬の現・元飼い主さん1000人アンケート】 
愛犬と公共交通機関を利用したことがある人は〇%!「乗りづらい…」「同伴搭乗できる飛行機を利用してみたい」と言う声も【飼い主200人アンケート】
愛犬と公共交通機関を利用したことがある人は〇%!「乗りづらい…」「同伴搭乗できる飛行機を利用してみたい」と言う声も【飼い主200人アンケート】
愛犬を理由に仕事を休みづらい人は8割以上!?飼い主の職場環境を徹底調査!【現・元犬の飼い主500人にアンケート】
愛犬を理由に仕事を休みづらい人は約8割!?飼い主の職場環境を徹底調査!【犬の現・元飼い主500人にアンケート】

ペットショップでの生体販売は不要?保護犬を迎え入れる厳しさ

海外のシェルターのイメージ

日本にはたくさんのペットショップが存在し、当たり前のようにショーケースに子犬が入れられて販売されていますが、近年は生体販売をするペットショップが「悪」のような風潮になりつつあります。

確かにペットショップでの生体販売は常に人目にさらされている子犬のストレスはもちろん、衝動買いや気軽に「命」を購入できてしまう問題点があるのは否定できませんが、保護犬を迎え入れる文化が浅い日本で、さらに愛護団体(保護団体)の時代にそぐわない条件も合わせて考えると、必要だと思う人がいるのも当然なのかもしれません。

実際、いぬなび編集部が実施した「ペットショップの在り方について」のアンケートでは「必要だと思わない」と回答した人は48.9%にとどまり、課題があることが浮き彫りになっています。

■アンケート概要
実施期間:2023年10月16日~10月18日
対象:全国の犬好きさん・猫好きさん427人

 生体販売するペットショップは必要だと思う?のアンケート集計結果

詳細を見る

■生体販売するペットショップは必要だと思う?
・必要だと思わない:48.9%(209人)
・必要だと思う:27.4%(117人)
・わからない:23.7%(101人)

残念ながら日本では、「血統書があるわんちゃん」「生後間もない子犬」「高い値段のわんちゃん」を求める人が多く、「保護犬」「雑種犬」に対してネガティブなイメージを持つ人も少なくないと言えます。

コメントでも、

女性 / 50代
女性 / 50代
【必要だと思う】
高級な猫ちゃんやワンちゃんを飼いたい人は多いだろうし、それらを野良で捕まえる事はできないから

といったものがちらほら見られ、日本人の異常なまでのブランド志向はわんちゃんを迎えるときにも及んでいるのかもしれません。

また、賛否両論さまざまなコメントが寄せられ、ペットショップの生体販売についていろいろな考えがあることもわかりました。

女性 / 30代
女性 / 30代
【必要だと思わない】
いきものを飼う覚悟もなく簡単に購入して簡単に捨てる人がいるから
【必要だと思わない】のコメントをもっと見る

男性 / 40代
男性 / 40代
全てではありませんが一部の店員による扱いが雑でペットの命や健康が粗末に扱われていると思うからです
女性 / 20代
女性 / 20代
販売されるために繁殖される動物がかわいそうだと思う
女性 / 30代
女性 / 30代
売れ残って大きくなって安く売られているわんちゃんや猫ちゃんを見ると、なんとも言えない気持ちになる。さらに売れ残っていしまった場合どうなるのか考えるのも辛い
女性 / 30代
女性 / 30代
飼われない限りは、基本的にずっと決して快適とはいえない狭い部屋の中ですごさないといけない動物たちが不自由で可哀想だからです。犬や猫であるなら本来広くのひのびした場所にいるべきなのに、長期間狭い部屋で管理され自由もほぼなく見世物の如く展示販売されている姿を見るのが大嫌いで苦手です
女性 / 30代
女性 / 30代
誰でもお金を出せば購入できてしまうシステムに疑問を感じるためです

男性 / 30代
男性 / 30代
【必要だと思う】
実際の姿を見てみないと、思っていたのと違うという理由で、捨てられる可能性も高くなると思いました。また、高額な買い物かつ長年一緒に暮らすので、真剣に選択したいです
【必要だと思う】のコメントをもっと見る

男性 / 30代
男性 / 30代
血統書付きの犬を必要とする人もいるから
男性 / 30代
男性 / 30代
ペットショップがあるからこそ、助かっている命もあると思います
女性 / 30代
女性 / 30代
きちんと管理されたペットを購入できる場所だと思うからです
女性 / 40代
女性 / 40代
身近に動物たちを見たり触れたり出来る環境が無くなれば、子供が動物に興味を持つ機会が減ってしまうから
女性 / 30代
女性 / 30代
全員が全員保護猫施設や譲渡会へ行くわけではないから またその知識を持っているとも限らないため

男性 / 40代
男性 / 40代
【わからない】
譲渡会でもらえない人の駆け込み寺として、必要。ただ金儲けで増やすのは反対だから、不要になる。うまく間を取って欲しい。どっちかに振り切らず、健全にしましょう
【わからない】のコメントをもっと見る

女性 / 50代
女性 / 50代
売る側の責任もあるけれど、一番大切なのは買う側の覚悟と責任だと思うから
男性 / 40代
男性 / 40代
ペットショップがなかったらどこから買うのだろうという疑問があるので良く分からない
女性 / 30代
女性 / 30代
犬猫が可哀想だなって思うこともありますが、購入する側も実際に見て選びたいこともあるだろうから
女性 / 40代
女性 / 40代
欲しい時に買える手段としては必要で、倫理的問題、人間の欲望のために作られる命への軽視など根深い問題もあるから
女性 / 40代
女性 / 40代
保護犬、保護猫を飼うのは大変なことだと思うので、自信がない人はペットショップで選ぶのも仕方ないことだと思うので

「命に値段をつけるべきではない」というコメントが多く見られましたが、「ペットショップの生体販売がなくなったらどこで買うかわからない」といったコメントもちらほらあり、ペットショップ以外のお迎え方法があまり知られていないのかもしれません。

保護犬を迎え入れてみたい人は60%以上!実際に飼っている人の不安やきっかけを徹底調査
保護犬を迎え入れてみたい人は60%以上!知ったきっかけや迎える時の不安など徹底調査

ペット先進国との違い!日本ではペットショップから迎え入れるのが一般的

おもちゃのカートに入った犬の置物

ペット先進国ではわんちゃんをお迎えする場合、ブリーダーや保護施設(シェルター)、友人・知人などから迎え入れるのが一般的ですが、日本ではペットショップからお迎えすることが一般的です。

ペットフード協会が毎年発表している「全国犬猫飼育実態調査」では、ペットショップで購入した人が5割以上という結果になっています。

■ペットの入手先
・ペットショップで購入:51.9%
・業者のブリーダーから直接購入:16.3%
・友人/知人からもらった:13.5%
・友人/知人のブリーダーから直接購入:7.4%
・里親探しのマッチングサイトから譲渡:4.9%
・シェルターからの譲渡:2.5%
・野良犬を拾った:1.6%
・インターネットを通じて直接購入:1.4%
・飼育している犬が産んだ:1.0%
・その他:3.9%
※参考:一般社団法人ペットフード協会「令和4年 全国犬猫飼育実態調査~ペットの入手先~」

日本では保護犬が注目されるようになったのはここ数年ということや、ペットショップの生体販売が当たり前の光景となっていることから、お迎え方法に選択肢があることを意識しにくいということも問題なのかもしれません。

 

ペットショップ事情を考える!売れ残った⼦⽝がどうなるか知って る?⼦⽝の販売価格に疑問を持つ⽝の飼い主さんは3割以上!【飼 い主389⼈アンケート】
ペットショップ事情を考える!売れ残った子犬がどうなるか知ってる?子犬の販売価格に疑問を持つ犬の飼い主さんは3割以上【飼い主389人アンケート】

保護犬を迎え入れたくても愛護団体の仕組みが障害に…

悲しい犬

保護犬を迎え入れたいと思っても、愛護団体が愛護センターからすぐに引き出してしまうため、実際は愛護団体とのやり取りになることが多いです。家族構成や留守にする時間、賃貸住宅不可や年齢制限などさまざまな条件があり、さらに自宅訪問に面接など、担当者のさじ加減で合否が分かれる部分も否めません

命を預かるのは責任があることなので厳しくなるのも当然ですが、条件ありきではなく、海外諸国のように里親になる人には訓練や講習を徹底し、飼い主になる自覚を再認識してもらうことが大切であって、最初から間口を狭めてしまうことは違うと言えるでしょう。このことも、ペットショップでの生体販売が必要だと感じさせてしまう理由の1つになっているのは明らかです。

保護犬について考えよう!動物愛護団体の取り組みや動物愛護センターとの違いも
信用できる動物愛護団体を調査!現状や愛護センターとの違いも解説

日本も法律で禁止する必要がある?現状の日本では必要かもしれない

「パピーセール」と書かれた立て看板

ペット先進国でありペット大国でもあるフランスが、2024年からペットショップでの生体販売を法律で禁止するというニュースが流れたのはつい最近のことです。

禁止する理由として、捨てられるペットが後を絶たないということが第一にあるようですが、アメリカ各州では動物福祉の観点からパピーミル(営利目的で劣悪な環境で大量繁殖している悪質なブリーダー)からの供給を断つために法案が成立、さらに多くの国が子犬を1日中人目にさらすのは虐待にあたるとして禁止しており、日本でもペットショップの生体販売は法律で禁止する必要があると多くの人が声をあげています。

実際に「海外のように日本もペットショップでの販売を禁止すべきか?」というアンケートでは以下のような結果になりました。

海外では生体販売するペットショップが禁止になってきているけど日本もそうすべきだと思う? のアンケート集計結果

詳細を見る

■海外では生体販売するペットショップが禁止になってきているけど日本もそうすべきだと思う?
・ペットショップの生体販売は禁止すべき:60.7%(259人)
・ペットショップの生体販売は禁止しなくてもいい:39.3%(168人)

「ペットショップの生体販売を法律で禁止すべき」という人は約6割にとどまっており、「禁止しなくてもいい」と回答した人のコメントを見ると日本の飼い主はしっかりお世話しているイメージがあるようでした。

しかし、果たして本当にそうなのでしょうか?捨てられているわんちゃん猫ちゃんが後を絶たないのは事実で、2022年度(令和3年度)の殺処分数は14,457頭(犬:2,739頭 / 猫:11,718頭)と減ってはいますが、引き取り数は58,907頭(犬:24,102頭 / 猫:34,805頭)と多い現状です。(※1)

動物愛護団体に直接引き取りを依頼したり、里親探しサイトなどで個人で譲渡する数は含まれていないことを考えれば、この数以上のわんちゃんや猫ちゃんが捨てられていることは明らかでしょう。こうしたこともあまり知られていないことが浮き彫りになった結果なのかもしれません。

実際のコメントをご覧ください。

男性 / 50代
男性 / 50代
【ペットショップの生体販売は禁止しなくてもいい】
禁止は厳しすぎる気がするので、飼ってもいい人に条件を付けるとか免許制にするとかしたらいいと思います
【禁止しなくてもいい】のコメントをもっと見る

女性 / 30代
女性 / 30代
愛玩動物としての歴史をみれば、商品価値のある品種に人気が集まり需要があることも理解はできる
男性 / 20代
男性 / 20代
生体販売を禁止にしたところでペットを飼いたい人間の欲が消滅するわけではないので、根本的な問題解決にはならないと思います
女性 / 40代
女性 / 40代
なぜならば、捨てられたり、放置したりする人たちばかりではないからです。そういう人達は大半ではなく、一部のような気がします。日本は、まだ他国よりも丁寧に世話をする習慣がある気がします。飼育方法、お世話については、丁寧に説明、管理を徹底すれば、途中で投げ出してしまうような事例も少なくなるように思います。保健手帳のように管理、検査を義務づける法律を作るといいのではないでしょうか
女性 / 30代
女性 / 30代
ペットショップの存在が原因で悪質なブリーダーや繁殖場が後を立たない一方で、本当に取締るべきはそうした悪質な事業者だと感じる。安易な気持ちで犬や猫を迎えるべきでは無いと思うが、ブリーダーの存在が遠すぎるのにも問題があると思う。引き合わせの場に変えたり、工夫次第では販売してもいいと思う
女性 / 30代
女性 / 30代
実物を見て購入するほうが命の重みを感じられると思うから

女性 / 40代
女性 / 40代
【ペットショップの生体販売は禁止すべき】
無理な交配や量産を防止することの一手になると思うため
【禁止すべき】のコメントをもっと見る

女性 / 30代
女性 / 30代
一部のブリーダーが過酷な状況で繁殖を繰り返し、飼育崩壊となったニュースを見て心を傷めたから
女性 / 40代
女性 / 40代
家族として迎える犬猫に対して、簡単に購入できるシステムは廃止するべきだと思う
女性 / 40代
女性 / 40代
現状のような生体販売を続けていると動物を安易に購入する人が後を絶たないと感じるからです。実際に「飽きたら人に譲ればいい」と口にしてる人も見たことがあるので、最後まで責任をもって飼育できない人の元に動物が渡らないようにする仕組みを作るのが大切だと感じます
女性 / 40代
女性 / 40代
動物をお金儲けの道具としか考えない人たちがいる限り、強制的になくすしかないのではないかと思う
女性 / 30代
女性 / 30代
今の日本のペット事情(悪質な業者が多い、飼育放棄、多頭飼い崩壊など)を見ると、販売を禁止にした方が良いと思います

「ペットショップの生体販売を禁止すべき」と回答した人では、ペットショップのみならず、ブリーダーや繁殖業者に対する規制を求める声も多く見られました。

実は、ペット先進国の1つドイツでは、ペットショップで生体販売を禁止する法律は存在していません。しかし、道徳的・倫理的観点からほとんどのペットショップが自主的に生体販売を行っていないのです。

ペットショップの生体販売は利益が出やすく「儲かるビジネス」ですが、「命」に対する敬意の表れと言えるでしょう。

ペットショップの生体販売が当たり前の現状の日本でドイツを目指すのは到底無理な話なので、まずはフランスやアメリカのようにペットショップでの生体販売を禁止するような法律を整備する必要があるのかもしれません。

※1参考:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」

ミックス犬や小型犬が人気だが…繁殖の規制がないのは問題も

トイプードルの子犬たち

現在、日本の繁殖についての法律は、ほとんどありません。2021年6月に動物愛護法が改正され、以下に繁殖の規定が追加されましたが、これだけです。

・犬:雌の生涯出産回数は6回まで、交配時の年齢は6歳以下、ただし、7歳に達した時点で生涯出産回数が6回未満であることを証明できる場合は、交配時の年齢は7歳以下とする。
・猫:雌の交配時の年齢は6歳以下、ただし、7歳に達した時点で生涯出産回数が10回未満であることを証明できる場合は、交配時の年齢は7歳以下とする。
・犬又は猫を繁殖させる場合には、必要に応じて獣医師等による診療を受けさせ、又は助言を受けること。
・帝王切開を行う場合は、獣医師に行わせるとともに、出生証明書並びに母体の状態及び今後の繁殖の適否に関する診断書の交付を受け、5年間保存すること。
 ・犬又は猫を繁殖させる場合には、前述の健康診断、上記の帝王切開の診断その他の診断結果に従うとともに、繁殖に適さない犬又は猫の繁殖をさせないこと。
出典:福島県「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正について(令和3年6月1日施行) ~6.繁殖に関する規定~」

ほとんど性善説で成り立っているようなもので、これでは繁殖によって生まれつき病気や奇形、家庭犬に適さない性格など、さまざまな問題を持って生まれてくる可能性はなくならないでしょう。

血統書を発行しているJKC(ジャパンケネルクラブ)では、健康障害をもたらす可能性がある繁殖は避けるべきとして、各犬種ごとに望ましくない毛色や体型などを明記し、犬種スタンダード(犬種標準)で認めないという措置を取っています。

しかし、純血種だけに限られてしまうことから、ミックス犬の交配はあてはまりません。

また、小型犬や超小型犬は特に難産傾向で出産による母体の負担が大きく(※2)、出産時に母犬・子犬ともに亡くなってしまうこともあり、ブリーディングが難しく希少性があるという理由で小さければ小さいほど高額になりますが、そこまで無理させる必要はあるのでしょうか?

これらの問題をどう思っているのかアンケートで聞いてみたところ、8割以上の人は法整備が必要だと感じているようです。

生体販売するペットショップは必要だと思う?

詳細を見る

■繁殖の規制がほとんどない今の日本の法律をどう思う?
・問題だと思う・規制すべきである・法整備が必要:84.5%(361人)
・どちらともいえない・分からない・回答できない:6.1%(26人)
・規制はなくても良い・現行のままで良い:5.9%(25人)
・その他:3.5%(15人)

実際のコメントをご紹介します。

女性 / 30代
女性 / 30代
動物愛護に対する考え、生き物の命に対する意識が低いと思います
男性 / 40代
男性 / 40代
一方的に、動物にリスクを押し付ける形になるので、何らかの規制を行ったほうが良いと感じます
男性 / 60代
男性 / 60代
ブリーダーの意識の問題だと思いますが、適正な個体を提供出来るように、法整備は必要かと思います
コメントをもっと見る

女性 / 30代
女性 / 30代
規制がないと、利益重視のブリーダーが過酷な繁殖を繰り返し行って不幸な動物が増えるため、良くないと思います
女性 / 30代
女性 / 30代
動物愛護をもっと、見直すべき。政府も現場にいって、無理やり繁殖させられている動物たちをみるべき
女性 / 20代
女性 / 20代
よくないと思います。ブリーダーはペットショップよりタチが悪いです。しっかり規制を設けないと、金儲けのために繁殖しまくらせては、完璧な生き物以外は捨てられたり、粗末な扱いを受けたりというニュースを見るたびに腹がたちます
男性 / 10代
男性 / 10代
現在の日本では繁殖の規制がない分、悪徳な繁殖業者による劣悪な環境での繁殖が多くあり、実際に摘発や逮捕された後繁殖の過程で多くの動物が亡くなっていることや生まれた動物に生まれつき病気がある、奇形になるなどの事象が多くあることから、ヨーロッパでの規制のように規制すべきである
女性 / 40代
女性 / 40代
人間の都合や利益、愛玩の為など、自然本来の交配ではない繁殖は虐待ともいえ、日本の動物に関する法律はまだまだ立ち遅れていると思う

「規制がなくても良い」と回答した人では、自然な繁殖だと思っている人が多く、交配の方法や繁殖のリスクなどが知られていないことが背景にあるようです。

すべてのブリーダーが何も考えずに繁殖しているわけではありませんが、悪質なブリーダーや繁殖業者がいるのも事実であり、ペットショップの生体販売だけでなく、繁殖についても法整備も望まれるところでしょう。

繁殖する頭数制限も必要!

母犬と子犬

繁殖方法の規制にとどまらず、繁殖頭数にも声があがりました。実際、

男性 / 40代
男性 / 40代
繁殖に関しては頭数規制などもっと厳しい規則を設けるべきだと思います

といったコメントもあるように、販売されるわんちゃんの数が多いことも問題でしょう。

2023年10月に発表された日本の総人口は1億2447万7千人ですが、15歳~64歳の人口は7395万3千人(※3)です。里親募集しているわんちゃんが何十万頭、さらにペットショップなどで販売されるわんちゃんの1年間の流通量は約60~70万頭(※4)と、とんでもない数のわんちゃんがいますが、7395万3千人が全員わんちゃんをお迎えするわけでもないと考えたら、家族が見つからないわんちゃんもたくさんいることは一目瞭然ですね。

不幸なわんちゃんを増やさないためにも、頭数規制や繁殖方法の規制など、多くの法整備が必要と言えるでしょう。

※2参考:環境省「繁殖に係わる専門家ヒアリング結果」
※3参考:総務省統計局「人口推計(令和5年(2023年)5月確定値、令和5年(2023年)10月概算値)」
※4参考:朝日新聞デジタル「犬猫、流通中に年2.6万匹死ぬ ペットショップ・業者」

動物愛護法の改正で2024年から数値規制が始まるが…

金網のおりに入った子犬たち

動物愛護法の改正では、悪質なペット事業者の排除、遺棄や殺処分、不適正飼養を防ぐことを目的に、ペット事業者の1人あたりの管理頭数が規定されました。

■1人あたりの管理頭数(2024年6月施行)(※5)
・繁殖用の犬は15頭、猫は25匹まで
・販売用の犬は20頭、猫は30匹まで

しかし、これは人を雇えばこの数は増やせるという問題点があることは否定できないでしょう。

また、違反していても通報がなければわからないという現状も打破しなければ、悪質なブリーダーや繁殖業者にとって数値規制の意味はないことになってしまうのではないかと危惧するところです。

とは言え、これまでは何の規制もなく、1人で100頭以上の繁殖犬を抱えるブリーダーもいたことを考えれば、少しだけでも前進したことは評価できるのではないでしょうか。

※5参考:環境省「適正な飼養管理の基準の具体化について飼養管理基準として定める事項(案)」

ペットショップの里親募集は裏がある?譲渡とは名目の疑惑もある

窓越しに外を見つめる柴犬

ペットショップによっては、動物愛護団体よりも緩い条件でブリーダーの繁殖引退犬や何らかの理由で販売できなかった子犬の里親募集を行っています。わんちゃんにとっては新しい家族が見つかるチャンスですが、利益目的で行っている疑惑もあり、素直に喜べないところでしょう。

実際、ペットショップAでは、譲渡という名目で譲渡費用は相場であるものの、3年分や5年分の指定された自社ブランドのドッグフードの定期購入が譲渡条件の1つとなっているため、わんちゃんが食べなくても解約はできず、結局は総額で20万円程度かかるというパターンもあります。

ドッグフードの定期購入自体は買い忘れなどがなくて安心で、問題なく食べ続けてくれる場合はいいですが、わんちゃんの体質に合わなかったり食物アレルギーが出て食べられない場合、好みが変わって食べなくなってしまった場合など、食べないフードに何年もお金を支払うことは飼い主さんにもわんちゃんにも何もいいことはない上に、食品(食材)ロスの問題もあり、いろんな意味でもったいないでしょう。

もちろん、純粋に社会貢献で里親活動を行っているペットショップも存在するため、すべてのペットショップが利益目的ではありませんが、こうした取り組みをどう思うのか聞いてみました。

ペットショップが保護犬としてブリーダーの繁殖引退犬や販売できなかった子犬などの里親募集をしていることをどう思う?のアンケート結果

詳細を見る

■ペットショップが保護犬としてブリーダーの繁殖引退犬や販売できなかった子犬などの里親募集をしていることをどう思う?
・良いと思う:72.4%(309人)
・良くないと思う:27.6%(118人)

「良いと思う」と回答した人は7割を超え、どんな裏事情があろうと「殺処分されるよりいい」というコメントが多く見られました。

実際のコメントをご紹介します。

■【良いと思う】のコメント

女性 / 50代
女性 / 50代
殺処分されるより全然いいです
女性 / 20代
女性 / 20代
そういう事情を理解した上で里親になるのならいいと思う
女性 / 20代
女性 / 20代
大切に育ててくれる里親に出会うきっかけになるから

■【良くないと思う】のコメント

女性 / 40代
女性 / 40代
厳密に言えば全く保護犬ではないため、語弊がある。取り組みはある程度評価できるが、ネガティブな着眼点ではなく、公共の興味や関心に寄り添うものであって欲しい
男性 / 50代
男性 / 50代
ブリーダーを助けているのはおかしいと思います
女性 / 30代
女性 / 30代
結局は命を大事にしてないし、パフォーマンスにすぎない

 

厳しい意見もありますが、

男性 / 20代
男性 / 20代
里親募集自体は良いと思うが、そもそもそのような境遇の犬猫を出してほしくない

ということがみなさんの根底にあるようです。

確かに、繁殖引退犬や販売できなかった子犬をペットショップに引き取ってもらって、ブリーダーはまた新たに繁殖犬を迎え入れ繁殖させると考えると複雑な心境になりますが、繁殖の規制の必要性を強く感じるとともに、目の前の命を救うという意味では意義のあることなのではないでしょうか。

Coo&RIKU問題の関心度は高い!ペットショップの在り方をもう一度考えてみよう

ペットショップで買い物をするファミリー

つい最近、ペットショップ大手の「Coo&RIKU」の購入者たちとのトラブルや元社員による内部告発が次々と報道され、多くの人から批判が集まっています。

わんちゃんと暮らしている飼い主さんではなく、犬好きさん・猫好きさんを対象としたアンケートでしたが、5割以上の人がこの問題を知っており、関心度が高いことがうかがえます。

 現在、とあるペットショップの繁殖方法や飼育環境などが問題になっていることを知ってる?のアンケート集計結果

詳細を見る

■現在、とあるペットショップの繁殖方法や飼育環境などが問題になっていることを知ってる?
・知っている:56.9%(243人)
・知らなかった:43.1%(184人)

真偽はともかく、問題となっていたのは劣悪な飼育環境や惨い繁殖方法、死亡率、さらにはお迎えした子犬の寄生虫感染やパルボウイルス感染などの健康問題でしたが、これはCoo&RIKUに限った話ではなく、ペットショップ全体で考えなければいけない問題なのかもしれません。

実際、私は生後7ヶ月のミニチュアダックスフンドと生後4ヶ月のチワックスをペットショップからお迎えしたことがありますが、2匹とも寄生虫が…。チワックスのほうはトリコモナスとケンネルコフで、しばらく隔離が必要でした。かかりつけの動物病院の先生は、「間違いなくペットショップで感染した」と断言したほどです。

寄生虫やケンネルコフなどの感染はペットショップだけでなくブリーダーでも起こり得ることですが、そもそも清潔な環境で適切な飼養をしていれば防ぐこともできたでしょう。

受け入れの体制を強化し、健康管理を徹底しているペットショップもありますが、すべてのペットショップがそうではないため、健康管理についても細かいルールを定める必要があるのではないでしょうか。

今回のペットショップの騒動について、実際のコメントをご覧ください。

女性 / 30代
女性 / 30代
【知っている】
前々から噂は知っていたので、やはりか。。。という感じでした。先代の犬は何も知識がないのでペットショップから迎えましたが、今の子はブリーダーさんから迎えました。ペットショップのように生体販売を生業にするビジネスを禁止にしない限り、こういったことは続くと思うし、ブリーダーも良し悪しがあるので、きちんと制限を設けるべきだと思う
男性 / 20代
男性 / 20代
【知っている】
悪環境での繁殖・飼育もあり得ると知ったうえで、それでもペットをペットショップで飼いたいのかと全ての飼育したい人たちに問いたいです
女性 / 40代
女性 / 40代
【知らなかった】
命を軽く見ていて酷いです。ペットショップでの生体販売はあって良いと思っていましたが、記事が事実なら自分の考えも改めなければ行けません
コメントをもっと見る

女性 / 40代
女性 / 40代
【知っている】
悲しい現実。業者はもちろんですが、やはり日本の動物保護に関する法律や認識はあまりに低すぎる。これだけペットが浸透した社会にも関わらず相変わらず動物は「物」として認識されており、処罰も軽すぎる
女性 / 60代
女性 / 60代
【知っている】
ただの商品としか扱っていないのがとてもひどいです。法律を作り、取り締まりを強化して一日も早く悪質な業者を摘発してほしいです
女性 / 20代
女性 / 20代
【知らなかった】
想像していたよりも、ずっとむごい事実に愕然とした。現在の法律では動物=モノとして扱われているが、生き物としての権利を確立させ、記事にあるような「大量生産・大量消費」を目的とした詐欺行為を取り締まってほしいと思う
男性 / 20代
男性 / 20代
【知らなかった】
この系列店のみならず把握しきれないほどの数がペット業界の闇として綴られてきている中で、なぜ悪質さに突き抜けたものばかりに多く利益が生まれていき、そしてなぜそれが野放しにされ続けてしまっているのだろうというのは疑問に思えてならない
女性 / 40代
女性 / 40代
【知っている】
少し前にニュース記事で知った。有名なペットショップだったのでショックだった。他のペットショップでも同じことが行われているのではないかと疑ってしまう

実際に、動物愛護法の改正では飼養環境についても規定が定められましたが(2021年6月の施行、既存事業者は2022年6月から適用)(※5)、残念ながら違反しているペットショップやブリーダー、繁殖業者はおり、人手がないことから取り締まりが追いついていないのが現状で、通報頼りとなっていることは否定できません。(※6)

すべてのペットショップが問題となったペットショップと同じではないと思いますが、こうした問題がニュースとなったことでペットショップに対する不信感が募ることは致し方ないことでしょう。

※6参考:独立行政法人 国民生活センター「飼育環境に問題があると思われるペットショップやブリーダーを見つけたら、どうしたらいいか。」

ペットショップの裏事情に迫る!実際に働いていた人のコメント紹介

エプロンを着た女性のイメージ

では、本当にペットショップでは酷い環境の中、子犬を販売しているのでしょうか。わからないことも多いペットショップですが、実際にペットショップで働いていた人たちに裏事情を聞いてみました。

女性 / 30代
女性 / 30代
ペットショップ併設の動物病院で働いていた。ショップには知識のない人が動物を扱っている。正直扱いが雑すぎて恐怖を抱く時もあった
女性 / 40代
女性 / 40代
獣医師免許がないにも関わらず、社長やスタッフがワクチンや抗生剤を勝手に注射しています。連携している獣医から横流しされています
女性 / 40代
女性 / 40代
仕入れ金額が少し欠点があることで全く違ってくるものなので、ほとんどの子犬がパテラなどの欠陥を持っていました。子犬や子猫は免疫力が弱く、強いストレスにもさらされているので、真菌による脱毛も頻繁にありました
もっと見る

女性 / 20代
女性 / 20代
上司から、「見にきた人に、抱っこさせたらこっちのもん」と言われたことがあります
女性 / 30代
女性 / 30代
ペットショップに併設された動物病院の職場体験に学生の頃行ったことがある。生体の入った箱が廊下にズラーっと並べられてワクチンを次々と打っていた。体調確認することなくすぐに蓋は閉じられ、物のように積まれて運ばれてった
女性 / 30代
女性 / 30代
学生時代に動物が好き、という理由でバイトしました。当時は保護犬、保護猫などは聞いた事がありませんでした。今はもうなくなってしまいましたが、新宿歌舞伎町にあった狭い店舗の壁中にケージが5段重ねでずらりと並んだ店内。奥にはフェレットやモルモット、うさぎや爬虫類もいました。とにかく数が多いのが第一印象。ケージ掃除だけで殆どの時間を費やします。奥には売れ残って大きくなってしまったゴールデンレトリバー、柴犬がいてとても人懐っこい可愛い子でした。とにかく狭い所にぎっしりなので、契約も小さなテーブルで、ワクチン接種も獣医さんがケージの前で行います。掃除はしていたけど、制服は1着しか支給されず、病気の子はロッカーの前(開けるのにどかす)やトイレの中にまでいました。劣悪な環境ではなかったですが、敷地面積に対して多すぎたなと感じます

残念な話が多いですが、

女性 / 40代
女性 / 40代
働いていましたが、私がいたペットショップでは、愛情を持って接されていて、売れ残る子を見た事が無いです

といった声もあり、必ずしもすべてのペットショップが酷いわけではないことにホッとします。

いつか、真偽を確かめるべく、実際にペットショップに潜入したいと考えています。そのときは、結果をご報告しますね。

ペットショップの生体販売がなくならない理由は?儲かるから

お金と子犬

ペットショップの生体販売がなくならない理由は、一言で言うなら言葉は悪いですが「儲かるから」です。生体販売の利益率は50~80%と言われており、お迎えと一緒にグッズやドッグフードなどを購入することがほとんどのため、更に利益が出るというのは言うまでもありませんね。

残念ながら日本では、小さければ小さいほど高値をつけても売れる、珍しいカラーや珍しい犬種は高値をつけても売れるという現状があり、またそれを求める人が後を絶たないため、ペットショップの売上に貢献するという悪循環が起こっていると言えるでしょう。

とは言え、すべてのペットショップが儲かっているかと言えばそうでもなく、2021年10月と2022年10月のペットショップ数では前年同月比が94.5%と減少(※7)しているように、大手ペットショップでもなければ品ぞろえを充実させたり固定客を掴むのは難しく、維持するのは難しいと考えられます。

では、一般の人はどうしてペットショップから生体販売がなくならないと思っているのでしょうか。

実際のコメントをご紹介します。

女性 / 40代
女性 / 40代
売れてしまうのが問題。何十万も出して買う人がいるのが問題。それで儲かってしまうシステムがあることが問題
女性 / 30代
女性 / 30代
売りたい人、買いたい人の関係がしっかりと成りなっているから。デメリットがしっかり本当に伝わってくれる人はごく一部なんだろう
女性 / 40代
女性 / 40代
血統書つきの猫や犬を欲しがる人たちが多いから。保護犬や保護猫を飼うより、ブランドにこだわる傾向が強いから
女性 / 40代
女性 / 40代
結局、かわいいワンちゃん猫ちゃんをガラスケースごしに見て、半分はその場のノリで買う人が後を絶たないからじゃないでしょうか?そういう人が買っていくことを見越しての商売をしているのだと思います
女性 / 30代
女性 / 30代
動物の扱いが法律上だと生き物扱いというよりはモノ扱いされていることが一つの理由だと思います。あと細かい決まり事がないことです。資格がなくとも最低限の取引や販売が出来てしまうことも要因の一つだと思います
コメントをもっと見る

女性 / 20代
女性 / 20代
一番お金になりやすいから。以前勤めていたペットショップでもノルマがあり、達成しやすいのは生体販売だった
男性 / 30代
男性 / 30代
自分みたいに目の前で飼いたい動物を見て、フィーリングがあえば飼うという人が多いから生体販売はなくならないのだと感じています
女性 / 50代
女性 / 50代
気づいた頃にはペットショップがあって、そういうものだと思っていました。犬を飼ってから、ブリーダーさんからお迎えする子もいるんだと知って、そういう方法があるとは知りませんでした
女性 / 50代
女性 / 50代
購入する人がいることと、裏側でどのような状況になっているか、広く知れ渡っていない事もあると思います
女性 / 30代
女性 / 30代
やはり生体を目の前で見ると可愛いし、お客さんの購入意欲が増すから、売り上げも上がりやすいのだと思う
男性 / 30代
男性 / 30代
保護犬や保護猫を引き取るには審査が厳しく、家庭環境や収入などプライベートを詮索してきて気持ち悪く、自己防衛を考えるとペットショップで買うしかないから

「儲かるから」「需要があるから」というコメントが多く見られましたが、「需要」に絞って見てみると、

・ペットショップ以外からのお迎え方法を知らない
・愛護団体の審査が厳しい、または過度な詮索からの自己防衛
・ペットショップという安心感
・実際に見てお迎えしたい
・血統や種にこだわる人が多い
・気軽に立ち寄れる

といったことがあげられていました。

実際に見てお迎えすることや、血統や種にこだわるのであればブリーダーという選択肢もありますが、お迎え方法を知らなかったり、ペットショップの安心感というものが大きいのかもしれません。

また、

女性 / 30代
女性 / 30代
飼う人が多いからでしょう。日本ではまだペットを飼うならペットショップからといった認識が強く、動物をお金で買うことに疑問を持っていない人が多いことが原因のような気がします

というコメントにもあるように、「命」を物のように購入することに抵抗がない日本の動物愛護の意識が低いこともペットショップの生体販売が成り立ってしまう要因の1つと言えるでしょう。

※7参考:日本ソフト販売株式会社「【2022年版】ペット関連業が多い都道府県ランキング」

ペットショップの生体販売をなくすためには?「意識改革」「法規制」が必要という声

法律書籍とハンマー

極論を言ってしまえば、ペットショップから生体販売をなくすためには、イギリス(※8)やフランス(※9)、アメリカ各州(※10、11)のように法律で禁止するしかないでしょう。ドイツ(※12)のように法規制がなくても自主的に生体販売をしないというのが理想ですが、日本では現在も生体販売をするペットショップが毎年のようにオープンしていることを考えると難しいと言えます。

実際に、犬好きさん・猫好きさんはどんな方法が必要だと思っているのでしょうか。実際のコメントをご紹介します。

女性 / 20代
女性 / 20代
ないのが当然であるような呼びかけだったり、海外の状況・日本のペットショップの実情等をもっと大々的に報じていくべき
男性 / 20代
男性 / 20代
国民が動物にたいして軽はずみな考えをなくすようにするために、裏側にもスポットを当てるべきだと思う
女性 / 30代
女性 / 30代
なくなるのはムリじゃない?一部の人しかペットショップの生体販売良くない!って騒いでないから、若いカップルや、客にペットのプレゼントを要求するキャバ嬢はいなくならないと思う。インフルエンサーが現状を伝える?
女性 / 40代
女性 / 40代
法律で規制するしかないと思います。「可愛いものを見れば欲しくなる」「自分に都合の悪い部分は見ないようにする」というのが人間の普通の心理なので、結局、法律で「生体販売禁止」とするしかないんじゃないでしょうか?
男性 / 30代
男性 / 30代
ブリーダーから直接入手するのが当たり前になる仕組みづくりが必要です。現段階では、日本で生体販売をなくすのは簡単ではないです
コメントをもっと見る

女性 / 30代
女性 / 30代
ニュースに取り上げるなど、多くの人に問題意識を持ってもらう。法律としての規制を強める
女性 / 40代
女性 / 40代
保護犬、保護猫の譲渡会の認知度をもっと上げて、ペットショップから買うのではなく、譲渡会の選択肢が上がれば良いと思う
男性 / 30代
男性 / 30代
ペットは人間と同じ価値だと証明される法律ができるか、全てのペットショップを営業停止にするしかないと思います
男性 / 40代
男性 / 40代
ペットショップで買う意識から、保護施設から引き取る意識付け。徐々ペットショップが衰退していくような図式を作る。 後は、ブリーダーを根絶に近いくらい廃業に追い込み、健全なブリーダーしか許可、認可されないような、厳選する仕組みづくり
女性 / 30代
女性 / 30代
飼う側も変わっていかなければいけないなと感じます。小っちゃくて可愛い見た目が良いとか、自分の癒しの為だけに動物が飼いたいとかそういう意識も変わっていかなければいけないと思います

ペットショップ以外のお迎え先の周知や法規制、意識改革が必要といった声が多く見られましたが、ペットショップでの生体販売をなくすのは簡単ではないことを改めて感じることができるのではないでしょうか。

また、仮にペットショップでの生体販売がなくなったとしても、不幸なわんちゃんを生み出さないという根本的な解決にはならないと言えます。この問題については、次章で詳しく見ていきましょう。

※8参考:BBC NEWS JAPAN「英イングランド、子犬・子猫の販売禁止へ 生後6カ月未満」
※9参考:NHK「犬と猫がペットショップから消える日」
※10参考:Business Insider「保護動物以外の販売は禁止! カリフォルニア州がペットショップに規制」
※11参考:REUTERS「米NY州、ペットショップで犬猫など販売禁止 24年末に法施行」
※12参考:環境省「平成29年度ドイツにおける動物保護の取組みに係る調査業務報告書」

ペットショップから生体販売がなくなっても根本的な解決ではない?課題はいっぱい!

犬を抱きしめる女性

ペット先進国と言われる海外諸国であっても、捨てられてしまうわんちゃんがいるのも事実です。シェルターやティアハイムといった保護施設から迎える場合の審査や講習などはもちろん、ブリーダーでは飼い主さん自身の訓練、生体販売しているペットショップの子犬を迎える際にも審査や講習などがあるのにもかかわらず…です。

さらに、犬税や飼えなくなれば罰金など、法規制もしっかりしているのに、最期まで責任を持って暮らせない飼い主さんも一定数いるのですから、日本で単純にペットショップから生体販売をなくせば解決する問題ではないことは明らかなのではないでしょうか。

また、ペットショップが生体販売をしなくても経営をしていける仕組みづくりやペット事業者を登録制ではなく許可制にする、わんちゃんを尊重した法規制、お迎え場所の周知、現在の日本の間口が狭く自己満足的な動物愛護団体(※すべてではありません)の在り方など、すべてにおいて見直す必要があるでしょう。

そして、何よりも一番大切なのは、わんちゃんは「物」ではなく「感情を持つ1つの命」であるという日本国民すべての意識改革や、わんちゃんは「所有物」ではなく「命を預かっている」ということを飼い主さんが自覚する必要があることです。

もちろん、わんちゃんに真摯に向き合っている飼い主さんや、1匹でも多くの命を救いたい、幸せになってほしいと奮闘している人もたくさんいますが、絶対数でみればほんの一握りでしかない現状があります。

こうした課題を1つ1つクリアしていくことで、ペットショップから生体販売がなくなるのはもちろん、初めてペット後進国から抜け出すことができると言えるでしょう。

まとめ

飼い主と犬

ペットショップで子犬が狭いショーケースに入れられて陳列されている光景が当たり前になっている日本では、生体販売に対して疑問を持つこともないでしょう

また、ブリーダーや愛護センター、愛護団体などからお迎えできることを知らなかったり、ペットショップのほうが気軽、安心という人もいるのが実情です。

しかし、その裏で、ペットショップの流通過程(繁殖から流通・小売りまでの過程)でケガや病気、ストレスで亡くなっているわんちゃんは年間で2.8%(1万9763匹※死産除く、2018年度調べ)(※4)もいるとされていますが、騒動となったペットショップでは繁殖における死亡率は死産を含め月平均18.8%(※12)と、決して低くない数字が出ています。

数字で見れば実感は湧きにくいかもしれませんが、それだけ命が失われているという現状に加え、捨てられてしまうわんちゃん、殺処分されてしまうわんちゃんがたくさんいることに目を背けてはいけないのではないでしょうか。

ペットショップから生体販売をなくすことは簡単なことではありませんが、まずは1人1人が疑問を持ち、ペットショップの在り方を考えることで、少しずつ道は開けていくでしょう。

すべてのわんちゃん・猫ちゃんが幸せに暮らせるようになりますように…。

AWGsとは
AWGsって知ってる?すべての犬猫の幸せを考えよう!【アニドネさんにインタビュー】 

※12参考:Coo&RIKU「ブリーディング施設の運営」

アンケート調査概要

アンケート内容:ペットショップの在り方についての意識調査
調査方法:インターネット調査
対象:全国の犬好き・猫好きさん427人(女性304人 / 男性123人)
実地期間:2023年10月16日~10月18日

回答者の属性はこちら

■回答者の属性
【女性:304人】
・10代:3人
・20代:58人
・30代:128人
・40代:81人
・50代:28人
・60代:4人
・70代以上:2人

【男性:123人】
・10代:2人
・20代:13人
・30代:37人
・40代:43人
・50代:17人
・60代:10人
・70代以上:1人

■わんちゃん・猫ちゃんの飼育状況
・現在飼育している:228人
・過去に飼育していた:153人
・これまで飼育したことはない:46人

ペットライター たかだ なつき

執筆者

ペットライター
たかだ なつき
JKC愛犬飼育管理士 / ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー

18歳のチワックスと1歳のチワックス、ポメチワ、0歳のチワックスの4匹と暮らしています。これまで愛犬チワワと2匹のミニチュアダックスたちの闘病・介護生活の経験から、犬の健康や介護について学びを深めペットにまつわる様々な資格を取得し、老犬のトータルケアサロン開業に向けて準備中です。

【保有資格:ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー / JKC愛犬飼育管理士 / YMAA薬機法・医療法適法広告取扱個人認証規格

いぬなび公式
インスタグラム

毎日更新中