公開 2023.03.03 更新 2023.03.07
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【獣医師監修】犬が足を引きずる・浮かせる原因は?歩き方がおかしいときの対処法と病院に行くべき症状

【獣医師監修】犬が足を引きずる・浮かせる原因は?歩き方がおかしいときの対処法と病院に行くべき症状

愛犬の歩き方が突然おかしくなって、原因がわからずに焦ってしまうケースはよくあります。

「急にキャンと鳴いて前足を浮かせるようになった」
「後ろ足を引きずるようになったが、触っても痛がらない」
「たまにびっこを引いているが、すぐ治る」

など、その症状はさまざまです。さらに、コーギー・ダックスはヘルニア、トイプー・チワワなどの小型犬はパテラ、ゴールデン・ラブラドールなどの大型犬は股関節形成不全など、犬種によって可能性が高い原因は異なります。老犬で筋力が落ちてうまく歩けなくなってしまい、対策を知りたい人もいるでしょう。

この記事では、犬が足を引きずる・浮かせる際の原因と対策を紹介します。獣医師監修のもと詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

※本記事は2024年10月までの情報を参考に作成しています。※本記事はINUNAVIが独自に制作しています。メーカー等から商品の提供や広告を受けることもありますが、コンテンツの内容やランキングの決定には一切関与していません。※本記事で紹介した商品を購入するとECサイトやメーカー等のアフィリエイト広告によって売上の一部がINUINAVIに還元されます。

足を引きずる?浮かせる?歩き方がおかしいだけで痛がらない?

後ろ足で地面を蹴る柴犬

歩行異常にはいくつか種類があり、足を引きずる状態を「跛行(はこう)」、完全に浮いている状態を「挙上(きょじょう)」と言います。

一概には言えませんが、引きずる場合は神経性の病気(麻痺の症状)、浮かせる場合は骨・筋肉に問題がある疑いがあります

また、おかしな動きをしているのに痛がらないというケースもよく見られます。引きずっているのに痛がらない場合は、麻痺で痛みを感じていない可能性が高いでしょう。足を振ったり歩くのを嫌がったりするのに痛がらないときは、多少の違和感があるだけで痛みが出ていない可能性があります。

自己判断は危険!必ず病院で診察を受けよう

足を引きずる・浮かせる原因は単純なケガから脳の疾患まであり、飼い主には特定が難しいものです。特定できたとしても治療が必要な場合が多く、大きな病気が隠れていることもあります。

この記事で取り上げるものはあくまで原因の一例なので、飼い主が判断せず必ず病院で診察を受けてください

【外傷や異物が原因】肉球・爪・指の状態までチェック

外傷や異物が原因の場合は足を見ればわかるケースもあり、比較的原因を特定しやすいでしょう。

しかし、骨折・捻挫などケガをした瞬間を確認できないと難しいこともあります。犬は痛みを隠すことも少なくないので、日頃から様子をよくチェックすることが大切です。

肉球・爪のケガ

肉球

痛み あり
麻痺 なし
特徴的な
症状・様子
・肉球や爪の周辺に傷がある
・出血がある

肉球が傷ついていたり、爪が割れていたりすると足を引きずる可能性があります。

トゲが刺さっていることもありますが、無理に処理すると危険なので必ず病院に連れていきましょう

肉球まわりに異物・イボ等がある

柴犬の肉球

痛み 場合によってはあり
麻痺 なし
特徴的な
症状・様子
・指間に小石などの異物が挟まっている
・イボができている
・毛玉ができている

ケガをしていなくても、肉球の周辺に違和感があるとおかしな歩き方になることがあります

散歩後に小石や草が挟まっていないか、イボや毛玉がないかなどをチェックしてください。

指間皮膚炎(指間炎)

痛み あり
麻痺 なし
特徴的な
症状・様子
・指の間が赤く腫れている
・肉球をしきりに舐める

指間皮膚炎(指間炎)になると、指の間に炎症が起きてかゆみや痛みが出ます。

原因はアレルギー・ストレス・細菌などさまざまです。指の間が赤くなっていたり、肉球の周辺をしきりに舐めていたりしたら指間炎を疑いましょう。

骨折・捻挫

前足の治療を受ける犬

痛み あり
麻痺 なし
特徴的な
症状・様子
・キャンと鳴いてから足を浮かせるようになった
・歩こうとしない
・足が腫れている
・抱っこや触られることを嫌がる
多い犬種 イタリアングレーハウンド、ポメラニアン、
トイプードルなど

骨折は、特に小型犬が注意したい怪我です。小型犬はとても骨が細く、人間からすると少しの衝撃でも骨折してしまいます。

捻挫も大型犬に比べて起こる可能性が高いので、滑る場所で走り回ったり過度に飛び跳ねたりしないように注意が必要です。

【先天的・遺伝的な疾患が原因】症状が出ている足と犬種を確認

先天的・遺伝的な疾患が原因であるケースも多く見られます。目立った外傷がなく、骨折・捻挫の可能性が低ければこちらを疑いましょう。

犬種によってなりやすい疾患は異なります。また、前足・後ろ足のどちらに異常が出ているかも原因を判別するヒントになるのでチェックしてください。

<小型犬に多い疾患>

まずは小型犬に多い疾患を紹介します。

後天的に発生するものもあり、そのような疾患は小型犬以外に見られる可能性も高いので注意しましょう。

椎間板ヘルニア

症状が
出る足
前足・後ろ足
痛み あり
麻痺 あり
特徴的な
症状・様子
・背中を触ろうとすると嫌がる
・立てない
・排尿がうまくできなくなる
多い犬種 ミニチュアダックスフンド、コーギー、
シーズー、ビーグル、
ペキニーズ、フレンチブルドックなど

椎間板ヘルニアは椎間板が脊髄を圧迫する病気で、進行すると痛みだけでなく麻痺も伴います

そのほかにも脊髄炎・馬尾症候群など脊髄疾患は多数あります。力が入らずに立ち上がれない様子や、おしっこを出しづらくなっている様子があったらこのような病気の可能性があるでしょう。

関節リウマチ

症状が
出る足
前足・後ろ足
痛み あり
麻痺 なし
特徴的な
症状・様子
・関節が変形している、腫れている
・足を触られるのを嫌がる
多い犬種 ミニチュアダックスフンド、
シェットランドシープドッグ、
チワワ、トイプードルなど

関節リウマチは別名「免疫介在性多発性関節炎」と言われ、自分の関節を異物と認識してしまうことで炎症を起こす疾患です。

痛みがあり、進行すると関節の変形が見られます

レッグ・ペルテス病

症状が
出る足
後ろ足
痛み あり
麻痺 なし
特徴的な
症状・様子
・後ろ足を浮かせる
・後ろ足を伸ばそうとしない
多い犬種 トイプードル、ポメラニアン、
ミニチュアダックスフンド、チワワ、パピヨン
ウエストハイランドホワイトテリアなど

小型犬の子犬に起こりやすく、この病気になると太ももの骨の頭が壊死して痛みが伴います

進行性で、手術を行うことが多い疾患です。

<大型犬に多い疾患>

続いて、大型犬に多い疾患を紹介します。

股関節形成不全

症状が
出る足
後ろ足
痛み あり
麻痺 なし
特徴的な
症状・様子
・腰を振って歩く(モンローウォーク)
・後ろ足がふらついている
多い犬種 ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、
シェパード、バーニーズマウンテンドッグなど

名前のとおり、股関節が異常な形に成長してしまう病気でラブラドールやゴールデンなどの大型犬によく見られます。

関節がうまく噛み合わず、動いたときに痛みが生じます。腰を振って歩いたり、後ろ足がふらついていたりしないかをチェックしましょう。

<どの犬種でも起こりやすい疾患>

小型犬・大型犬で発生頻度に大きな偏りがない疾患を紹介します。

パテラ(膝蓋骨脱臼)

チワワ

症状が
出る足
後ろ足
痛み あり
麻痺 なし
特徴的な
症状・様子
グレード1・2
・歩き続けていると、膝が曲がらないためにぎくしゃくした動きになる
・片足でけんけんする
グレード3・4
・後ろ足が常に曲がった状態で腰をかがめながら歩く

後ろ足にある膝のお皿が正しい位置からずれてしまう疾患で、進行の程度によって1〜4のグレードに分けられます。

小型犬は先天的にパテラを起こしやすい傾向がありますが、近年は大型犬にもよく見られます。また、交通事故や転落など後天性の場合もあるので、犬種を問わず注意が必要です。

前十字靭帯断裂

トイプー2-1

症状が
出る足
後ろ足
痛み あり
麻痺 なし
特徴的な
症状・様子
断裂直後
・後ろ足をずっと浮かせる
数日後に痛みが軽減した場合
・後ろ足を引きずる

前十字靭帯断裂を起こすと、後ろ足に強い痛みが出ます。

人間では多くがスポーツや事故によって引き起こされますが、犬はパテラなどの慢性的な疾患が原因になることが多いです

肩関節不安定症

症状が
出る足
前足
痛み あり
麻痺 なし
特徴的な
症状・様子
前足を浮かせる

肩の関節が外れやすくなり痛みが出る疾患です。重度の場合、脱臼を繰り返すようになってしまいます

特にトイプーが多いと言われていますが、中型犬や大型犬にも見られます。

成長板早期閉鎖症

症状が
出る足
前足
痛み あり
麻痺 なし
特徴的な
症状・様子
・前足が曲がっている
・前足を浮かせる

「成長板早期閉鎖症」は子犬に起こる疾患で、外傷などの原因により前足の骨の成長が正常に進まなくなる状態です

小さい頃に骨折や脱臼などを起こした若い犬の前足が曲がっている様子があったら要注意です。

加齢・外傷などが原因の骨関節炎(変形性関節症)

犬の関節を調べている画像

症状が
出る足
前足・後ろ足
痛み あり
麻痺 なし
特徴的な
症状・様子
関節が腫れていてる

先天的な疾患だけでなく、加齢・外傷・肥満などによっても関節炎は引き起こされます

階段を昇らなくなった、以前に比べて走らなくなったといったささいな変化を見逃さないようにしましょう。

【その他の疾患が原因】腫瘍や脳疾患が原因の可能性もあり

歩行障害には大きな病気が隠れていることもあります。ここまでの内容に当てはまらない場合は、以下のような疾患の可能性も考えましょう。

■その他の疾患が原因の例

骨肉腫
脳炎

骨肉腫

関節を痛めた犬

症状が
出る足
前足・後ろ足
痛み あり
麻痺 なし
特徴的な
症状・様子
・足が腫れていてる

骨肉腫は足をはじめ骨にできる腫瘍です。

特に大型犬に多く見られ、後ろ足よりも前足に発生することが多いです。

脳炎

フローリングの上に伏せるパグ

症状が
出る足
前足・後ろ足
痛み なし
麻痺 あり
特徴的な
症状・様子
・よろけながら歩く

壊死性髄膜脳炎(パグ脳炎)・壊死性白質脳炎などによっても歩行に障害が生じる可能性があります。

引きずる・浮かせるという状態ではなく、よろけたように歩く場合は脳に問題があることも疑います

【加齢が原因】老犬は筋力が衰えて後ろ足を引きずる

シニア犬・老犬

犬は年を取ると後ろ足から筋力が衰えて、うまく歩けなくなります。シニア犬で、徐々に後ろ足を引きずるようになった場合は、加齢による筋力の低下の可能性が高いでしょう。

老犬の具体的な対策は「老犬には介護アイテムを活用」をチェックしてください。リンク先の記事でおすすめの介護グッズも紹介しています。

【仮病が原因】注目を浴びるために痛いふりをすることも

まれなケースですが、犬はかまってほしくて足が痛いふりをすることがあります

病院の検査で一切異常がない場合は仮病かもしれません。飼い主がそばにいないときに普通に歩いているかどうかチェックしましょう。

対処法|まずは病院へ。行けないときはとにかく安静に

犬 病院

前述のとおり、とにかく病院に行くことが大事ですが、時間や状況によってはすぐに診察を受けられないこともあります。その場合は、できる限り安静にできるようにしましょう。痛みやストレスがある状態なので、構いすぎたり足をむやみに触ったりしないように注意してください。

病院に行くまでに、前足・後ろ足のどちらがおかしいのか、いつから・どのようなときに症状が出ているのかをしっかり説明できるように準備しておくことが大事です。病院で緊張すると痛みを忘れる場合があるので、様子をスマホで撮影するのもよいでしょう。

予防と対策|こまめなケアをして家の環境を整え、サプリで予防しよう

日頃から注意しておくことで予防できる疾患・ケガはいくつもあります。足の関節や筋肉に負担をかけないための対策をいくつか紹介するので、参考にしてください。

足裏・爪のお手入れをこまめに行う

肉球の間の毛を切り、爪も伸びていないかこまめにチェックしましょう。単純なことですが、このケアを怠ると転倒から大きな怪我につながる可能性があります。

肉球の保湿のために、クリームを塗ることも有効です。

運動&食事管理で適正な体重と筋力をキープ

適正体重を超えていると足腰に負担がかかるので、運動と食事管理で適正体重を保つことも重要です。

筋肉が少ないとケガをしやすいので、散歩や遊びでしっかりと運動して筋力キープも心がけましょう。

フローリングには滑り止めマットを敷く

タイルカーペット

足や股関節への負担を和らげるため、フローリングにはマットを敷くのが基本です。今は何も症状がなくても、予防のために犬が歩く範囲にはすべて滑り止めマットを敷きましょう。老犬の場合、より滑りにくいヨガマットを敷く手もあります。

トイプードル
愛犬がフローリングで滑らない!おすすめの犬用滑り止めマット【ニトリ・無印・100均】

子犬はケージのすきまに手足を引っかけてケガをすることもあるため、危険な場所がないかしっかりチェックしましょう。

また、高いところから飛び降りた際に股関節に負担がかかったり、パテラになったりすることがよくあります。ソファへの乗り降りがしやすいように台やスロープをつける、階段はできる限り登らせないようにするなど十分に対策をしてください。

正しい抱き方をして、足を広げない

柴犬

間違った方法で抱っこをすると、犬の体に負担がかかります。必ず以下のやり方で抱くようにしましょう。嫌がる子を無理矢理抱っこをするのも、落下の可能性があり非常に危険です。

■正しい抱っこの方法

小型犬
片手を側面からお腹の下にくぐらせて胸のあたりを支え、もう片手は股の間からお腹側に出す。地面と犬の体が平行になるようにする

中型犬・大型犬
片方は小型犬と同じように胸のあたりを支え、もう片方の手はお尻から太ももを支えられるように回す。地面に対して少し斜めになるような角度にする

かわいいからと言って前足を持って左右に開いたり振ったりする人がいますが、これも危険な動きです。犬の肩関節は広がらない構造なので大きな負担がかかります。

サプリメントで予防する

サプリの匂いを嗅いでいる犬の画像

予防として、関節の健康をサポートするサプリを飲むことも有効です。

「サプリメントはあまり効果がない」と考えている方も多いのではないでしょうか?しかし、2022年の調査(INUNAVI編集部による)では、12人中12人の獣医師が関節トラブルがある犬の飼い主にサプリメントの服用をすすめたことがあるという結果が出ています。

摂取すべき成分はそれぞれ異なるので、以下の記事で詳しくチェックしてください。

【徹底比較】犬の関節サプリメントおすすめ71選!成分や口コミを分析【獣医師監修】
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老犬には介護グッズを活用

前述のとおり老犬は後ろ足の筋肉が衰えやすいので、引きずるようになったら車椅子や介護用のハーネスを使うのがおすすめです。

筋力をキープできるよう、マッサージも取り入れながら適度に動かすようにするとよいでしょう。

また足がひっくり返り甲をついて歩いてしまう「ナックリング」を起こすケースもあります。ナックリング用のサポーターも販売されているので、愛犬の状態に合わせて適切なアイテムを選んでください。

以下の記事ではおすすめの介護グッズを紹介しています。

介護用品おすすめ28選
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【犬用車椅子完全ガイド】愛犬に合う車椅子の選び方とおすすめ車椅子&工房15選!自作もできる?

まとめ

パピヨン走る

犬が足を引きずる原因は、肉球のケガから脳の病気まで、さまざまなものが考えられます。飼い主が特定するのは難しく、わかったとしても治療が必要なケースばかりなのでまずは病院に行きましょう。

先天性や遺伝性の病気も多いものの、足裏や爪のお手入れや食事・運動による体重管理は予防のために欠かせません。また、家の中に滑り止めマットを敷いたり段差を減らしたりすることも大切です。

関節の健康に役立つサプリも活用して、愛犬が元気に過ごせるようケアしてあげてくださいね。

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※掲載されている情報は、INUNAVIが独自にリサーチした時点の情報を掲載しています。掲載価格に変動がある場合や、登録ミス等の理由により情報が異なる場合がありますので、最新の価格や商品の詳細等については、各ECサイト・販売店・メーカーよりご確認ください。

ライター Haruko

執筆者

ライター
Haruko

愛犬の介護のために会社を退職し、現在はフリーランスのライター・編集者として活動中。小学生から一緒にいる17歳の柴犬(♂)が何より大事です。ペットグッズを実際に使って比較する記事をこれまでに多数執筆。その経験を生かし、リアルで新しくて本当に役立つ情報を届けることをモットーにしています。

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